※本記事は、フォルシアの有価証券報告書(第25期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フォルシアってどんな会社?
旅行・観光業界向けのデータ流通を担うビジネスハブとして、デジタルビジネスプラットフォームを展開しています。
■(1) 会社概要
2001年にフォルシアを設立しました。2002年にWebアプリケーション「おまかせ!じゃらんナビ」をリリースし、2005年には独自の検索技術基盤であるSpookの第一号案件を獲得しました。2020年に商品販売プラットフォームのwebコネクトの第一号案件を獲得し、2024年に東京証券取引所グロース市場に上場しました。
単体で140名の従業員が在籍しています。筆頭株主は創業者の屋代哲郎氏で、第2位も創業者の屋代浩子氏です。第3位には自社の社員持株会が名を連ねており、経営陣と従業員による保有比率が高い資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 屋代哲郎 | 33.01% |
| 屋代浩子 | 32.87% |
| フォルシア社員持株会 | 8.96% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長は屋代浩子氏が務めています。また、取締役6名中、社外取締役は1名です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 屋代浩子 | 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO) | 野村證券、ゴールドマン・サックス証券を経て2001年フォルシア設立。代表取締役社長を経て2026年3月より現職。 |
| 屋代哲郎 | 代表取締役 最高執行責任者(COO) | 野村證券、モルガン・スタンレー証券を経て2001年フォルシア入社。代表取締役COOを経て2026年3月より現職。 |
| 山田尚紀 | 常務取締役 経営戦略担当 | 全日空商事、ANAセールスを経て2005年フォルシア入社。営業部長、取締役を経て2026年3月より現職。 |
| 三坂紀 | 取締役 経営管理担当 | 全日空商事、ANAセールスを経て2007年フォルシア入社。営業部長、業務本部長を経て2026年3月より現職。 |
| 大西孝明 | 取締役 事業推進担当 | 日本通運、JTBなどを経て2011年フォルシア入社。営業部長、営業本部長を経て2026年3月より現職。 |
社外取締役は、稲岡研士(元全日本空輸上席執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、単一セグメントとしてデジタルビジネスプラットフォーム事業を展開しています。
独自の検索技術基盤「Spook」を活用し、複雑なデータ環境においてユーザーが目的とする情報に迅速に到達できるシステム開発やコンサルティングを行っています。また、旅行・観光業界向けの商品販売・業務管理プラットフォーム「webコネクト」や、観光素材の提供者と販売事業者を接続する「valueコネクト」を展開しています。
収益は、基幹システムの構築やカスタマイズに伴う開発収益と、システム稼働後の運用保守費や利用料による月額収益で構成されています。顧客の要件に応じたソリューション型サービスと共同利用型のSaaS型サービスを提供しており、事業運営はフォルシアが単独で行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の売上高は増加傾向で推移していましたが、当期は減収に転じました。経常利益は変動が見られ、当期は大型案件に向けた開発体制の拡充などの先行投資や、一部案件の収益認識時期の後ろ倒しなどが影響し、大幅な減益となっています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 17億円 | 21億円 | 19億円 | 23億円 | 22億円 |
| 経常利益 | 0.5億円 | 1.1億円 | 1.4億円 | 2.0億円 | 0.7億円 |
| 利益率(%) | 3.3% | 5.0% | 7.2% | 8.6% | 3.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.3億円 | 1.3億円 | 1.0億円 | 1.3億円 | 0.5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に加え、品質向上や新機能開発に向けた先行投資で売上原価が増加したことにより、売上総利益率は低下しています。販売費および一般管理費は減少したものの、売上原価増の影響が大きく、営業利益率は大きく低下しました。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 23億円 | 22億円 |
| 売上総利益 | 12億円 | 11億円 |
| 売上総利益率(%) | 53.5% | 48.3% |
| 営業利益 | 2.2億円 | 0.7億円 |
| 営業利益率(%) | 9.3% | 3.3% |
販売費および一般管理費のうち、給与手当が4.2億円(構成比43%)、役員報酬が1.0億円(同10%)を占めています。売上原価については、外注費や地代家賃などの経費が8.1億円(構成比63%)、労務費が4.8億円(同37%)となっています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業といえる健全型のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.3億円 | 1.8億円 |
| 投資CF | -1.1億円 | -1.2億円 |
| 財務CF | 3.6億円 | 0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は92.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
フェアネスを追求する企業として、インターネット上に存在する有益な情報を円滑に流通させることを企業活動の根幹に据えています。商品やビジネスの本質的な価値を正確に伝え、ユーザーが自信を持って意思決定できる「フェアな世界」の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
社員が継続的に自己研鑽を重ね、価値を発揮できる人材の育成を目指しています。「より速く、より高く、より強く」という社名の由来のもと、社員同士が相互に刺激を受けながら切磋琢磨する風土が醸成されています。公正な評価と報酬への納得感を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高および売上高営業利益率を最も重要なものと位置付けています。また、重要な指標として、SaaS型サービスである「webコネクト顧客数」および「エンジニア稼働一日当たり売上高」を継続的にモニタリングしています。
■(4) 成長戦略と重点施策
独自のデータ処理技術を中核とし、旅行・観光業界における複雑な情報流通を支えるシステム基盤を提供することで、業界全体の効率化と価値創出に貢献する方針です。サプライヤーとセラーを接続するマーケットプレイスの基盤を提供する「データ流通のビジネスハブ」として、業界横断のインフラへと進化させる構想を描いています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
ビジネスおよびシステムの全体構造を理解し、価値を実現できるフルスタック人材を人材戦略の中核に据えています。社員が自ら企画・運営するボトムアップ型の研修が活発に行われているほか、社員同士が互いの貢献を評価し合う賞与相互査定制度を導入し、個人の努力や成果が公正に評価される仕組みを整備しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 36.7歳 | 5.9年 | 7,024,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表項目として選択していないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済動向および市場環境の変化
主要顧客である旅行・観光業界の企業において、地政学的緊張や国際紛争、エネルギー価格の高騰などにより旅行需要が減少し、IT投資意欲が減退した場合、新規案件の獲得停滞や既存顧客からの受注減少が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 一部大口顧客への依存
同社の売上高は一部の大口顧客への依存度が相対的に高く、大口顧客の投資計画や事業方針の変化、取引関係の縮小または終了などが生じた場合、売上高および利益に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 個別開発に伴う売上計上の期ずれ
個別開発や初期開発を伴う案件において、顧客側の検討期間の長期化や要件確定の遅延、仕様変更、開発スケジュールの見直しなどにより、売上および利益の計上時期が変動し、各四半期や年度の業績に影響を与える可能性があります。
■(4) システム品質の低下
提供するシステムは顧客の基幹業務や販売業務に直結しており、開発規模の大型化や要件の高度化に伴い、品質不良や仕様不整合、納期遅延などが発生した場合、追加コストや損害賠償、将来の受注機会喪失などにつながる可能性があります。



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