【平均年収656万円】ナトコ 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年10月期)

【平均年収656万円】ナトコ 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年10月期)

ナトコは、塗料、ファインケミカル製品、再生溶剤の製造・販売をグループ各社とともに展開する企業です。連結従業員数450名超を擁し、塗料、ファインケミカル、蒸留の3事業を展開しています。直近の業績は増収増益となりました。


目次

※本記事は、ナトコ株式会社 の有価証券報告書(2025年10月期、2024年11月1日 ~ 2025年10月31日、2026年1月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


ナトコは、塗料、ファインケミカル製品、再生溶剤の製造・販売を主な事業とする企業です。同社グループは、これら製品の製造・販売をグループ各社とともに展開しています。

単体従業員数は230名、連結従業員数は452名です。セグメントは塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3つです。

主な国内グループ会社は、巴興業(蒸留事業)、豊川シーエムシー(塗料事業)などです。

同社グループは、当連結会計年度中に三丸化学の株式66%を取得し子会社化しました。また、DICグループから内装建材用塗料の販売事業を譲り受けています。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


ナトコは、塗料事業を主軸にファインケミカル事業や蒸留事業を展開する企業です。同社グループでは、持続的な成長を支える人的資本の充実に力を入れており、多様な人材の育成と働きやすい環境づくりを目指しています。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、従業員の定着を重視する傾向が見られます。平均勤続年数は比較的長く、従業員が長期的にキャリアを築ける環境が整っていることがうかがえます。

項目 数値
平均年間給与 6,556,000円
平均勤続年数 16.9年
平均年齢 42.7歳
単体従業員数 230人
連結従業員数 452人
単体のグループ内比率 50.9%


同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付年金制度と選択型確定拠出年金制度を採用しています。確定給付年金制度では、給与と勤務期間に基づいた一時金または年金が支給されます。一部の連結子会社では、退職一時金制度や中小企業退職金共済制度も採用しています。

なお、退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。2025年10月31日時点の退職給付債務は13.2億円、年金資産は12.4億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


同社グループは、持続的成長の根幹を人的資本に置き、絶え間ないリノベーションとイノベーションを生み出せる組織であり続けることを基本方針としています。経営戦略と連動した人事運営を掲げ、2030ビジョン実現を見据えた中長期的な視点での人材育成に取り組んでいます。具体的には、「グローバル人材」「プロフェッショナル人材」「リーダーシップ人材」の計画的な育成を進めています。

また、多様性を前提とした「人材育成」と「風土づくり」にも注力しており、女性やシニアの活躍推進、グローバル人材の採用に取り組んでいます。企業文化の浸透と定着を図るため、人事制度改革に着手し、“挑戦”を楽しむ企業文化の創造に努めています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体のデータを示します。女性管理職比率は女性活躍推進法に基づき算出されています。男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については、公表義務の対象項目として選択しておらず、記載されていません。連結子会社は公表義務の対象外のため、記載を省略しています。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合(%) 0.0%

人材の育成・社内環境整備に関する指標と目標

指標 目標 第79期 実績
管理職に占める女性の割合 10%以上 0.0%
正社員に占める女性の割合 15%以上 9.3%
男性労働者の育児休業取得率 85%以上 43%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


ナトコは、塗料、ファインケミカル製品、再生溶剤の製造・販売を主な事業とする同社グループです。独自の技術と製品を通じて、幅広い産業分野に貢献しています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、主に3つの事業セグメントを展開し、それぞれの分野で収益を上げています。各事業は、製品の製造・販売を通じて顧客に価値を提供しています。

塗料事業

合成樹脂塗料や塗料関連製品の製造・販売を行っています。金属用塗料や建材用塗料の需要が増加し、新規案件の獲得も進みました。
収益は、主に塗料製品の販売から得ています。運営は、ナトコ、耐涂可精細化工(青島)有限公司、NATOCO PAINT PHILIPPINES,INC.、NATOCO VIETNAM COMPANY LIMITEDなどが行っています。

ファインケミカル事業

高機能性樹脂や樹脂素材用コート剤などの製造・販売を手掛けています。光学フィルム向けのコーティング剤は堅調に推移しましたが、モビリティ向けのコーティング剤は低迷しました。
収益は、高機能性化学製品の販売から得ています。運営は、ナトコ、耐涂可精細化工(青島)有限公司、NATOCO PAINT PHILIPPINES,INC.、NATOCO VIETNAM COMPANY LIMITEDなどが行っています。

