記事タイトル:「オープングループ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」
※本記事は、オープングループ株式会社の有価証券報告書(第27期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オープングループってどんな会社?
RPAやAIを活用した業務自動化プラットフォームの提供と、成果報酬型広告サービスを展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は2000年にデジタルリパブリックとして設立され、2008年にRPAツールであるBizRobo!の提供を開始しました。2016年に純粋持株会社へ移行し、2018年に東証マザーズへ上場を果たしています。2024年にグループの一体感を高めるため、現在のオープングループへ商号変更しました。
従業員数は連結で241名、単体で15名です。筆頭株主は創業者である髙橋知道氏で、第2位も設立に参画した取締役の大角暢之氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 髙橋知道 | 42.53% |
| 大角暢之 | 11.68% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.61% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役は髙橋知道氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙橋知道 | 代表取締役 | ソフトバンク等を経て2000年に同社を設立し代表取締役に就任。オープンアソシエイツ代表取締役執行役員社長等を歴任し、現在より現職。 |
| 大角暢之 | 取締役 | ソフトバンク等を経て2000年に同社設立に参画し取締役に就任。日本RPA協会代表理事等も歴任し、オープン代表取締役執行役員社長等を務め、現在より現職。 |
| 松井哲史 | 取締役 | 2004年に同社へ入社。ビズロボジャパン等の関係会社の監査役を歴任し、2015年に取締役へ就任。現在より現職。 |
社外取締役は、西木隆(Stream Capital Partners Japan設立)、増田吉彦(増田吉彦公認会計士事務所代表)、永井栄一(ケイネックス法律事務所設立)、髙橋秀明(元オリックス取締役)、横山美帆(清水謙法律事務所代表弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「インテリジェントオートメーション事業」「アドオートメーション事業」および「その他」事業を展開しています。
■インテリジェントオートメーション事業
RPAツールであるBizRobo!やAUTORO、バックオフィス業務を自動化するクラウドサービスRoboRoboを提供しています。中堅中小企業を中心とした顧客企業に対して、業務自動化を通じた生産性向上や人手不足解消を支援しています。
収益源は、ソフトウェアへのアクセス環境提供やサポートに対する契約期間に応じたライセンス収入・サブスクリプション利用料です。本事業の運営は、主にオープンおよびオートロが担当しています。
■アドオートメーション事業
オンライン広告業界を対象に、成果報酬型広告サービスであるPRESCOを展開しています。RPA等を活用してマーケティングデータの収集・集計・レポーティング業務の自動化を強みとし、人材分野等でシェアを拡大しています。
収益源は、広告主が承認した成果に応じて受け取る成果報酬型の手数料です。本事業の運営は、主にオープンが担当しています。
■その他
IT企業を対象とした法人向けセールスアウトソーシング事業、短時間業務の働き手を募集する企業と個人を結ぶマッチングプラットフォーム事業、医療機関向けのメディカルオートメーション事業を展開しています。
収益源は、各サービス提供に伴うアウトソーシング受託料やプラットフォームのマッチング手数料等です。本事業の運営は、リーグル、ご近所ワーク、OASIS INNOVATION等がそれぞれ担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は一貫して成長を続けており、約59億円から約82億円へと事業規模が拡大しています。一方で利益面は、将来の成長に向けた先行投資等により一時的な赤字を計上する時期もありましたが、直近ではライセンス収入の伸長とコストコントロールが奏功し、大幅な経常増益を達成しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 59.0億円 | 59.6億円 | 61.7億円 | 72.2億円 | 81.5億円 |
| 経常利益 | 3.0億円 | 0.8億円 | 2.6億円 | 2.3億円 | 9.5億円 |
| 利益率(%) | 5.1% | 1.4% | 4.3% | 3.2% | 11.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -14.6億円 | -1.1億円 | -1.4億円 | 16.1億円 | -0.8億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の比較では、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しており、売上総利益率は約64%から約70%へと大きく改善しています。また、積極的な投資を継続しつつも収益性の向上が図られ、営業利益率は9%台から12%台へと上昇しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 72.2億円 | 81.5億円 |
| 売上総利益 | 46.2億円 | 56.6億円 |
