ジェイドグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジェイドグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所グロース市場に上場するジェイドグループは、靴とファッションの通販サイト「LOCONDO.jp」を軸とするECモール事業、プラットフォーム事業、ブランド事業を展開しています。直近の業績は、M&A効果や組織運営の効率化などにより、売上高が前年を上回り、各段階利益も大幅な増益を達成しました。


※本記事は、ジェイドグループ株式会社の有価証券報告書(第16期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジェイドグループってどんな会社?


ジェイドグループは、靴を中心としたファッション通販サイトの運営やEC支援プラットフォームを展開しています。

(1) 会社概要


2010年に靴の通販サイト「LOCONDO.jp」の運営を目的に設立され、2011年にサービスを開始しました。2012年にプラットフォームサービスを開始し、2017年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場しました。近年はM&Aを積極的に推進しており、2024年にマガシークなどを子会社化しています。

従業員数は連結336名、単体164名です。筆頭株主は創業者の田中裕輔氏で、第2位および第3位は金融機関等が名を連ねています。

氏名 持株比率
田中裕輔 9.82%
BBH CO FOR ARCUS JAPAN VALUE FUND(常任代理人 三菱UFJ銀行) 4.82%
上田八木短資 4.56%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性1名の計5名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は田中裕輔氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
田中裕輔 代表取締役社長 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンを経て、2011年同社入社、代表取締役就任。RBKJやマガシークなどの代表取締役を兼任より現職。
髙志成俊 取締役 三和銀行(現三菱UFJ銀行)などを経て、2022年同社入社。RBKJやマガシークなどの取締役を歴任し、2025年同社取締役就任より現職。


社外取締役は、鈴木智也(アコード・ベンチャーズ取締役ゼネラルパートナー)、廣田聡(HCA法律事務所代表弁護士)、落合敦子(ビジネス向けプロコーチ)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ECモール事業」「プラットフォーム事業」「ブランド事業」および「その他事業」を展開しています。

(1) ECモール事業


同事業は、靴とファッションの通販サイト「LOCONDO.jp」をはじめ、「MAGASEEK」「FASHIONWALKER」などの自社モールや他社モールを通じて、ユーザーに各ブランドの商品を販売するサービスです。即日出荷やサイズ交換・返品無料などの利便性を提供しています。

収益は、各ブランドから商品を仕入れて販売する買取型の販売価格や、テナント出店する受託型の販売手数料から得ています。運営はジェイドグループやマガシークなどが行っています。

(2) プラットフォーム事業


同事業は、ECモール事業で構築したITや物流インフラを活用し、ブランドの自社公式EC支援や物流倉庫業務の受託、店舗のPOSレジ提供などを行うサービスです。アパレル企業のオムニチャネル戦略を包括的に支援します。

収益は、商品の受託販売手数料やシステム利用料、物流請負・顧客対応などのサービス手数料収入から得ています。運営はジェイドグループやマガシーク、ロイヤルロジスティクスなどが行っています。

(3) ブランド事業


同事業は、ECモール事業およびプラットフォーム事業のインフラを活用し、自社でブランド運営を行うサービスです。「Reebok」や「MANGO」などの取扱ブランドを展開し、他社との差別化を図りながらグループ全体の相乗効果を創出しています。

収益は、オンラインサイトやリアル店舗を通じた商品の販売収入などから得ています。運営はRBKJ、ブルーシンシア、ロイヤルなど、グループ内の各ブランド運営子会社が行っています。

(4) その他事業


同事業は、30代から50代の主婦層をメインターゲットとする雑誌「サンキュ!」の出版およびオンラインメディアの運営などを行っています。同社のシステム基盤を活用し、メディアの機能追加や価値向上を目指しています。

収益は、雑誌の販売収入やオンラインメディアを通じた広告収入などから得ています。運営はARIGATOが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期間の売上高は継続して拡大しており、特にM&Aによる事業領域の拡張が成長に寄与しています。経常利益および当期利益についても、一時的な増減はあるものの、直近では大幅な増益を達成し、高い収益力を確保しています。

