※本記事は、株式会社クリーマ の有価証券報告書(第16期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. クリーマってどんな会社?
国内最大級のハンドメイドマーケットプレイス「Creema」を運営し、クリエイター支援を行う企業です。
■(1) 会社概要
2009年に赤丸ホールディングスとして設立され、2010年にハンドメイドマーケットプレイス「Creema」をリリースしました。その後、2013年に「HandMade In Japan Fes'」を開始し、2014年に現社名へ変更しました。2016年には台湾子会社を設立して海外展開を開始し、2020年に東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たしています。
同社グループは連結従業員数79名、単体78名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は創業社長の丸林耕太郎氏で、第2位は資産管理会社のアニマリズムグループ、第3位は取締役の大橋優輝氏となっており、経営陣が主要株主として名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 丸林耕太郎 | 32.43% |
| アニマリズムグループ | 6.60% |
| 大橋優輝 | 6.32% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は丸林耕太郎氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 丸林耕太郎 | 代表取締役社長 | 2004年セプテーニ入社。2009年赤丸ホールディングス(現同社)設立、代表取締役社長就任。2016年台湾子会社董事長等を兼務し現職。 |
| 大橋優輝 | 取締役イベント・ビジネスアライアンスディビジョン ゼネラルマネジャー | 2002年ゴールドクレスト入社。2009年同社入社。イベント・ストア部門等の責任者を経て、2017年より現職。 |
社外取締役は、唐木信太郎(FOVE代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「クリエイターエンパワーメント事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) マーケットプレイスサービス
オンライン上で個人が直接オリジナル作品を売買できるCtoCマーケットプレイス「Creema」や、ネットショップ開設サービス「InFRAME」を提供しています。全国のクリエイターと生活者(ユーザー)をつなぐプラットフォームであり、プロおよびプロを目指すクリエイターによる高品質な作品が多く集まることが特徴です。
収益は、主に「Creema」での作品売買成立時に出品者から受け取る販売手数料によって構成されています。また、台湾・香港向けの越境取引機能も提供しており、運営は主にクリーマおよび海外子会社の可利瑪股份有限公司が行っています。
■(2) プラットフォームサービス
「Creema」のユーザー基盤を活用し、企業や地方公共団体向けのマーケティング支援を行っています。具体的には、地方創生イベント「Creema Craft Caravan」やタイアップ記事広告、クリエイター自身の作品をサイト内で宣伝できる「作品プロモーション」機能などを提供しています。
収益は、企業・自治体からの広告掲載料や企画制作費、およびクリエイターからのクリック課金型広告料(作品プロモーション)から成ります。運営は主にクリーマが行っています。
■(3) イベントサービス
クリエイターとユーザーがリアルの場で交流できるクラフトイベントを開催しています。東京ビッグサイトで行われる「HandMade In Japan Fes'」や、音楽とクラフトを融合させた野外フェスティバル「Creema YAMABIKO FES」などが主要なイベントです。
収益は、イベント出店者からの出店料や来場者からのチケット収入などで構成されています。これらのイベントは、サービスの認知度向上やエンゲージメント強化の役割も担っており、運営は主にクリーマが行っています。
■(4) 新サービス群
クリエイター支援の周辺領域として、クラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」や、レッスン動画プラットフォーム「FANTIST」を展開しています。クリエイターの資金調達やファン作り、スキルシェアの場を提供しています。
収益は、プロジェクト成立時の手数料や動画販売手数料などで構成されています。運営はクリーマおよび連結子会社の株式会社FANTISTが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は21億円から25億円規模で推移しています。2023年2月期には積極的な投資等の影響で赤字となりましたが、その後は黒字回復を果たしています。直近の2025年2月期は、売上高は横ばいながらも利益面では改善が進み、経常利益、当期利益ともに黒字を維持しています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 21億円 | 23億円 | 25億円 | 25億円 | 25億円 |
| 経常利益 | 2.0億円 | 3.6億円 | -3.8億円 | 0.7億円 | 1.0億円 |
| 利益率(%) | 9.9% | 15.8% | -15.4% | 2.7% | 4.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.8億円 | 2.3億円 | -4.1億円 | 0.8億円 | 1.0億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期と同水準の25億円で着地しました。売上総利益率は78%台と高い水準を維持しています。営業利益は前期の0.4億円から1.0億円へと倍増しており、利益率も改善傾向にあります。これはコストコントロールの効果が表れているものと考えられます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 25億円 | 25億円 |
