※本記事は、ピックルスホールディングス の有価証券報告書(第3期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
ピックルスホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
1. ピックルスホールディングスってどんな会社?
浅漬、キムチ、惣菜の製造販売および漬物等の仕入販売を行う食品メーカー。連結子会社を通じて全国展開する。
■(1) 会社概要
1977年に東海デイリーとして設立され、1993年にピックルスコーポレーションへ商号変更しました。2001年に店頭市場へ登録し、事業を拡大。2022年には単独株式移転により純粋持株会社である同社を設立し、東京証券取引所プライム市場へ上場しました。その後もグループ再編や新工場設立を進めています。
連結従業員数は414名です。筆頭株主は事業会社である東海漬物で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。東海漬物は同社の主要株主であり、同社グループの事業とも密接な関係を持っています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 東海漬物 | 15.71% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.06% |
| 荻野 芳隆 | 3.89% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は影山直司氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮本 雅 弘 | 代表取締役会長 | 1984年東海漬物製造入社。ピックルスコーポレーション転籍後、製造管理部長、営業本部長等を歴任。2013年同社社長を経て2022年より現職。 |
| 影山 直 司 | 代表取締役社長 | 1983年東海漬物製造入社。ピックルスコーポレーション転籍後、製品開発課長、営業本部長、製造管理部長等を歴任。2022年より現職。 |
| 三品 徹 | 専務取締役経理財務部長 | 1986年地産入社。2001年ピックルスコーポレーション入社後、経理部長兼財務部長、常務取締役を経て2025年より現職。 |
| 宮腰 建一郎 | 取締役 | 1987年東海漬物製造入社。ピックルスコーポレーション転籍後、製造管理部開発課長、開発室長、商品開発部長を経て2022年より現職。 |
社外取締役は、萩野 賴子(飯能製作所代表取締役社長)、田中 德兵衞(セントラルインターナショナル代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「漬物製造販売事業」の単一セグメントですが、提供する製品・商品の性質により「製品」および「商品」に区分して事業を展開しています。
**製品製造販売事業**
自社工場で製造した浅漬、キムチ、惣菜などを、全国の量販店やコンビニエンスストア等に販売しています。主力の「ご飯がススムキムチ」シリーズや、旬の野菜を使用した浅漬、ナムルやサラダなどの惣菜がこれに含まれます。
収益は、これらの製品を販売することで小売店や卸売業者から対価を得ています。運営は主に中核子会社のピックルスコーポレーションや、地域子会社であるピックルスコーポレーション関西、ピックルスコーポレーション西日本などが行っています。
**商品仕入販売事業**
自社製造以外の漬物や関連商品を他社から仕入れ、販売を行っています。自社製品のラインナップを補完し、顧客の多様なニーズに応える役割を果たしています。
収益は、仕入れた商品を販売することで得られる売買差益などです。運営は主にピックルスコーポレーションや、販売機能を持つフードレーベルセールスなどが行っています。
**その他事業**
外食・小売事業や農業事業などを展開しています。「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」の運営や、サツマイモ等の農産物の生産・加工販売を行っています。
収益は、飲食・物販の売上や農産物の販売代金などです。運営はOH、ピックルスファーム、ベジパルなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2023年2月期から2025年2月期までの推移を見ると、売上高は410億円台から430億円台で推移しています。2024年2月期には増収増益を達成しましたが、直近の2025年2月期は減収減益となりました。利益率も3%台から4%台の間で変動しており、原材料価格やコスト上昇の影響を受けています。
| 項目 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 411億円 | 430億円 | 415億円 |
| 経常利益 | 17億円 | 18億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 4.0% | 4.1% | 3.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5億円 | 8億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較すると、売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益が縮小しています。売上総利益率は微減しており、コストコントロールの重要性が増しています。営業利益率は3.1%まで低下しており、収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 430億円 | 415億円 |
| 売上総利益 | 86億円 | 82億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.1% | 19.7% |
| 営業利益 | 17億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 3.9% | 3.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が25億円(構成比36%)、運搬費が23億円(同33%)を占めています。売上原価においては、原材料費等の製造費用が売上原価の大部分を占めています。
■(3) セグメント収益
製品売上(浅漬・キムチ・惣菜他)は微減となり、商品売上(仕入商品他)は10%近い減少となりました。消費者の節約志向やコンビニエンスストア向けの売上減少などが影響しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| 製品(漬物・キムチ・惣菜他) | 290億円 | 286億円 |
| 商品(漬物他) | 140億円 | 129億円 |
| 連結(合計) | 430億円 | 415億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、事業運営に必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、日々の事業活動から生み出される資金の状況を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有形固定資産の取得・売却等による資金の増減を表します。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払い等、資金調達や返済に関する活動を示しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 27億円 | 8億円 |
| 投資CF | -10億円 | -47億円 |
| 財務CF | 0.5億円 | 11億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」を経営理念として掲げています。食品会社としての基本姿勢である安全・安心な食品の提供を貫き、消費者からの信頼獲得と社会への貢献を果たすことを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、安全でおいしい製品を作るための品質管理、地球環境に配慮した企業経営、従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくりを経営方針としています。食品安全規格JFS-Bや環境規格ISO14001の取得、健康経営への注力など、品質と環境、人を重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は、継続的な成長を実現するため、連結売上高と連結営業利益を経営指標に設定しています。中期経営計画の最終年度である2028年2月期に向け、以下の目標を掲げています。
* 連結売上高:43,000百万円
* 連結営業利益:1,700百万円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、製品開発強化、販売エリア・販売先の拡大、新規事業への取り組みを推進しています。特に西日本エリアでのシェア拡大や、ドラッグストア等の新たな売場の開拓、冷凍食品の開発などに注力しています。また、コスト削減や業務効率化による利益拡大にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、従業員の成長が企業の成長を実現すると考え、個性や能力を発揮できる場の提供を重視しています。自己啓発支援や資格取得報奨金などの教育制度を充実させるとともに、リフレッシュ休暇やノー残業デーなどを導入し、仕事と子育てを両立できる働きやすい職場環境づくりにも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)は純粋持株会社であるため、有価証券報告書において従業員数の記載を省略しており、平均年間給与等のデータはありません。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.6% |
| 男性育児休業取得率 | 33.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 63.2% |
| 男女賃金差異(正規) | 75.4% |
| 男女賃金差異(非正規) | 84.8% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職割合目標(2026年3月までに12%)、女性の平均勤続年数目標(2026年3月までに男性の65%)、女性の平均勤続年数実績(77%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料の調達及び価格変動リスク
主要原材料である白菜等の国産野菜は、異常気象による生育不良や価格高騰の影響を受けやすい特性があります。調達難や価格高騰が発生した場合、販売機会の損失や製造コストの増加を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に地球温暖化による異常気象の頻発は、長期的なコスト増要因となる恐れがあります。
■(2) 食品の安全性に関するリスク
食品メーカーとして安全確保に努めていますが、予期せぬ問題の発生や、社会的な食の安全問題による風評被害などが発生した場合、ブランドイメージの低下や売上減少につながる可能性があります。消費者の信頼を損なう事態は、業績や財務状況に深刻な影響を与えるリスクがあります。
■(3) 特定の得意先への依存リスク
セブン&アイ・ホールディングスグループへの売上依存度が高く、同グループの方針変更や経営状況の変化が、同社の売上や業績に直接的な影響を与える可能性があります。安定的な取引関係の維持に努めていますが、特定の取引先への依存は事業上のリスク要因となります。



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