※本記事は、バリュークリエーション株式会社の有価証券報告書(第17期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. バリュークリエーションってどんな会社?
マーケティングDX事業と不動産DX事業を柱に、レガシー業界のデジタル化支援やプラットフォーム運営を行う企業です。
■(1) 会社概要
2008年にマーケティング事業を目的として設立されました。2014年に広告プラットフォーム「Vasta」をリリースし、2017年には車査定関連事業を開始(後に譲渡)するなど事業を多角化しています。2020年に解体工事マッチングサービス「解体の窓口」を開始し、不動産DX領域へ本格参入しました。2023年11月に東証グロース市場へ上場を果たしています。
同社(単体)の従業員数は58名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社である合同会社ひまわりで、第2位は創業社長の個人保有となっています。第3位には旅行事業などを展開する事業会社が名を連ねており、創業者が経営権を安定的に保持する株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社ひまわり | 56.50% |
| 新谷晃人 | 4.98% |
| エアトリ | 1.98% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名、計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は新谷晃人が務めています。社外取締役比率は14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 新谷 晃人 | 代表取締役社長 | 2005年4月アドデジタル入社。2008年4月同社設立とともに代表取締役社長に就任し、現在に至る。 |
| 大坂谷 優介 | 取締役 | 2007年4月ファーストチャージ入社。2012年7月同社入社。2019年3月執行役員を経て、2020年12月より現職。 |
| 前田 重実 | 取締役 | 1988年有限会社本間興業入社。複数の企業勤務を経て、2005年FOUR★STAR設立し代表就任。2024年8月より現職。 |
社外取締役は、中山寿英(公認会計士・税理士中山寿英会計事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「マーケティングDX事業」および「不動産DX事業」を展開しています。
■(1) マーケティングDX事業
検索連動型広告、ディスプレイ広告、インフィード広告などの運用型広告を中心としたプロモーション手法を用い、顧客のWebサイトへの集客支援を行います。顧客の課題抽出から戦略立案、広告運用までを一貫して実施し、特にDX化が遅れているレガシー業界への支援に注力しています。
収益は、顧客に対するマーケティング支援サービスの対価として受け取る広告運用代行手数料などが主な源泉です。広告レポート自動生成ツール「Vasta」の提供なども含め、運営は同社が行っています。
■(2) 不動産DX事業
解体工事を行いたいユーザーと解体業者をマッチングするプラットフォーム「解体の窓口」などを運営しています。物件情報をもとに複数の業者から見積もりが届く逆オークション形式を採用し、専門コンシェルジュによるサポートも提供しています。
収益は、マッチング成立時に解体業者から受け取る手数料や、不動産仲介会社等への紹介手数料などが主な源泉です。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は5期連続で増加しており、事業規模の拡大が続いています。一方、利益面では投資や費用の増加に伴い変動が見られ、直近の2025年2月期は増収ながらも経常利益、当期純利益ともに減益となりました。利益率は低下傾向にあります。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 21億円 | 24億円 | 28億円 | 29億円 | 34億円 |
| 経常利益 | 0.0億円 | 0.3億円 | 1.2億円 | 1.7億円 | 1.3億円 |
| 利益率(%) | 0.2% | 1.2% | 4.3% | 5.7% | 3.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.2億円 | 0.2億円 | 0.9億円 | 1.1億円 | 0.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益も伸長しましたが、販売費及び一般管理費の増加率が売上総利益の増加率を上回ったため、営業利益は減少しました。事業拡大に伴うコスト増が利益を圧迫している構造が見て取れます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 29億円 | 34億円 |
| 売上総利益 | 10億円 | 11億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.9% | 32.0% |
| 営業利益 | 1.7億円 | 1.2億円 |
| 営業利益率(%) | 5.9% | 3.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.9億円(構成比40%)、支払手数料が1.3億円(同13%)を占めています。売上原価については、外注費が23億円(構成比100%)を占めており、外部リソースの活用が費用の大半を構成しています。
■(3) セグメント収益
主力のマーケティングDX事業は堅調に推移し、増収増益を達成しました。不動産DX事業は売上が前期比約1.9倍と大きく伸長し、利益面でも黒字転換を果たしました。全社費用の増加が全体の利益を押し下げていますが、各事業自体は成長しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| マーケティングDX事業 | 28億円 | 32億円 | 6億円 | 6億円 | 19.3% |
| 不動産DX事業 | 1億円 | 2億円 | -0.2億円 | 0.0億円 | 0.4% |
| 連結(合計) | 29億円 | 34億円 | 1.7億円 | 1.2億円 | 3.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保を基本方針としています。営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却等による資金の増減を表します。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払い等による資金の増減を示しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.3億円 | 2.3億円 |
| 投資CF | -0.9億円 | -2.6億円 |
| 財務CF | 1.4億円 | -0.5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「従業員満足度と顧客満足度を高めて日本と世界をより良くする会社を創る」を企業理念として掲げています。多角的なソリューション提案を通じてクライアントの「企業価値と利益を最大化すること」を達成し、自社の企業価値の最大化も目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、持続的な事業収益の拡大のために人材開発・育成が不可欠であると考えています。従業員の心理的安全性を重視した社内コミュニケーションの制度設計や教育制度の充実に取り組み、個々人の能力開発を強化することで、高い生産性を発揮できる組織体制の構築を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、事業の拡大および収益性の向上を表す指標として、以下の項目を重視した経営を行っています。中期的な事業拡大と収益向上により、企業価値と株主価値の向上を図る方針です。
* 売上高
* 売上総利益
* 営業利益
* 取引社数
* 継続率(マーケティングDX事業における指標)
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、マーケティングDX事業の持続的成長と不動産DX事業の更なる展開、新たなDX領域への進出を目指しています。既存事業ではサービス品質の向上と顧客基盤の拡大を図りつつ、不動産領域では解体需要の増加に対応し、自治体との連携やクロスセルを強化して収益拡大に努める方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業の持続的成長のためには高付加価値サービスを提供できる人材の確保と育成が不可欠であるとし、積極的な採用活動と教育・研修体制の充実を進めています。従業員の心理的安全性を重視した環境整備や能力開発支援を通じて、組織への定着と生産性向上を図る方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 32.0歳 | 4.0年 | 5,954,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インターネット広告市場の動向
主力事業が属するインターネット広告市場は拡大傾向にありますが、法的規制の導入や技術革新、競合激化などが事業に影響を与える可能性があります。特にCookie規制の強化が進む中、広告配信への影響が懸念されます。同社は市場動向を注視し、柔軟に対応できる体制構築に努めています。
■(2) 特定の取引先への依存
マーケティングDX事業において、ジー・プランとの取引が売上高の一定割合を占めており、売上債権の割合も大きくなっています。取引先の経営状況の変化や取引方針の見直しがあった場合、業績や資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。同社は他社への売上拡大による依存度の低減を図っています。
■(3) 不動産市場の動向
不動産DX事業において、景気後退や金利上昇、住宅税制の変更などが解体工事や不動産需要に影響を与える可能性があります。また、法的規制(建設業法など)の改正や行政処分が行われた場合、事業活動が制約を受けるリスクがあります。同社は市場動向の注視とコンプライアンス遵守に努めています。
■(4) 人材の確保及び育成
事業成長には優秀な人材の確保と育成が不可欠ですが、計画通りに進まない場合、競争力の低下や事業拡大の制約要因となる可能性があります。同社は積極的な採用と教育・研修体制の強化により、人材の定着と早期戦力化に取り組んでいます。



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