オープングループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オープングループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所プライム市場に上場しており、RPAやAI等のオートメーション技術を活用した新規事業創造を主要事業としています。直近の業績は、主力事業でのストック収入伸長やM&A効果により、売上高は前期比増収、営業利益も増益となりました。


※本記事は、オープングループ株式会社 の有価証券報告書(第26期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オープングループってどんな会社?


RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI技術の社会実装を推進し、労働力不足などの社会課題解決を目指すオートメーション・カンパニーグループです。

(1) 会社概要


同社は2000年にデジタルリパブリック(現オープングループ)として設立されました。2008年にRPAツール「BizRobo!」の提供を開始し、事業を本格化させました。2016年には純粋持株会社体制へ移行し、オープンテクノロジーズ(同年RPAホールディングスへ商号変更)となりました。2018年に東証マザーズへ上場し、2019年に東証一部へ指定替えされました。2024年6月には現在のオープングループへ商号変更を行っています。

同社グループは連結従業員212名、単体15名の体制で運営されています。筆頭株主は創業者の髙橋知道氏で、第2位は創業メンバーで取締役の大角暢之氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。経営陣が主要株主として名を連ねています。

氏名 持株比率
髙橋 知道 39.25%
大角 暢之 10.46%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 6.45%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役は髙橋 知道氏です。社外取締役比率は62.5%です。

氏名 役職 主な経歴
髙橋 知道 代表取締役 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、ソフトバンクを経て2000年に同社設立、代表取締役に就任。グループ各社の役員も兼任し、2019年よりオープンアソシエイツ代表取締役も務める。
大角 暢之 取締役 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、ソフトバンクを経て2000年に同社設立、取締役に就任。日本RPA協会代表理事やグループ会社代表取締役などを歴任。
松井 哲史 取締役 2004年に同社入社。グループ各社の監査役を経て、2015年より同社取締役に就任。現在は事務連絡者として管理部門を統括する役割を担う。


社外取締役は、西木 隆(株式会社ベクトル取締役)、増田 吉彦(増田吉彦公認会計士事務所代表)、永井 栄一(ケイネックス法律事務所パートナー)、髙橋 秀明(元日本NCR代表取締役会長)、横山 美帆(清水謙法律事務所代表弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「インテリジェントオートメーション事業」、「アドオートメーション事業」および「その他」事業を展開しています。

インテリジェントオートメーション事業


RPAツール「BizRobo!」「AUTORO」や、バックオフィス業務自動化クラウドサービス「BizRobo!」などを提供し、企業の生産性向上や人手不足解消を支援しています。主な顧客は業務自動化を推進する一般企業です。

収益は主にライセンス料やクラウドサービスの利用料、導入支援等の役務提供対価として顧客から受け取ります。運営は主にオープン株式会社、オートロ株式会社が行っています。

アドオートメーション事業


成果報酬型広告サービス「PRESCO(プレスコ)」を展開しています。広告代理店やオンラインメディア運営企業などを対象に、マーケティングデータの収集・集計・レポーティング業務等を効率化するサービスを提供しています。

収益は、顧客(広告主)と合意した成果承認条件に基づき、広告掲載を通じた成果報酬として受け取ります。運営は主にオープン株式会社が行っています。

その他


IT企業向けのセールスアウトソーシング事業、スキマ時間での労働マッチングプラットフォーム事業、医療法人のバックオフィス支援事業などを展開しています。

収益は、営業支援サービスの対価やマッチング手数料、業務支援対価として受け取ります。運営は、リーグル株式会社、ご近所ワーク株式会社、ホスピタリティパートナーズ株式会社などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績トレンドを見ると、売上高は第23期に一時減少しましたが、その後は増加傾向にあり、特に第26期は大きく伸長しています。経常利益は変動がありつつも黒字を維持しており、当期純利益は赤字の期もありましたが直近では黒字化し回復傾向にあります。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 60.1億円 59.0億円 59.6億円 61.7億円 72.2億円
経常利益 5.4億円 3.0億円 0.8億円 2.6億円 2.3億円
利益率(%) 9.0% 5.1% 1.4% 4.3% 3.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.4億円 -11.9億円 0.6億円 1.7億円 4.4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しています。売上総利益率は高い水準を維持していますが、営業利益率は前期から上昇しました。事業拡大に伴いコストも増加していますが、増収効果により営業利益は増加しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 62億円 72億円
売上総利益 39億円 46億円
売上総利益率(%) 64.0% 63.9%
営業利益 5億円 7億円
営業利益率(%) 8.4% 9.0%