項目 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 105億円 134億円 192億円 194億円
経常利益 10億円 17億円 16億円 26億円
利益率(%) 9.2% 12.8% 8.1% 13.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 13億円 10億円 6億円 16億円

(2) 損益計算書


売上高は前年と同水準を維持しつつ、広告宣伝費の効率化や各種手数料の引き下げなどにより販売費及び一般管理費が減少しました。その結果、営業利益は大きく増加し、営業利益率の改善につながっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 192億円 194億円
売上総利益 152億円 152億円
売上総利益率(%) 78.9% 77.9%
営業利益 15億円 24億円
営業利益率(%) 8.0% 12.4%


販売費及び一般管理費のうち、荷造運搬費が24億円(構成比19%)、地代家賃が23億円(同18%)、給料及び手当が20億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントのため、各事業の売上高内訳を記載します。主力のECモール事業やプラットフォーム事業が減少した一方、新規ブランドの追加によりブランド事業が大きく伸長し、その他事業も売上に寄与しました。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
ECモール事業 84億円 77億円
プラットフォーム事業 55億円 45億円
ブランド事業 64億円 78億円
その他事業 - 4億円
調整額 -10億円 -9億円
連結(合計) 192億円 194億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 29億円 18億円
投資CF 13億円 -14億円
財務CF -31億円 -5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は24.2%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.2%で、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「HAPPY FOR ALL」という経営理念を掲げています。お客様および取引先企業へ革新的かつ満足度の高いサービスを提供するとともに、企業価値を継続的に向上させていくことを経営の基本方針として位置づけています。

(2) 企業文化


同社は、持続可能な社会の実現に貢献する企業として、気候変動や人的資本に関する課題を重要視しています。多様な人材が差別やハラスメントを受けずに自分らしく活躍できる環境づくりに努めるなど、人材力を重要な競争力と位置づける組織文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


目標とする経営指標として「商品取扱高(返品後)」を最重要視して経営を行っています。また、株主還元と成長投資のバランスを図るため、現預金の増減を伴わない一過性の損益を除く当期純利益の70%を成長投資へ充当し、残り30%を配当として株主に還元する方針を定めています。

* 配当方針:一過性の損益を除く当期純利益の30%を配当還元

(4) 成長戦略と重点施策


日本国内のファッションEC化率の拡大を目指し、知名度の向上や物流・システム機能の強化に注力しています。また、EC在庫とリアル店舗の在庫や売上情報を一元化する「オムニ戦略基盤の強化」を推進するほか、積極的なM&Aを通じた新規・既存事業投資により企業価値の向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


今後の事業拡大と収益基盤の確立に向けて、優秀な人材の確保とその定着を不可欠な要素としています。継続的な採用活動と適正な人事評価を通じて人材確保に努めるほか、社員の職位や職務に応じた適切な研修を実施し、人材の教育と育成を推進する方針を掲げています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 36.9歳 4.9年 5,285,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 50.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 55.1%
男女賃金差異(正規雇用) 75.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 85.5%


※全労働者における男女の賃金の差異は、非正規雇用労働者の全労働者に占める比率が影響しています。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の年間賃金(474.2万円)、女性の平均勤続年数(4.5年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット関連市場の動向


同社グループはECモール事業を主力としているため、新たな法的規制の導入や技術革新の遅れ、通信事業者の利用料金改定など、予期せぬ要因によりインターネット関連市場の発展が阻害された場合、事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合優位性の低下に関するリスク


サイトの利便性向上や独自のサービス展開によって競合優位性を築いていますが、新規参入の増加やブランド自身の直販強化、競合他社による新たな付加価値サービスの提供、あるいは配送費用や人件費の高騰などが生じた場合、競争力や収益力が低下するリスクがあります。

(3) 返品によるコスト増加リスク


「自宅で試着、気軽に返品」をコンセプトに、原則としてすべての返品を受け付けています。返品率を一定水準以下に保つよう種々の施策を講じていますが、想定を大きく超える返品が発生した場合、返品コストの増加により業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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