※本記事は、ニフティライフスタイル株式会社の有価証券報告書(第9期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月12日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ニフティライフスタイルってどんな会社?
LIFE STYLE領域やWORK STYLE領域で行動支援プラットフォームサービスを提供する企業です。
■(1) 会社概要
1999年にインターネットサービス「@nifty」の提供を開始しました。2000年に「ニフティ不動産」の前身となるサービスを提供開始し、2018年にニフティからWEBサービス事業を承継して現在の体制で事業を開始しました。2021年に上場を果たし、2024年にはドアーズを子会社化して事業領域を拡大しています。
従業員数は連結119名、単体90名です。筆頭株主は親会社のニフティで、第2位は個人の木下圭一郎氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ニフティ | 65.30% |
| 木下 圭一郎 | 3.00% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 1.60% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長兼 社長執行役員は成田隆志氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 成田 隆志 | 代表取締役社長兼 社長執行役員 | 2000年産案入社。2002年ニフティ入社。2018年同社執行役員WEB事業部長等を経て、2019年より現職。 |
| 浅野 雄太 | 取締役兼 執行役員 | 2006年三菱商事入社。2015年楽天入社。2018年OLTA執行役員CFO等を経て、2022年より現職。 |
| 林 丈博 | 取締役 | 1997年ニフティ入社。同社取締役兼執行役員等を経て、2025年同社取締役兼専務執行役員等に就任。2024年より現職。 |
| 桑畑 治彦 | 取締役 | 2005年JBCC入社。アドフレックス・コミュニケーションズ代表取締役等を経て、2025年ストリート代表取締役。2025年より現職。 |
社外取締役は、小川卓(HAPPY ANALYTICS 代表取締役社長)、森泰一郎(森経営コンサルティング 代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「行動支援サービス事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■LIFE STYLE領域
大手不動産サイトの物件情報をまとめて一括検索できる「ニフティ不動産」や、外壁塗装業者を結ぶ「外壁塗装の窓口」、全国の温浴施設情報を検索できる「ニフティ温泉」などを運営し、一般消費者を主な顧客としています。
収益源として、パートナー企業からの成果報酬型の課金報酬や、月額固定型の利用料などを受け取ります。運営は主に同社および子会社のドアーズが行っています。
■WORK STYLE領域
ECサイトなどのWEBサイト運営事業者向けに、広告運用の業務効率化を支援するSaaSツール「DFO」や、テクニカルSEO支援をはじめとするWEBマーケティングコンサルティングサービスを提供しています。
収益源として、SaaSツールの月額固定型の利用料や、コンサルティングサービスの検収に基づく報酬を受け取ります。運営は主に同社および子会社のGiRAFFE&Co.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、売上高が持続的な成長を遂げており、直近の期では50億円を突破しました。利益面でも一時的な落ち込みはあったものの回復基調にあり、経常利益は安定して推移しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 27.6億円 | 30.1億円 | 35.6億円 | 49.4億円 | 52.4億円 |
| 経常利益 | 9.1億円 | 5.7億円 | 9.4億円 | 10.0億円 | 12.0億円 |
| 利益率(%) | 33.1% | 19.0% | 26.3% | 20.1% | 22.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6.1億円 | 2.8億円 | 6.4億円 | 7.4億円 | 8.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。売上総利益率および営業利益率ともに向上しており、プラットフォームビジネス特有の収益性の高さがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 49.4億円 | 52.4億円 |
| 売上総利益 | 35.0億円 | 40.1億円 |
| 売上総利益率(%) | 70.8% | 76.6% |
| 営業利益 | 10.0億円 | 11.9億円 |
| 営業利益率(%) | 20.3% | 22.7% |
販売費及び一般管理費のうち、販売促進費が11.9億円(構成比42.0%)、給料手当及び賞与が6.4億円(同22.7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
LIFE STYLE領域は住まいカテゴリーの順調な推移により大きく伸長しています。一方、WORK STYLE領域は前期の大型案件の反動で売上を落としています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| LIFE STYLE領域 | 40.2億円 | 45.8億円 |
| WORK STYLE領域 | 9.2億円 | 6.6億円 |
| 連結(合計) | 49.4億円 | 52.4億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で生み出した資金を元手に事業拡大のための投資を行い、余剰資金で株主還元などを進める健全型のキャッシュ・フローです。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.6億円 | 11.3億円 |
| 投資CF | -15.3億円 | -2.4億円 |
| 財務CF | -1.9億円 | -3.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)と財務の安定性・安全性を測る自己資本比率はいずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「思いやりとテクノロジーで、一人ひとりの『幸せな暮らしの意思決定』を支え続ける。」というパーパスを掲げています。より良い暮らしを目指している一人ひとりの行動を支援するための行動支援サービス事業を展開し、中長期的な企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業文化
経営戦略と人事組織戦略を有機的に結合させることを重視しています。多様性の尊重と共に一人ひとりの成長を促進する環境を整備し、「個人の成長」と「組織の成長・活性化」の正の循環を創り出すことで、挑戦とリスクテイクを支える企業文化の醸成に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画として、2030年3月期に向けた新たなビジョン「『人生100年時代の意思決定』を支える企業へ」を制定しています。計画最終年度の定量目標として以下の数値を掲げています。
* 売上高:120億円
* 営業利益:20億円
* ROE:15%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「探す」から「相談」へと提供価値を拡大し、既存事業の着実な成長を基盤に事業領域の拡大を進めています。また、ID基盤の整備やメンバーシップビジネスの開始、生成AIの活用加速に加え、M&Aやアライアンスによる非連続的成長にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人」を最大の資産と位置づけ、人的資本の強化を経営上の重要課題としています。多様な人材が能力を安全かつ最大限に追求可能な組織環境の整備を行い、キャリア形成の支援やテクノロジー活用による生産性向上をサポートし、自律的なアクションや共創ができる人材の育成を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 40.9歳 | 3.7年 | 7,442,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.5% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全従業員) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 事業環境の変化とプラットフォームへの依存
広告・インターネット市場の動向や、検索エンジン等の配布方法・検索ロジックの変更が、集客力や収益に影響を及ぼす可能性があります。また、主力サービスである「ニフティ不動産」への依存度が高く、特定取引先への依存もリスクとして認識されています。
■(2) 運営体制と人材の確保
事業の拡大に応じた十分な人材の確保および育成ができない場合や、人材流出が発生して必要なスキルを有する人員が確保できない場合、業務遂行や事業運営に支障をきたし、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) システム障害と技術革新への対応遅れ
クラウドサービスやネットワークの障害、人為的ミスによるサービス停止が発生した場合、社会的信用の低下や収益悪化を招く恐れがあります。また、AIをはじめとする最新技術の動向への対応が遅れた場合、競争力低下のリスクがあります。



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