クリーマ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

クリーマ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

クリーマは東京証券取引所グロース市場に上場し、ハンドメイドマーケットプレイス「Creema」を中心としたクリエイターエンパワーメント事業を展開しています。直近の業績は、売上高が前期比で微増となった一方で、新サービスやプロダクト開発等への成長投資を継続したため、各段階利益において減益となっています。


※本記事は、株式会社クリーマの有価証券報告書(第17期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. クリーマってどんな会社?


クリエイターの作品を売買できる「Creema」の運営を中心に、クリエイターの活動を支援する事業を展開しています。

(1) 会社概要


同社は2009年3月に設立され、2010年5月にハンドメイドマーケットプレイス「Creema」の提供を開始しました。2013年7月には日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes'」をスタートし、イベント事業にも進出しています。2020年11月に東京証券取引所に上場し、2024年1月にはネットショップ開設サービス「InFRAME」をリリースするなど、クリエイター支援の領域を拡大し続けています。

同社グループの従業員数は連結で83名、単体で81名です。筆頭株主は創業者である丸林耕太郎氏で、第2位は事業会社のアニマリズムグループ、第3位は役員の大橋優輝氏となっています。

氏名 持株比率
丸林耕太郎 32.42%
アニマリズムグループ 6.60%
大橋優輝 6.35%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は丸林耕太郎氏が務めています。取締役3名のうち、社外取締役は1名(33.3%)です。

氏名 役職 主な経歴
丸林耕太郎 代表取締役社長 2004年セプテーニ入社。2009年同社設立、代表取締役社長に就任。FANTIST取締役等を経て現職。
大橋優輝 取締役イベント・ビジネスアライアンスディビジョン ゼネラルマネジャー 2002年ゴールドクレスト入社。2009年同社入社。2017年より現職。


社外取締役は、唐木信太郎(元セプテーニ・ホールディングス取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「クリエイターエンパワーメント事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) マーケットプレイスサービス


オンライン上で個人が直接オリジナル作品を売買できるCtoCマーケットプレイス「Creema」や、ネットショップ開設サービス「InFRAME」などの運営を行っています。高品質な作品を求めるユーザーとクリエイターをつなぐプラットフォームを提供しています。

購入者が支払う作品の代金から一定の販売手数料を差し引いた残金をクリエイターに入金するビジネスモデルを採用しています。運営は同社が行っています。

(2) プラットフォームサービス


「Creema」のユーザー基盤を活用し、クリエイターや企業、地方自治体のマーケティング支援を行っています。クリエイター向けの内部広告サービスや、企業向けの外部広告サービスなどを展開しています。

広告主からの広告費用や、クリエイター向けのプッシュ通知機能などのサブスクリプション型利用料を収益源としています。運営は同社が行っています。

(3) イベントサービス


クリエイターとユーザーをリアルの場で結びつけるクラフトイベント「HandMade In Japan Fes'」などを開催しています。オンラインにとどまらない交流の場を提供し、ハンドメイドカルチャーの拡大に貢献しています。

イベントに参加する出展者からの出展料や、来場者からの入場料などを主な収益源としています。運営は同社が行っています。

(4) その他(新サービス群)


クリエイターの活動を多角的に支援するため、クラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」や、アーティストによるレッスン動画プラットフォーム「FANTIST」などを展開しています。

プロジェクトの支援金に対する手数料や、動画コンテンツの販売手数料を収益源としています。運営は同社およびFANTISTが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は23億円から25億円規模へと成長し、直近では安定して推移しています。経常利益は一時赤字を計上したものの、その後は黒字に転換し、成長に向けた投資を行いながらも利益を確保するフェーズに移行しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 23億円 25億円 25億円 25億円 25億円
経常利益 4億円 -4億円 0.7億円 1億円 0.7億円
利益率(%) 15.8% -15.4% 2.7% 4.2% 2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 -5億円 0.5億円 1億円 0.4億円

(2) 損益計算書


売上高は微増した一方で、来期以降の成長を見据えた新サービスやプロダクト開発等への先行投資を実施したことにより、営業利益は減少しました。売上総利益率は約80%と高い水準を維持しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 25億円 25億円
売上総利益 20億円 20億円
売上総利益率(%) 78.1% 79.7%
営業利益 1億円 0.4億円
営業利益率(%) 4.1% 1.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4億円(構成比23%)、広告宣伝費が4億円(同19%)を占めています。

(3) セグメント収益


新サービス群(その他)やプラットフォームサービスが順調に成長し、全体の売上を下支えしました。一方で、主力のマーケットプレイスサービスやイベントサービスは、外部環境の変化などの影響を受け、前期比で微減となっています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
マーケットプレイスサービス 15億円 15億円
プラットフォームサービス 7億円 7億円
イベントサービス 2億円 2億円
その他 1億円 2億円
連結(合計) 25億円 25億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはプラスとなっており、営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」の状態にあります。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 0.2億円 5億円
投資CF -0.2億円 -0.4億円
財務CF -2億円 0.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.5%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も30.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「まるくて大きな時代をつくろう」という企業理念のもと、クリエイターエンパワーメント事業を推進しています。「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアで新しい巨大経済圏を確立する」というビジョンの達成に向け、才能や努力が正当に評価される世界の構築を目指しています。

(2) 企業文化


多様な人材を受け入れ、従業員一人ひとりが才能を最大限に発揮できる環境を整備しています。努力や成果が適切に評価される組織づくりを推進し、公平な機会と成長の場を提供することで、高いモチベーションと創造力が組織全体に浸透する文化を築いています。

(3) 経営計画・目標


事業の中心的なサービスである「Creema」のプラットフォーム価値を高めることを重要視しています。そのため、経営目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、登録作品数、アプリダウンロード数、流通総額を定めて事業を運営しています。

(4) 成長戦略と重点施策


主力であるマーケットプレイスサービスの中長期かつ本格的な成長に向けた施策を徹底して推進します。サービスの大規模リニューアルやマーケティング施策の拡張を通じてユーザー基盤を拡大するとともに、新規サービスの拡大やM&Aを通じて事業ポートフォリオの強化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


社員が自身のキャリアを主体的に設計できるジョブチェンジ制度や、資格取得などを支援する能力開発補助制度を設け、自己実現とスキル向上を支援しています。また、出社とオンラインを組み合わせたハイブリッドワークモデルを採用し、柔軟な働き方を支える基盤を構築しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 35.9歳 4.9年 6,071,000円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異に関する記載がありません。

項目 数値
女性管理職比率 35.7%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット関連市場の変化


オンラインマーケットプレイスの運営を主力とし、販売手数料や広告収入を主な収益源としています。革新的な新技術や大幅な規制変更によってインターネット関連市場の利便性が損なわれた場合、事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) ビジネスモデルや消費者嗜好の変化


インターネット業界は技術革新のスピードが速く、新しいビジネスモデルによる新規参入者や顧客ニーズの変化等のリスクが存在します。このような経営環境の変化に機敏に対応できず消費者ニーズを取り込めない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 情報セキュリティと個人情報保護


ハッカー等の悪意をもった第三者の攻撃等により、顧客情報が不正に入手される可能性やシステムが停止する可能性があります。このような事態が生じた場合、法的責任の追及や企業イメージの悪化により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。