※本記事は、バリュークリエーション株式会社の有価証券報告書(第18期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. バリュークリエーションってどんな会社?
マーケティングDXと不動産DXを主軸に、集客課題の解決や解体業者のマッチングプラットフォームを展開する企業です。
■(1) 会社概要
2008年4月にバリュークリエーションを設立し、マーケティング事業を開始しました。2020年7月に不動産DX事業の柱となる「解体の窓口」サービスを立ち上げ、2023年11月に東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。2024年に一般建設業の許可を取得し、2025年には事業譲受により領域を拡大しています。
単体での従業員数は66名です。筆頭株主は同社代表の資産管理会社である合同会社ひまわりで、第2位は創業者の新谷晃人氏となっており、経営陣が上位を占める構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社ひまわり | 56.50% |
| 新谷晃人 | 4.98% |
| 西田憲司 | 1.48% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は新谷晃人氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 新谷晃人 | 代表取締役社長 | 2005年4月にアドデジタルへ入社。2008年4月に同社を設立し、代表取締役社長に就任。現在に至る。 |
| 大坂谷優介 | 取締役 | 2007年4月にファーストチャージへ入社。2012年7月に同社へ入社し、執行役員等を経て、2020年12月より現職。 |
| 乗冨健矢 | 取締役 | 2010年4月にニトリへ入社。2016年9月に同社へ入社し、専務執行役員等を経て、2026年5月より現職。 |
| 前田重実 | 取締役 | 1988年4月に本間興業へ入社。2005年1月にFOUR★STARを設立し代表就任。2024年8月より現職。 |
社外取締役は、中山寿英(みなとグローバル代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「マーケティングDX事業」および「不動産DX事業」を展開しています。
■(1) マーケティングDX事業
運用型広告を中心とするプロモーション手法を通じ、顧客のWebサイトへの集客課題抽出から戦略立案、広告運用までを一貫して提供しています。特に既存の商習慣などによりDX化が遅れているレガシー業界を主な対象としています。
顧客からの広告運用手数料などを主な収益源としています。事業の運営は同社が単独で行っており、創業以来蓄積した業種特有のノウハウを活かして約97%という高い取引継続率を維持しています。
■(2) 不動産DX事業
「解体の窓口」や「解体エージェント」などの自社メディアを運営し、物件を解体したいユーザーと解体業者をマッチングしています。複数の見積もりから最安値を入手できる逆オークション形式を採用し、オンラインで完結できるのが特徴です。
解体業者からのマッチング手数料や、法人向け解体工事の元請け受注による収益を柱としています。建て替え等を見据えた不動産会社への紹介手数料も得ており、事業の運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は、事業規模の拡大により23億円から31億円へと順調に成長しています。一方、利益面では2025年2月期まで安定した経常利益を確保していましたが、2026年2月期は先行投資や不適切取引に係る調査費用等の影響により、経常利益および当期利益が赤字に転じています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 23億円 | 25億円 | 27億円 | 31億円 | 31億円 |
| 経常利益 | -1.3億円 | 1.3億円 | 2.5億円 | 2.8億円 | -0.7億円 |
| 利益率(%) | -5.6% | 5.0% | 9.4% | 9.2% | -2.4% |
| 当期純利益 | -1.4億円 | 0.9億円 | 1.7億円 | 1.2億円 | -2.6億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期を比較すると、売上高は横ばいながら売上総利益は増加し、売上総利益率も改善しています。しかし、事業規模拡大に伴う人員増加や貸倒引当金の繰入により販売費及び一般管理費が大きく増加したため、営業赤字幅が拡大する結果となりました。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 31億円 | 31億円 |
| 売上総利益 | 7億円 | 8億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.0% | 25.8% |
| 営業利益 | -2.3億円 | -4.2億円 |
| 営業利益率(%) | -7.6% | -13.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5億円(構成比39%)、支払手数料が2億円(同16%)、貸倒引当金繰入額が1億円(同8%)を占めています。売上原価は外注費が23億円で大半を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のマーケティングDX事業は既存顧客からの受注増と新規顧客の獲得により堅調に推移したものの、セグメント利益は減少しました。不動産DX事業はマッチングサービスの認知拡大に伴い大幅な増収となりましたが、顧客獲得のための先行投資費用がかさみ赤字となっています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益(2026年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| マーケティングDX事業 | 29億円 | 28億円 | 3億円 | 1億円 | 4.6% |
| 不動産DX事業 | 2億円 | 3億円 | 0.1億円 | -0.2億円 | -6.6% |
| 調整額 | -億円 | -億円 | -5.0億円 | -5.3億円 | -% |
| 連結(合計) | 31億円 | 31億円 | -2.3億円 | -4.2億円 | -13.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続している状況です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.4億円 | -1.8億円 |
| 投資CF | -2.6億円 | -1.8億円 |
| 財務CF | -0.5億円 | 3.5億円 |
財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は2.1%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「従業員満足度と顧客満足度を高めて日本と世界をより良くする会社を創る」を企業理念に掲げています。多角的なソリューション提案を通じてクライアントの「企業価値と利益を最大化すること」を達成し、自社の企業価値の最大化を目指しています。
■(2) 企業文化
従業員の心理的安全性を重視した社内コミュニケーションの制度設計や教育制度の充実を図るなど、個人の能力開発に注力しています。従業員満足度を高めることが顧客満足度向上につながるとの認識のもと、高い生産性を発揮できる組織体制の構築を推進する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は、事業の拡大及び収益性の向上を表す指標として、売上高、売上総利益、営業利益、取引社数、継続率を重視しています。中期的な事業拡大と収益向上を実現することで、企業価値と株主価値の向上を図る方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
マーケティングDX事業では、各業界の課題を的確に把握し、最適なソリューションを提供し続けることで競争力を強化します。不動産DX事業では国や自治体との連携体制を構築し、潜在的な解体需要を取り込むことで収益拡大を図ります。また、高い専門性を有する人材の確保や、内部管理体制の強化にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業の持続的な成長を実現するためには、高付加価値のサービスを提供できる人材の確保と育成が不可欠と考えています。中途・新卒を合わせた積極的な採用活動を展開するとともに、心理的安全性を重視した社内コミュニケーションの制度設計や教育制度を充実させ、組織への長期的な定着を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 33.5歳 | 4.4年 | 6,160,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インターネット広告市場の動向と法的規制
インターネット広告市場の環境整備やCookie等の新たな法的規制が導入された場合、広告による集客に支障をきたし、同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、薬機法や景品表示法などの法的規制の変更による影響も想定されます。
■(2) 新規事業の展開に伴う投資回収リスク
積極的な新サービスや新規事業の展開により、システムへの先行投資や広告宣伝費、人件費等の追加的な支出が発生します。事業が計画通りに進まない場合には投資を回収できず、減損損失の計上が必要になる等、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 内部統制と継続企業の前提に関する重要事象
過去の取引先との間で架空循環取引の疑いに巻き込まれたことによる影響で、営業損失等を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義が生じる事象が存在しています。現在は内部統制の強化に加え、収益改善や財務基盤安定化等の対策を進めています。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。