※本記事は、株式会社JRCの有価証券報告書(第35期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. JRCってどんな会社?
屋外用コンベヤ部品、環境プラント設備、ロボットシステムを手がけるソリューション企業です。
■(1) 会社概要
1961年に創業し、1991年に設立されました。コンベヤ製品の製造から始まり、環境プラント分野やロボットSI事業へと領域を拡大しています。2023年に東証グロース市場への上場を果たしました。2026年には環境エネルギーカンパニーなどを新設するカンパニー制へと移行し、国内外で事業成長を続けています。
従業員数は連結470名、単体335名です。筆頭株主は創業者一族の資産管理会社であるYSホールディングスで、第2位も同様に資産管理会社のエムワイエフ、第3位は信託業務を行う日本カストディ銀行(信託口)となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| YSホールディングス | 20.60% |
| エムワイエフ | 15.09% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 5.46% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は浜口稔氏です。社外取締役は3名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 浜口 稔 | 代表取締役社長 | 1987年浜口鉄工入社。常務、副社長等を経て2014年より代表取締役社長。中国子会社のトップ等も歴任し、2024年よりJRC C&M会長等を兼任。現在に至る。 |
| 常川 陽介 | 取締役副社長兼CFO兼経営管理本部長兼戦略投資部部長 | 2010年新日本有限責任監査法人入所。インテグラル等を経て2024年同社入社、取締役CFO就任。2026年より取締役副社長兼CFO等を兼任。現在に至る。 |
| 増崎 信也 | 取締役経営管理本部財務経理部長 | 1992年芦森工業入社。東洋炭素を経て2005年同社入社。総務部長、管理本部長を歴任し、2021年取締役就任。2024年より現職。 |
| 佐藤 嘉宰 | 取締役 コンベヤカンパニーCEO兼製造本部長 | 1994年同社入社。営業副本部長、営業本部長、製造本部長を歴任。2024年取締役製造本部長。2026年より現職。 |
| 江副 義昭 | 取締役 コンベヤカンパニーグローバルビジネス本部長 | 1996年同社入社。営業本部副部長等を経て、2024年取締役営業統括責任者兼海外営業本部長就任。2026年より現職。 |
| 築山 英明 | 取締役 環境エネルギーカンパニーCEO | 1991年日本トムソン入社。2016年同社入社。商栄機材代表取締役社長等を経て、2024年JRC C&M代表取締役社長。2026年より現職。 |
| 林田 信弘 | 取締役(常勤監査等委員) | 1980年大塚商会入社。1994年同社入社。取締役管理本部長などを経て、2021年監査役。2023年より現職。 |
社外取締役は、沖野公秀(元トランスコスモス常務執行役員)、引地健児(引地公認会計士事務所代表)、本田千尋(プログレ法律特許事務所所属)です。
2. 事業内容
同社グループは、コンベヤ事業、環境プラント事業、ロボットSI事業の3つの報告セグメントで事業を展開しています。
■コンベヤ事業
製鉄所や建設現場など、過酷な屋外環境で長距離・重量物搬送に使用される屋外用ベルトコンベヤの部品(アイドラ、ローラ等)の設計、製造、販売を行っています。また、顧客の課題を解決するソリューション提案やメンテナンス等を通じた総合的なサポートも行っています。
部品の交換需要(リプレイスメント)を基盤とするリカーリングビジネスを中心に、顧客から製品代金やメンテナンス費用を受け取ります。事業の運営は主に同社が担っています。
■環境プラント事業
ごみ処理施設、水処理施設、バイオマス発電施設など、環境・エネルギー分野の各種プラント向けに、コンベヤおよび周辺装置の設計・製作、据付、保守点検までをワンストップで提供しています。官公庁案件など公共性の高い領域を強みとしています。
官公庁やプラントメーカーから、設備の納入代金や工事・メンテナンスの費用を受け取ります。運営は主に同社および子会社のJRC E&E、向井化工機などが担当しています。
■ロボットSI事業
製造業が抱える人手不足という社会課題に対し、産業用ロボットや協働ロボットのシステムインテグレーションを提供しています。食品や医薬品業界を中心に、導入しやすい自動化ソリューションを展開し、製造現場の生産性向上を支援しています。
最適なロボットシステムの構築、ティーチング、ライン設計等の導入支援を通じて顧客からシステム導入費用を受け取ります。事業の運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近の業績は、主力事業の安定的な成長や新規事業の拡大、M&Aの効果などにより売上収益が連続して増加しています。利益面でも着実な増益基調を描いており、高い利益率を維持しながら事業規模を拡大させていることが読み取れます。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 81億円 | 90億円 | 95億円 | 111億円 | 137億円 |
| 経常利益 | 8億円 | 13億円 | 13億円 | 14億円 | 19億円 |
| 利益率(%) | 10.4% | 14.2% | 13.4% | 12.7% | 13.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 6億円 | 6億円 | 7億円 | 10億円 |
■(2) 損益計算書
