※本記事は、株式会社白鳩 の有価証券報告書(第54期、自 2025年3月1日 至 2025年11月30日、2026年2月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 白鳩ってどんな会社?
インナーウェアのインターネット通販を主力とし、自社サイトおよび主要モールでの多店舗展開を行う企業です。
■(1) 会社概要
1965年に靴下の職域販売として創業し、1974年に設立されました。1995年に本店サイトを開設してEC事業へ本格参入し、1999年の楽天市場出店を機に事業を拡大。2014年に東証JASDAQ(現スタンダード)へ上場しました。2024年に歯愛メディカルの子会社となり、2025年には親会社の異動によりエア・ウォーターグループ入りしています。
同社(単体)の従業員数は80名です。筆頭株主は歯科関連通販などを手掛ける親会社の株式会社歯愛メディカル(50.58%)で、第2位は創業家と思われる個人、第3位も個人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 歯愛メディカル | 50.58% |
| 池上 勝 | 8.19% |
| 伊藤 真吾 | 5.01% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は菅原知樹氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 菅原 知 樹 | 代表取締役社長 | 2011年同社入社。ソリューション事業部長、WEB事業本部長等を経て、2024年より現職。 |
| 飯野 利 明 | 取締役 | 2015年同社入社。仕入事業部長、商品事業本部長等を経て、2025年よりナショナルブランド部長。 |
| 山 内 昌 晴 | 取締役 | 歯愛メディカル常務取締役、ニッセンホールディングス取締役等を兼務し、2024年より現職。 |
社外取締役は、清水恒夫(元ワコール取締役・専務執行役員)です。
2. 事業内容
同社は、「WEBサイトでのインナーショップ事業」を展開しています。
同社は、主にメーカーから仕入れたインナーウェアを、自社サイトおよび「楽天市場」「Amazon」「Yahoo!ショッピング」等のECモールを通じて個人顧客へ販売しています。取扱商品は国内外のブランド約140に及び、自社オリジナルブランドやコラボ商品の開発も行っています。また、自社開発の基幹システムにより、受注から物流までをワンストップで管理しています。
収益は、個人顧客への商品販売による代金が主な柱です。また、海外モールへの出店を通じて越境ECも展開しています。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2025年11月期は決算期変更に伴う9ヶ月間の変則決算となっています。売上高は60億円台で推移してきましたが、直近の変則決算では期間短縮の影響もあり42億円となりました。損益面では、経常損益が赤字と黒字を行き来しており、安定的な収益確保が課題となっています。当期は経常損失を計上しましたが、純利益は黒字となっています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 62.3億円 | 63.5億円 | 63.7億円 | 62.7億円 | 42.1億円 |
| 経常利益 | -0.7億円 | 0.3億円 | -0.6億円 | 0.0億円 | -1.5億円 |
| 利益率(%) | -1.1% | 0.5% | -0.9% | 0.0% | -3.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -2.2億円 | 0.7億円 | -1.2億円 | 1.2億円 | 3.1億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較します。売上高に対し、売上原価率が高止まりしており、売上総利益の確保が重要課題です。当期は販売費及び一般管理費が売上総利益を上回り、営業損失を計上しました。一方、特別利益として固定資産売却益を計上したことで、最終的な当期純利益は確保しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 62.7億円 | 42.1億円 |
| 売上総利益 | 23.9億円 | 15.5億円 |
| 売上総利益率(%) | 38.1% | 36.9% |
| 営業利益 | 0.4億円 | -1.3億円 |
| 営業利益率(%) | 0.6% | -3.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が3.1億円(構成比19%)、運賃が2.9億円(同17%)、販売促進費が2.9億円(同17%)を占めています。売上原価については、商品売上原価が100%を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメントは単一ですが、販売チャネル別の売上推移を見ると、主力の国内EC事業に加え、海外EC事業も一定の規模を維持しています。直近の変則決算期間においても、国内ECが売上の大半を占める構造に変化はありません。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2025年11月期) |
|---|---|---|
| EC事業国内 | 59.7億円 | 40.0億円 |
| EC事業国外 | 2.3億円 | 2.0億円 |
| その他 | 0.1億円 | 0.1億円 |
| 連結(合計) | 62.1億円 | 42.0億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