| 売上総利益率(%) | 63.9% | 69.5% |
| 営業利益 | 6.5億円 | 10.0億円 |
| 営業利益率(%) | 9.0% | 12.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が12.3億円(構成比26.3%)、業務委託費が9.3億円(同20.0%)を占めています。売上原価は24.9億円となっています。
■(3) セグメント収益
インテリジェントオートメーション事業は、既存サービスの導入企業拡大によりライセンス収入が伸長し、売上成長を牽引しています。アドオートメーション事業は、一部プログラムの案件停止等の影響により減収となりましたが、その他の事業を含めてグループ全体としては増収基調を維持しています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| インテリジェントオートメーション事業 | 47.7億円 | 56.4億円 |
| アドオートメーション事業 | 14.9億円 | 13.2億円 |
| その他 | 9.6億円 | 11.9億円 |
| 連結(合計) | 72.2億円 | 81.5億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.4億円 | 9.0億円 |
| 投資CF | 3.7億円 | -7.9億円 |
| 財務CF | 0.7億円 | -20.9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は54.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「ヒトの進化を共創する」をミッションに掲げ、創業時より新規事業創造を通じた豊かな社会の実現に向けて尽力しています。また「ヒトが楽しむ力が躍動する社会」をビジョンとして定め、RPAやAI等の技術を社会に開放することで、少子高齢化や労働生産人口の減少といった社会的課題の解決を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「変化を進化に」というスローガンのもと、バリューとして「共創・創造のプロとして、進化を担う」を約束しています。また、大切にすべき精神(スピリット)として「一流であれ」「自ら仕掛ける」「ヒトをつくる」「本気を楽しむ」「直観と科学」を定め、これらの価値観を共有しながら個性が活かされる組織づくりを推進しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は企業価値を計る指標として売上高および営業利益を重視しており、中長期的に当該指標の最大化に向けた取り組みを進めています。
* 2027年2月期売上高:98億円
* 2027年2月期営業利益:11億円
■(4) 成長戦略と重点施策
持続的な成長を実現するため、常に最先端のRPAやAI等のオートメーション技術を発掘・開発し、事業基盤の強化と新規事業創造を推進しています。また、M&AとPMIの強化を掲げ、既存事業とのシナジーや戦略との整合性を図りながら、企業価値向上に資する投資を積極的に行い、新たな事業領域への展開を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループにとって「人財」こそが最大の経営資源であると位置づけ、社員一人ひとりが得意分野を磨き個性を輝かせることで付加価値を高めることを重要課題としています。次世代の経営人材輩出のため、採用プロセスの統合管理や、Eラーニング等の教育支援、360度評価等の人事制度を通じて、成長機会の創出と環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 39.1歳 | 3.6年 | 10,315,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は女性活躍推進法および育児・介護休業法に基づく公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経営環境の変化
同社の事業は、顧客企業のIT投資や広告投資、新規事業への投資マインドを背景に拡大しています。国内外の経済情勢や景気動向の悪化により顧客企業の投資意欲が減退した場合、同社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定のライセンス供与元との契約
主力商品であるBizRobo!を構成する技術の一部は、Tungsten Automation Japanからリセラー契約に基づきライセンス供与を受けています。同社の取引方針変更等によりソフトウェアライセンスの供給が停止・終了した場合、事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 投資の回収リスク
事業基盤強化のため、RPAやAI技術のライセンス調達や新規事業・M&Aへの戦略投資を推進しています。しかし、競争環境の変化等によりこれらの投資が当初の計画どおりの成果を生まず、投融資額の未回収や減損処理が必要となった場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 情報セキュリティのリスク
事業推進においてクライアントの機密情報や個人情報を扱うため、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の取得や規程の策定など厳重な管理を行っています。しかし、不測の事態で情報漏洩等が発生した場合、社会的信用の失墜など重大な影響を及ぼす可能性があります。



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