ピックルスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ピックルスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ピックルスホールディングスは、東京証券取引所プライム市場に上場し、浅漬やキムチ、惣菜などの製造および販売を主要事業として展開しています。直近の業績では、消費者の節約志向や商品アイテムの集約などにより売上高は減収となったものの、製品価格の改定や各種コスト抑制の進展により大幅な増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ピックルスホールディングスの有価証券報告書(第4期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ピックルスホールディングスってどんな会社?


浅漬、キムチおよび惣菜などの製造と販売を主力とし、全国ネットワークを活用して展開しています。

(1) 会社概要


1977年に東海デイリーとして設立され、漬物の製造販売を開始しました。1993年にピックルスコーポレーションへ商号変更し、2001年の株式店頭登録を経て2017年には東証一部に指定されました。その後、2022年に単独株式移転により持株会社であるピックルスホールディングスを設立し、現在の体制へと移行しました。

従業員数は連結で411名です。筆頭株主は事業会社である東海漬物で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。また、第3位には個人株主である荻野芳隆氏が名を連ねています。

氏名 持株比率
東海漬物 15.59%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.34%
荻野芳隆 3.86%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役会長は宮本雅弘氏、代表取締役社長は影山直司氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
宮本雅弘 代表取締役会長 東海漬物製造入社後、ピックルスコーポレーションに出向・転籍。製造管理部長、常務、営業本部長、代表取締役社長を経て、2022年9月より現職。
影山直司 代表取締役社長 東海漬物製造入社後、ピックルスコーポレーションに出向・転籍。製品開発課長、常務、営業本部長、代表取締役副社長を経て、2022年9月より現職。
三品徹 専務取締役経理財務部長 地産入社後、ピックルスコーポレーション入社。経理部長兼財務部長、常務取締役などを経て、2025年5月より現職。
宮腰建一郎 取締役 東海漬物製造入社後、ピックルスコーポレーションに出向・転籍。製造管理部開発課長、開発室長、商品開発部長などを経て、2022年9月より現職。


社外取締役は、萩野賴子(飯能製作所代表取締役社長)、田中德兵衞(セントラルインターナショナル代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「漬物製造販売」の単一セグメントで事業を展開しています。

同社グループは、主に浅漬、キムチ、惣菜などの製造および販売を行っています。主力である浅漬や「ご飯がススムキムチ」などの製品は、国産野菜を使用した安全・安心な食品として提供されています。また、惣菜製品についてもナムルやサラダなど野菜を主材とした製品をコンビニエンスストアや全国の量販店に向けて展開しています。

収益源は、一般消費者向けの製品販売による代金や、外食産業向けの業務用製品の販売代金です。事業の運営は主にピックルスコーポレーションが担っており、関西や西日本地域の製造・販売についてはピックルスコーポレーション関西やピックルスコーポレーション西日本などの子会社がそれぞれ分担して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期間の業績を見ると、売上高は410億円から430億円の規模で安定的に推移しています。経常利益は一時的な減少も見られましたが、直近ではコスト抑制や価格改定の効果により21億円まで拡大し、利益率も5.2%に向上しました。一方で当期利益についてはマイナスとなるなど、変動が見られます。

項目 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 411億円 430億円 415億円 409億円
経常利益 17億円 18億円 13億円 21億円
利益率(%) 4.0% 4.1% 3.2% 5.2%
当期利益 5億円 8億円 5億円 -0.4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期間から微減となったものの、売上総利益は拡大しており、売上総利益率は19.7%から21.8%へと改善しています。それに伴い営業利益も13億円から21億円へと大きく増加しており、本業の収益性が高まっていることが確認できます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 415億円 409億円
売上総利益 82億円 89億円
売上総利益率(%) 19.7% 21.8%
営業利益 13億円 21億円
営業利益率(%) 3.1% 5.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が25億円(構成比36.6%)、運搬費が23億円(同33.7%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社グループは漬物製造販売事業の単一セグメントで事業を展開しています。売上高は節約志向などの影響でわずかに減少しましたが、製品価格の改定や各種コストの抑制が進んだことで、利益率は大きく改善しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
漬物製造販売事業 415億円 409億円 13億円 21億円 5.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である健全型となっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 8億円 42億円
投資CF -47億円 -4.3億円
財務CF 11億円 -25億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」を経営理念として掲げています。安全でおいしい製品を作るための品質管理や、地球環境に配慮した企業経営を通じて、消費者からの信頼獲得と社会への貢献を果たすことを使命としています。

(2) 企業文化


同社は、従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくりを方針としており、多様性があり個性や能力を十二分に発揮できる働きがいのある職場環境を重視しています。また、自ら学ぶ姿勢の醸成に努めるなど、経営上かけがえのない存在である従業員の成長を通じて企業の成長を実現する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、継続的な成長を実現するために連結売上高および連結営業利益を経営指標に設定しています。中期経営計画の最終年度に向けて、収益性の向上や資本効率を意識した経営を推進しています。

* 2029年2月期目標:連結売上高440億円
* 2029年2月期目標:連結営業利益21億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、新商品・新領域への挑戦や全国ネットワークを活用した拡販を通じて事業規模の拡大を目指しています。多様化するニーズに対応した製品開発のほか、西日本エリアでの供給力強化による販売エリアの拡大、ドラッグストアや外食向けなどの新たな販売先の開拓を推進します。また、外食や小売、農業などの新規事業の確立にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、優秀な人材の採用および育成が持続的な企業体質の確立に不可欠と考えています。自己啓発支援制度や資格手当支給制度などの教育研修制度を導入し、従業員の能力向上を支援しています。また、仕事と子育てを両立できる職場環境の整備や健康経営の推進にも継続して取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社は純粋持株会社であるため、単体での平均年齢や平均年間給与などのデータは有価証券報告書に記載されていません。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.6%
男性育児休業取得率 66.6%
男女賃金差異(全労働者) 80.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 83.5%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 95.3%

※上記は主要な連結子会社であるピックルスコーポレーションの数値です。提出会社は公表義務の対象ではないため記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料の調達と価格変動


主要製品の原材料である国産野菜は、異常気象などによる生育不良が発生した場合、調達量の確保が困難となり販売機会の損失を招く恐れがあります。また、仕入価格の高騰や歩留まりの悪化による製造コストの増加が利益率を低下させ、同社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 食品の安全性に関する問題


食品安全規格の活用やフードディフェンスの取り組みにより安全確保に努めていますが、製造工程での想定外の問題や社会全般における食の安全に関わる問題が発生した場合、風評等により企業イメージが低下する恐れがあります。これが消費者の購買意欲低下に繋がり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的規制やコンプライアンスの影響


同社グループは食品衛生法や製造物責任法など様々な法令の適用を受けており、遵守体制の構築に取り組んでいます。しかし、将来的な法的規制の強化や新たな規制が導入された場合、事業活動の制限や追加のコスト負担が発生し、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 特定の取引先への依存


同社グループは、セブン-イレブン・ジャパンへの売上高の割合が高くなっています。安定的な取引の確保に努めていますが、同取引先の経営施策や取引方針の変更などが行われた場合、売上に直接的な影響が生じ、同社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。