ビザスク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ビザスク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証グロース市場に上場しており、ビジネス知見をマッチングする「知見プラットフォーム事業」を展開しています。2025年2月期の業績は、営業収益が98億円と増収を達成しました。利益面では、前期の巨額赤字から回復し、親会社株主に帰属する当期純利益は5億円の黒字転換を果たしています。


※本記事は、株式会社ビザスク の有価証券報告書(第13期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ビザスクってどんな会社?


同社は、「知見と、挑戦をつなぐ」をミッションに掲げ、ビジネス知見のデータベースを活用したマッチングプラットフォームを運営する企業です。

(1) 会社概要


同社は2012年に設立され、翌2013年にスポットコンサルサービス「ビザスク」を正式リリースしました。2020年に東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たし、2021年には米国同業のColeman Research Group, Inc.を買収してグローバル展開を加速させています。

連結従業員数は497名、単体では285名体制です。筆頭株主は創業者の端羽英子氏で、第2位は投資ファンドと思われるA-Fund II,L.P.、第3位は常任代理人を通じて株式を保有するBNY GCМ CLIENT ACCОUNT JPRD AC ISG(FE-AC)となっています。

氏名 持株比率
端羽英子 47.60%
A-Fund II,L.P. 5.98%
BNY GCМ CLIENT ACCОUNT JPRD AC ISG(FE-AC) 2.35%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役CEO兼Coleman Research Group, Inc. Presidentは端羽英子氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
端羽 英子 代表取締役CEO兼Coleman Research Group, Inc. President ゴールドマン・サックス証券、日本ロレアル、ユニゾン・キャピタルを経て2012年同社設立。2023年よりColeman社Presidentも兼任。
七倉 壮 取締役 日本政策投資銀行、DBJキャピタルを経て2016年同社入社。執行役員を経て2025年5月より現職。
宮崎 雄 取締役 リクルートHRマーケティング、リクルートホールディングス等を経て2019年同社入社。執行役員を経て2025年5月より現職。


社外取締役は、堅田航平(Appier Japan株式会社CFO)、青山正明(株式会社キーストーン代表取締役パートナー)、上埜喜章(セブンシーズアドバイザーズ株式会社入社)、平栗遵宜(freee株式会社取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「知見プラットフォーム事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

知見プラットフォーム事業


同社は、ビジネス知見を有するエキスパートと、新規事業や業務改革等のために知見を求める企業をマッチングするプラットフォームを提供しています。主なサービスには、1時間単位のインタビュー「ビザスクinterview」、オンライン調査「ビザスクexpert survey」、セルフマッチング形式の「ビザスクlite」などがあります。顧客層は、コンサルティング会社、投資ファンド、事業法人の研究開発部門など多岐にわたります。

収益は、主に顧客企業から受け取る利用料(マッチング手数料やリサーチ料など)から成り立っています。運営は、国内においては主にビザスクが担い、海外においては米国の子会社であるColeman Research Group, Inc.やシンガポール現地法人などが担っており、グローバルなデータベースを活用したサービス提供を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高(営業収益)は順調に拡大傾向にあり、2021年2月期の16億円から2025年2月期には98億円へと急成長しています。利益面では、2024年2月期に米国子会社の減損損失により巨額の赤字を計上しましたが、2025年2月期には経常利益12億円、当期純利益5億円と黒字回復を果たしました。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
営業収益 16億円 37億円 84億円 90億円 98億円
経常利益 2億円 -4億円 -0.5億円 1億円 12億円
利益率(%) 12.3% -10.5% -0.6% 1.3% 12.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 -5億円 0.8億円 -126億円 5億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高(営業収益)は90億円から98億円へと増加しています。営業利益については、前期は若干の赤字でしたが、当期は12億円の黒字を確保しました。営業費用は減少しており、収益性の改善が見られます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 90億円 98億円
営業利益 -0.6億円 12億円
営業利益率(%) -0.7% 12.5%


営業費用のうち、給料及び手当が41億円(構成比48%)、その他費用が28億円(同32%)を占めています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFと財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ現金を投資や借入金の返済に回している「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 9億円 9億円
投資CF -3億円 -3億円
財務CF -3億円 -4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は92.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は10.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「知見と、挑戦をつなぐ」をミッションに掲げています。テクノロジーの進化や事業環境の変化が激しい中で、個人の経験に基づく「活きたビジネス知見」をデータベース化し、多様な顧客層に対してスピーディーな問題解決やイノベーション創出を支援する知見プラットフォームを提供することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「組織、世代、地域をはじめとするあらゆる障壁を越え、様々なミッションと世界中の知見を最も効果的につなぐグローバルプラットフォームを創り、より良い未来へ貢献する」というビジョンを掲げています。性別、国籍、年齢等に関わらず、多様なバックグラウンドを持つ社員が個性や強みを発揮できる組織作りを重視し、フラットに議論できる風土の醸成に努めています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、中長期的な企業価値向上のため、プラットフォーム規模を示す「取扱高」の成長と、本質的な収益力を示す「調整後EBITDA」を重視しています。

* 2030年2月期に取扱高300億円以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、知見データベースと顧客基盤の拡充、テクノロジー活用による効率性やUI/UXの改善を目指しています。国内では法人顧客への深耕を進め、海外では買収したColeman社の基盤を活かし、グローバルな需要獲得を図ります。また、生成AI活用への投資や新たなプロダクト開発も検討し、競争優位性の強化に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は優秀な人材の確保と育成を成長の基礎と位置づけています。1on1制度によるフィードバックや、オンボーディング、管理職研修などの教育制度を拡充し、社員の成長を支援しています。また、リモートワークとオフィス勤務を併用するハイブリッドな勤務環境を提供し、多様なライフスタイルの社員が活躍できる体制を整えています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 31.6歳 2.4年 5,967,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 32.6%
男性労働者の育児休業取得率 80.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 81.3%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 86.3%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 135.9%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 知見プラットフォーム事業への依存


同社グループの収益は知見プラットフォーム事業のみに依存しています。法規制の変更や予期せぬ要因により事業が想定通りに発展しない場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) サービスの安全性と情報の健全性


エキスパートが守秘義務のある情報を顧客に提供してしまうリスクがあります。同社は依頼内容の確認やエキスパートへの注意喚起、投稿内容の検閲等の対策を講じていますが、万一不適切な情報の授受が発生した場合、信用低下を招く可能性があります。

(3) 特定の取引先への集中


売上の一定割合が特定のコンサルティング会社等に集中しています(マッキンゼー・アンド・カンパニー等)。良好な関係維持に努めていますが、顧客基盤の拡大が進まない場合や主要顧客との取引に変化が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 買収に伴うのれん等の減損リスク


米国Coleman社の買収に伴い多額ののれん等を計上していましたが、2024年2月期に減損損失を計上しました。今後もM&Aや投資を行う方針ですが、計画通りに進まない場合、追加の減損処理等により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。