※本記事は、大末建設株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、建設事業を主な事業としています。建設事業に加えて、不動産事業、保険代理業、労働者派遣業、警備業、訪問看護事業といった多岐にわたる事業を展開しています。
単体従業員数は605名、連結従業員数は680名です。
主な国内グループ会社は、大末テクノサービス、やすらぎ(その他・(訪問看護事業))、神島組(建設事業(土木))などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
大末建設は、建設業を通じて社会に貢献する企業として、社員の働きがいと成長を重視しています。安定した事業基盤のもと、社員一人ひとりが能力を発揮し、長期的に活躍できる環境づくりに注力していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、社員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、経験豊富な社員が多く在籍し、安定した組織運営がされていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,261,812円 |
| 平均勤続年数 | 16.8年 |
| 平均年齢 | 41.7歳 |
| 単体従業員数 | 605人 |
| 連結従業員数 | 680人 |
| 単体のグループ内比率 | 89.0% |
大末建設グループは、退職一時金制度、確定拠出年金制度、前払退職金制度、および確定給付年金と確定拠出年金の特徴を併せ持つ混合型年金制度(キャッシュ・バランス・プラン)を設けています。これらの制度は、同社および一部の連結子会社に適用されます。
退職一時金制度があり、従業員の退職等に際して割増退職金を支払う場合もあります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
確定給付制度における退職給付債務は23.6億円、年金資産は19.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
大末建設は、中長期経営計画「Road to 100th anniversary ~飛躍への挑戦~」に基づき、人材を成長投資の中核と位置づけています。事業拡大と高付加価値案件の獲得を実現するため、人材戦略を推進しています。具体的には、施工人員・専門人材の計画的増員、技術力・現場マネジメント力の育成と早期戦力化、処遇・職場環境の改善を三本柱に据えています。
給与の決定は「能力給+職責給」の明確な二軸構造を基本とした評価によります。能力評価では能力・意欲・スキルを評価し、職責評価では期待業績の達成度と業績達成に向けたプロセスを評価します。賞与は職責評価および会社業績に連動して支給され、個人の貢献を反映する仕組みです。
人材育成においては、「人」こそが企業価値向上の重要な基盤であるとの考えのもと、組織目標達成に貢献できる人材を育成するため、人材マネジメント計画を策定し、一年を通じて全社員への研修を実施しています。職責階層別に求められる「能力・意欲・スキル」を明確にした教育・研修プログラムを構築し、若手社員に特化した研修や資格取得促進策も整備しています。
社内環境整備の方針として、ダイバーシティの推進を必要不可欠と考え、性別や身体状況、国籍、世代等にとらわれない多様な属性の人材・能力を活かすことを目指しています。子育て・介護と仕事の両立支援など、多様な働き方に対応できる環境を整備することで、社員の働きがいの向上に取り組んでいます。具体的な取り組みとして、時差出勤制度、在宅勤務制度、法定基準を上回る育児介護休業制度、入社20日後からの有給休暇付与、全社一斉有給休暇取得促進日の設定、資格取得奨励金の支給、育児を目的とした休暇・子看護等休暇・介護休暇等の100%有給化などが挙げられます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 8.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 90.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 80.1% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 79.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 76.4% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 大末テクノサービス㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 28.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 90.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 76.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 72.0% |
ワークライフバランスの推進
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 時間外労働時間 | 19時間56分/月・人 |
| エンゲージメントスコア | 68.5 |
ダイバーシティの推進
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性従業員の増加(女性従業員の割合) | 14.9% |
| 労働者の採用者数に占める労働者の経験者採用数の割合 | 44.9% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
同社グループは、建設事業を主軸としており、その事業構造と収益モデルを詳しく見ていきます。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、建設事業を主な事業としています。建築物の引き渡しを履行義務とし、工事の進捗度に応じて収益を認識するモデルを採用しています。また、資産の支配が顧客に移転した時点で収益を認識するケースもあります。
