プログレス・テクノロジーズ グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プログレス・テクノロジーズ グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プログレス・テクノロジーズ グループは東京証券取引所グロース市場に上場し、製造業の設計開発領域に特化したソリューション事業を展開しています。最新の業績では、コンサルティング需要の増加やデジタルツイン等の展開により、売上収益は前期比で増収、営業利益も増益となるなど好調な推移を見せています。


※本記事は、プログレス・テクノロジーズ グループ株式会社 の有価証券報告書(第6期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. プログレス・テクノロジーズ グループってどんな会社?


同社グループは、製造業の設計開発プロセスの上流工程に特化し、デジタル化を支援する専門技術企業です。

(1) 会社概要


2005年にプログレス・テクノロジーズが設立され、大手メーカー向けにサービスを開始しました。2020年に持株会社として現在の同社が設立され、同社を子会社化しています。2023年にデジタルツイン事業を担うS&VLを設立し、2025年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしました。

現在の従業員数は連結で568名、単体で21名です。筆頭株主はジャフコグループが運営する投資ファンドであり、第2位株主も同グループのファンドとなっています。第3位には半導体等の事業を展開するウィンボンド・エレクトロニクスが名を連ねています。

氏名 持株比率
ジャフコSV6投資事業有限責任組合 36.38%
ジャフコSV6-S投資事業有限責任組合 9.09%
ウィンボンド・エレクトロニクス 6.61%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は中山岳人氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
中山 岳人 代表取締役 大塚商会、PTCジャパン、日本IBMを経て、2005年プログレス・テクノロジーズ入社。同社代表取締役等を経て、2023年3月より現職。
澤井 大輔 取締役 日本ペプシ販売、エディー・バウアー・ジャパンを経て、2005年プログレス・テクノロジーズ入社。同社管理本部長等を経て、2023年3月より現職。
長友 一郎 取締役 1998年ファナック入社。2007年プログレス・テクノロジーズに入社し、2020年同社取締役を経て、2023年3月より現職。


社外取締役は、平野雅昭(元SANKO MARKETING FOODS常勤監査役)、斎藤誠二(サントリーホールディングス)、平田肇(元ショーワ代表取締役専務)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デジタルソリューション事業」の単一セグメントを展開しています。

(1) ソリューション事業


メーカーの設計開発プロセスの構築から、最先端デジタルツールの導入・定着支援、さらには製品開発をプロジェクト単位で引き受けるサービスを提供しています。独自のコンサルティング手法を用いて熟練者の知見をデータ化し、企業の設計力強化やイノベーション創出を支援しています。

収益源は、顧客であるメーカーからの請負契約に基づくコンサルティング料やプロジェクト受託料です。企画構想から実装、運用定着までを一気通貫で支援する点に強みを持ち、運営はプログレス・テクノロジーズが行っています。

(2) デジタルツイン事業


最新のデジタル技術を活用し、仮想空間で試作や走行実験を行うサービスを提供しています。特に自動車業界向けに、高性能なドライビングシミュレータを用いたバーチャルテスト環境を構築し、開発リードタイムの短縮やコスト削減を実現しています。

収益源は、顧客メーカーとの請負契約に基づくバーチャルテストの実施や、高度なモデル開発に関わるコンサルティング料です。豊富な現場経験と実験技術を強みとしており、群馬県に技術研究所を構えるS&VLが運営を行っています。

(3) エンジニアリング事業


メーカーの設計開発領域に特化し、開発リソースの不足や技術課題の解決を支援するサービスを提供しています。メカ・エレキ・ソフトの各分野において、高度な専門技術を持ったエンジニアが顧客のプロジェクトチームの一員として業務を遂行します。

収益源は、顧客であるメーカーとの派遣契約に基づくエンジニアの役務提供に対する対価です。技術の高度化や設計者不足に悩むハイエンド領域の開発現場を対象としており、運営は主にプログレス・テクノロジーズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期の連結業績は、旺盛な企業のデジタル化投資を背景に売上収益が継続して拡大しています。利益面では、採用費や人材投資の増加、拠点新設に伴う費用により一時的な減益が見られたものの、直近の2026年2月期はソリューション事業が業績を牽引し、大幅な増収増益を達成しています。

