※本記事は、工藤建設株式会社 の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
工藤建設は、建設工事・土木工事の請負、不動産の売買・賃貸、建物総合管理事業、高齢者向け介護事業を主な事業としています。同社グループは、これらの事業に関連する多角的なサービスを提供しています。
単体従業員数は733名、連結従業員数は762名です。同社グループの事業セグメントは、建設事業、不動産事業、介護事業の3つです。
主な国内グループ会社は、日建企画(不動産事業)などです。
2025年7月1日付で松下工商の全株式を取得し連結子会社化しています。また、当期首に日建企画の株式を追加取得し連結子会社化したことにより、事業セグメントを「建設事業」「不動産事業」「介護事業」に変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
工藤建設は、建設、不動産、介護事業を展開する企業として、多様な専門性を持つ人材が活躍しています。同社グループは、従業員の安定的な雇用とキャリア形成を重視し、働きやすい環境づくりに積極的に取り組んでいることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
工藤建設では、従業員の平均年齢が40代前半であり、平均勤続年数は7年を超えています。これは、一定の経験を積んだ人材が在籍し、比較的安定した環境でキャリアを築いている傾向を示していると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,958,533円 |
| 平均勤続年数 | 7.1年 |
| 平均年齢 | 43.7歳 |
| 単体従業員数 | 733人 |
| 連結従業員数 | 762人 |
| 単体のグループ内比率 | 96.2% |
同社および連結子会社は、退職給付制度として確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を設けています。この制度は国内のグループ会社に適用されています。
退職一時金制度も存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、確定給付型の退職給付債務は3.1億円、年金資産は4.9億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
工藤建設グループは、「地域に対して全ライフステージにわたって居住し続けられる“住まい”を提案する生活舞台創造企業」として、持続可能な社会と企業価値の向上を目指す中で、人的資本を重要な要素と位置付けています。経営理念である「積善経営」に基づき、社会や外部環境の変化に柔軟に対応できる企業として、人材の多様性確保、育成、働き方改革、健康経営に注力しています。
人材の多様性確保においては、性別や年齢、障がいの有無にかかわらず、積極的に多様な人材の採用・登用に取り組んでいます。人材育成では、若手社員の能力開発やスキルアップを図るため、階層別研修、安全衛生教育、技能講習、自己啓発支援、職種別研修などを実施しており、資格取得支援として外部講師によるガイダンスや勉強会も開催しています。
働き方改革としては、2024年4月から適用された「建設業の残業規制」に対応するためのロードマップを策定し、労働環境の整備と生産性向上による労働時間の短縮に取り組んでいます。また、健康経営にも積極的に取り組み、2023年2月には「横浜健康経営認証クラスAAA」に認定されるなど、社員が心身ともに健康で活躍できる職場を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 31.4% |
| 男性労働者の育児休業等と育児目的休暇の取得率 | 54.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 67.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 69.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 49.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
工藤建設は、建設事業を主軸に、不動産事業、介護事業を展開する企業です。多角的な事業ポートフォリオを通じて、社会の多様なニーズに応えるサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、建設工事・土木工事の請負、不動産の売買・賃貸、建物総合管理事業、そして高齢者向け介護事業を主な事業としています。これらの事業に関連する活動も行い、幅広い領域でサービスを提供しています。
同社グループの事業セグメントは「建設事業」「不動産事業」「介護事業」の3つで構成されています。
建設事業
建設・土木の設計・管理および請負業務を行っています。収益は、完成工事の増加から得ています。
不動産事業
土地・建物の購入販売を行っています。収益は、事業用不動産の売却から得ています。
介護事業
高齢者向け介護事業を行っています。収益は、入居率の向上や入居者向け料金の見直しから得ています。
同社グループの売上高は、建設事業が最も大きく、次いで介護事業、不動産事業の順となっています。本邦以外の外部顧客への売上高はなく、特定の主要な顧客への売上集中もありません。
| セグメント | 売上高(2024年6月期) | 売上高(2025年6月期) |
|---|---|---|
| 建設事業 | - | 129億円 |
| 介護事業 | - | 61.2億円 |
