ウェッジホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ウェッジホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。主要事業は、漫画・アニメ・ゲーム等のコンテンツ企画・制作・販売を行うコンテンツ事業と、持分法適用関連会社を通じた東南アジアでのDigital Finance事業です。直近の業績は、売上高が減少し、経常損益および当期純損益は赤字が継続するなど、減収減益(損失計上)となっています。


※本記事は、株式会社ウェッジホールディングス の有価証券報告書(第24期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ウェッジホールディングスってどんな会社?


コンテンツ事業を主軸に、東南アジアでのファイナンス事業も展開する企業グループです。

(1) 会社概要


2001年に株式会社ブレインナビとして設立され、2004年に上場しました。2005年に現商号へ変更し、投資事業を開始。2009年にタイのGroup Lease PCL.を連結子会社化しましたが、2021年に持分法適用関連会社へ変更しました。2011年には昭和ホールディングスが親会社となりました。

2025年9月30日時点で、従業員数は連結63名、単体49名です。筆頭株主は常任代理人を通じたSIX SIS LTD.で、第2位は親会社の昭和ホールディングスです。

氏名 持株比率
SIX SIS LTD.(常任代理人株式会社三菱UFJ銀行) 30.94%
昭和ホールディングス 25.50%
前田 喜美子 1.40%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼CEOは此下竜矢氏です。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
此 下 竜 矢 代表取締役社長兼CEO 2006年United Securities PCL.CEO。昭和ホールディングス代表執行役CEO等を経て、2013年より現職。Group Lease PCL.取締役Deputy CEOも兼任。
庄 司 友 彦 代表取締役 新東京シティ証券取締役COO、昭和ホールディングス取締役兼執行役等を経て、2018年より現職。昭和ホールディングス代表取締役COO兼CFOも兼任。
菅 原 達 之 常務取締役 2010年同社執行役員。ユニコン事業部ゼネラルマネージャー、ユニコン・ホビーカンパニー社長を経て、2023年より現職。
田 代 宗 雄 取締役 1997年パソナ入社。同社代表取締役社長等を経て、2013年より現職(海外事業管掌)。Group Lease PCL.取締役COO等も務める。


社外取締役は、近藤健太(弁護士)、佐藤一石(昭和ゴム監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンテンツ事業」および「その他」事業を展開しています。

コンテンツ事業


映像、音楽、アニメ、雑誌、書籍、トレーディングカードゲーム(TCG)、ウェブ、イベント等の企画・制作・編集・デザイン・卸売・小売・運営・配信および関連するライツ事業を行っています。TCG製品の開発や、エンターテインメント関連書籍の編集などが主力業務です。

収益は、商品の販売による売上や、版権利用によるロイヤリティ収入などから得ています。運営は主にウェッジホールディングス本体のほか、連結子会社の樹想新社、Brain Navi (Thailand) Co.,Ltd.などのグループ会社が行っています。

その他(Digital Finance事業等)


報告セグメントには含まれませんが、持分法適用関連会社を通じてDigital Finance事業を行っています。タイ、ラオス、ミャンマーなどで、オートバイリースやマイクロファイナンス等の金融サービスを提供しています。また、Engine Holdings Asia PTE.LTD.等が投資育成事業を行っています。

収益は、持分法適用関連会社からの投資損益として営業外損益に反映されます。Digital Finance事業の運営主体は、タイ証券取引所に上場するGroup Lease PCL.およびその関連会社です。同事業は過去に法的紛争等の影響を受けており、同社業績に大きな影響を与えています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は数億円から数十億円の規模で推移していますが、2021年9月期以降は大きく減少しました。利益面では、2022年9月期を除き、経常損失および当期純損失を計上しており、赤字基調が続いています。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 58億円 7億円 8億円 9億円 8億円
経常利益 -4億円 2億円 -5億円 -9億円 -3億円
利益率(%) -6.8% 23.6% -63.6% -104.0% -36.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -16億円 1億円 -2億円 -4億円 -1億円

(2) 損益計算書


直近2期間の傾向を分析すると、売上高は減少しており、営業損益は赤字幅が拡大しました。経常損益および当期純損益についても損失が続いていますが、当期は関係会社株式売却益の計上などにより、赤字幅は縮小しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 9億円 8億円
売上総利益 4億円 3億円
売上総利益率(%) 46.1% 34.7%
営業利益 -0.1億円 -0.9億円
営業利益率(%) -1.7% -11.2%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が1.5億円(構成比39%)、給料が0.5億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益

同社グループは「コンテンツ事業」の単一セグメントであり、事業ごとの利益は開示されていません。

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業運営における資金の出入りを示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に貸付と回収、関係会社株式の売却等によりプラスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、資金調達や返済等を示しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -0.2億円 -0.2億円
投資CF -1.5億円 12億円
財務CF -0.3億円 -0.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「中期経営計画2024-2028」の実現にあたり、主要事業ごとに事業戦略(ビジョン)を設定しています。単なる利益追求ではなく、事業を通じて直面する社会的課題(環境負荷や人々の心身の健康増進等)を解決し、持続的な成長を目指すことを基本方針としています。

(2) 企業文化


多様な視点や価値観を尊重し、経験・技能・キャリアが異なる人材が能力を発揮できる環境を重視しています。また、東南アジア地域に密着したノウハウや人的ネットワークを駆使し、グローバルな視点で事業を展開する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


「中期経営計画2024-2028」に基づき、コンテンツ事業の筋肉質な体質の維持と利益確保、新規事業の育成、およびDigital Finance事業の再成長を目指しています。具体的な数値目標としてのKPI等は有価証券報告書本文には記載されていませんが、将来の収益増加に向けた数年単位での育成期間を設けています。

(4) 成長戦略と重点施策


「東南アジアにおける事業の推進とグローバル化への対応」を重要課題として掲げています。コンテンツ事業では、ベトナムやインドネシア等での販売網拡大や、新規事業の育成を進めます。Digital Finance事業では、各国の情勢を見極めつつ、事業の再成長を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的成長のため、多様な視点や価値観を尊重し、経験・技能の異なる人材を積極的に採用しています。新卒・中途の区別なくスキル等を判断し、女性や外国人、中途採用者の管理職登用を推進しています。特に東南アジア展開を見据え、現地事情に詳しい人材の確保・育成に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 40.3歳 11.0年 4,708,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 海外展開におけるリスク


タイ、シンガポール、ラオス、ミャンマー等に展開しており、為替変動や政治的混乱、テロ等のカントリーリスクが業績に影響を及ぼす可能性があります。特に持分法による投資損益への影響度が相対的に大きくなっています。

(2) Digital Finance事業のリスク


長期貸付に伴う延滞・貸倒れリスクがあります。貸倒引当金は実績等を考慮して計上していますが、予期せぬ貸倒れが発生した場合、財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、進出国の政治経済情勢や法規制の変更もリスク要因です。

(3) 親会社からの独立性について


親会社である昭和ホールディングスの議決権比率は過半数を超えており、取締役の派遣も受け入れています。上場企業としての独立性は確保されていると認識していますが、親会社の経営判断が同社の経営に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 訴訟リスク(JTRUST ASIAとの係争)


持分法適用関連会社であるGroup Lease PCL.等を巡り、JTRUST ASIA PTE.LTD.から複数の国で損害賠償請求訴訟等が提起されています。一部は係争中であり、これらの動向次第では同社グループの経営や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。