項目 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上収益 48億円 51億円 56億円 63億円
税引前利益 11億円 10億円 9億円 17億円
利益率(%) 22.4% 19.5% 15.2% 27.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 7億円 6億円 12億円

(2) 損益計算書


売上収益の拡大とともに、営業利益も大幅に増加しています。利益率も大きく改善しており、提供するサービスの付加価値向上に伴って、より高い収益性を確保する体制へと移行しつつあることが読み取れます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上収益 56億円 63億円
売上総利益 4億円 15億円
売上総利益率(%) 7.3% 23.5%
営業利益 9億円 18億円
営業利益率(%) 16.2% 28.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が1.2億円、役員報酬が1.0億円となっています。

(3) セグメント収益


同社グループは「デジタルソリューション事業」の単一セグメントですが、コンサルティング等のソリューションサービスやデジタルツイン領域が好調に推移し、全社の売上および利益の拡大を強力に牽引しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
デジタルソリューション事業 56億円 63億円 9億円 18億円 28.3%
連結(合計) 56億円 63億円 9億円 18億円 28.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業で安定した資金を生み出しつつ、資金調達を行ってさらなる成長に向けた積極的な投資を続ける「積極型」の状況にあります。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は24.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は37.9%で市場平均を下回っています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 10億円 20億円
投資CF -3億円 -1億円
財務CF -6億円 6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


コーポレートスローガンとして「世界を進める、一歩を。」を掲げています。製品開発プロセスの上流工程である設計開発領域に特化し、メーカーへの新たな価値の提供と業界の変革に向けた取り組みを行っています。日本の製造業のグローバルマーケットにおけるプレゼンスを向上させ、社会全体の発展と成長を目指しています。

(2) 企業文化


専門性を高めながら顧客に伴走する姿勢を重視しています。「デジタルツイン」「xILS」「AI」「UX」「RPA」の5つをPT専門技術と定義し、技術レベルの向上やノウハウの蓄積、スペシャリストの育成に取り組んでいます。部門横断のワンストップソリューションを提供し、顧客の真の課題解決に貢献する文化が形成されています。

(3) 経営計画・目標


経営方針・経営目標を評価していくにあたり、同社グループは「ソリューション比率」を重要なKPIとして設定し、「ソリューション化」のスローガンのもと、その向上に取り組んでいます。

・連結売上収益成長率
・連結売上高総利益率
・連結営業利益率
・ソリューション比率

(4) 成長戦略と重点施策


ソリューション事業の強化に向け、主に3つの戦略を掲げています。自動車業界などで蓄積したノウハウの他業界への水平展開による顧客基盤の拡大、専門技術領域ごとの組織体制強化と人材育成、そして採用強化やグループ内異動を通じた人員の確保です。技術力とナレッジの蓄積を進め、高品質なソリューション提供による成長を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


製造業の設計プロセス改革を担うエンジニアを主とした人的資本投資を重要視しています。専門的知見や技術の獲得、課題発見・解決のためのコンサルテーションスキル、デジタルツールを活用するテクニカルスキルの習得に向けた教育プログラムを提供しています。また、明確なキャリアパスや働きやすい環境づくりを通じ、人材の定着化を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 37.7歳 7.5年 5,893,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.7%
男女賃金差異(全労働者) 66.8%
男女賃金差異(正規労働者) 71.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) -


※男性育児休業取得率、およびパート・有期労働者の男女賃金差異については、対象者がいない等の理由により「-」としています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 請負契約に関するリスク

ソリューション事業の一部は請負契約で受託しており、納期までに要求に沿ったソリューションを完成・納品する責任を負っています。要求の高度化・複雑化や短工期化が進む中で、見積もり通りにプロジェクトを完遂できず、損害賠償請求等が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) のれん・固定資産の減損に関するリスク

コーポレートストラクチャーの再構築によって生じた多額ののれんや、その他の固定資産を計上しています。今後、これらに関連する事業の収益性が低下し、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合には減損処理が必要となり、財務状態に影響を与える可能性があります。

(3) 情報管理とサイバー攻撃のリスク

サービス提供の過程で、顧客メーカーの未公表の開発情報や技術情報などの機密情報を取り扱います。サイバー攻撃や不正アクセス、人為的ミスによる情報漏洩が発生した場合、損害賠償の請求や社会的信用の失墜を招き、事業展開に重大な支障をきたす恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。