ALiNKインターネット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ALiNKインターネット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ALiNKインターネットは東京証券取引所グロース市場に上場しており、日本気象協会との共同事業である天気予報専門メディア「tenki.jp」の運営を主力としています。直近の業績は、売上高が前期比で増加し増収を達成したものの、経常利益は投資コスト等の増加により赤字転換となる減益を記録しています。


※本記事は、株式会社ALiNKインターネットの有価証券報告書(第13期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ALiNKインターネットってどんな会社?


天気予報専門メディアの運営を中心に、気象情報と社会をつなぐ事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


2013年3月に設立され、同年4月に日本気象協会と業務提携契約を締結しました。2015年に天気予報専門メディア「tenki.jp」のアプリ版をリリースし、2019年12月に東京証券取引所マザーズへ上場を果たしました。2024年にはエンバウンドを子会社化し、IPプロデュース事業を開始しています。

現在の従業員数は連結で35名、単体で30名の体制です。大株主の構成については、筆頭株主が代表取締役の池田洋人氏、第2位が取締役の松本修士氏となっており、経営陣を中心とした保有比率が高いことが特徴です。

氏名 持株比率
池田洋人 45.15%
松本修士 15.39%
亀井友廣 2.82%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役CEOを池田洋人氏が務め、取締役4名のうち1名が社外取締役となっています。

氏名 役職 主な経歴
池田洋人 代表取締役CEO ハレックス、ウェザーライン、ヤフーを経て、ありんく取締役COOに就任。2013年3月にALiNKインターネットを設立し代表取締役CEOに就任。エンバウンド取締役も兼任。
富田知尚 取締役 リクルート、グーグルを経てアトモスを設立し代表取締役に就任。2017年10月に同社取締役CSOサービス統括部長に就任し、現在は取締役ビジネス開発部長を務める。
松本修士 取締役 パソナ、ヤフー、ライブドアを経て、ありんく取締役CTOに就任。同社設立時に取締役CTOとなり、現在は松屋インターナショナル代表取締役および同社取締役システム開発部長を務める。


社外取締役は、柴田幸夫(ジン・パートナーズ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「tenki.jp事業」「IPプロデュース事業」「太陽光コンサルティング事業」および「その他の事業」を展開しています。

tenki.jp事業


日本気象協会との共同事業として、天気予報専門メディア「tenki.jp」などを運営しています。一般消費者向けに、生活に欠かせない天気予報や気象予報士による解説、防災情報などの気象情報を提供しており、年間53億PVを誇るメディアへと成長しています。

主な収益源は、サイト内に掲載される広告収入です。アドネットワークを活用した運用型広告や純広告の販売によりマネタイズを行っています。運営は日本気象協会が気象データの提供を担い、ALiNKインターネットがサイト企画や広告運用を担当して両社で収益を分配しています。

IPプロデュース事業


地域活性化プロジェクト「温泉むすめ」のコンテンツプロデュースを通じた地方創生事業を展開しています。全国の温泉地の魅力を発信し、ファン層を現地へ誘導することで人流を創出し、地域経済の活性化に貢献しています。

収益モデルは、温泉地等における限定グッズの卸売販売や、声優によるイベントの企画・運営、コミュニティ参加者からの月額サポート費の受け取りなどから構成されています。本事業の運営は、2024年に子会社化したエンバウンドが行っています。

太陽光コンサルティング事業


太陽光発電設備のセカンダリー市場において、一時的に太陽光発電設備を保有する事業を展開しています。再生可能エネルギー領域での安定した収益機会の確保を目指した取り組みです。

一時的に保有している期間中の電力の売電収入が主な収益源となります。保有する設備から発電した電力を発電事業者に供給することで収益を獲得しています。事業の運営はALiNKインターネットが主体となって行っています。

その他の事業


既存事業以外の新規事業領域への参入を図るため、ダイナミックプライシング事業を展開しています。現在は実証実験として、首都圏においてレンタルスペースの運営を行っています。

利用顧客に対して一定期間レンタルスペースを賃貸し、その利用料から収益を獲得しています。最適な価格を算出する技術開発を見据えつつ、事業の運営はALiNKインターネットが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上収益は前期の8.9億円から当期は10.2億円へと順調に拡大しています。一方で、新規事業やサービス開発への投資、およびのれんの減損損失などを計上した影響により、経常利益は黒字からマイナスへと落ち込み、利益面では厳しい結果となっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 8.9億円 10.2億円
経常利益 0.6億円 -0.6億円
利益率(%) 7.0% -6.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.6億円 -2.7億円

