※本記事は、フォルシア株式会社 の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
フォルシアは、旅行・観光業界のデータ流通を担うデジタルビジネスプラットフォーム事業を展開しています。独自の検索技術基盤「Spook」を軸に、システム開発やサービス提供、コンサルティングを通じて、インターネット上の有益な情報を円滑に流通させています。
単体従業員数は140名です。同社はデジタルビジネスプラットフォーム事業の単一セグメントです。
フォルシアは、旅行・観光業界のデータ流通を担うビジネスハブとして、デジタルビジネスプラットフォーム事業を展開しています。検索テクノロジーを基盤としたシステム開発やサービス提供、コンサルティングを通じて、インターネット上の有益な情報を円滑に流通させています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
フォルシアは、デジタルビジネスプラットフォーム事業を展開する企業として、専門性の高い人材が活躍できる環境を提供しています。社員一人ひとりの成長と能力発揮を重視し、公正な評価と働きやすい環境づくりに力を入れていることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、社員が長期的にキャリアを築きながら活躍できるような環境が整備されていることがうかがえます。平均勤続年数や平均年齢から、比較的若手から中堅層の社員が中心となって事業を推進している傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,024,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.9年 |
| 平均年齢 | 36.7歳 |
| 単体従業員数 | 140人 |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、「フェアネス」という価値観のもと、人材を最も重要な経営資源と位置付けています。高度な専門的知識、技能及び経験を有する多様な人材の確保と育成が不可欠であると認識し、人材戦略と社内環境整備を推進しています。
具体的には、ビジネスとシステムの全体構造を理解し、価値を実現できる「フルスタック人材」を人材戦略の中核に据えています。新卒採用とキャリア採用を組み合わせ、フルスタック人材の育成を前提とした人材ポートフォリオの構築を進めています。
社員の主体的な学びを積極的に支援し、「より速く、より高く、より強く」という考え方のもと、自己研鑽を重ねることを奨励しています。人事部門主導の研修に加え、社員が企画・運営するボトムアップ型の研修・勉強会が活発に行われています。
また、「技術は売れて初めて価値となる」という考えのもと、顧客に提供すべき価値を起点とした提案活動やプロダクト開発を重視し、OJT等を通じた実践的な人材育成を行っています。公正な評価と報酬への納得感を醸成するため、社員同士が互いの貢献を評価し合う賞与相互査定制度を導入しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表項目として選択しておらず、公表されていません。提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員の離職率 | 11.5% |
当事業年度は、社員がキャリアの新たな挑戦を社外に求めるケースが多く、目標達成には至りませんでした。社員の成長意欲の高まりと捉えつつも、今後は社内でのキャリアパスやスキルアップの機会をさらに充実させることで、離職率の抑制とエンゲージメントの向上に取り組んでいく方針です。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
フォルシアは、旅行・観光業界のデータ流通を担うデジタルビジネスプラットフォーム事業を展開しています。独自の検索テクノロジーを基盤に、システム開発やサービス提供、コンサルティングを通じてビジネス機会の拡大と付加価値向上に貢献しています。
同社はデジタルビジネスプラットフォーム事業の単一セグメントで事業を展開しています。複雑なデータ環境において、ユーザーが目的とする情報に迅速に到達できる状態を実現し、ビジネス機会の拡大と付加価値の向上に貢献することを事業の本質としています。創業当初から独自の検索技術基盤「Spook」を軸に、業界固有の課題や個別顧客のニーズに対応してきました。
近年では、事業領域を「検索」から「業務基盤」、さらに「データ流通基盤」へと拡張しています。特に旅行・観光業界においては、商品販売・業務管理を担うプラットフォーム「webコネクト」に加え、観光素材の提供者と販売事業者を接続する「valueコネクト」を展開し、業界全体のデータ流通を支える基盤の構築を推進しています。同社の収益は、顧客ごとの要件に応じた個別ソリューションを提供する「ソリューション型サービス」と、共同利用型の「SaaS型サービス」の二軸で構成されています。
いずれの提供形態においても、主として開発収益と月額収益により構成されています。開発収益は基幹システムの構築や導入時の設定・カスタマイズ等に係る対価であり、プロジェクトの進捗に応じて収益計上されます。月額収益はシステム稼働後の運用保守費やライセンス使用料、サービス利用料等により構成され、導入顧客数の増加にともなって安定的に積み上がる収益です。
同社は、顧客規模及び提供するサービス内容に応じて、事業をエンタープライズ、スタンダード、ベーシックの3つの区分で展開しています。エンタープライズ領域では、大手旅行会社向けに「webコネクト」を中心に高度なカスタマイズを伴う基幹システムの構築を行っています。スタンダード領域では、中堅事業者を中心に「webコネクト」を活用した販売・業務基盤を提供しています。ベーシック領域では、小規模事業者向けに標準化された共同利用型サービスを提供し、幅広い事業者のビジネスのデジタル化を支援しています。
