※本記事は、株式会社No.1 の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、情報セキュリティ機器の企画開発・製造・販売・保守、情報通信機器・OA関連商品の販売・保守を主軸とする企業です。中小企業向けにIT化支援やサイバー攻撃対策、経営課題解決のためのビジネスサポートなど多岐にわたるサービスを提供しています。
単体従業員数は547名、連結従業員数は957名です。同社グループは単一セグメントで事業を展開しています。
主な国内グループ会社は、アイ・ステーション(連結子会社)、アイ・ティ・エンジニアリング(連結子会社)、アレクソン(連結子会社)、S.I.T(連結子会社)、LGIC(連結子会社)などです。
同社グループは、2025年3月にコード、同年7月にアイ・ステーション、同年9月に進々堂商光、同年10月にLGICを子会社化し、事業領域を拡大しました。2026年3月にはNo.1デジタルソリューションを吸収合併しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
No.1は、中小零細企業支援を通じて地域経済の活性化に貢献し、「日本の会社を元気にする一番の力へ。」という経営理念を掲げています。同社グループは、人的資本経営の拡充を重視し、社員の成長が企業の成長に繋がるという考えのもと、働きやすい環境づくりと人材育成に力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
No.1の単体従業員の平均年齢は30代半ばであり、平均勤続年数は約8年となっています。比較的若手社員が多く活躍しており、一定の定着が見られる傾向があります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,521,000円 |
| 平均勤続年数 | 7.9年 |
| 平均年齢 | 35.1歳 |
| 単体従業員数 | 547人 |
| 連結従業員数 | 957人 |
| 単体のグループ内比率 | 57.2% |
No.1は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型と確定拠出型の両制度を採用しています。これらの制度は、同社及び一部の連結子会社に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
確定給付制度における退職給付債務は1.1億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
No.1は、「人の成長」が「企業の成長」であるという考えに基づき、人的資本経営の拡充を人事の基本方針としています。100年企業にふさわしい経営基盤・事業基盤を盤石にすることを目指し、人財の採用から育成、定着までを一貫して強化しています。
求める人財像は、「“人”に対する波及力があり、学びと新たな価値の創造を可能ならしめる“仕事”を行い、No.1らしさを兼ね備えた“資質”を持った人財」です。顧客を感動させる「感動満足度No.1企業」を実践できる人財の育成を目指し、企業を取り巻く環境の変化や事業内容の進化に適応し続けることができる人財の育成を強化しています。
社内環境整備においては、「社員の感動満足度の向上」「次世代経営人財の育成」「ダイバーシティの推進」を重点方針としています。社員の感動満足度向上のため、健康保険組合の移管や共済会への加入、奨学金返還支援制度の拡充、退職者再雇用登録制度の開始、勤務地を選択できる転勤転居制度の導入、短時間の仮眠取得を可能とする「パワーナップタイム」の導入、社内公募制度「No.1キャリアチャレンジ制度」などを推進しています。次世代経営人財の育成では、役員トレーニングプログラムの導入、社会人基礎研修、マネジメントスキル研修、経験者採用向け研修などを実施しています。ダイバーシティ推進では、女性活躍推進の運動体「No.1 ℒ’s Café」の開催や「No.1ファミリーデー」の開催、育児・介護休業法改正に伴う両立支援策の強化に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は各指標を公表していません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 69.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 37.7% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業の平均取得日数 | 26.8日 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
No.1は、情報セキュリティ機器の企画開発から販売・保守までを一貫して手掛けるほか、OA関連商品や情報通信端末の販売、WEBソリューション、ビジネスサポート、システム開発など多岐にわたる事業を展開しています。中小企業を主な顧客とし、IT化の進展に伴う多様なニーズに対応するサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、情報セキュリティ機器の企画開発・製造・販売・保守を中核事業としています。サイバー攻撃の高度化に対応するため、UTMやセキュリティスイッチなどの情報セキュリティ機器を自社グループで開発・製造し、多層防御の仕組みを提供しています。また、MFPやビジネスフォンなどのOA関連商品の販売も手掛けており、MFPの使用量に応じたカウンターサービス料が発生するビジネスモデルも特徴です。
情報通信端末の販売では、モバイルWi-FiルーターやタブレットPC、スマートフォンなどをWEBマーケティングを通じて提供しています。企業の営業活動を総合的にサポートするWEBソリューション事業では、ホームページ制作やSEOコンサルタント事業を展開しています。さらに、「No.1ビジネスサポート」として、経営やITに関する課題解決支援サービスを提供しており、こちらはストック型収益の柱として順調に伸長しています。
システムサポート事業では、販売した機器の設置や保守・メンテナンスを行い、パソコンレンタルやクラウドバックアップなどのストック収益に寄与するサービスも提供しています。官公庁や教育機関向けの入札事業にも積極的に参加し、MFPや防犯セキュリティカメラ、ビジネス用モバイルWi-Fiなどの受注につなげています。販売代理店事業では、卸販売、フランチャイズ加盟店、委託販売代理店を通じて、同社グループの商品やサービスを広く展開しています。システム開発事業では、半導体製造装置業、旅行業、医療といった分野の顧客に対し、システムやソフトウェアの開発、保守、運用に関する技術力を提供しています。
