※本記事は、株式会社ビザスク の有価証券報告書(第14期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ビザスクってどんな会社?
同社はビジネス知見をデータベース化し、国内外のエキスパートと顧客をマッチングする知見プラットフォームを提供しています。
■(1) 会社概要
同社は2012年に設立され、2013年にビジネス知見を共有するサービス「ビザスク」を正式にリリースしました。2020年には東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たし、2021年には米国で同業を営む企業を買収してグローバル展開を加速させています。直近の2026年には博報堂との資本業務提携も実施しました。
現在の従業員数は連結で493名、単体で314名となっています。筆頭株主は創業者であり代表取締役の端羽英子氏で、第2位は投資ファンド、第3位には金融機関である楽天証券が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 端羽英子 | 47.51% |
| A-Fund II,L.P. | 5.97% |
| 楽天証券 | 2.33% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性2名の計6名で構成され、女性役員比率は33.0%です。代表取締役執行役員CEOは端羽英子氏が務めています。社外取締役の比率は50.0%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 端羽英子 | 代表取締役 執行役員CEO兼Coleman Research Group, Inc. President | ゴールドマン・サックス証券やユニゾン・キャピタルなどを経て、2012年に同社を設立し代表取締役CEOに就任。2021年より米国子会社の取締役も務める。 |
| 七倉壮 | 取締役 執行役員 | 日本政策投資銀行やDBJキャピタルを経て、2016年に同社へ入社。2019年に執行役員に就任し、2025年より現職。 |
| 宮崎雄 | 取締役 執行役員 | リクルートなどを経て、2019年に同社へ入社。2020年に執行役員に就任し、2025年より現職。 |
社外取締役は、堅田航平(元ライフネット生命保険執行役員CFO)、平栗遵宜(元freee取締役)、安田幸代(元エクサウィザーズはたらくAI&DX研究所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「知見プラットフォーム事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■知見プラットフォーム事業
新規事業や業務改革などの情報収集ニーズを持つ顧客に対し、国内外のビジネス知見を有するエキスパートをマッチングするサービスを提供しています。1時間単位のインタビューやオンラインアンケートなど、多様な形態で経験者の生きた知見へアクセスできる環境を構築しています。
収益源は、知見提供取引の成立に伴って顧客から受け取るサービス利用料です。運営は同社が主体となり、メインサービスである「ビザスクinterview」やセルフマッチング形式の「ビザスクdirect」などを展開しています。また、海外拠点におけるサービス運営は各海外子会社が担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、経常利益は一時的な赤字から回復し、直近2期間では大幅な黒字を計上しています。当期利益についても、一時期は買収関連費用や減損損失の影響で大きな赤字を記録しましたが、現在は収益性の改善が進み、右肩上がりの増益傾向が続いています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | - |
| 経常利益 | -3.9億円 | -0.5億円 | 1.1億円 | 12.1億円 | 14.0億円 |
| 利益率(%) | - | - | - | - | - |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.4億円 | 7.1億円 | -106.3億円 | 5.5億円 | 7.5億円 |
■(2) 損益計算書
直近の損益状況を見ると、営業利益は前期から増加しており、着実な増益基調にあります。積極的な事業展開によるコスト増加を吸収し、本業の収益力が向上していることが窺えます。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | - | - |
| 売上総利益 | - | - |
| 売上総利益率(%) | - | - |
| 営業利益 | 12.3億円 | 13.4億円 |
| 営業利益率(%) | - | - |
■(3) セグメント収益
同社は知見プラットフォーム事業の単一セグメントで事業を展開しています。当期の売上高は前期から増加しており、コンサルティング会社や金融機関、国内の事業法人など、幅広い顧客層でのプラットフォーム利用が順調に拡大したことが成長を牽引しています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 知見プラットフォーム事業 | 97.8億円 | 99.7億円 |
| 連結(合計) | 97.8億円 | 99.7億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業で稼いだ資金を使って投資を行い、同時に借入金の返済も進める「健全型」の傾向を示しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.3億円 | 12.9億円 |
| 投資CF | -2.7億円 | -3.8億円 |
| 財務CF | -4.4億円 | -5.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は70.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は21.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「知見と、挑戦をつなぐ」をミッションに掲げています。社会に存在する様々なミッションと世界中の知見を最も効果的につなぐグローバルプラットフォームを創り、事業活動を通じてより良い未来へ貢献することを目指しています。ビジネス知見に特化したプラットフォームにより、顧客の課題解決を支援しています。
■(2) 企業文化
同社は「オープンな議論」「違いを強さとする多様性」「年次に関係なく挑戦できる環境」といったカルチャーを重視しています。ミッション・ビジョン・バリューの浸透を図り、それを体現した社員を表彰する全社イベントを実施するなど、社員一人ひとりが当事者意識を持って成長と事業拡大を両立させる組織風土を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は中長期的な企業価値の向上を達成するため、プラットフォームの規模を示す指標である取扱高の成長と、事業の本質的な収益力を示す調整後EBITDAを重視しています。強固なプラットフォームの構築に向けた目標として、以下の数値を掲げています。
* 2030年2月期に取扱高300億円以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は事業領域を「国内事業法人」「コンサル・金融(国内顧客)」「コンサル・金融(海外顧客)」の3つに区分し、それぞれの特性に応じた戦略を展開しています。国内では圧倒的なエキスパート網と多様なサービスラインナップを活かしてシェア拡大を図り、海外ではAI活用や営業強化により収益性の向上を目指しています。また、業務プロセスの改善や人材獲得にも注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、事業成長を牽引する人材の確保を経営の最重要課題の一つと位置づけています。性別や国籍などに関わらず、多様なスキルを持つ社員が強みを発揮できる組織作りを推進しています。対面コミュニケーションを重視したハイブリッド勤務体制や、マネジメントとスペシャリストの複線的なキャリアパスを用意し、長期的に活躍できる環境を整備しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 31.2歳 | 2.8年 | 5,479,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 36.2% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 78.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 82.9% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 102.7% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(52.10%)、産休・育休取得率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済環境の変化による影響
同社の知見プラットフォーム事業は、ビジネス領域の知見を求める顧客の需要に支えられています。国内外でプラットフォームを展開し、顧客体験の向上に努めていますが、急激な経済環境の悪化が生じた場合、想定以上に顧客の需要が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合他社との競争激化
国内外で同種のビジネスを展開する企業との競合が存在します。同社は日本人エキスパートの充実したデータベースや高度なオペレーションで優位性を築いていますが、競合他社が新たな付加価値を提供し競争力が低下した場合、価格競争や取引量の減少により業績に影響を与える可能性があります。
■(3) サービスの安全性と健全性の維持
エキスパートが意図せず守秘義務違反となる情報を提供するリスクが存在します。同社は依頼内容の事前確認や定期的なトレーニング、不適切投稿の検閲などにより未然防止に努めていますが、ルールを逸脱した情報漏洩等が発生した場合、サービスの信用力が低下し業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 個人情報の流出リスク
事業運営にあたり多くの個人情報を保有しているため、プライバシーポリシーに沿った厳格な管理や従業員教育を実施しています。しかし、何らかの原因により個人情報が外部へ流出した場合、信用低下や損害賠償請求の発生を招き、経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。



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