BeeX 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

BeeX 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

BeeXはグロース市場に上場し、基幹システムのクラウド移行と保守・運用を主軸としたクラウドソリューション事業を展開する企業です。直近の連結会計年度において売上高は106億円、経常利益は6億円を計上するなど、業績面では堅調な推移を見せています。企業のDX需要を背景に、安定的な成長を継続的に図っています。


※本記事は、株式会社BeeXの有価証券報告書(第10期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. BeeXってどんな会社?


同社は、基幹システムのクラウドへの移行と、その後の保守・運用サービスを専門に提供する企業です。

(1) 会社概要


2016年にSAPシステムのクラウド化を目的として設立され、クラウド移行や保守・運用のサービス提供を開始しました。その後、2019年にテラスカイからAWS事業を承継し、2022年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしました。2025年にはスカイ365を子会社化し、事業規模を拡大しています。

従業員数は連結で256名、単体で200名となっています。筆頭株主は親会社であり事業会社であるテラスカイです。第2位株主は創業者の広木太氏、第3位株主には事業会社であるサーバーワークスが名を連ねており、業界内の関連企業と強固な資本関係を構築しています。

氏名 持株比率
テラスカイ 62.92%
広木太 4.80%
サーバーワークス 3.20%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は広木太氏が務めており、社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
広木太 代表取締役社長 日本ユニシスやデルなどを経て、2015年にエヌ・ティ・ティ・データグローバルソリューションに入社。2016年に同社を設立し、2017年より現職。
田代裕樹 取締役副社長ビジネス開発推進本部長 日本アイ・ビー・エムや日本マイクロソフトなどを経て、2017年にテラスカイに入社。2018年に同社取締役に就任し、2019年より現職。
杉山裕二 取締役経理財務本部長 フューチャーシステムコンサルティングなどを経て、2018年に同社に入社。2020年に執行役員に就任し、2023年より現職。
塚田耕一郎 取締役 トーメンなどを経て、2015年にテラスカイに入社。2016年に同社取締役に就任し、現在はテラスカイの取締役CFO専務執行役員などを兼任。


社外取締役は、徳岡浩(元明治安田システム・テクノロジー社長)、伊藤肇(元AGC情報システム部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「クラウドソリューション事業」を展開しています。

(1) クラウドインテグレーション


基幹システムの基盤環境をオンプレミス環境からクラウド環境へ移行するための、調査・分析から設計、構築、移行までのコンサルティングおよび実行業務を提供しています。SAPシステムを中心とした大規模基幹システムのクラウド化や、クラウドを前提としたアプリケーション開発も手掛けています。

収益源は、顧客企業に対するコンサルティングや基盤構築、クラウド環境への移行サービスに対する一過性の利用料(フロー売上)です。運営は主に同社が行っており、導入企業の開拓を通じてフロー売上を拡大させるモデルとなっています。

(2) MSP(マネージドサービスプロバイダ)


顧客企業がクラウド環境に構築したシステムの仮想サーバーやネットワークの監視、および運用保守等を代行するサービスを提供しています。各種リソース監視を通じて改善策の提案を行うほか、リモート遠隔運用体制により24時間365日のサポートを実施しています。

収益源は、クラウド上のサーバー監視やバックアップ等の運用保守を代行することによる継続的な月額利用料(ストック売上)です。本事業の運営は同社に加えて、MSPを専業とする子会社のスカイ365が共同で展開しています。

(3) クラウドライセンスリセール


顧客企業が利用するクラウド環境の提供元からライセンスを仕入れ、付加価値としての請求代行や問い合わせ対応も含めて販売するサービスを提供しています。あわせて、セキュリティ対策ソフトウェア等の仕入れ販売も実施し、安全な運用環境を支援しています。

収益源は、各クラウドベンダーのライセンス販売および月額課金代行による継続的な利用料(ストック売上)です。主に同社が運営しており、海外ベンダーから外貨で課金される利用料を日本円建ての請求書で顧客企業に販売するモデルを採用しています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を振り返ると、純利益は順調に拡大傾向をたどってきましたが、直近の決算期では成長のペースがやや落ち着きを見せています。直近の決算期における売上高は106億円となっており、今後は売上規模のさらなる拡大と利益率の向上が重要な経営課題となります。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 - - - - 106億円
経常利益 - - - - 6億円
利益率(%) - - - - 5.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 3億円 4億円 5億円 4億円

