※本記事は、株式会社ALiNKインターネット の有価証券報告書(第12期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ALiNKインターネットってどんな会社?
天気予報専門メディア「tenki.jp」の運営を通じて気象情報の社会インフラ化を推進する企業です。
■(1) 会社概要
2013年に設立され、翌月には日本気象協会と業務提携契約を締結しました。2019年に東京証券取引所マザーズへ上場し、2022年の市場区分見直しに伴いグロース市場へ移行しました。2024年にはIPプロデュース事業を行うエンバウンドを子会社化するなど、事業拡大を進めています。
連結従業員数は35名(単体26名)です。筆頭株主は創業者の池田洋人氏で45.15%を保有し、第2位は取締役の松本修士氏で15.39%を保有しており、経営陣が株式の過半数を保有するオーナー系企業の特徴を持っています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 池田洋人 | 45.15% |
| 松本修士 | 15.39% |
| 亀井友廣 | 2.82% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役CEOは池田洋人氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 池田 洋人 | 代表取締役CEO | ハレックス、ウェザーラインを経てヤフー(現LINEヤフー)に入社し天気情報プロデューサーを務める。ありんく取締役COOを経て2013年同社設立とともに現職。エンバウンド取締役も兼務。 |
| 富田 知尚 | 取締役 | リクルート(現リクルートホールディングス)、グーグル(現グーグル合同会社)を経てアトモスを設立し代表取締役に就任。2017年同社取締役CSOサービス統括部長を経て2023年より現職。 |
| 松本 修士 | 取締役 | パソナ、ヤフー(現LINEヤフー)、ライブドアを経てありんく取締役CTOに就任。2013年同社取締役CTOに就任。一時退任後、松屋インターナショナル代表取締役を経て2025年より現職。 |
社外取締役は、柴田幸夫(ジン・パートナーズ代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「tenki.jp事業」、「IPプロデュース事業」および「その他の事業」を展開しています。
■(1) tenki.jp事業
天気予報専門メディア「tenki.jp」および「tenki.jp 登山天気」の運営を行っています。天気予報に加え、防災情報、気象予報士による解説、レジャー天気などのコンテンツを提供し、PC・スマホ合わせて年間60億PVを有するメディアです。一般ユーザーや登山者を対象としています。
収益は主に各ページに掲載される広告収入であり、運用型広告や純広告から構成されています。また、「tenki.jp 登山天気」やアプリの有料会員からの課金収入も得ています。運営は、日本気象協会との共同事業として同社が行っています。
■(2) IPプロデュース事業
地域活性化プロジェクト「温泉むすめ」のコンテンツプロデュースを行っています。全国の温泉地と連携し、キャラクターや声優を活用したイベント企画、ファンコミュニティの運営などを通じて、温泉地への送客や消費活性化を図っています。
収益は、温泉地の小売店やホテル売店等へのグッズ卸売販売、イベントの制作・運営収入、コミュニティ参加者からのサポート費などから構成されています。運営は、子会社のエンバウンドが行っています。
■(3) その他の事業
事業領域拡大のための新規事業として、太陽光コンサルティング事業およびダイナミックプライシング事業を展開しています。太陽光発電設備のセカンダリー市場での取引や、各種データを活用した最適価格算出技術の実証実験としてレンタルスペース運営を行っています。
収益は、太陽光発電設備の一時保有による売電収入や仲介に伴うスポンサー料、レンタルスペースの賃貸料などから構成されています。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2025年2月期より連結決算へ移行しました。連結初年度の売上高は9億円、経常利益は0.6億円、当期利益は0.6億円となりました。利益率は7.0%を確保しています。
| 項目 | 2025年2月期 |
|---|---|
| 売上高 | 9億円 |
| 経常利益 | 0.6億円 |
| 利益率(%) | 7.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.6億円 |
■(2) 損益計算書
連結初年度である2025年2月期の業績は、売上高9億円に対し、営業利益0.4億円、営業利益率は4.9%となりました。新規連結に伴うのれん償却や取得関連費用等の計上が利益面に影響しています。
| 項目 | 2025年2月期 |
|---|---|
| 売上高 | 9億円 |
| 売上総利益 | 5億円 |
| 売上総利益率(%) | 52.0% |
| 営業利益 | 0.4億円 |
| 営業利益率(%) | 4.9% |
