※本記事は、株式会社アズ企画設計 の有価証券報告書(第37期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アズ企画設計ってどんな会社?
同社は、首都圏を中心に収益不動産の売買や賃貸・管理を手がける不動産会社です。
■(1) 会社概要
同社は1989年に設立され、1993年に現在のアズ企画設計へ商号変更して不動産賃貸事業および不動産管理事業を開始しました。2004年に不動産販売事業を立ち上げ、業容を拡大させた後、2018年に東京証券取引所JASDAQスタンダード市場(現スタンダード市場)へ上場を果たしました。直近の2025年には富士ホームを完全子会社化し、安定収益基盤の拡充を図っています。
従業員数は連結で76名、単体で68名です。筆頭株主は創業者の松本俊人氏で、第2位はヒトプラン、第3位は脇田栄一氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 松本俊人 | 35.55% |
| ヒトプラン | 13.26% |
| 脇田栄一 | 1.96% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長執行役員は松本俊人氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松本俊人 | 代表取締役社長執行役員 | 1993年にアズ企画設計の代表取締役社長に就任し、2023年より現職。 |
| 惠実幸 | 取締役執行役員不動産営業本部長 | エー・ディー・ワークス等を経て2020年にアズ企画設計へ入社し、2025年より現職。 |
| 小尾誠 | 取締役執行役員管理部長 | 2004年にアズ企画設計へ入社し、2008年に取締役管理部長に就任。2025年より現職。 |
| 北山一博 | 取締役(常勤監査等委員) | 伊藤忠ハウジング常務取締役等を経て2023年にアズ企画設計へ入社し、2024年より現職。 |
社外取締役は、吉田和司(元富士紡ホールディングス代表取締役副社長執行役員)、大山亨(セイレーン代表取締役)、松原有里枝(Sky Arc法律事務所共同代表)、飯塚健(Kudan Vision代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、不動産販売事業、不動産賃貸事業、不動産管理事業を展開しています。
■(1) 不動産販売事業
入居率や賃料水準が低下し、収益の改善を要する中古不動産を取得し、リノベーションや賃貸募集活動(リーシング)等のバリューアップを通じて不動産としての価値を高めたうえで、不動産投資家へ販売しています。また、開発用地を取得して賃貸ニーズに合致する不動産を建設し、収益不動産として商品化して販売することも行っています。
収益は、主にバリューアップした物件を不動産投資家に販売することによる売却代金から得ています。事業の運営はアズ企画設計および合同会社アズプランが行っています。
■(2) 不動産賃貸事業
リニューアルにより高収益が見込める中古不動産をオーナーから借り上げ、施設利用者へ転貸するサブリースを行っています。また、長期間稼働していない建物や遊休地を借り受け、店舗、事業スペース、貸しコンテナ、コインパーキング、民泊施設等として再生利用する事業も展開しています。
収益は、施設利用者からの賃料収入や、販売用不動産を売却するまでの期間に得られる賃料収入から得ています。事業の運営はアズ企画設計が行っています。
■(3) 不動産管理事業
同社から不動産を購入した顧客をはじめとする不動産所有者に対し、所有不動産における建物管理、入居者管理、賃貸借契約管理等のサービスを提供しています。あわせて、賃貸不動産物件や一般家庭に対するハウスクリーニング、修繕工事、原状回復工事等の建築リフォームも手がけています。
収益は、不動産所有者からの管理手数料や賃貸仲介手数料、リフォーム工事代金、付随する保険代理店手数料等から得ています。事業の運営はアズ企画設計および富士ホームが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社の業績は売上高が順調に拡大しており、直近3期間で連続して増収を達成しています。一方で、経常利益および当期利益については、積極的な販売活動に伴う人件費の増加や先行投資負担等により、直近の期間において減益となっています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 115億円 | 124億円 | 135億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 7億円 | 5億円 |
| 利益率(%) | 3.9% | 6.0% | 3.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6億円 | 5億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加傾向にあり、それに伴い売上総利益も拡大しています。しかし、事業規模拡大に向けた人件費等の販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業利益および営業利益率は低下する結果となりました。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 124億円 | 135億円 |
| 売上総利益 | 19億円 | 20億円 |
| 売上総利益率(%) | 15.6% | 14.9% |
| 営業利益 | 10億円 | 8億円 |
