※本記事は、ベースフードの有価証券報告書(第10期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ベースフードってどんな会社?
主食をイノベーションし、「かんたん・おいしい・からだにいい」完全栄養の主食を提供するフードテック企業です。
■(1) 会社概要
2016年に設立され、同年から完全栄養のパスタ「BASE PASTA」のクラウドファンディングを開始しました。2019年に完全栄養のパン「BASE BREAD」を発売して以降、クッキーや焼きそばなどにラインナップを拡大しています。2022年に東京証券取引所グロース市場へ上場し、2025年にはシリーズ累計会員数が100万人を突破するなど事業規模を拡大し続けています。
従業員数は単体で98名です。筆頭株主は創業者で代表取締役の橋本舜氏となっており、第2位に立花証券、第3位にMBFアクセラレーションが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 橋本舜 | 32.61% |
| 立花証券 | 26.49% |
| MBFアクセラレーション | 6.91% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は橋本舜氏です。社外取締役比率は80.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 橋本舜 | 代表取締役 | 2012年4月ディー・エヌ・エー入社。2016年4月同社代表取締役就任。2026年4月akippa社外取締役就任。現在に至る。 |
社外取締役は、田中道昭(マージングポイント代表取締役社長)、長瀬大樹(長瀬大樹公認会計士事務所代表)、田中宏隆(UnlocX代表取締役CEO)、永井公成(法律事務所ネクシード代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「完全栄養食事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 完全栄養食事業
たんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど1日に必要な33種類の栄養素がバランスよく含まれた完全栄養の主食「BASE FOOD」シリーズを開発し、顧客に提供しています。仕事や家事などで忙しく食生活に気を配る余裕がないものの、健康意識が高い消費者を主な顧客層としています。
収益源は、商品の販売代金です。自社ECでの定期購入(サブスクリプション)を主力チャネルとしながら、他社ECプラットフォームでの販売、およびコンビニエンスストアやドラッグストア等の小売店向けの卸販売を展開しています。事業運営は同社が行っています。
■(2) その他
報告セグメントである完全栄養食事業に含まれない、その他の事業活動を行っています。
当該事業活動等を通じて顧客から対価を受け取っており、収益源としています。事業の運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、事業拡大に伴い売上高は急激な成長を遂げた後、直近2期は152億円規模で安定して推移しています。利益面では、積極的なプロモーション活動等により先行投資としての経常損失が続いていましたが、売上規模の拡大と広告運用の効率化により直近2期間は黒字転換を果たし、利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 55億円 | 99億円 | 149億円 | 152億円 | 152億円 |
| 経常利益 | -4.6億円 | -10億円 | -8.9億円 | 1.2億円 | 2.7億円 |
| 利益率(%) | -8.3% | -10.1% | -6.0% | 0.8% | 1.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -4.6億円 | -10億円 | -8.6億円 | 1.1億円 | 2.6億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期の損益構成を見ると、売上高は横ばいながら、原材料の配合更新等により売上総利益率は上昇しています。また、販売費及び一般管理費における投資効率の改善が進み、営業利益は大幅な増益となっています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 152億円 | 152億円 |
| 売上総利益 | 84億円 | 86億円 |
| 売上総利益率(%) | 55.0% | 56.6% |
| 営業利益 | 1.4億円 | 2.2億円 |
| 営業利益率(%) | 0.9% | 1.4% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が32億円(構成比38%)、荷造運賃が13億円(同15%)を占めています。売上原価では、商品売上原価が65億円(構成比99%)を占めています。
■(3) セグメント収益
完全栄養食事業は主力の自社ECが堅調に推移したものの、卸販売の一部環境変化等により全体として微減収となりましたが、利益は改善しています。その他事業は規模が小さいものの増収となっています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益(2026年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 完全栄養食事業 | 152億円 | 152億円 | 2.6億円 | 2.7億円 | 1.8% |
| その他 | 0.1億円 | 0.3億円 | - | - | - |
| 連結(合計) | 152億円 | 152億円 | 1.4億円 | 2.2億円 | 1.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスの「健全型」です。本業で稼いだキャッシュの範囲内で設備投資等の成長投資を行い、同時に借入金の返済も進めている安定した状態を示しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.3億円 | 2.6億円 |
| 投資CF | 0.3億円 | -2.4億円 |
| 財務CF | 3.9億円 | -1.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は33.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに。」というミッションを掲げています。また、「人生を楽しみ尽くす基盤のある世界に。」というビジョンのもと、1食に必要な栄養素を全てとれるバランスのよい食事を楽しみながら、誰もが健康でいられる社会の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
「かんたん・おいしい・からだにいい」のすべてをかなえる主食の提供を追求しています。顧客からのフィードバックや購買情報を直接受け取り、それらをもとに商品の改善やバージョンアップをスピーディーに繰り返すことで、生活者に寄り添った価値を創造する組織文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
継続的な企業価値の向上を達成するため、売上高、売上高成長率、売上総利益率、営業利益率を重要な経営指標として位置付けています。また、各販売チャネルにおけるKPIとして、自社ECでのサブスクリプション会員数や解約率、卸販売での展開店舗数や店舗当たり売上高を重視し、事業の成長を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
デジタル技術とディープテックを活用した商品開発・改善のスピードアップを重点施策としています。販売面ではスーパーマーケットを中心とした卸販売の取扱店舗数拡大を図り、オムニチャネル販売を通じた自社ECへの送客を強化します。さらに原材料の安定調達網の構築や、投資効率の改善による収益基盤の強化に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人材」が重要な資産であると認識しており、人的資本の価値最大化が持続的な事業成長につながると考えています。多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる組織づくりや、個人のポテンシャルを引き出すためのリモートワーク・フルフレックス制度の導入、継続的な人事制度の再設計に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 37.1歳 | 3.2年 | 9,047,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員に占める女性比率(30.6%)、女性管理職比率(14.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 製造委託とサプライチェーンへの依存
商品の製造業務や一部の配送業務を外部業者に委託しています。委託先における法令違反、天災や事故による操業停止、原材料価格や物流費の高騰などが発生した場合、商品の安定供給に支障を来し、事業の継続や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 商品の品質管理と風評被害
外部委託先で製造された商品に品質問題が生じた場合や、流通過程で損傷が発生した場合、商品の自主回収による損失だけでなく、ブランドイメージや社会的信用の失墜につながる恐れがあります。また、インターネット等で否定的な風評が拡散するリスクも存在します。
■(3) 自社ECの定期購入会員の維持
売上の多くは自社EC経由のサブスクリプション(定期購入)によるものです。新規参入による競争激化や、「完全栄養」というコンセプトの優位性低下、商品やサービスに対する顧客満足度の低下などにより、会員の解約率が想定を上回った場合、事業成長に影響を与える可能性があります。



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