直近の業績では、各事業セグメントでの受注拡大や価格改定、製造の合理化が寄与し、大幅な増収増益を達成しました。原価の上昇圧力がある中でも、高付加価値な案件の獲得により収益性を高めています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 111億円 | 137億円 |
| 売上総利益 | 40億円 | 49億円 |
| 売上総利益率(%) | 36.1% | 35.5% |
| 営業利益 | 14億円 | 20億円 |
| 営業利益率(%) | 12.4% | 14.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が10億円(構成比33%)、役員報酬が3億円(同10%)、運賃が2億円(同7%)を占めています。売上原価は売上高の増加に伴い、89億円(構成比100%)となっています。
■(3) セグメント収益
コンベヤ事業ではメンテナンス等の需要が拡大し大幅な増収となりました。ロボットSI事業も大型案件の獲得により売上を大きく伸ばしています。環境プラント事業は端境期等の影響で横ばいで推移しました。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| コンベヤ事業 | 79億円 | 102億円 |
| 環境プラント事業 | 22億円 | 21億円 |
| ロボットSI事業 | 10億円 | 14億円 |
| 連結(合計) | 111億円 | 137億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、本業で稼いだ資金で投資を行いながら借入金の返済も進める健全型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 17億円 | 8億円 |
| 投資CF | -12億円 | -1億円 |
| 財務CF | 5億円 | -6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.9%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
創業以来の「社会発展の基盤づくりの精神(企業DNA)」を踏襲しつつ、ミッションに「ソリューションの創造」、ビジョンに「世の中の不をなくす」を掲げています。これらに基づき、「発見を、発展へ(Discovery to Development)」を企業スローガンとして表明しています。
■(2) 企業文化
すべては現場を基本としたリアルから見出し、まだ顧客にない視点での課題の「発見」から、不をなくすソリューションを通じて「発展」へと繋げていくことを重視しています。多様なステークホルダーと対話し、信頼関係を構築する決意を明確にしています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な事業の成長のため、グループ全体として「売上高・営業利益・営業利益率・ROE」、コンベヤカンパニーでは「ソリューション売上高、ソリューション売上高比率」、環境エネルギーカンパニー及びロボットSIカンパニーでは「受注高、営業利益」をそれぞれKPIとして定めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
コンベヤカンパニーではソリューション提案とメンテナンス事業の拡充を図り、海外は東南アジア市場への展開を加速させます。環境エネルギーカンパニーはワンストップ体制を強化し、エネルギー領域まで対応します。ロボットSIカンパニーでは食品・医薬品領域を中心にソリューション提供を拡大します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
社員一人ひとりを「人財」として捉え、その価値を最大限に引き出すことを通じて企業価値と個人価値の向上を図ります。中期経営計画では「人的資本強化」を重点テーマとし、従業員エンゲージメントの向上、多様な働き方の実現、フレキシブルなキャリア形成支援、評価制度の再構築などに取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 43.6歳 | 10.5年 | 5,587,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 87.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 67.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 68.6% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 74.8% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 訴訟に関するリスク
取引先とのトラブルの発生等、何らかの問題が生じた場合には係争や訴訟に発展する可能性があり、その内容及び結果によっては、同社グループの事業及び業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(2) ITシステムリスク
既存システムの老朽化や属人化による維持管理への悪影響のほか、事故やサイバー攻撃等による情報システムの停止や個人情報の漏洩などが発生した場合、同社グループの事業継続や社会的信用に影響を与える懸念があります。
■(3) M&A等の活用と買収後リスク
コンベヤ、環境エネルギー、ロボットSIの各領域拡大に向け、M&Aを戦略的手段として推進していますが、買収後に事業計画通りに進展しなかった場合には、同社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。



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