| 営業利益率(%) | 7.8% | 5.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4億円(構成比29%)、支払手数料が1億円(同12%)を占めています。また、主力の不動産販売事業の売上原価においては、販売用不動産取得費が構成比の約97%を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の不動産販売事業は、取扱物件の価格帯向上や大型物件の取り組み強化により販売単価が向上し、増収となりました。不動産賃貸事業は稼働物件の保有割合低下により微減収、不動産管理事業はM&Aの寄与等により増収増益となりました。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益(2026年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 不動産販売事業 | 115億円 | 126億円 | 10億円 | 9億円 | 7.4% |
| 不動産賃貸事業 | 7億円 | 7億円 | 1億円 | 0.7億円 | 10.6% |
| 不動産管理事業 | 2億円 | 3億円 | 0.8億円 | 0.9億円 | 34.9% |
| 連結(合計) | 124億円 | 135億円 | 10億円 | 8億円 | 5.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業は赤字だが、将来成長のため借入で投資を継続している「勝負型」のキャッシュ・フロー状況です。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -20億円 | -3億円 |
| 投資CF | -0.7億円 | -3億円 |
| 財務CF | 25億円 | 10億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は27.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「空室のない元気な街を創る」という企業理念のもと、不動産ビジネスを展開しています。社名の由来である「アズ(AZ)」には、「AからZまで、幅広くあらゆるニーズに対応できる会社に」という思いが込められており、収益力の落ちた不動産を生まれ変わらせるなど、多様なソリューションを通じて社会に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、コンプライアンスの遵守を基盤とし、社会的責任を自覚しながら公平性、透明性、効率性を確保した事業遂行を重んじています。また、国籍や性別、年齢等を問わず能力のある者を積極的に登用・育成する多様性を重視する文化があり、社員が一体となって顧客満足度の高い物件づくりに取り組む姿勢が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、中期経営計画(2025年2月期〜2027年2月期)において、「営業利益」や「1人当たり営業利益」を重視した経営に取り組んでいます。
* 営業利益:10.8億円
* 1人当たり営業利益:1,800万円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、主力である不動産販売事業において、5億円以上の大型物件の取り扱い拡充や、オフィス・店舗等の商品種別の多様化を進めることで事業規模の拡大を目指しています。また、物件の長期保有による内部成長とストック収益の拡充を図るほか、M&Aや戦略的業務提携を通じた非連続的な成長や安定収益基盤の確立にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、企業の発展には人材が最も重要な要素であるとの考えに立ち、実績を出せる人材の積極的な採用と育成に注力しています。法改正等に伴う全社研修や若手向けの専門研修を実施するほか、資格手当の充実や学習支援を通じて社員の自発的な成長を促進しています。また、働きやすい環境づくりや健康経営の推進にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 41.1歳 | 4.9年 | 6,506,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 13.0% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済動向及び不動産市況の影響
同社の事業は景気動向、地価動向、各種税制や金利の上昇などの影響を受けやすく、不動産市場の状況が変化した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、多様な販売用不動産の仕入販売を通じてリスク低減に取り組んでいます。
■(2) 有利子負債への依存と資金調達リスク
不動産取得資金の多くを金融機関からの借入で調達しているため、有利子負債比率が高くなっています。市場金利の上昇や信用力の低下により借入コストが増加したり、資金繰りが悪化したりした場合には、事業計画の変更や業績の悪化を招く可能性があります。
■(3) 競合激化と優良物件の取得リスク
同社が主要エリアとする首都圏では、大手デベロッパー等との価格競争が激しく、新規参入も容易なため競合が激化しています。優良な物件を計画通りに取得できなくなった場合には業績に影響が及ぶため、バリューアップの拡充による競争力向上を図っています。
■(4) 委託先への依存と工事等の遅延リスク
物件の開発やリフォームにおいて、設計事務所や建設会社に業務を委託しています。委託先の倒産、工事中の事故、建築資材価格の上昇によるコスト増などが発生した場合、計画通りに事業を進行できず、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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