※本記事は、日本精鉱株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日本精鉱は、アンチモン事業と金属粉末事業を主軸に展開しています。同社グループは、各種プラスチック材料の難燃剤や触媒、電子部品用金属粉末などを製造・販売しています。
単体従業員数は86名、連結従業員数は263名です。事業セグメントはアンチモン事業、金属粉末事業、その他の3つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)日本アトマイズ加工.3(金属粉末事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本精鉱は、従業員の安定した雇用と成長を重視し、働きやすい環境づくりに積極的に取り組んでいます。給与水準は個人の職務内容や貢献度に応じて公平に決定され、多様な働き方を支援する制度も充実しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の長期的なキャリア形成を支援する環境が整っており、平均勤続年数から安定した定着傾向がうかがえます。年齢構成もバランスが取れており、幅広い世代の従業員が活躍していることが特徴です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,922,245円 |
| 平均勤続年数 | 16.8年 |
| 平均年齢 | 44.5歳 |
| 単体従業員数 | 86人 |
| 連結従業員数 | 263人 |
| 単体のグループ内比率 | 32.7% |
同社及び国内連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型制度と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型制度を採用しています。退職給付債務は5.0億円、年金資産は2.4億円となっています。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人財を企業価値向上の源泉と位置づけ、「社会との共存を図り、より豊かで快適な生活環境を創るために必要な物づくりの一翼を担うことに誇りを持って、たゆむことなく挑み続ける」人財の育成と、多様な人財が活躍できる働きやすい環境づくりを目標としています。環境に配慮し、安全を最優先としながら、高度な専門人財の育成と多様な人財の活躍推進を通じて持続的な成長を目指しています。
社員給与等は「公正な労働の対価」であると同時に「将来への戦略的投資」と捉え、職務内容、役割及び責任の大きさ、業績への貢献度、能力・経験等を総合的に勘案し、適正かつ公平に決定しています。給与体系は職責に応じた基本給を基礎とし、個人評価及び会社業績等を反映した賞与等で構成されており、透明性及び公平性の確保に努めています。退職金の補完として、譲渡制限付株式報酬制度も導入しています。
中期経営戦略では「グループ連携の更なる強化」と「人的資本の充実とESGへの取り組み」を基本方針に掲げています。これに基づき、e-learningの提供、1on1ミーティングの実施、資格手当制度、取締役候補育成計画、グループ合同研修などを通じた人財育成に注力しています。また、多様性の確保、時差出勤制度、在宅勤務制度、育児短時間勤務等の対象範囲延長やフォロー手当拡充といった仕事と育児の両立支援制度の拡充、労組との定期的な意見交換により、多様な人財が働きやすい環境づくりを進めています。安全教育の継続や法令を上回る健診費用の一部会社負担など、安全・健康への配慮も行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率は、育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 7.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 78.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 89.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うちパート・有期労働者) | 63.9% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 日本アトマイズ加工(株)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 79.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 79.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うちパート・有期労働者) | 78.5% |
任意開示指標
有給休暇取得率は、算定期間中の取得日数合計を付与日数合計で除して算出しています。
| 指標 | 実績(当連結会計年度) | 目標(2026年度) |
|---|---|---|
| 有給休暇取得率 | 82.3% | 80%以上(継続) |
| 平均残業時間 | 8.7時間 | 10時間未満(継続) |
| 管理職の中途採用者比率 | 67% | 50%以上(継続) |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
同社グループは、アンチモン事業と金属粉末事業を主軸に、幅広い産業分野に製品を供給しています。これらの事業を通じて、社会の多様なニーズに応える製品を提供し、収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、アンチモン製品の製造販売と金属粉末の製造販売を主要な事業としています。これらの製品は、プラスチック材料の難燃剤や電子部品、自動車部品など、多岐にわたる用途で使用されています。
アンチモン事業
同社は、各種プラスチック材料に添加される難燃剤やポリエステル、アクリル系樹脂の触媒等に使用される各種三酸化アンチモン、ブレーキ材料に使用される三硫化アンチモン、耐熱性が求められる各種エンプラ系樹脂の難燃剤用アンチモン酸ソーダなどを製造、販売しています。収益は、これらのアンチモン製品の販売から得ています。運営は、日本精鉱と同社の連結子会社である日テイ精礦(上海)商貿有限公司が行っています。
金属粉末事業