同社グループの売上高は、国内の外部顧客への売上高が大部分を占めており、本邦が主要な市場となっています。また、株式会社クレディセゾンへの売上高が、当連結会計年度の総販売実績の21.6%を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は変動しつつも直近の当期にかけて大きく増加しています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、一時的な変動はあったものの、当期は前期から増加する結果となりました。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 139億円 | 133億円 | 135億円 | 142億円 | 175億円 |
| 経常利益 | 8.8億円 | 11.4億円 | 12.2億円 | 10.4億円 | 13.9億円 |
| 経常利益率 | 6.3% | 8.6% | 9.0% | 7.3% | 7.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5.3億円 | 9.1億円 | 8.9億円 | 5.7億円 | 7.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 81.23 | 138.68 | 135.77 | 85.84 | 107.36 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高および営業利益は、前期から当期にかけて減少しています。これは、事業拡大に伴う連結従業員数の大幅な増加が影響していると考えられます。従業員数の増加は事業規模の拡大を示す一方で、一人あたりの生産性指標には一時的な影響を与えることがあります。
| 指標 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 20.9百万円 | 18.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.5百万円 | 1.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に積極的に充てている段階にあります。財務基盤と資金の流れから、現在の経営状況を読み解くことができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を維持しており、安定性を示しています。ROEも平均を上回る水準で推移し、収益性の高さがうかがえます。手元資金も確保されており、事業運営の安定に寄与している状況です。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 44.8億円 | 44.1億円 |
| 自己資本比率 | 51.2% | 31.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 14.0% | 16.1% |
| 現金及び預金 | 30.2億円 | 31.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期のキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローが8.3億円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費、のれん償却額、仕入債務の増加などがあった一方で、売上債権及び契約資産や棚卸資産の増加、法人税等の支払額があったことによるものです。前期と比較すると、営業活動によるキャッシュフローは減少しています。
投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得や連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加し、△26.1億円の支出となりました。その結果、フリーキャッシュフローは△17.8億円のマイナスに転換しています。
財務活動によるキャッシュフローは、長期借入れによる収入や短期借入金の純増額があった一方で、長期借入金の返済や自己株式の取得、配当金の支払額があり、16.7億円の収入となりました。前期と比較すると、財務活動によるキャッシュフローは収入に転換し、増加しています。本業で得た資金を上回る積極的な投資を行っており、将来の成長に向けた事業拡大フェーズにあることがうかがえます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 14.5億円 | 8.3億円 |
| 投資CF | △5.8億円 | △26.1億円 |
| 財務CF | △4.3億円 | 16.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 8.7億円 | △17.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、OA関連商品の販売を主とする業界において、参入障壁が低いことによる他社との競合リスクを認識しています。また、主力商品であるMFP(複合機)の市場規模縮小も事業に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大に向けた優秀な人材の確保、育成、定着を最重要課題と認識しています。労働人口減少による人材獲得競争の激化や、人材の社外流出、エンゲージメントの低下、労務トラブルの発生が事業に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
No.1は、「日本の会社を元気にする一番の力へ。」という経営理念を掲げ、社会と会社の持続的成長を目指す企業です。お客様のトータルビジネスパートナーとして、最先端の情報活用で企業成長を支援する企業風土が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「日本の会社を元気にする一番の力へ。私たちNo.1はトータルビジネスパートナーとしてお客様を支え、日本経済の原動力になります。」を経営理念としています。また、「皆様のNo.1ビジネスパートナー セキュリティ&ソリューション。最先端の情報活用で企業成長を支援。」を経営ビジョンに掲げています。