(2) 損益計算書


売上高は増加したものの、売上原価の増加により売上総利益は減少しました。また、販売費及び一般管理費が拡大したことで、営業利益は前期の黒字から当期はマイナスへ転じており、事業基盤強化に伴うコスト負担が収益を圧迫しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 8.9億円 10.2億円
売上総利益 4.6億円 4.3億円
売上総利益率(%) 51.9% 42.1%
営業利益 0.4億円 -0.9億円
営業利益率(%) 4.9% -9.3%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬が0.9億円(構成比18%)、のれん償却額が0.3億円(同6%)、広告宣伝費が0.3億円(同6%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のtenki.jp事業は、検索エンジンからの流入数減少の影響で売上・利益ともに減少しました。IPプロデュース事業はグッズ販売等が好調で大幅な増収となりましたが、アプリ開発費等の先行投資により赤字が拡大しています。太陽光コンサルティング事業は増収増益と好調に推移しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
tenki.jp事業 6.5億円 5.5億円 2.8億円 1.8億円 32.5%
IPプロデュース事業 1.5億円 2.9億円 -0.8億円 -1.2億円 -40.4%
太陽光コンサルティング事業 0.7億円 1.3億円 0.7億円 1.3億円 96.8%
その他の事業 0.2億円 0.4億円 -0.2億円 -0.3億円 -74.8%
連結(合計) 8.9億円 10.2億円 0.4億円 -0.9億円 -9.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CF、投資CFがともにマイナスで、財務CFがプラスであることから「勝負型」に分類されます。本業のキャッシュ創出はマイナスですが、借入などの資金調達によって将来の成長に向けた事業投資を継続している状況です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 2.6億円 -1.6億円
投資CF -3.5億円 -4.3億円
財務CF - 3.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-17.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「未来の予定を晴れにする」を経営理念に掲げています。気象に関する情報を収集・分析・蓄積し、テクノロジーを活用することで付加価値を生み出し、気象情報と現実社会を結びつけた新たな価値を産業や社会へ提供していくことを使命として事業活動を行っています。

(2) 企業文化


同社では、挑戦する人を応援し、信頼し合える職場環境を大切にする組織風土づくりを重視しています。フレックスタイム制度やテレワーク勤務の導入などにより柔軟な働き方を可能とすることで、多様なバックグラウンドと専門性を持った人材が中長期にわたり活躍できる環境の整備に努めています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、より高い成長性および収益性を確保する視点から、売上高成長率と売上高営業利益率を重要な経営指標として掲げています。また、主力事業における重要業績評価指標(KPI)として、天気予報専門メディア「tenki.jp」のPV(ページビュー)数を設定し、その最大化に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


生活接点から行動変容データを蓄積し、外出行動に関わる体験価値を創出する「生活接点データ企業」への進化を目指しています。具体的には、主力メディアの認知度向上やAI等の技術革新への対応に加え、気象データなどを活用した新規事業開発、およびM&Aや業務提携を積極的に推進し非連続な成長を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループの継続的な成長には、事業拡大に応じた多様なバックグラウンドと高度な専門的知識・技能を持つ優秀な人材の確保と育成が不可欠だと位置づけています。積極的な採用を推進するとともに、柔軟な働き方の提供など社内環境の整備を通じて、中長期的に活躍できる人材の育成と組織力の強化に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 41.2歳 2.8年 6,150,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 日本気象協会との契約解消や内容変更


主力事業であるtenki.jp事業は、日本気象協会との業務提携契約に基づき運営されています。両社の関係は良好ですが、万が一契約が解消されたり、レベニューシェア率の変更などの内容変更が生じた場合、同社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 気象状況の変動によるアクセス数の増減


同社の主力メディアは、台風や異常気象などの予測できない気象状況が発生した際にページビュー(PV)数が大幅に増加する傾向があります。このため、天候の変動によって広告収入が予測しにくく、業績が気象状況に大きく左右されるリスクがあります。

(3) プラットフォーム事業者の規制変更


ユーザーへの情報提供はWeb検索エンジンやスマートフォン向けアプリを通じて行われています。そのため、AppleやGoogleといったプラットフォーマーの事業方針の変更や新たな規制が導入された場合、集客や広告表示に支障が生じ業績に影響する可能性があります。

(4) インターネット広告市場と技術革新の変化


収益の大半をインターネット広告に依存しているため、広告主の出稿意欲や同業他社との競争激化の影響を受けやすい構造です。また、AI検索の普及などユーザーの検索行動の変化や新しい広告配信技術への対応が遅れた場合、競争力が低下するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。