| 不動産事業 | - | 35.1億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前期との比較は行っていません。直近の業績は、売上高が225億円、経常利益が6.2億円、親会社株主に帰属する当期純利益が4.8億円となりました。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 225億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | 6.2億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | - | 2.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | - | 4.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | - | 388.66 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前期との比較は行っていません。当連結会計年度における従業員1人あたりの売上高は29.5百万円、従業員1人あたりの営業利益は0.8百万円となっています。
| 指標 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | 29.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | - | 0.8百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
工藤建設は、事業活動による資金流出が見られ、投資活動も行っている状況です。これは、事業の拡大や将来に向けた投資を積極的に進めている段階にあることを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
工藤建設の財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあります。純資産は増加傾向にあり、安定した経営基盤を維持していることがうかがえます。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均と同程度の水準を示しており、効率的な資本活用が行われている状況です。
手元資金である現金及び預金は32.1億円となっており、事業運営に必要な流動性を確保していることが示されています。これらの財務状況は、今後の事業展開や雇用、給与の安定性を考える上で重要な要素となります。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 50.0億円 | 53.8億円 |
| 自己資本比率 | - | 31.7% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 9.3% |
| 現金及び預金 | 32.7億円 | 32.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
工藤建設の当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは、売上債権の増加や未成工事受入金の減少などにより、△21.4億円の資金使用となりました。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得などにより△3.5億円の資金使用となっています。
一方、財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の増加などにより12.5億円の資金獲得となりました。この結果、フリーキャッシュフローは△24.9億円となり、事業活動と投資活動で資金が流出している状況です。このような資金の流れは、今後の事業拡大に向けた投資や運転資金の確保が継続的な課題となる可能性を示しており、雇用や給与の安定性には、今後の資金調達やコスト管理の動向が影響を与えると考えられます。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | △21.4億円 |
| 投資CF | - | △3.5億円 |
| 財務CF | - | 12.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | △24.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、建設・住宅市場の動向に関するリスクを認識しています。景気後退や市場縮小、需要減少、価格変動により受注額が大幅に減少する可能性があり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、介護事業においては、介護保険制度に関するリスクがあります。介護報酬の改定(引き下げ)や自己負担割合の引き上げ等が行われた場合、同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、建設コストの高騰等に関するリスクとして、建設技能労働者の不足が生じることにより、工事採算の悪化等、経営成績に影響を及ぼす可能性があると認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
工藤建設は、神奈川・東京を収益基盤とし、地域の人々が全ライフステージにわたって居住し続けられる“住まい”を提案する「生活舞台創造企業」を目指しています。時代の変化に柔軟に対応しながら事業領域を広げ、お客様の感動を創造することを重視する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは創業以来、神奈川・東京を収益基盤とし、土木工事、建築工事、マンション分譲事業、住宅事業、不動産事業、介護事業と事業領域を変化させてきました。従来からのコアビジネスである「建設・住宅」の収益基盤を強化しつつ、地域の人々に対して全ライフステージにわたって居住し続けられる“住まい”を提案する「生活舞台創造企業」として事業展開を図ることを経営の基本方針としています。
長期経営ビジョンとして「お客様の感動を創造し、人生のさまざまなステージを支える生活舞台創造企業の実現」を掲げています。また、2030年の目指す姿として「未来・環境・幸福をつなぐリーディングカンパニー」の実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは「積善経営」という考え方に基づき、持続可能な社会と企業価値の向上を目指しています。社会や外部環境の変化に柔軟に対応できる企業として、地域社会への貢献や地域環境の保全といった社会的な活動を展開しています。