同社は、これらの顧客基盤の拡大及びデータ流通の活性化を通じて、「valueコネクト」を活用した成果連動型(テイクレート型)収益を獲得することを目指しています。同社は本邦以外の外部顧客への売上高がないため、海外比率に関する記載はありません。主要な取引先としては、クラブツーリズム、JTB、日本旅行が挙げられます。
サービス区分別の販売実績では、SaaS型サービスの月額収益が前期から増加しています。一方、ソリューション型サービスとSaaS型サービスの開発収益、およびソリューション型サービスの月額収益は前期から減少しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
フォルシアの直近の業績は、売上高と各利益において前期から減少する結果となりました。これは、一部大型案件における収益認識タイミングの見直しにより、売上計上が翌事業年度に期ずれしたことが主な要因です。また、大型案件の開発着手を見据えた開発体制の拡充や、プロダクトの品質向上に向けた先行的な取り組みにより売上原価が増加したことも、利益減少に影響を与えています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、事業活動を通じて資金を獲得し、将来に向けた投資も行っています。財務基盤の健全性を保ちながら、事業の成長を支える資金の流れが確認できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって強固な状態を示しています。自己資本比率は90%を超える水準であり、これはプライム市場平均と比較しても非常に高い水準です。手元資金も12億円を超えており、不測の事態にも対応できる耐性があることを示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっています。このような財務状況は、同社が安定した経営基盤の上で事業を継続していくことを示しており、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 19.4億円 | 19.9億円 |
| 自己資本比率 | 88.5% | 92.3% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 2.5% |
| 現金及び現金同等物 | 12.3億円 | 12.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが当期に増加し、1.8億円の資金を獲得しています。これは主に税引前当期純利益の計上や売上債権・契約資産の減少によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、無形固定資産の取得による支出が増加し、1.2億円の資金を使用しています。これは将来に向けた継続的なソフトウェア開発投資を示しています。財務活動によるキャッシュフローは、前期に資金を獲得していましたが、当期は資金の動きがありませんでした。結果として、フリーキャッシュフローは前期のマイナスから当期はプラスに転換し、0.6億円の余剰資金を生み出しています。この資金の流れは、同社が本業で安定的に資金を生み出し、成長のための投資も継続しながら、財務的な健全性を保っていることを示しており、入社後の安定性や成長性につながる基盤があると言えます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 28百万円 | 181百万円 |
| 投資CF | △111百万円 | △124百万円 |
| 財務CF | 355百万円 | 0百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △84百万円 | 57百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、売上高の一部を大口顧客に依存している状況です。大口顧客の投資計画や事業方針の変化、取引関係の縮小等が生じた場合、売上高や利益に影響を及ぼす可能性があります。また、重点領域である旅行・観光業界では国内外の競合企業が多数存在し、競争環境の変化が継続しています。これにより、顧客企業の投資余力低下や投資方針の見直しにつながる可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社の事業継続と成長には、高いスキルを持つ技術者やプロジェクトマネジメント人材の確保が不可欠です。採用競争の激化や離職率の上昇により、必要な人材を計画どおり確保・育成できない場合、開発力の低下や成長機会の逸失を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
フォルシアは「フェアネス」を追求し、インターネット上に存在する有益な情報を円滑に流通させることを企業活動の根幹に据えています。旅行・観光業界を中心に、独自の検索技術とデータ処理基盤で顧客の課題解決と事業成長に貢献しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、インターネット上の有益な情報を円滑に流通させ、商品やビジネスの本質的な価値を正確に伝えることで、ユーザーが自信を持って意思決定できる「フェアな世界」の実現を目指しています。この理念のもと、独自の検索技術を基盤としたシステム開発やサービス提供、コンサルティングを通じて顧客の課題解決と事業成長に貢献することを経営方針としています。
同社のビジョンは、あらゆる情報をなめらかにつなぎ、顧客や世界中のユーザーとの間に「フェア」で持続可能な関係を築くことです。旅行・観光業界におけるデータ流通基盤の構築を通じて、サプライヤーとセラーがシームレスに接続されるマーケットプレイスの実現を目指しており、将来的には業界横断の取引インフラへと進化させていく構想を描いています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は「フェアネス」という価値観のもと、情報や価値が適切に評価される世界の実現を目指しています。人材を最も重要な経営資源と位置付け、高度な専門的知識、技能、経験を有する多様な人材の確保及び育成が不可欠であると認識しています。ビジネス及びシステムの全体構造を理解し、最適な形で価値を実現できる「フルスタック人材」を人材戦略の中核に据えています。