販売費及び一般管理費のうち、その他が18億円(構成比46%)、給料及び手当が11億円(同28%)を占めています。

(3) セグメント収益


インテリジェントオートメーション事業は導入企業の拡大により増収増益となりました。アドオートメーション事業は取扱高伸長とコスト管理により増益を確保しました。その他の事業は売上が大きく伸長しました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
インテリジェントオートメーション事業 42億円 48億円 3億円 5億円 10.7%
アドオートメーション事業 16億円 15億円 5億円 6億円 37.4%
その他 3億円 10億円 1億円 0億円 1.6%
調整額 - - -3億円 -4億円 -
連結(合計) 62億円 72億円 5億円 7億円 9.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 10.2億円 3.4億円
投資CF -8.7億円 3.7億円
財務CF 1.4億円 0.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「ヒトの進化を共創する」をミッションとして掲げています。創業時より新規事業創造を通じ、少子高齢化や労働生産人口の減少といった社会課題の解決を目指しています。RPAやAI等のオートメーション技術の社会実装を推進する「オートメーション・カンパニーグループ」として、豊かな社会の実現に向けて尽力しています。

(2) 企業文化


同社は「変化を、進化に」をスローガンとし、5つのスピリット(大切にすべき精神)を掲げています。「一流であれ(誇りと責任を持って為し遂げる)」「自ら仕掛ける(価値を生み出す)」「ヒトをつくる(機会をつくる)」「本気を楽しむ(一所懸命を楽しむ)」「直観と科学(進化する)」です。これらを通じ、個性が活かされ躍動する未来を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、経営上の目標達成状況を判断する指標として売上高及び営業利益を重視しています。中長期的にはこれらの指標の最大化に取り組み、2026年2月期においては以下の数値目標を掲げて各事業を推進しています。

* 売上高:8,500百万円
* 営業利益:960百万円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は持続的な成長のため、最先端のRPA・AI技術の発掘・開発による事業基盤の強化、およびオートメーション技術を活用した新規事業創造に注力しています。また、M&Aの推進とPMI(合併後の統合)の強化、人材の獲得・育成、内部管理体制の充実を重点施策として掲げ、企業価値の向上を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を最大の経営資源と捉え、採用プロセスの統合管理やダイレクトリクルーティングによる人材獲得強化を進めています。育成面ではEラーニングや外部研修、資格補助制度を整備し、自律的なスキルアップを支援しています。また、360度評価の導入や若手抜擢、ジョブローテーションを通じて次世代リーダーの育成にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 39.9歳 4.3年 10055000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
男性育児休業取得率 25.0%
管理職に占める女性労働者の割合 -%
男女賃金差異(全労働者) -%
男女賃金差異(正規雇用) -%
男女賃金差異(非正規雇用) -%


※管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異について、同社は女性活躍推進法の公表項目として選択していないため、記載を省略しています。上記数値は連結子会社であるオープン株式会社の実績です。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営環境の変化


インテリジェントオートメーション事業等は、顧客企業のIT投資や広告投資マインドに依存しています。国内外の経済情勢や景気動向により顧客の投資意欲が減退した場合、同社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) パートナー企業との契約継続性


主力商品「BizRobo!」の一部技術は、Tungsten Automation Japan株式会社とのリセラー契約に基づきライセンス供与を受けています。契約期間は定められていますが、相手先の取引方針変更等により供給が停止または終了した場合、事業業績に影響が出る可能性があります。

(3) 事業基盤強化のための投資


RPA・AI技術のライセンス調達や新規事業開発等の戦略投資を積極的に行っています。しかし、これらの投資から当初計画どおりの成果が得られなかった場合、同社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。