※本記事は、株式会社アズ企画設計 の有価証券報告書(第36期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アズ企画設計ってどんな会社?
中古不動産を再生し付加価値を高めて販売する不動産販売事業を主力とし、空室改善力に強みを持つ企業です。
■(1) 会社概要
1989年にマグナ通商として設立され、1993年にアズ企画設計へ商号変更し不動産事業を開始しました。2004年に現在の主力である不動産販売事業をスタートし、2018年にJASDAQ(スタンダード)へ上場しました。2022年の市場区分見直しを経て、現在は東証スタンダード市場に上場しています。
2025年2月期末時点の従業員数は連結63名、単体62名です。大株主は、筆頭株主が代表取締役社長の松本俊人氏、第2位は株式会社ヒトプラン、第3位は個人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 松本俊人 | 36.27% |
| ヒトプラン | 16.56% |
| 脇田栄一 | 4.64% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長執行役員は松本俊人氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松本俊人 | 代表取締役社長執行役員 | 1993年5月同社代表取締役社長に就任。2022年12月より合同会社アズプラン職務執行者を兼任。2023年5月より現職。 |
| 惠実幸 | 取締役執行役員不動産営業本部長 | 大倉建設(現大倉)、エー・ディー・ワークスを経て、2020年5月同社入社。投資企画事業部等の要職を歴任し、2025年3月より現職。 |
| 相馬剛 | 取締役執行役員経営戦略部長 | 住友信託銀行(現三井住友信託銀行)入行。三井住友トラスト・アセットマネジメント等を経て、2022年4月同社入社。2023年5月より現職。 |
| 北山一博 | 取締役(常勤監査等委員) | 伊藤忠ハウジング入社後、取締役営業本部長、常務取締役を歴任。2023年9月同社に入社し社長室長を経て、2024年5月より現職。 |
社外取締役は、大山亨(元株式上場コンサルタント)、松原有里枝(弁護士)、飯塚健(Kudan Vision代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産販売事業」、「不動産賃貸事業」および「不動産管理事業」を展開しています。
■(1) 不動産販売事業
収益改善が必要な中古不動産を取得し、リーシングやリノベーションを通じて再生させた上で不動産投資家へ販売しています。また、開発用地を取得して収益不動産を建設・販売する開発事業も行っています。
主な収益源は、再生した収益不動産の販売代金です。物件エリアの市場調査や管理状況の改善を通じて資産価値を高め、投資家へ提供します。運営は主にアズ企画設計および合同会社アズプランが行っています。
■(2) 不動産賃貸事業
リニューアルにより高収益が見込める中古不動産を借り上げて転貸するほか、所有不動産からの賃料収入を得ています。また、遊休地を活用したコインパーキングや貸コンテナ、民泊施設の運営など、空間再生も手掛けています。
主な収益源は、テナントや施設利用者から受け取る賃料や利用料です。販売用不動産の売却までの期間に得られる賃料もこの事業の収益となります。運営は主にアズ企画設計が行っています。
■(3) 不動産管理事業
同社から物件を購入した顧客やその他の不動産所有者に対し、建物管理、入居者管理、契約管理等のサービスを提供しています。また、賃貸仲介やリフォーム工事、少額短期保険の代理店業務も行っています。
主な収益源は、不動産所有者からの管理委託手数料や、入居者・所有者からの仲介手数料、工事代金等です。運営は主にアズ企画設計が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、事業規模が拡大しています。利益面では、経常利益や営業利益が大きく伸長しており、収益性が向上している様子がうかがえます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 115億円 | 124億円 |
| 経常利益 | 4.5億円 | 7.4億円 |
| 利益率(%) | 4.0% | 6.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5.9億円 | 4.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益が増加しています。営業利益率は前期間と比較して改善しており、本業の収益力が高まっています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 115億円 | 124億円 |
| 売上総利益 | 16億円 | 19億円 |
| 売上総利益率(%) | 14.1% | 15.6% |
| 営業利益 | 6.6億円 | 9.8億円 |
| 営業利益率(%) | 5.8% | 7.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.0億円(構成比31%)、支払手数料が1.0億円(同10%)、役員報酬が1.0億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である不動産販売事業が売上の大部分を占めており、当期も増収となりました。不動産賃貸事業も売上を伸ばしていますが、不動産管理事業は微減となっています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| 不動産販売事業 | 106億円 | 115億円 |
| 不動産賃貸事業 | 6億円 | 7億円 |
| 不動産管理事業 | 2億円 | 2億円 |
| 連結(合計) | 115億円 | 124億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローの状況は「勝負型」です。本業の営業CFはマイナスですが、借入金等の財務活動で資金を調達し、事業活動を継続しています。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -2.1億円 | -20.1億円 |
| 投資CF | -5.6億円 | -0.7億円 |
| 財務CF | 7.1億円 | 24.9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は22.3%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「空室のない元気な街を創る」を企業理念としています。また、「アズ(AZ)」という社名の由来である「AからZまで、幅広くあらゆるニーズに対応できる会社に」をモットーに掲げ、不動産ビジネスを展開しています。
■(2) 企業文化
同社は、実績を出せる人材の採用と育成を重視しており、資格手当の充実や学習支援による社員の自発的な成長を促進しています。また、多様な人材が活躍できる環境づくりを目指し、不動産エージェント制度を取り入れ、副業を含めた柔軟な働き方を許容する体制を構築しています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画(2025年2月期~2027年2月期)を推進しており、「営業利益」や「1人当たり営業利益」を重視した経営に取り組んでいます。
* 営業利益:10.8億円
* 1人当たり営業利益:1,800万円
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画では、取扱物件の大型化と多様化に加え、営業利益向上と社外連携に向けた取り組みを進めています。営業利益向上策として、一部収益不動産の長期保有による内部成長とストック収益の拡充を図ります。また、DX効率化やM&Aを含む社外との連携により非連続的な成長を目指す方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業発展のために人材を最重要項目の一つと位置づけ、積極的な採用活動を行っています。法改正等に伴う全社研修や若年次向けの専門研修を実施し、育成に注力しています。また、性別や経歴等に関わらず活躍できる環境整備を進め、健康経営優良法人の認定取得など多面的な取り組みを実施しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 38.2歳 | 5.7年 | 6,222,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.5% |
| 男性育児休業取得率 | 4.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済動向及び不動産市況について
景気動向、地価、金利上昇等の影響を受けやすく、これらが変化した場合に業績へ影響を及ぼす可能性があります。同社は一都三県を主要エリアとし、これまでのノウハウを活かした素早い対応と、多様な不動産の仕入販売によりリスク低減を図っています。
■(2) 資金調達について
不動産取得資金を主に金融機関からの借入で調達しており、有利子負債比率が高いため、金利上昇や信用力低下により融資が受けられない場合、業績に影響する可能性があります。複数の金融機関との取引や資金調達手段の多様化を進めています。
■(3) 棚卸資産の評価及び固定資産の減損について
不動産市況の悪化等により販売用不動産の価値が下落した場合、評価損が発生し業績に影響を与える可能性があります。また、保有不動産の収益性低下による減損リスクもあります。市況動向に合わせた適切な仕入によりリスク回避に努めています。
■(4) 物件の売却時期による業績変動
物件売却時に売上を一括計上するため、高額物件の売却時期によって四半期ごとの業績変動が大きくなる可能性があります。販売用不動産の在庫拡充を行い、代替物件を確保できる体制を構築することで対応しています。



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