※本記事は、株式会社JRC の有価証券報告書(第34期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. JRCってどんな会社?
屋外用ベルトコンベヤ部品の製造・販売を主力とし、環境プラント設備やロボットによる自動化支援も行うソリューション企業です。
■(1) 会社概要
同社は1961年に創業しコンベヤ製品の製造販売を開始、1991年に株式会社JRCを設立して事業を継承しました。2018年にはロボットSI事業ブランド「ALFIS」を展開開始し、2023年に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。近年はM&Aを積極的に進めており、2024年には中村自働機械、高橋汽罐工業、向井化工機、三好機械産業を連結子会社化するなど事業拡大を加速させています。
連結の従業員数は459名、単体では284名です。筆頭株主は創業家出身者の資産管理会社であるYSホールディングス株式会社で、第2位も代表取締役社長の資産管理会社である株式会社エムワイエフとなっており、創業家が主要株主となっています。第3位には光通信株式会社が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| YSホールディングス | 21.34% |
| エムワイエフ | 14.43% |
| 光通信 | 3.12% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は浜口稔氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 浜口 稔 | 代表取締役社長 | 1991年同社入社。中国現地法人の総経理や董事長を経て、2014年より社長。JRC C&M代表取締役会長なども兼務し、2024年5月より現職。 |
| 常川 陽介 | 取締役 | 公認会計士。デロイトトーマツコンサルティング、インテグラルを経て同社入社。経営管理本部長CFO兼CSOなどを歴任し、2024年11月より現職。 |
| 増崎 信也 | 取締役 | 芦森工業、東洋炭素を経て2005年同社入社。執行役員総務部長、管理本部長などを経て、2024年3月より経営管理本部財務経理部長として現職。 |
| 佐藤 嘉宰 | 取締役 | 1994年同社入社。営業本部長、製造本部長などを歴任し、JRC C&M取締役を兼務。2024年5月より製造本部長として現職。 |
| 江副 義昭 | 取締役 | 1996年同社入社。営業本部長兼ソリューション推進部長などを経て、2024年5月より営業統括責任者兼海外営業本部長として現職。 |
| 林田 信弘 | 取締役(常勤監査等委員) | 大塚商会、福井製作所を経て1994年同社入社。取締役管理本部長、社長室長などを経て2023年5月より現職。 |
社外取締役は、沖野公秀(元エムスリーマーケティング代表取締役社長)、引地健児(公認会計士・税理士)、橋森有紀(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「コンベヤ事業」、「環境プラント事業」および「ロボットSI事業」を展開しています。
■(1) コンベヤ事業
製鉄所、建設現場、セメント工場、発電所などの過酷な環境で使用される屋外用ベルトコンベヤの部品(アイドラ、ローラ、プーリ等)の設計、製造および販売を行っています。これらの部品は消耗が早く定期的な交換が必要不可欠であり、現場の課題を解決するソリューション提案も行っています。
収益は、主にエンドユーザーや代理店への製品販売およびメンテナンスサービスから得ています。運営は主にJRCが行っており、株式会社大成、株式会社高橋汽罐工業などの子会社や、関連会社のJRC IFM Co., Ltd.なども事業に関わっています。
■(2) 環境プラント事業
全国のごみ処理施設、水処理施設、バイオマス発電施設等の環境プラント向けに、コンベヤを中心としたマテハン機器の設計、製造、据付、メンテナンスを一貫して提供しています。官公庁案件などで高い信頼を得ており、同社グループの新たな成長の柱と位置付けられています。
収益は、プラントメーカーや官公庁等からの設備機器の設計・製作・据付工事および点検・メンテナンス業務から得ています。運営は主にJRCが行っているほか、JRC C&M株式会社やその子会社である向井化工機株式会社などが事業を担っています。
■(3) ロボットSI事業
製造業における人手不足という社会課題に対し、産業用ロボットや協働ロボットを活用した自動化システムの導入提案、設計、組立などのシステムインテグレーションを提供しています。顧客の現場課題を分析し、最適なロボットシステムを構築します。
収益は、製造業の顧客に対するロボットシステムの販売や導入支援サービスから得ています。運営は主にJRCが行っており、中村自働機械株式会社(現JRC草加工場)や三好機械産業株式会社(現JRC香川工場)のM&Aにより体制を強化しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで推移しており、規模の拡大が続いています。利益面でも、経常利益率は10%以上の高い水準を維持しており、安定した収益力を示しています。直近の期では売上高が110億円を突破し、当期利益も増加傾向にあります。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 63億円 | 81億円 | 90億円 | 95億円 | 111億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 8億円 | 13億円 | 13億円 | 14億円 |
| 利益率(%) | 5.4% | 10.4% | 14.2% | 13.4% | 12.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2億円 | 4億円 | 6億円 | 6億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、営業利益率はわずかに低下しています。販売費及び一般管理費の増加が影響しており、事業拡大に向けた人材投資やM&A関連費用などが要因と考えられますが、依然として高い利益率を確保しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 95億円 | 111億円 |