2024年4月には「中期経営計画(Evolution2027)」を発表し、「For Further Evolution!(さらなる進化に向けて)」をテーマに、経営基盤と事業基盤を盤石にすることを目指しています。個と組織の強化による進化を続け、持続可能な社会の実現に貢献し、100年企業に向けて持続的な成長と企業価値向上に取り組む方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念を礎に社会と会社双方の持続的成長の実現を目指し、ESG経営を全社で推進しています。人事の基本方針として「人の成長」が「企業の成長」と考え、人的資本経営の拡充を図ることを掲げています。
求める人財像は、「“人”に対する波及力があり、学びと新たな価値の創造を可能ならしめる“仕事”を行い、No.1らしさを兼ね備えた“資質”を持った人財」の育成を目指しています。人財育成方針では、顧客を感動させる「感動満足度No.1企業」を実践できる人財の育成を重視しています。
社内環境整備方針では、「社員の感動満足度の向上」「次世代経営人財の育成」「ダイバーシティの推進」を重点方針としています。多様な人財が自律性を持って働き続け、活躍しやすい環境や制度づくりを重要視するカルチャーです。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、優先的に対処すべき課題として、組織・文化・人材・社会的責任に関わる複数のテーマを挙げています。一つは「経営人財の育成」であり、将来の経営人財や新事業を創出する人財の育成、既存人財のリスキリングを通じた能力強化に取り組んでいます。
また、「サステナビリティ経営、人的資本経営の推進」も重点テーマです。環境負荷の削減、地域経済や地域社会への貢献、ガバナンス・リスク管理体制の強化とダイバーシティ推進を三本柱としています。人的資本経営の拡充では、「社員の感動満足度の向上」「次世代経営人財の育成」「ダイバーシティの推進」を主要テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
No.1は、経営の健全性・透明性・信頼性・迅速性を重視し、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題と認識しています。取締役会は経営全般の重要事項を決定し、業務執行状況を監督する体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
No.1の株主構成を見ると、代表取締役社長執行役員が筆頭株主として名を連ねています。また、事業会社や従業員持株会も上位株主として同社を支える構造となっています。これにより、経営陣と従業員が一体となって企業価値向上を目指す姿勢がうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 辰巳 崇之 | 16.15% |
| クレディセゾン | 5.48% |
| No.1従業員持株会 | 3.51% |
| 久松 千尋 | 2.61% |
| 竹澤 薫 | 1.93% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長執行役員は辰巳崇之氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 辰巳 崇之 | 代表取締役 社長執行役員 | 1995年9月同社入社、1997年9月同社取締役、2008年12月同社代表取締役社長、2019年3月同社代表取締役社長執行役員社長、2024年5月同社代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 桑島 恭規 | 取締役 副社長執行役員 事業推進本部管掌 | 2000年4月同社入社、2013年11月同社取締役法人事業本部長、2023年5月同社取締役副社長執行役員・COO事業統括本部長兼オフィスソリューション事業管掌、2026年3月同社取締役副社長執行役員事業推進本部管掌より現職。 |
| 久松 千尋 | 取締役 常務執行役員 グループ成長戦略推進本部長 | 1999年4月光通信入社、2005年8月同社取締役経営管理本部長、2019年5月同社取締役上級執行役員経営管理本部長、2026年3月同社取締役常務執行役員グループ成長戦略推進本部長より現職。 |
| 平瀬 和宏 | 取締役 上級執行役員 経営管理本部長 | 1987年4月クレディセゾン入社、2010年6月クレディセゾン取締役、2019年5月同社取締役上級執行役員パートナー事業本部長、2024年5月同社取締役上級執行役員経営管理本部長より現職。 |
| 竹澤 薫 | 取締役 上級執行役員 オフィスソリューション本部パートナー事業・ビジネスサポート事業・システムサポート事業管掌 | 1994年4月東芝入社、2011年11月同社取締役経営管理本部長、2013年5月Club One Systems代表取締役、2026年3月同社取締役上級執行役員オフィスソリューション本部パートナー事業・ビジネスサポート事業・システムサポート事業管掌より現職。 |
社外取締役は、吉崎浩一郎氏(グロース・イニシアティブ代表取締役)、新村和大氏(ディー・アイ・コンサルタンツ取締役)です。
No.1は監査役会設置会社であり、取締役会による意思決定と業務執行を監査役会が監査する体制です。社外取締役は経営の客観性と中立性を確保する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
No.1の役員報酬は、職責に応じた基本報酬と賞与で構成されています。中長期的な企業価値向上を目指し、ストックオプション制度も導入しています。監査役の報酬は役位に応じた基本報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.6億円 | 32.6百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 38百万円 | 7.7百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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