連結子会社の日本アトマイズ加工は、電子部品用金属粉末(導電ペースト用の銅粉・貴金属粉やパワーインダクタ用軟磁性材としての鉄系合金粉等)や、粉末冶金用金属粉末(精密モーター軸受用の青銅粉・黄銅粉・錫粉、自動車部品用の銅粉・青銅粉・黄銅粉等)などの製造販売を行っています。収益は、これらの金属粉末の製造販売から得ています。
その他の事業セグメント
本社ビルの一部を賃貸する不動産賃貸事業や、高糖度トマト養液ハウス栽培事業などを行っています。
同社グループの売上高は、アンチモン事業が最も大きく、金属粉末事業がそれに続いています。当連結会計年度においては、アンチモン事業、金属粉末事業ともに前期から売上高が増加しました。また、当連結会計年度の外部顧客への売上高のうち、双日株式会社がアンチモン事業において全体の10%以上を占める主要な顧客となっています。地域別では、日本国内が最大の市場ですが、アジア地域やその他の地域への売上も一定の割合を占めており、海外展開も行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| アンチモン事業 | 158億円 | 294億円 |
| 金属粉末事業 | 93.4億円 | 115億円 |
| その他の事業セグメント | 36百万円 | 40百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれにおいても、特に直近2期間で大幅な増加傾向を示しています。当連結会計年度は、売上高、各利益ともに前期から大きく伸長しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 171億円 | 159億円 | 156億円 | 252億円 | 409億円 |
| 経常利益 | 22.5億円 | 7.9億円 | 7.1億円 | 35.3億円 | 60.3億円 |
| 経常利益率 | 13.1% | 5.0% | 4.5% | 14.0% | 14.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 15.4億円 | 4.8億円 | 5.0億円 | 24.6億円 | 42.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 157.86 | 49.36 | 51.46 | 251.00 | 430.14 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高および営業利益は、前期から当期にかけて増加しています。これは、同社グループ全体の生産性が向上していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 96.5百万円 | 155.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 13.8百万円 | 23.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
日本精鉱は、安定した財務基盤を築きながら、事業活動を通じて着実に資金を生み出している状況です。本業で得た資金を効率的に活用し、将来に向けた投資も行っています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率やROE(自己資本利益率)の推移から、安定性が高い傾向にあることが示されています。手元資金も増加しており、不測の事態への耐性も高まっている状況です。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも良い影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 119億円 | 154億円 |
| 自己資本比率 | 57.0% | 62.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 22.7% | 30.8% |
| 現金及び預金 | 21.3億円 | 66.8億円 |
同社グループの自己資本比率は当期で62.5%となっており、プライム市場上場製造業の平均46.8%と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)も当期で30.8%と、プライム市場平均の9.4%を大きく上回る水準です。現金及び預金は前期の21.3億円から当期には66.8億円へと増加しており、手元資金の厚みが増していることがわかります。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループは、本業で安定的に資金を生み出し、その資金を将来に向けた投資に充てている状況です。営業活動によるキャッシュフローが大幅なプラスとなり、投資活動による支出を上回るフリーキャッシュフローを確保しています。これは、事業の成長性と財務の健全性を両立していることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性、そして会社の持続的な成長に期待が持てる状況です。
営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益の増加や売上債権の減少などにより、前期の支出から当期は76.2億円の収入へと大きく増加しました。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出などにより、当期は△10.5億円の支出となっています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の減少や配当金の支払いなどにより、当期は△20.2億円の支出となりました。その結果、フリーキャッシュフローは前期の△15.5億円から当期は65.7億円のプラスに転じています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △9.2億円 | 76.2億円 |
| 投資CF | △6.3億円 | △10.5億円 |
| 財務CF | 6.5億円 | △20.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △15.5億円 | 65.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
アンチモン事業では、主要産地である中国の輸出規制強化により原料調達が不足する可能性があります。また、中国製品の輸入減少に伴いヨーロッパ製品などの輸入が増加し、競争が強いられています。
