※本記事は、株式会社オービス の有価証券報告書(第66期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オービスってどんな会社?
木材の製材・加工からプレハブ建築、太陽光発電まで多角的に展開する広島県福山市の企業です。
■(1) 会社概要
1959年に有限会社中浜材木店として設立され、1992年に現在の商号へ変更しました。2006年にジャスダック証券取引所へ上場し、2016年には本社を現在地へ移転しています。2022年の市場区分見直しに伴い東証スタンダード市場へ移行しました。2024年には寿鉄工を完全子会社化し、鉄骨製造能力を強化しています。
連結従業員数は211名、単体では189名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は同社代表取締役社長の中浜勇治氏であり、第2位は広島県福山市の法人である和幸、第3位は個人株主の肥田亘氏となっています。創業家出身の経営者が筆頭株主として経営をリードする体制です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 中浜勇治 | 24.73% |
| 和幸 | 9.26% |
| 肥田亘 | 2.82% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は中浜勇治氏が務めています。社外取締役比率は12.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中浜勇治 | 代表取締役社長 | 1990年同社入社。木材事業部用船部長、専務取締役などを経て、2011年より現職。寿鉄工代表取締役社長を兼務。 |
| 梅田孝史 | 専務取締役総務部長 | 1988年同社入社。管理本部長、ハウス・エコ事業部長などを歴任し、2015年より専務取締役。寿鉄工取締役を兼務。 |
| 谷本泰 | 常務取締役木材事業部長 | 1997年同社入社。木材事業部関西営業部長、営業統括部長などを経て、2017年より現職。 |
| 井上清輝 | 取締役経理部長 | 1995年同社入社。経理部次長、経理部長などを経て、2015年より現職。寿鉄工監査役を兼務。 |
| 土田光典 | 取締役ハウス・エコ事業部長 | 1998年同社入社。ハウス事業部東京営業所長、ハウス・エコ事業部統括部長などを経て、2019年より現職。寿鉄工取締役を兼務。 |
| 川岡公次 | 取締役ライフクリエイト事業部長兼経営企画室長 | パル(吸収合併元)を経て2016年同社入社。ライフクリエイト事業部長を務め、2017年より現職。寿鉄工取締役を兼務。 |
| 玉田龍治 | 取締役ハウス・エコ事業部統括部長 | 1992年同社入社。ハウス事業部広島営業所長、ハウス・エコ事業部次長などを経て、2025年より現職。寿鉄工取締役を兼務。 |
社外取締役は、小山幹夫(元ひろぎんリース代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「木材事業」「ハウス・エコ事業」「太陽光発電売電事業」「ライフクリエイト事業」を展開しています。
**(1) 木材事業**
ニュージーランド産の松(ラジアータパイン)や国産スギを原材料とし、国内工場で製材を行っています。梱包用材、パレット用材、ドラム用材、土木建設仮設用材、木材チップなどを製造・販売しており、産業用資材としての需要に対応しています。
収益は、製品および商品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は主にオービスが行っています。
**(2) ハウス・エコ事業**
プレハブハウスや鋼構造物の製造・販売、仮設建物のリース、一般建築請負、太陽光発電システムの請負工事を行っています。官公庁向けの学校施設関連や民間企業向けの建築案件を手掛けています。
収益は、請負工事代金や製品販売代金、リース料として顧客から受け取ります。運営はオービスおよび子会社の寿鉄工が行っています。
**(3) 太陽光発電売電事業**
自然エネルギーを利用した発電事業を行っています。現在、3県15ヶ所の太陽光発電所を運営し、総発電容量は約13メガワットを有しています。
収益は、発電した電力の売電収入として電力会社等から受け取ります。運営は主にオービスが行っています。
**(4) ライフクリエイト事業**
ゴルフ場「中須ゴルフ倶楽部」の運営を行っています。コース管理の充実や設備修繕を行い、集客力の向上に努めています。
収益は、ゴルフ場利用者からのプレー料金や関連サービス利用料として受け取ります。運営は主にオービスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近2期間の連結業績を見ると、売上高は前期の114億円から当期は126億円へと増加しました。経常利益も6億円台で推移し、安定した黒字を維持しています。利益率は5%台をキープしており、堅調な業績推移といえます。当期利益については4億円台で推移しています。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 114億円 | 126億円 |
| 経常利益 | 6億円 | 6億円 |
| 利益率(%) | 5.1% | 5.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は114億円から126億円へ増加しました。売上総利益も22億円から23億円へと増加しています。売上総利益率は約19%から18%へと微減しましたが、営業利益は6億円から7億円へと増加し、営業利益率も5%台を維持しています。増収効果により利益額が拡大している傾向が見られます。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 114億円 | 126億円 |
| 売上総利益 | 22億円 | 23億円 |
| 売上総利益率(%) | 18.9% | 18.4% |