同社グループの事業は建設事業を単一の報告セグメントとしており、国内市場が収益の大部分を占めています。建設業界では、建設資材の価格高騰や慢性的な労働者不足といった課題が続いていますが、公共投資や民間設備投資などの需要は堅調に推移しています。特定の主要顧客への売上集中は見られません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期にわたり売上高が継続して増加しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、一時的に減少した時期もありましたが、直近の当期においては大幅な増加を示しています。特に当期は、売上高の増加に加え、工事採算の改善が利益の成長に大きく寄与しました。営業活動によるキャッシュ・フローも大幅な増加に転じています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 696億円 | 718億円 | 778億円 | 890億円 | 1,056億円 |
| 経常利益 | 27.1億円 | 19.4億円 | 16.0億円 | 37.1億円 | 66.1億円 |
| 経常利益率 | 3.9% | 2.7% | 2.1% | 4.2% | 6.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 18.2億円 | 13.2億円 | 12.3億円 | 20.6億円 | 38.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 173.23 | 126.24 | 119.20 | 197.48 | 365.60 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、従業員1人あたり営業利益も同様に増加しています。これらの指標は、同社グループの生産性が向上していることを示しており、組織全体の効率化が進んでいる状況がうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 132.7百万円 | 155.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 5.5百万円 | 9.7百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を生み出し、財務基盤を強化している状況です。将来に向けた投資も行いつつ、手元資金を厚くしています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が非製造業のプライム市場平均を上回っており、安定した状態を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を大きく上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金も増加傾向にあり、不測の事態への耐性も備わっていると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 230億円 | 252億円 |
| 自己資本比率 | 41.4% | 42.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.0% | 15.8% |
| 現金及び預金 | 44.6億円 | 108億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の事業活動で得られる資金が大きく増加し、投資活動による資金の減少を上回っています。これにより、自由に使える資金が増加している状況です。投資活動では投資有価証券の取得による支出があり、財務活動では配当金の支払などにより資金が減少しています。
これらの状況から、同社グループは本業で安定的に資金を生み出し、財務基盤を強化しながら、将来に向けた投資も行っていることがわかります。この資金の流れは、入社後の雇用や給与の安定性にもつながるものと考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △30.6億円 | 93.0億円 |
| 投資CF | 8.1億円 | △3.1億円 |
| 財務CF | △20.7億円 | △26.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △22.5億円 | 89.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、建設事業、特に分譲マンション建設事業を主業としています。そのため、建設事業が著しく縮小した場合、業績が悪化する可能性があります。また、建設事業はプロジェクトが長期にわたるため、労務賃金や資材価格が大幅に上昇し、価格転嫁が困難な場合には工事原価が上昇し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
長時間労働による人材流出や、需給関係が急激に逼迫した場合、建設技術者や技能労働者の確保が困難になるリスクがあります。これにより、受注機会の喪失や工事遅延、工事原価の上昇につながる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
大末建設は、誠実な姿勢でお客様の信頼を築き、建設業を通じて豊かな人間生活に貢献することを経営理念としています。お客様の期待に応える対応力と高い技術・革新性を強みとし、洗練された最高の住環境を創造する総合建設企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
大末建設グループは、「誠実をもってお客様の信頼を得る」という理念に基づき、建設業を通じて豊かな人間生活に貢献することを経営理念としています。同社グループは、洗練された最高の住環境をお客様と共に創り上げる総合建設企業として、日々技術向上を目指し、研鑽を積んでいます。