中期経営計画では「収益力の強化」「人財力の強化」「サステナビリティの推進」を基本方針として掲げています。サステナビリティ経営を重視し、2024年7月からはサステナビリティ推進委員会を設置し、重要課題の解決に取り組んでいます。人材の多様性確保、人材育成、働き方改革、健康経営にも積極的に取り組む姿勢を示しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、建設業界における技術者や技能労働者の不足、若手人材の確保・育成、長時間労働の是正といった課題に直面しています。また、介護業界では介護人材の慢性的な人手不足が課題となっています。
これらの課題に対し、同社グループは先端技術の活用や人材育成を通じて、より効率的かつ持続可能な施工体制の構築に取り組んでいます。介護部門では、新卒採用や職場定着支援、処遇改善を通じて安定した人材確保を図るとともに、ICTの導入による業務効率化を進めています。全体としては、ガバナンス強化とコンプライアンスの徹底を最重点課題と認識し、内部統制システムの整備を継続して推進しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
工藤建設では、取締役会と監査役会を設置する体制を採用しています。取締役会は社外取締役を含めて構成され、経営の監督機能を強化しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
工藤建設の株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるトップです。上位株主には、創業家とみられる個人名や、同社の従業員持株会も名を連ねています。特定の株主が比較的高い比率を保有していることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| トップ | 45.46% |
| 武笠 清一郎 | 4.19% |
| MOMOコーポレーション | 3.19% |
| 横浜銀行 | 3.15% |
| 工藤 英司 | 2.74% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性11名・女性1名)で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は藤井研児氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 工藤 英司 | 代表取締役会長 | 1983年4月 郡リース株式会社入社。1986年4月 同社入社。1987年8月 同社取締役東京支店支店長就任。2005年7月 同社代表取締役社長就任。2024年7月 同社代表取締役会長就任より現職。 |
| 藤井 研児 | 代表取締役社長 | 1991年5月 同社入社。2003年7月 同社建設本部執行役員本部長就任。2013年9月 同社取締役執行役員就任。2024年7月 同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 工藤 隆晃 | 常務取締役 | 1977年2月 同社入社。2001年7月 同社取締役就任。2013年9月 同社取締役常務執行役員就任。2017年9月 同社常務取締役就任より現職。 |
| 中山 仁 | 取締役建設本部長兼建設事業部長 | 1990年4月 ミサワホーム株式会社入社。2019年9月 同社取締役就任。2020年1月 同社取締役住宅事業部長就任。2024年7月 同社取締役建設本部長兼建設事業部長就任より現職。 |
| 白坂 義道 | 取締役 総合企画室長兼経営管理部担当 | 1984年4月 株式会社横浜銀行入行。2013年3月 株式会社横浜銀行から同社へ出向。2023年9月 同社取締役就任。2025年4月 同社取締役総合企画室長就任より現職。 |
| 後藤 斉由 | 取締役建物管理事業部長 | 1998年4月 同社入社。2007年7月 株式会社日建企画代表取締役就任。2024年9月 同社取締役就任より現職。 |
| 工藤 隆司 | 取締役 | 1986年4月 株式会社間組入社。1988年4月 同社入社。1992年5月 同社取締役就任。2011年9月 同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、平沼義幸氏(元横浜銀行常務執行役員)、鴨下香苗氏(Utops法律事務所代表弁護士)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外監査役を含めた監査役による経営監視を重視しています。また、独立性の高い社外取締役を選任することで、経営監督の実効性と意思決定の透明性を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
工藤建設の取締役報酬は、月次で支給される基本報酬、業績に連動する金銭報酬、そして譲渡制限付株式報酬の3つの要素で構成されています。これは、短期的な業績向上だけでなく、中長期的な企業価値向上への貢献意欲を高めることを目的としています。監査役の報酬は、監査役間の協議により決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 1.2億円 | 16.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 10.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 12百万円 | 3.0百万円 |
なお、人数および総額には、事業年度中に退任した役員が含まれています。
個人別報酬が開示されている役員は存在しません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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