| 営業利益 | 6億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 5.1% | 5.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が4億円(構成比24%)、運賃が5億円(同28%)を占めています。売上原価においては、当期製品製造原価が46億円(売上原価合計に対し44%)、当期商品仕入高が20億円(同20%)を占めています。
■(3) セグメント収益
当期は、ハウス・エコ事業が子会社化や大型物件引渡しにより大幅な増収増益となりました。主力の木材事業は売上横ばいながらコスト増により減益となりました。太陽光発電売電事業は天候に恵まれ増益、ライフクリエイト事業は微増収減益でした。全体としてハウス・エコ事業の成長が連結業績を牽引しました。
| 区分 | 売上(2024年10月期) | 売上(2025年10月期) | 利益(2024年10月期) | 利益(2025年10月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 木材事業 | 73億円 | 74億円 | 4億円 | 3億円 | 4.0% |
| ハウス・エコ事業 | 33億円 | 44億円 | 1億円 | 4億円 | 8.1% |
| 太陽光発電売電事業 | 4億円 | 5億円 | 3億円 | 3億円 | 66.3% |
| ライフクリエイト事業 | 4億円 | 4億円 | 1億円 | 0億円 | 13.0% |
| 不動産事業 | 0億円 | - | 0億円 | - | - |
| 調整額 | - | - | -4億円 | -3億円 | - |
| 連結(合計) | 114億円 | 126億円 | 6億円 | 7億円 | 5.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5億円 | 7億円 |
| 投資CF | 2億円 | -1億円 |
| 財務CF | -6億円 | -4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.4%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「顧客満足・社員満足」を経営理念として掲げています。顧客が満足して使用できる製品を生産・提供することで社会に貢献し、その結果として適正な利益を確保することを目指しています。また、社員の生活の安定を図り、株主へ利益を還元していくことを基本方針としています。
■(2) 企業文化
事業本来の収益力を表す営業利益を重視する文化があります。常にコスト意識を持ち、収益の改善に努めることで、継続かつ安定的な事業拡大を図る姿勢を重視しています。また、経営環境の変化にスピード感を持って対応できるよう、組織の若返りを図り、働きやすくやり甲斐のある職場環境作りにも努めています。
■(3) 経営計画・目標
2027年10月期を最終年度とする中期経営計画「NEXT STEP 10」を推進しています。財務体質の健全化が進んだことを踏まえ、以下の数値目標を掲げています。
* 売上高:141億円
* 営業利益:10億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:7億円
* 配当性向:30%
■(4) 成長戦略と重点施策
「事業の選択と集中」の方針のもと、不動産事業や不採算部門からの撤退を行い、成長分野へ注力しています。
* 木材事業:新市場・新規顧客の開拓、製材機械トラブル防止のための設備投資による生産効率向上。
* ハウス・エコ事業:官公庁案件(学校施設関連)の受注強化、設計課新設による設計力強化、子会社である寿鉄工との連携強化。
* 人材育成:有望な若手人材の採用と教育による優秀な人材への育成。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
能力や実績を有する人材を年齢・性別問わず積極的に管理職へ登用する方針です。特に製造部門等の男性比率が高い現状を踏まえ、女性社員の採用拡大と活躍促進を進めています。また、資格取得支援制度の拡充やコンプライアンス研修などを通じて、社員の能力開発と意識向上を図り、仕事と生活が調和する働きやすい環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 45.9歳 | 12.2年 | 5,261,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は常時雇用する労働者が300人以下であり公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(管理部門等は60%、グループ全体は8%)、グループ全体女性管理職比率(8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 借入金への依存について
資金調達を金融機関からの借入金に依存しており、借入金依存率は36.1%となっています。現在は金融機関との関係は良好ですが、将来の金利変動や資金調達環境の変化によっては、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料価格および為替変動リスク
主力事業である木材事業の原材料(原木)は、ニュージーランドからの輸入に依存しています。原木価格や海上輸送の燃料価格、決済通貨である米ドルの為替レートの変動は、コスト増要因となり得ます。価格転嫁のタイムラグ等により、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 人材の確保について
ハウス・エコ事業が属する建設業界では慢性的な人材不足が課題となっています。少子高齢化や働き方の変化により、必要な人員計画が未達となったり、想定以上の離職が発生した場合には、事業運営や業績に支障をきたす可能性があります。
■(4) 大規模自然災害等の発生
木材事業の製品生産は広島県の福山工場1ヶ所に集中しています。地震や津波等の大規模災害により生産ラインが損傷した場合や、事業活動が停止した場合には、製品の供給が滞り、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。



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