サンテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サンテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サンテックは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、内線工事や電力工事などの設備工事業および機器製作業を主力とする企業です。直近の業績では、マレーシアの大型工事の反動減などにより減収となったものの、原価管理の徹底等により営業利益および経常利益は大幅な増益を達成し、収益性の向上が見られます。


※本記事は、株式会社サンテックの有価証券報告書(第79期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. サンテックってどんな会社?


サンテックは、内線工事や電力工事などの設備工事を主力とし、国内外でインフラ構築を支える企業です。

(1) 会社概要


同社は1948年10月に山陽電気工事として設立されました。その後、1973年5月に東京証券取引所の市場第二部に上場し、1992年10月に現在の商号であるサンテックに変更しました。2003年8月には中国に子会社を設立し、近年も2023年4月に電力本部に東京支社、国際事業部に東京支店を設置するなど、国内外で事業基盤の拡充を進めています。

同社グループの従業員数は連結で1483名、単体で790名です。大株主の状況としては、筆頭株主は公益財団法人八幡記念育英奨学会で、第2位は双栄興業、第3位は神戸道雄氏となっています。

氏名 持株比率
公益財団法人八幡記念育英奨学会 14.99%
双栄興業 11.22%
神戸道雄 9.90%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼社長執行役員は八幡信孝氏が務めています。社外取締役は3名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
八幡信孝 代表取締役社長兼社長執行役員 1997年10月入社。2004年6月取締役、2022年1月代表取締役副社長等を経て、2024年1月より現職。
宮本賢一 代表取締役副社長兼副社長執行役員電力本部長 1982年4月入社。2020年6月取締役等を経て、2024年4月より現職。
阿部匡 代表取締役副社長兼副社長執行役員 1981年4月第一勧業銀行入行。ダイヤ通商代表取締役社長等を経て、2024年6月より現職。
門脇祐幸 取締役兼常務執行役員営業本部長兼工事統括部長 1978年4月入社。営業本部副本部長等を経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、中尾誠男氏(元三菱化学エンジニアリング専務取締役)、佐藤正臣氏(元住友重機械工業総務本部長)、柳澤義一氏(新創監査法人統括代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「設備工事業」および「機器製作業」の報告セグメントと「その他事業」を展開しています。

設備工事業


屋内外電気設備工事や空調給排水工事、電力関連の送配電線工事などを展開し、官公庁や民間企業、電力会社などを主要な顧客としています。

収益源は設備工事の設計および施工の対価として顧客から受け取る請負代金です。運営は主にサンテックのほか、国内の武蔵野工業や三喜産業、海外の東南アジアおよびその他のアジア地域の子会社が担っています。

機器製作業


高低圧受配電盤や各種分電盤、制御盤などの電気関連機器の設計・製作から販売、保守までを一貫して提供しています。

電気関連機器の販売・保守による対価を収益源としています。同事業の運営は主にサンテックが担当しています。

その他事業


太陽光発電設備の運用による発電および売電事業を展開しています。

発電した電力の売電収入を主な収益源としています。運営は非連結子会社の山口宇部ソーラーなどが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一時的に落ち込んだ後、回復傾向にありましたが、当期はマレーシアの大型工事の反動減等により前年比で減収となりました。一方、経常利益や当期利益は原価管理の徹底等により大幅に改善しており、利益率は直近で6.2%まで上昇しています。全体として収益性の向上が明確に表れています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 400億円 389億円 507億円 679億円 611億円
経常利益 4億円 -3億円 -8億円 26億円 38億円
利益率(%) 0.9% -0.8% -1.6% 3.9% 6.2%
当期利益(親会社所有者帰属) -5億円 -2億円 -12億円 6億円 15億円

(2) 損益計算書


売上高は前年比で減少したものの、売上総利益および営業利益は増加しています。特に工程管理や原価管理の徹底が寄与し、売上総利益率は11.5%から14.9%へ、営業利益率は3.1%から4.9%へとそれぞれ改善しており、収益基盤の強化が進んでいることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 679億円 611億円
売上総利益 78億円 91億円
売上総利益率(%) 11.5% 14.9%
営業利益 21億円 30億円
営業利益率(%) 3.1% 4.9%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が32億円(構成比53%)を占めています。