2020年5月には、持続的な企業価値の向上を実現するための指針として、2030年ビジョン「安心と喜びあふれる空間を創造する会社」を策定しました。また、「サステナビリティ基本方針」を策定し、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献するとともに、持続的な企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
大末建設グループは、「お客様の期待に応える対応力」と「高い技術と革新性を常に追求する姿勢」を強みとしています。お客様の満足を実現するため、株主、協力会社、地域社会等の皆様と共生し、社員と家族が安心できる、誇りとやりがいをもって働ける組織づくりを目指しています。
サステナビリティ基本方針では、脱炭素社会の実現に向けた環境保全、安全で高品質な建物やサービスの提供を通じたまちづくりへの貢献を掲げています。さらに、多様な人材が活躍し、働きがいを感じられる安全で健康的な職場環境の実現、適切な情報開示とステークホルダーとの対話推進、法令・社会倫理・行動規範の厳守による誠実かつ公正な事業活動を実践しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
大末建設グループは、エネルギー価格や資材価格の高止まり、労務費の上昇、技能労働者不足といった建設業界の厳しい事業環境に対応しています。中長期経営計画の見直しを行い、新たな目標を設定しました。
今後の重点テーマとして、成長の原動力となる人材基盤の強化と生産性向上に向けたDXの活用を推進しています。社員と家族が安心でき、誇りとやりがいをもって働ける組織づくり、継続的な発展を可能にする人材育成にも注力しています。同時に、内部統制の強化やコンプライアンスの徹底など、社会的責任への対応も継続しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
大末建設は監査等委員会設置会社であり、経営の透明性と健全性を重視したガバナンス体制を構築しています。取締役会は、経営の基本的な方針決定と業務執行の監督を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ミサワホームが筆頭株主であり、事業会社が同社グループの経営を支える主要な存在であることが示されています。また、同社グループの従業員持株会も上位株主として複数名を占めており、従業員による資本参加も特徴の一つです。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ミサワホーム | 19.37% |
| NOMURA INTERNATIONAL PLC A/C JAPAN FLOW(常任代理人 野村證券) | 2.70% |
| モルガン・スタンレーMUFG証券 | 2.24% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は村尾和則氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 村尾 和則 | 代表取締役社長 | 1988年4月 同社入社、2013年4月 同社執行役員、2015年6月 同社取締役、2020年4月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 鶴 浩一郎 | 取締役 東京本店長 | 1988年4月 同社入社、2013年4月 同社執行役員、2021年6月 同社取締役より現職。 |
| 片岡 基宏 | 取締役 | 1989年4月 株式会社三和銀行(現 株式会社三菱UFJ銀行)入行、2018年5月 同社入社 執行役員、2019年6月 同社取締役より現職。 |
| 松田 健城 | 取締役 大阪本店長 | 1988年4月 同社入社、2020年4月 同社執行役員、2024年6月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、中庄谷博規氏(ミサワホーム執行役員)、磯和春美氏(元毎日新聞社東京本社代表室長・オリエンタル白石社外取締役)、梶原祐理子氏(元日本放送協会経営委員会事務局専任局長・NSD社外取締役)、安岡正晃氏(元モビット代表取締役社長・NCD社外取締役(監査等委員))、谷明典氏(弁護士法人北浜法律事務所代表社員弁護士)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員の過半数を社外取締役が占めることで、中立的かつ幅広い視点からの経営監視体制を確保しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、取締役(社外取締役、監査等委員である取締役を除く)に対し、固定報酬、業績連動型金銭報酬、業績連動型株式報酬を組み合わせた報酬体系を採用しています。これにより、短期的な業績目標達成と中長期的な企業価値向上への貢献意識を高めることを目指しています。一方、社外取締役および監査等委員である取締役の報酬は、独立性と客観性を重視し、固定報酬のみで構成されています。報酬水準は、外部調査や従業員給与水準を考慮し、報酬諮問委員会の審議を経て決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 3.0億円 | 76.2百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 16百万円 | 16.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 27百万円 | 6.8百万円 |
なお、第80期(2026年3月期)の業績連動報酬は、報酬上限額である連結営業利益6,000百万円を基礎として算出し実績として記載されています。
個人別報酬が開示されている役員は、村尾和則氏(1.33億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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