| 売上総利益 | 32億円 | 40億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.9% | 36.1% |
| 営業利益 | 13億円 | 14億円 |
| 営業利益率(%) | 13.4% | 12.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が9億円(構成比33%)、支払手数料が4億円(同16%)を占めています。売上原価については内訳の詳細データがありません。
■(3) セグメント収益
全セグメントで増収増益を達成しました。特に環境プラント事業はM&A効果やメンテナンス案件の増加により大幅な増収増益となりました。ロボットSI事業も大型案件やリピート案件の増加で売上が伸長し、利益も大きく改善しています。コンベヤ事業はリプレイス需要や工事案件の拡大により堅調に推移しました。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| コンベヤ事業 | 72億円 | 79億円 | 17億円 | 17億円 | 21.5% |
| 環境プラント事業 | 15億円 | 22億円 | 3億円 | 5億円 | 21.0% |
| ロボットSI事業 | 7億円 | 10億円 | 0.1億円 | 0.3億円 | 2.6% |
| 調整額 | - | - | -7億円 | -8億円 | - |
| 連結(合計) | 95億円 | 111億円 | 13億円 | 14億円 | 12.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
JRCは、営業活動により潤沢な資金を生み出しました。これは、主に税金等調整前当期純利益の計上が貢献したためです。一方、投資活動では、子会社株式の取得により一時的に資金支出が増加しました。財務活動では、借入金の返済や配当金の支払いがありましたが、短期借入れにより資金を確保しました。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6億円 | 17億円 |
| 投資CF | 2億円 | -12億円 |
| 財務CF | -10億円 | 5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「社会発展の基盤づくりの精神(企業DNA)」を踏襲しつつ、「ソリューションの創造」をミッションに、「世の中の不をなくす」をビジョンに掲げています。「ソリューション企業」として事業を推進し、多様なステークホルダーと対話し信頼関係を構築することを宣言しています。
■(2) 企業文化
現場を基本としたリアルから課題を見出し、解決策を通じて発展へと繋げる意思を込め、「発見を、発展へ(Discovery to Development)」を企業スローガンとして掲げています。創業時からの「お客様の課題を解決し、社会に貢献する」という考え方を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的な企業価値向上を目指し、グループ全体では売上高・営業利益・営業利益率・ROEを、各事業ではソリューション売上高比率や受注高などをKPIとして定めています。また、M&Aによる非連続的な成長を戦略的手段と位置付け、各事業の領域拡大と企業価値向上を目的としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
コンベヤ事業では、ソリューション提案の拡充やメンテナンス事業の深化、東南アジアを中心とした海外展開を加速させます。環境プラント事業では、設計からメンテナンスまでの一貫対応体制を強化しシェア拡大を目指します。ロボットSI事業では、食品・医薬品領域を中心にソリューション提供を拡大し市場を獲得します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人的資本強化」を重点テーマとし、従業員エンゲージメントの向上、採用戦略の強化、人材教育体系の整備などに取り組んでいます。具体的には、多様な働き方の実現、成果に応じたインセンティブ制度、公正な評価プロセスの構築、DX人材育成などを推進し、次世代経営人材やプロフェッショナル人材の獲得・育成に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 41.1歳 | 9.9年 | 5,787,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 65.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 78.6% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) コンベヤ事業の売上規模について
同社グループは特定の取引先に依存せず安定的なリカーリングビジネスを展開していますが、外国企業の参入等により売上高が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) コンベヤ部品市場の縮小
国内製造業の縮小や技術革新により既存のコンベヤ部品市場が縮小した場合、同社グループの事業および業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 原材料価格の変動
主要な原材料である鋼材、ベアリング、ゴム、塗料等の価格変動は製品の製造原価に影響を与え、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。



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