蒸留事業

再生溶剤等の製造・販売、および産業廃棄物の収集運搬・処分を行っています。既存顧客の需要増や新規顧客の獲得、子会社化による貢献がありました。
収益は、再生溶剤の販売や産業廃棄物処理サービスから得ています。運営は、巴興業、三丸化学、有限会社アイシー産業などが行っています。

同社グループの売上高は、日本国内が大部分を占めていますが、アジア地域にも展開しています。特定の顧客であるニチハ株式会社への売上高が全体の2割以上を占める傾向にあります。

セグメント 売上高(2024年10月期) 売上高(2025年10月期)
塗料事業 128億円 143億円
蒸留事業 52.7億円 54.9億円
ファインケミカル事業 26.8億円 24.8億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの売上高は、直近5年間で増加傾向にあります。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、一時的な変動が見られるものの、当期は前期から増加しました。

項目 2021年10月期 2022年10月期 2023年10月期 2024年10月期 2025年10月期
売上高 190億円 204億円 202億円 208億円 223億円
経常利益 22.1億円 21.0億円 13.6億円 13.8億円 15.1億円
経常利益率 11.6% 10.3% 6.7% 6.6% 6.8%
親会社株主に帰属する当期純利益 16.4億円 15.1億円 9.5億円 9.6億円 11.4億円
1株当たり当期純利益(円) 217.37 200.70 126.01 126.60 150.62

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


ナトコの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期からわずかに減少しました。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から増加しています。これは、売上高の増加に加えて、営業利益率の改善が生産性向上に寄与していることを示しています。

指標 2024年10月期 2025年10月期
従業員1人あたり売上高(連結) 50.0百万円 49.3百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 3.0百万円 3.1百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


財務の安定性は、企業の持続的な成長と従業員の雇用安定性に直結する重要な要素です。同社グループの現在の財務状況と資金の流れから、その安定性について確認します。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較して高い水準にあり、強固な財務基盤を有していることが示されています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、手元資金が厚いことは不測の事態への耐性があることを示しています。これらの状況は、入社後の雇用や給与の安定性において安心材料の一つとなります。

指標 2024年10月期(前期) 2025年10月期(当期)
純資産 236億円 246億円
自己資本比率 79.0% 78.7%
ROE(自己資本利益率) 4.1% 4.7%
現金及び預金 102億円 107億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少額の増加や役員退職慰労引当金の増加額の増加により、前期に比べて収入が増加しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入の増加により、前期に比べて支出が減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払の減少により、前期に比べて支出が減少しています。

本業で安定的に資金を生み出し、投資活動による支出を上回るフリーキャッシュ・フローを確保している状況です。これは、事業活動で得た資金を自由に使える余力があることを示しており、今後の成長投資や株主還元に充てる基盤があると言えます。このような資金の流れは、企業の安定性と将来的な成長性を示す傾向にあります。

項目 2024年10月期(前期) 2025年10月期(当期)
営業CF 15.9億円 18.5億円
投資CF △7.9億円 △2.1億円
財務CF △4.1億円 △4.0億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 8.0億円 16.4億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループの製品は多分野の業界で使用されており、これらの業界の需要が低迷した場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、製品の生産に使用する原材料には石化原料が多く、原油価格や為替の動向が原材料価格に大きく影響を与え、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク

海外事業において、人材の採用と確保の難しさというリスクが内在しています。これらのリスクが顕在化した場合、同社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


ナトコは「ユニークな発想で新しい価値を創造する」ことをミッションに掲げ、環境対応と人的資本経営を重視する企業です。同社グループは、持続可能な社会の実現と革新的な技術開発を通じて、未来に向けた成長を目指しています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


同社グループは「ユニークな発想で新しい価値を創造する」ことをミッションとしています。そして、「あらゆる表面のリノベーション&イノベーションカンパニーへ」発展することを2030ビジョンとして定めています。

このビジョン実現に向けた経営基本方針として、サステナビリティ基本方針と中期経営計画基本方針を策定しています。サステナビリティ基本方針では「環境対応重視の事業展開」「人的資本経営の実現」「責任ある事業活動」を掲げています。

中期経営計画基本方針では、「環境対応を重視した『機能・技術』と『市場』を掛け合わせた事業拡大」や「『人的資本』を中核経営基盤と位置付け」を重視しています。また、「社会の一員としての責務、社会と顧客からの信頼獲得」も目指しています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社グループは、持続的成長を支える根幹は人的資本にあるとの認識のもと、経営基盤としての人的資本の充実を図っています。絶え間なくリノベーションとイノベーションを生み出せる組織を構築することを目指しています。