(2) 損益計算書


直近の利益動向を見ると、売上総利益は前期と比較して増加していますが、営業利益はやや減少する結果となりました。事業規模の拡大に伴う先行投資やコストの増加が利益水準に影響を与えていると見られます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 - 106億円
売上総利益 17億円 18億円
売上総利益率(%) - 17.0%
営業利益 7億円 6億円
営業利益率(%) - 5.6%

(3) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業CFと投資CFがプラス、財務CFがマイナスの「改善型」の傾向を示しています。本業の営業利益や子会社化に伴う資金等によってキャッシュを生み出し、資金運用や借入の返済等を進めている局面にあると分析できます。

項目 2026年2月期
営業CF 3億円
投資CF 1億円
財務CF -1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.8%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「先進テクノロジーを利用し、お客様の成長と変革に貢献するビジネスパートナーになる」というミッションを掲げています。また、「企業の経済活動を活性化し、世の中にポジティブなエネルギーを与え、実りをもたらす存在であり続けることで社会に貢献する」というビジョンを定めており、社会の発展に貢献するプロフェッショナル集団としての役割を重視しています。

(2) 企業文化


同社は行動基準として4つのバリューを掲げています。何事にもポジティブに好奇心をもつ「わくわく」、顧客にとっての課題解決へ向かう「With Customer」、価値観や常識を疑い誠実に行動する「プロフェッショナル」、経験をリセットし学習し続け共有する「チャレンジ」を重視しており、新しい技術で社会にポジティブなエネルギーを与える企業文化の醸成に努めています。

(3) 経営計画・目標


同社は、事業規模の速やかな拡大と利益創出基盤の拡大が急務であると考えており、当面の指標として「売上高」および「経常利益」を重視しています。また、持続的な成長に向けた財務的安定性の指標として「自己資本比率」にも着目しており、ストック型収益モデルを構築することで継続的な成長と安定的な収益基盤の確立を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、継続的な成長に向けて3つの重点施策を掲げています。1つ目は、クラウド化が進んでいない企業に向けた大規模基幹システム(SAPシステムを含む)のクラウド移行案件の獲得です。2つ目は、既存データを活用し迅速なビジネスモデル変革を支援するデジタルトランスフォーメーション実現のためのプラットフォーム構築です。3つ目は、セキュアな環境を推進するためのセキュリティソリューションの提供拡大です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人的資本をサステナビリティ推進における重要課題と位置づけ、積極的な人材採用や成長機会の提供、人事制度の充実に取り組んでいます。4つのバリューに沿った自律的でチャレンジ精神旺盛な人材の育成を目指しており、パフォーマンスに応じたキャリアプランの選択制度や、資格取得支援などの自律的な学習環境を整備し、一人ひとりが最大限の能力を発揮できる組織づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 41.2歳 3.5年 7,816,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.7%
男性育児休業取得率 71.4%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) -
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) -
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) -


※同社は労働者の男女の賃金の差異について、公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(25.5%)、年次有給休暇の取得率(63.7%)、社員一人あたり月平均残業時間(16時間13分)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) クラウドインテグレーション案件への依存


同社の主力サービスであるクラウドライセンスリセールやMSP(運用・監視)の継続的な収益は、初期のクラウド移行や基盤構築を担うクラウドインテグレーションの案件獲得に連動しています。そのため、新規のクラウド移行案件の獲得が困難になった場合、ストック売上の成長が鈍化し、同社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 主要クラウド基盤事業者への依存


同社の成長は、AWSやAzureなどのパブリッククラウドベンダーの市場拡大に大きく依存しています。顧客企業の基幹システムのクラウド移行において、これら特定のクラウド基盤の利用を前提としているため、パブリッククラウドの市場規模が縮小する場合や、各ベンダーの経営戦略に大きな変更が生じた場合には、同社の売上成長に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 外部協力先の確保と技術力維持


クラウドインテグレーション事業において、同社は複数の外部協力先に業務を委託しています。今後、クラウドエンジニアの人材不足が深刻化する中で、適切な協力先や十分な技術力を有する技術者を確保できない場合、または委託単価が高騰した場合には、費用の増加や納期遅延が生じ、同社グループの事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。