(3) セグメント収益


売上高の大部分を設備工事業が占めています。当期はマレーシアの大型工事の反動減などにより、主力の設備工事業の売上が減少しました。機器製作業については、前年並みの売上水準を維持しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
設備工事業 673億円 605億円
機器製作業 6億円 6億円
連結(合計) 679億円 611億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスの「健全型」です。本業で稼いだ営業利益を元手に、事業の成長に必要な投資を行いつつ、借入金の返済なども進められる優良なキャッシュ・フローの状態を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -16億円 58億円
投資CF -6億円 -20億円
財務CF 10億円 -0.5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.7%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も55.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


サンテックは、「わたしたちは、自然環境をやさしくまもり、育てます」「わたしたちは、顧客満足をたゆまずに追求します」「わたしたちは、創造的に、積極的に行動します」の3つを経営理念に掲げています。電気設備工事をはじめ建築設備全般に携わる企業として社会的責任の重さを自覚し、企業の持続的かつ安定的な成長による企業価値の向上を実現することで、社会の繁栄に貢献していくことを使命としています。

(2) 企業文化


同社は、高い倫理観に根ざした社会的良識をもって行動するための企業行動憲章を定めています。「環境保全の積極的な取り組み」「地域との共存」「人を大切にする企業の実現」などを基本姿勢とし、サステナビリティ経営戦略の基盤としています。また、「人々の今に『あかり』を吹き込み、より豊かな未来へ」というパーパスを掲げ、社員が自律的に成長でき、多様な人材が能力を発揮できる企業風土の醸成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、設立90周年にあたる2038年に向けた長期ビジョンの第1ステップとして、2026年度を初年度とする3か年の第14次中期経営計画を策定しています。最終年度である2029年3月期の連結業績目標として、以下を掲げています。

* 売上高:700億円
* 売上総利益率:14.5%
* 営業利益:30億円
* 経常利益:35億円

(4) 成長戦略と重点施策


より堅固な事業基盤を構築するため、ソフトパワー(施工力・営業力・人財力・技術力等)の総合的な強化と生産性向上を進めています。また、事業ポートフォリオやDX戦略、人的資本を支える成長投資を積極的に実行しています。具体的には、施工管理人員の拡充や協力業者との協働体制の強化、海外拠点ネットワークを活かした受注活動の推進、送電線工事の強化を軸とした計画的受注活動などに取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、「人が企業活動の根幹を支える最も重要な資産である」との認識のもと、多様性を尊重した人材確保戦略を推進しています。採用活動の強化や若手社員へのフォローアップ制度の拡充により、誰もが能力を発揮できる環境を整備しています。また、従業員エンゲージメント調査を踏まえた人事制度の改定や、資格取得支援、階層別研修の再構築などを通じて組織力強化に向けた人材育成と専門教育支援に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.0歳 15.3年 7,606,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.6%
男性育児休業取得率 35.7%
男女賃金差異(全労働者) 63.7%
男女賃金差異(正規雇用) 66.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 37.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全労働者に占める女性比率(連結18.8%)、女性育児休業取得率(100.0%)、階層別研修への参加者数(328人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合と資材・労務費の高騰リスク


厳しい市場環境のもとで受注競争が激化しており、事業競争力が減退した場合は業績に影響が及ぶ可能性があります。また、国内外の情勢変化による資材費や労務費の高騰が工事原価の上昇をもたらし、収益を圧迫するリスクがあります。

(2) 取引先の信用リスク


発注者や協力会社、共同施工会社などの取引先が信用不安に陥った場合、請負代金や工事立替資金の回収不能、あるいは工事の進捗に支障をきたす恐れがあります。同社は与信管理を徹底し、信用リスクの回避に努めています。

(3) 海外事業における地政学的・為替リスク


同社は売上の約40%を海外が占めており、進出国の政治・経済情勢や法制度の変化により、工事の遂行計画や代金回収に影響が生じるリスクがあります。また、急激な金利変動や為替相場の大幅な変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 人的・物的事故と災害の発生


工事現場での作業が主体であるため、人的・物的事故や災害の発生リスクが常に存在します。これらが発生した場合、業績への影響が懸念されるため、品質管理の徹底やISO等の国際規格の導入により未然防止に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。