人材育成においては、2030ビジョン実現を見据えた中長期的視点で「グローバル人材」「プロフェッショナル人材」「リーダーシップ人材」を計画的に育成する方針です。多様性を前提とした「人材育成」と「風土づくり」を推進し、女性やシニアの活躍、グローバル人材の採用に取り組んでいます。

企業文化としては、人事制度改革に着手し、“挑戦”を楽しむ企業文化の創造に努めています。また、サステナビリティ委員会を設置し、持続可能な社会の実現に向けた取り組み課題を協議し、施策の決定と進捗管理を行っています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、2030ビジョン達成に向けた重点課題として「人的資本経営の実現」を掲げています。持続的成長を支える根幹を人的資本と捉え、経営基盤としての充実を図り、リノベーションとイノベーションを生み出せる組織を構築する方針です。

また、「社会の一員としての責務の遂行」も重点課題であり、「安全第一」「品質保証」「コンプライアンス」を徹底しています。コンプライアンス体制として「内部通報制度」や「代表取締役社長直轄の内部監査室」を設置し、企業内の不正・不祥事の早期発見・是正やリスク低減を図っています。

さらに、「国内外の生産体制の強化・最適化」も課題の一つです。国内の老朽化した設備については、今後の生産増や高品質化が求められる製品にもフレキシブルに対応可能な生産設備(自動化・省人化、DX活用)へのリニューアルの検討を開始しています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


ナトコグループは、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応するため、経営管理体制の整備と公正で透明性の高い経営活動に努めながらコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。会社の機関としては、取締役会、経営会議、監査役会、指名・報酬諮問委員会を設置しています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


ナトコは、創業家や関連団体が上位株主を占める資本構成となっています。筆頭株主は個人である粕谷忠晴氏であり、創業家が経営に強い影響力を持つ傾向が見られます。上位には同社の関連団体や創業家関係者が複数名を連ねています。

株主名 持株比率
粕谷 忠晴 15.45%
ナトコ共栄会 9.62%
粕谷 太一 6.71%
有限会社巴ホールディングス 3.57%
粕谷 英史 3.22%


(注)所有株式数は、千株未満を切捨てて記載しております。

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は11名(男性11名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は粕谷太一氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
粕谷 太一 取締役社長 (代表取締役) 2002年4月同社入社、2010年1月同社取締役副塗料事業部長、2017年1月同社専務取締役、2021年11月同社代表取締役社長より現職。
山本 豊 専務取締役 1995年7月同社入社、2010年1月同社取締役経営管理部長、2018年1月同社常務取締役、2022年1月同社専務取締役より現職。
粕谷 英史 常務取締役 2005年11月同社入社、2015年1月同社取締役購買部長・海外事業部長、2022年1月同社常務取締役より現職。
大野 富久 取締役 研究所所長 1993年4月同社入社、2015年1月同社取締役化成品事業部長、2024年11月同社取締役研究所所長より現職。
水野 和義 取締役 塗料事業部長 1982年3月同社入社、2017年1月同社取締役塗料事業部長より現職。
原 昌弘 取締役 化成品事業部長 2000年3月同社入社、2024年11月同社取締役化成品事業部長より現職。


社外取締役は、脇田政美氏(公認会計士脇田会計事務所所長・株式会社ロマンティア社外監査役)、林克行氏(山田・林法律事務所所属弁護士)です。

同社は監査役会設置会社であり、社外取締役2名を含む取締役会と、社外監査役2名を含む監査役会を設置しています。また、取締役会の諮問機関として指名・報酬諮問委員会を設置し、経営の監視機能の強化を図っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


同社の役員報酬は、固定報酬と業績連動報酬を組み合わせた体系を採用しています。取締役(社外取締役を除く)の固定報酬は、役位や在任年数、他社水準を総合的に勘案して決定されます。業績連動報酬は、当期純利益の3%以下を上限とし、EBITDAとROEを基本指標に非財務指標を勘案して決定されます。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 6名 1.2億円 19.5百万円
監査役(社外除く) 1名 13百万円 13.3百万円
社外役員 4名 21百万円 5.2百万円


役員報酬等の総額は1億5,126万円であり、対象となる役員は合計11名です。
連結報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の開示はありません。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。