社員一人ひとりが継続的に自己研鑽を重ね、DX化が進む社会において価値を発揮できる人材の育成を目指しており、社員の主体的な学びを積極的に支援しています。人事部門主導の研修に加え、社員が自ら企画・運営するボトムアップ型の研修・勉強会が活発に行われる風土が醸成されています。また、「技術は売れて初めて価値となる」という考えのもと、顧客に提供すべき価値を起点とした提案活動やプロダクト開発を重視し、OJT等を通じた実践的な人材育成を行っています。
人材の定着にあたっては、「公正な評価及び報酬への納得感」を醸成し、社員が価値創出に向けて自らの役割を拡張し続けられる環境を整備することが重要であると考えています。社員同士が互いの貢献を評価し合う賞与相互査定制度を導入し、個人の努力や成果がより公正に評価される仕組みを整備しています。業務面では上長とメンバーによる1on1、労務面では時短勤務等の柔軟な働き方を可能とするとともに、育児休業を取得しやすい職場風土の醸成に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、持続的な事業成長とプロダクトの高度化を実現するため、専門性の高い人材の確保・育成に加え、開発リソースの最適な配置を重要な課題と認識しています。今後は、社員の採用・育成に加え、外部の開発パートナーとの連携を含めたリソースの最適化を進め、柔軟かつ高効率な開発体制を構築する方針です。
また、事業の成長に伴い、経営の健全性及び透明性を確保するため、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化を重要な課題としています。内部統制の運用状況の継続的な検証及び改善を通じて、経営資源の適切な配分及びリスク管理の強化を推進し、上場企業として求められるガバナンス体制のさらなる高度化に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
フォルシアは、取締役会と監査役会、会計監査人が相互に連携する体制を採用しています。これにより、経営の効率性、健全性、透明性の向上を図り、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
フォルシアの株主構成を見ると、創業家が上位を占めています。代表取締役の屋代哲郎氏と代表取締役社長の屋代浩子氏が主要な株主であり、同社の経営に強い影響力を持つ支配株主に該当します。また、フォルシア社員持株会も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 屋代 哲郎 | 33.01% |
| 屋代 浩子 | 32.87% |
| フォルシア社員持株会 | 8.96% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長は屋代浩子氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 屋代 浩子 | 代表取締役社長 | 1988年4月野村證券株式会社入社、1993年4月ゴールドマン・サックス証券会社入社、2001年3月同社設立、代表取締役社長、2026年3月代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)より現職。 |
| 屋代 哲郎 | 代表取締役 | 1987年4月野村證券株式会社入社、1994年9月モルガン・スタンレー証券会社入社、2001年8月同社入社、2026年3月代表取締役 最高執行責任者(COO)より現職。 |
| 山田 尚紀 | 常務取締役 | 1987年4月全日空商事株式会社入社、2005年8月同社入社、2009年5月取締役就任、2018年3月常務取締役就任、2026年3月常務取締役 経営戦略担当就任より現職。 |
| 三坂 紀 | 取締役 | 1992年4月全日空商事株式会社入社、2007年11月同社入社、2018年5月取締役業務本部長就任、2026年3月取締役経営管理担当就任より現職。 |
| 大西 孝明 | 取締役 | 1996年4月日本通運株式会社入社、2011年2月同社入社、2018年5月取締役営業本部長就任、2026年3月取締役事業推進担当就任より現職。 |
社外取締役は、稲岡研士氏(新東京国際空港株式会社代表取締役社長)です。社外監査役は、吉村龍吾氏(賢誠総合法律事務所)、西村健氏(株式会社エーティーエス顧問)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役は客観的かつ中立的な立場から経営に有用な助言を行う役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
フォルシアの役員報酬は、企業価値の持続的な向上と株主利益との連動を基本方針としています。現時点では固定報酬としての基本報酬を支払い、月例の固定報酬と賞与で構成されています。業績連動報酬や非金銭報酬は設けていません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 86百万円 | 14.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 6百万円 | 6.5百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 10百万円 | 3.2百万円 |
同社の役員報酬の総額は1億220万円であり、報酬の支給対象となった役員の合計は10名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。