ベースフード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ベースフード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所グロース市場に上場し、完全栄養食「BASE FOOD」シリーズの開発・販売を主力事業としています。第9期は、主力商品のリニューアルや販売チャネルの拡大が奏功して増収を達成し、営業利益、経常利益、当期純利益の全ての段階で黒字化を実現しました。


※本記事は、ベースフード株式会社 の有価証券報告書(第9期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ベースフードってどんな会社?


同社は、1食で1日に必要な栄養素の1/3がとれる完全栄養の主食「BASE FOOD」を開発・販売するフードテック企業です。

(1) 会社概要


2016年に設立され、翌2017年に完全栄養パスタ「BASE PASTA」の販売を開始しました。2019年には主力となる完全栄養パン「BASE BREAD」を発売し、事業を拡大させました。2022年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たし、2025年には米国・韓国での販売事業を開始するなど、グローバル展開も進めています。

2025年2月時点の単体従業員数は115名です。筆頭株主は創業者の橋本舜氏で、第2位は証券会社です。

氏名 持株比率
橋本舜 32.54%
立花証券 29.91%
齋藤竜太 1.90%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は橋本舜氏が務めています。社外取締役比率は80.0%です。

氏名 役職 主な経歴
橋本舜 代表取締役 DeNAを経て2016年に同社を設立し代表取締役に就任。2017年より現職。


社外取締役は、田中道昭(日本ストラテジック・ファイナンス総合研究所社長)、長瀬大樹(長瀬大樹公認会計士事務所代表)、田中宏隆(UnlocX代表)、永井公成(法律事務所ネクシード代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「完全栄養食事業」および「その他」事業を展開しています。

完全栄養食事業

完全栄養の主食を中心とした「BASE FOOD」シリーズ(パン、パスタ、クッキー、焼きそば等)の企画・開発・販売を行っています。主な顧客は、手軽に栄養バランスの取れた食事を求める一般消費者です。商品の製造は外部業者に委託するファブレス形式をとっています。

収益は主に、自社ECサイトを通じた顧客からの定期購入(サブスクリプション)利用料や都度購入代金から得ています。また、Amazon等の他社ECプラットフォームでの販売や、卸業者を経由したコンビニエンスストア・ドラッグストア等への卸販売による売上も収益源となっています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は第5期の15億円から第9期の152億円へと急成長を遂げています。利益面では、先行投資による赤字が続いていましたが、第9期において営業利益、経常利益、当期純利益がいずれも黒字に転換しました。利益率もプラス圏に回復しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 15億円 55億円 99億円 149億円 152億円
経常利益 -1.6億円 -4.6億円 -10.0億円 -8.9億円 1.2億円
利益率(%) -10.4% -8.3% -10.1% -6.0% 0.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -1.6億円 -4.6億円 -10.1億円 -8.6億円 1.1億円

(2) 損益計算書


前期から当期にかけて、売上高は増加し、売上総利益率も改善しました。営業損益は前期の赤字から当期は黒字に転換しています。コストコントロールや価格改定の効果により、収益性が向上したことが読み取れます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 149億円 152億円
売上総利益 74億円 84億円
売上総利益率(%) 49.7% 55.0%
営業利益 -9.0億円 1.4億円
営業利益率(%) -6.1% 0.9%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が28億円(構成比35%)、荷造運賃が13億円(同16%)、給料手当が13億円(同15%)を占めています。売上原価については、商品売上原価が売上原価合計の99%を占めています。

(3) セグメント収益


完全栄養食事業は、自社ECにおける収益性改善施策や、スーパーマーケット・ドラッグストア等の新規販路開拓が進んだことにより増収となりました。損益面でも、価格改定やコスト構造の改善効果により黒字化を達成しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
完全栄養食事業 149億円 152億円 -9.0億円 1.4億円 0.9%
連結(合計) 149億円 152億円 -9.0億円 1.4億円 0.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ベースフードは、営業活動で資金を獲得し、投資活動では倉庫拡張や設備投資を行い、財務活動では借入や増資で資金調達を行っています。営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の計上や契約負債の増加が主な要因です。投資活動では、保証金の回収が収入となり、敷金や固定資産の取得が支出となりました。財務活動では、新規借入や株式発行による収入が大きく、借入金の返済も行われました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF -6.7億円 1.3億円
投資CF -2.3億円 0.3億円
財務CF 0.3億円 3.9億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに。」というミッションを掲げています。また、「人生を楽しみ尽くす基盤のある世界に。」というビジョン実現のため、完全栄養食を通じて、誰もがバランスの取れた食事を楽しみながら健康でいられる社会を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、提供する商品において「かんたん・おいしい・からだにいい」のすべてを叶えることを重視しています。商品開発においては、D2Cモデルを通じて顧客からのフィードバックを直接受け取り、それを基にスピーディーな改善や新商品開発を行う姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、ミッション実現と企業価値向上のため、売上高、売上総利益率、営業利益率を重要な経営指標として位置づけています。また、売上高を構成する要素として、以下のKPIを重視しています。

* 自社ECにおけるサブスクリプション会員数、解約率
* 卸販売における展開店舗数、店舗当たり売上高

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「栄養のインフラ」を目指し、デジタルテックとディープテックを活用した商品開発力の強化を進めています。おいしさの向上や新商品の投入により顧客層の拡大を図るとともに、以下の施策に注力しています。

* 商品開発および改善のスピードアップ
* スーパーマーケット等を含めた販売チャネルの拡充
* 品質管理の更なる向上
* 原材料調達網の最適化
* 収益基盤および財務基盤の強化

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人材」を重要資産と位置づけ、多様性のある組織作りを推進しています。性別や国籍等を問わない多様なバックグラウンドを持つ人材の活躍を促進し、リモートワークやフルフレックス制度、JOB型人事制度などを導入することで、個人のポテンシャルを最大限に引き出す環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 36.3歳 2.4年 8,528,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 商品の製造委託について


同社は商品の製造を外部に委託しています。委託先の法令違反等による操業停止や、賃金上昇等による製造委託費の値上げが発生した場合、商品の供給体制や業績に影響を及ぼす可能性があります。特定の製造委託先への依存度が高いこともリスク要因です。

(2) 「完全栄養」について


同社は一定の基準を満たす商品を「完全栄養」として販売していますが、競合他社による同種商品の市場投入や、「完全栄養」という言葉の使用に関するトラブル、否定的な風評等が発生した場合、同社商品の差別化が困難になり、競争優位性やブランドイメージに影響を与える可能性があります。

(3) 自社ECでの定期購入について


自社ECでの売上の多くは定期購入(サブスクリプション)によるものです。商品の魅力低下や競合との競争激化等により、解約率が想定を上回った場合、または新規顧客の獲得が進まない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 原材料等の調達・価格変動について


主要原材料である小麦全粒粉、大豆、油脂、卵等の価格高騰や、世界情勢・為替変動による調達難が生じた場合、安定供給やコスト面に影響が出る可能性があります。同社は調達網の最適化等の対策を講じていますが、想定外の事態が発生するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。