白鳩のキャッシュ・フロー状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが減少に転じた一方、投資活動によるキャッシュ・フローは旧本社売却収入により大幅に増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金収入があったものの、借入金の返済が上回ったことで減少しました。同社はインナーショップ事業を展開しており、生産活動は行っていません。
| 項目 | 2025年2月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.3億円 | -2.8億円 |
| 投資CF | -0.4億円 | 12.0億円 |
| 財務CF | 0.7億円 | -8.3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は企業理念として、「「わくわく」「ドキドキ」感動するインナーライフっていいね!」を掲げています。インターネットを通じてインナーウェアを販売する事業者として、ショップへのアクセスを通じてショッピングを楽しむ体験を提供し、商品やサービスを通じて顧客に感動を届けることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、ショッピングサイトの利便性や商品拡充だけでなく、顧客の心に届くサービス品質による差別化を重視しています。そのために、役職員全員が「当事者意識」と「お客様目線」を持ち続けることを行動指針として共有し、常に顧客に選ばれ続けるための行動を心がける文化を育んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社は、現在の本社・物流センターのスペースと設備を最大活用し、商品保管能力および出荷スピード・品質を向上させることを目指しています。創業以来のインナーウェアに関する知見とEC事業のノウハウを掛け合わせ、「国内有数のインナーウェア通信事業」を目指す方針です。具体的な数値目標は記載されていませんが、売上高や営業利益を重視する姿勢を示しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は競争が激化するEC市場において、差別化を図るためにPB(プライベートブランド)およびCB(コラボレーションブランド)の拡充を進めています。また、独自の販売施策が可能な本店サイトの売上構成比向上や、インナーセレクトショップとしてのブランディング強化、物流利便性と顧客対応品質の向上に注力しています。さらに、親会社グループとの協業による販路拡大も推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、変化の激しいEC業界において多様な才能やスキルの登用が不可欠と考えています。特に女性比率が高いため、女性が安心して活躍できる環境整備として育児・介護休業規程を整備しています。また、中途採用者の管理職登用を積極的に行っており、国籍に関係なく管理職登用の機会を確保するなど、多様性(ダイバーシティ)の尊重を企業文化の柱としています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月期 | 40.6歳 | 8.3年 | 4,214,898円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 30.8% |
| 男性育児休業取得率 | -% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 46.6% |
| 男女賃金差異(正規) | 61.1% |
| 男女賃金差異(非正規) | 64.3% |
※男性育児休業取得率については、当事業年度において配偶者が出産した男性労働者がいなかったため、「-」と記載されています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の正社員比率(63.8%)、パート・アルバイト社員を含めた女性比率(77.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 財務制限条項への抵触
同社が金融機関と締結しているローン契約には財務制限条項が付されています。当事業年度においてインタレストカバレッジレシオの基準に抵触しましたが、金融機関との協議により、条件見直しや期限の利益喪失には至らないことを確認しています。しかし、今後条件変更等が必要となった場合、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定の事業分野への依存
同社は「楽天市場」等のECモールへの出店を主要な販売チャネルとしています。そのため、モール運営者の方針変更や契約内容の改定が不利に働いた場合、または継続が困難となった場合、同社の収益性に重大な影響を与える可能性があります。
■(3) 競合の激化
インナーウェアに特化したEC事業を展開していますが、競合他社の存在や新規参入により競争環境は厳しさを増しています。PB商品等での差別化を図っていますが、価格競争による販売価格の低下や市場シェアの変動が生じた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 親会社グループとの関係
同社は歯愛メディカルの子会社であり、エア・ウォーターグループに属しています。親会社との協業や販売網活用を進める一方で、グループの経営方針の変更等が同社の事業運営や経営の独立性に影響を与える可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。