③ 人材・組織に関するリスク
国内の少子高齢化による労働力人口の減少に伴い、人財不足の深刻化および採用競争が激化している環境下、人財の確保が十分に行えない場合、生産力・技術力・サービスなどの低下により経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日本精鉱は、環境と安全、そして成長を最重要課題と認識し、社会との共存を通じて豊かな生活環境の創造に貢献することを目指しています。物づくりに誇りを持ち、たゆまぬ挑戦を続けることを基本理念としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
日本精鉱グループは、「環境と安全そして成長」を最重要課題と位置づけ、社会との共存を通じて豊かな生活環境の創造に貢献することを基本理念としています。物づくりに誇りを持ち、たゆまぬ挑戦を続けることを目指しています。
同社グループは、創立100周年となる2035年を見据え、長期ビジョンを設定しています。このビジョン実現のため、「第2の創生(創立100周年)に向けた基盤づくりのための挑戦と変革」をテーマとした中期経営戦略を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
日本精鉱グループは、事業運営の基本方針として5つの経営理念を掲げています。これらは、お取引先様の信頼に応えるサービス提供、法令・規則の遵守、環境への配慮、魅力ある職場の創造、そして安定した収益確保と成長戦略の継続です。
同社グループは、社会との共存を図り、物づくりに誇りを持って挑戦し続ける人財の育成を重視しています。多様な人財が活躍できる働きやすい環境を整え、魅力ある会社であり続けることを目標としています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
日本精鉱グループは、中期経営戦略の基本方針として「グループ連携の更なる強化」を掲げ、組織全体の協調性を高めることに取り組んでいます。また、「人的資本の充実とESGへの取り組み」を重点テーマとし、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指しています。
アンチモン事業においては、生産プロセスのDX化や省人化を加速し、原価低減を実行しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
日本精鉱は監査役制度を採用しており、取締役会と監査役会を設置しています。経営の健全性と透明性を高めるため、社外取締役が半数以上を占める諮問委員会も設置し、コーポレート・ガバナンスの充実に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
日本精鉱の株主構成を見ると、複数の事業会社が上位株主として名を連ねています。筆頭株主は福田金属箔粉工業であり、その他にも川嶋や三光といった企業が主要な株主となっています。これらの企業が同社の事業活動を支える基盤となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 福田金属箔粉工業 | 17.96% |
| 川嶋 | 9.87% |
| 三光 | 9.87% |
| 三興企画 | 9.87% |
| 富士興産 | 5.30% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は植田憲高氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 植田 憲高 | 代表取締役社長 | 1987年4月同社入社。営業部、中瀬製錬所長などを経て、2022年6月同社代表取締役社長に就任。2025年6月より現職。 |
| 若林 武則 | 専務取締役 | 1986年2月同社入社。中瀬製錬所技術課長、副所長、所長などを経て、2023年6月同社専務取締役に就任。現職。 |
| 松田 恭二 | 取締役 営業部長 | 1986年3月同社入社。大阪営業所長、営業部次長などを経て、2021年6月同社取締役営業部管掌兼営業部長に就任。現職。 |
| 大西 芳太郎 | 取締役 企画管理部長 | 1987年4月日商岩井株式会社(現 双日株式会社)入社。双日株式会社で化学品関連の要職を歴任し、2021年4月同社入社。2023年6月同社取締役に就任。現職。 |
社外取締役は、升野勝之氏(元株式会社トクヤマ取締役常務執行役員)、山本佳久栄氏(福田金属箔粉工業取締役金属粉営業部長)、福井利弘氏(元丸善油化商事代表取締役社長)、岡田佳幸氏(双日化学本部企画業務室室長代理)、芹澤眞澄氏(弁護士・立川ブラインド工業社外監査役・日本司法支援センター東京地方事務所所長)です。
同社は監査役制度を採用しており、株主総会、取締役会、監査役会を設置しています。また、取締役の指名や報酬等について助言・提言を行う諮問委員会を設置し、委員の半数以上を社外取締役で構成することで、経営の透明性と客観性を高めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
日本精鉱の役員報酬は、企業価値の持続的な向上への貢献意欲を高めることを目的として、株主利益と連動した体系を採用しています。具体的には、月例報酬、賞与、および株式報酬で構成されています。社外取締役の報酬は、独立した立場での監督・助言の役割から月例報酬のみとなっています。賞与は業績や経営状況を総合的に勘案して決定され、株式報酬は株価変動リスクを株主と共有し、企業価値向上へのインセンティブを高めることを目的としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 2.0億円 | 49.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 10.4百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 20百万円 | 2.8百万円 |
同社グループの役員報酬総額は2.27億円であり、報酬の支給対象となった役員の合計は12名です。
なお、取締役(社外取締役を除く)に支給する賞与は、第131期定時株主総会で承認可決された場合の支給予定額です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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