販売費及び一般管理費のうち、役員報酬が0.9億円(構成比23%)、広告宣伝費が0.5億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のtenki.jp事業が売上の約7割を占め、高い利益率で全社の利益を牽引しています。IPプロデュース事業はのれん償却等の影響で損失を計上しています。その他の事業は太陽光発電設備等により一定の利益を確保しています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| tenki.jp事業 | 6.5億円 | 2.8億円 | 44.0% |
| IPプロデュース事業 | 1.5億円 | -0.8億円 | -51.0% |
| その他の事業 | 1.0億円 | 0.4億円 | 46.6% |
| 調整額 | - | -2.1億円 | - |
| 連結(合計) | 8.9億円 | 0.4億円 | 4.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ALiNKインターネットは、事業活動を通じて資金を生み出し、将来の成長に向けた投資を行っています。
営業活動では、税金等調整前当期純利益や長期前払費用の減少、未払・未収消費税等の増減により、資金が増加しました。一方、投資活動では、子会社株式の取得や短期貸付金の増加により、資金が使用されました。財務活動によるキャッシュ・フローはありませんでした。
| 項目 | 2025年2月期 |
|---|---|
| 営業CF | 2.6億円 |
| 投資CF | -3.5億円 |
| 財務CF | 0.0億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「未来の予定を晴れにする」を経営理念に掲げています。天気予報専門メディアの運営を通じて気象情報の社会インフラ化を推進するとともに、気象情報と現実社会を結びつけた新たな価値創造に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
一般財団法人日本気象協会との共同事業という独自の体制を基盤とし、メディア運営やマネタイズのノウハウを蓄積しています。また、AIやビッグデータ等の技術革新を背景に、気象情報と社会課題解決を結びつける「天気3.0」の実現を目指す姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
より高い成長性および収益性を確保する視点から、以下の指標を重要な経営指標と位置付けています。
* 売上高成長率
* 売上高営業利益率
* 「tenki.jp」のPV数(KPI)
■(4) 成長戦略と重点施策
「天気3.0」の実現に向け、主力事業の強化と新規事業の育成を進める方針です。tenki.jp事業ではアドネットワーク等への投資による競争力強化を図ります。また、IPプロデュース事業では地域創生への貢献を通じた事業拡大を目指し、太陽光コンサルティングやダイナミックプライシング等の新規事業により事業領域を拡大します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業拡大に応じて多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材を積極的に採用し、組織体制を整備することを重要課題としています。中長期にわたり活躍できる環境作りと組織力の強化に取り組み、事業規模に合わせたバックオフィス機能の拡充も進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 41.6歳 | 2.8年 | 5,887,000円 |
※平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は、従業員規模が公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 日本気象協会との共同事業に関するリスク
主力事業である「tenki.jp」は日本気象協会との業務提携契約に基づき運営されています。関係性の悪化や契約解消、または契約内容(レベニューシェア率や役割分担)の変更が生じた場合、同社グループの財政状態および経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 気象状況による業績変動リスク
「tenki.jp」のPV数は異常気象や台風等の発生時に大幅に増加する傾向があります。予測できない気象状況の発生頻度によってはPV数が変動し、それに伴い広告収入が増減することで、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) インターネット広告市場の変化
売上の大半を占める運用型広告収入は、インターネット広告市場の動向や技術革新の影響を受けます。新たな規制の導入や革新的な広告技術の出現、または広告単価の下落等が生じた場合、同社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) プラットフォーム事業者への依存
「tenki.jp」はWeb検索エンジンやアプリストアを経由してユーザーに利用されています。GoogleやApple等のプラットフォーム事業者の事業方針変更や新たな規制が行われた場合、集客やアプリ提供に支障が生じ、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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