| 売上総利益 | 20億円 | 20億円 |
| 売上総利益率(%) | 79.3% | 78.2% |
| 営業利益 | 0.4億円 | 1.0億円 |
| 営業利益率(%) | 1.7% | 4.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4.4億円(構成比24%)、広告宣伝費が3.4億円(同19%)、販売促進費が2.4億円(同13%)を占めています。売上原価においては、決済手数料を含む経費が大部分を占めています。
■(3) セグメント収益
サービス別の売上高を見ると、主力のマーケットプレイスサービスは広告効率の悪化等の影響で減収となりました。一方で、プラットフォームサービスは微増、イベントサービスやその他(新サービス群など)は大幅な増収となり、主力事業の落ち込みを補っています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| マーケットプレイスサービス | 16億円 | 15億円 |
| プラットフォームサービス | 7億円 | 7億円 |
| イベントサービス | 1億円 | 2億円 |
| その他 | 1億円 | 1億円 |
| 連結(合計) | 25億円 | 25億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラスを維持し、投資CFと財務CFはマイナスとなっているため、本業で稼いだ現金を借入返済や投資に回している「健全型」のキャッシュ・フロー状態と言えます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.1億円 | 0.2億円 |
| 投資CF | 0.0億円 | -0.2億円 |
| 財務CF | 1.4億円 | -1.9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は32.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「まるくて大きな時代をつくろう」という企業理念を掲げています。また、「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアで新しい巨大経済圏を確立する」というビジョンのもと、才能や努力が正当に評価される世界の実現を目指し、クリエイターエンパワーメント事業を推進しています。
■(2) 企業文化
クリエイターの活動を多角的に支援し、フェアな世界をつくることを目指す文化があります。社内においても、多様な人材を受け入れ、努力や成果が適切に評価される組織づくりを推進しています。従業員一人ひとりが才能を発揮できる環境整備や、透明性の高い経営、ステークホルダーとの建設的な関係構築を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、「Creema」のプラットフォーム価値向上を最重要視しています。そのため、経営目標の達成状況を判断する客観的な指標(KPI)として、以下の数値を重視して事業運営を行っています。
* 登録作品数
* アプリダウンロード数
* 流通総額
■(4) 成長戦略と重点施策
「Creema」の再成長を最優先課題とし、ギフト市場への参入やユーザービリティ向上、マーケティング手法の最適化による流通総額拡大を目指しています。また、「Creema SPRINGS」や「FANTIST」などの新サービスへの投資継続、M&Aによる事業ポートフォリオ強化も推進し、非連続的な成長を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人的資本を重視し、社内コミュニケーションの活性化や従業員の成長支援に注力しています。ハイブリッドワークの導入による柔軟な働き方の推進や、「Creema Career(ジョブチェンジ制度)」等の独自制度を通じたキャリア形成支援を行い、全員が才能を発揮できる環境を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 35.1歳 | 4.3年 | 5,836,000円 |
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 35.7% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
男性育児休業取得率、男女賃金差異については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インターネット関連市場及び競合環境
主力の「Creema」はインターネット市場やスマートフォンの普及に依存しており、技術革新や規制変更の影響を受ける可能性があります。また、ハンドメイド市場には競合サービスも存在し、消費者の嗜好変化やニーズに迅速に対応できない場合、競争力が低下し業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) システムトラブル及び情報セキュリティ
オンラインサービスを主力とするため、システム障害や不正アクセス、自然災害等によるサービス停止のリスクがあります。また、顧客情報を扱っているため、情報漏洩が発生した場合は社会的信用の失墜や損害賠償等により、業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 検索エンジン等第三者プラットフォームへの依存
アプリ提供においてAppleやGoogleのプラットフォームに依存しているほか、集客面では検索エンジンの動向の影響を受けます。また、決済手段や商品配送においても外部事業者に依存しており、これら第三者の事業戦略変更や取引条件の改定が、同社の事業運営に影響を与える可能性があります。



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