わらべや日洋ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

わらべや日洋ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

わらべや日洋ホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場し、主にセブン-イレブン向けに米飯、調理パン、惣菜などの調理済食品を製造・販売する中食業界のリーディングカンパニーです。直近の業績では、国内食品関連事業における商品規格の見直しなどの増収効果が大きく寄与し、増収増益を達成して成長を続けています。


※本記事は、わらべや日洋ホールディングス株式会社の有価証券報告書(第62期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. わらべや日洋ホールディングスってどんな会社?


セブン-イレブン向けの弁当や惣菜を中心に、調理済食品の製造・販売を手掛ける食品メーカーです。

(1) 会社概要


1964年に日東石油として設立後、1966年にサラダ類の製造販売を開始し食品事業へ進出しました。1978年にセブン-イレブン・ジャパンとの取引を開始し、1999年に東証二部、2003年に東証一部へ上場しました。2016年に持株会社体制へ移行し、現在のわらべや日洋ホールディングスに商号変更しています。

現在の同社グループは、連結従業員数1,960名、単体従業員数82名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は事業提携先であるセブン-イレブン・ジャパンで、第2位および第3位には資産管理業務などを行う信託銀行や資産管理会社が名を連ねており、安定した資本・取引関係を構築しています。

氏名 持株比率
セブン-イレブン・ジャパン 12.46%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.66%
大友アセットマネジメント 7.66%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.0%です。代表取締役社長は辻英男氏が務めており、社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
辻英男 代表取締役社長 ニチヨーキャリーに入社後、わらべや北海道社長やわらべや日洋副社長などを経て、2022年3月より現職。
浅野直 取締役専務執行役員 日立精工、ぴあを経て同社に入社し、管理本部経理部長や財務企画部長などを歴任後、2022年6月より現職。
森浩司 取締役常務執行役員 同社入社後、WARABEYA U.S.A.,INC.社長などを経て、2026年3月より現職。わらべや日洋食品の社長も兼任。
繪畑将英 取締役執行役員 アイフルを経て同社に入社。北京旺洋食品有限公司総経理や経営企画部長などを経て、2026年3月より現職。
井上敦嗣 取締役執行役員 富士銀行(現みずほ銀行)を経て同社に入社し、財務企画部長を歴任後、2026年3月より現職。
長濱康之 取締役(常勤監査等委員) 富士銀行を経て同社に入社し、グループ総務部長や人事部長などを歴任後、2023年5月より現職。


社外取締役は、吉峯英虎(元味の素冷凍食品社長)、原田史緒(四季の風総合法律事務所設立)、入江千香子(入江公認会計士事務所代表)、鋤柄卓夫(元内閣府食品安全委員会事務局長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「食品関連事業」、「食材関連事業」および「物流関連事業」を展開しています。

(1) 食品関連事業


米飯、調理パン、調理麺、惣菜、和菓子などの調理済食品の製造および販売を行っており、主にコンビニエンスストアを顧客としています。国内だけでなく、米国や中国でも事業を展開しています。

コンビニエンスストアへの調理済食品の卸売により収益を得ています。国内ではわらべや日洋食品やわらべやデリカなどが運営し、海外ではWARABEYA U.S.A.,INC.などが製造・販売を担っています。

(2) 食材関連事業


他の食品メーカーや同社グループ内の食品製造会社に向けて、紅鮭や秋鮭の切身、ほぐし身などの食品用材料の仕入、加工および販売を行っています。

食品メーカーなどに対する食品用材料の販売により収益を得ています。運営は主に日洋や日洋フレッシュが行っており、グループ内外の安定したサプライチェーンを支えています。

(3) 物流関連事業


コンビニエンスストア向けに食品関係の仕分や配送を行うほか、ネットスーパーなどの軽貨宅配や軽貨物配送サービスを提供しています。

商品の配送や宅配サービスに対する物流手数料により収益を得ています。運営はベストランスが商品の仕分・配送を担い、トラスト・K・ポーターが軽貨宅配事業を展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は安定して拡大を続けており、成長傾向にあります。利益面でも一時的な変動はあるものの、当期は商品規格の見直し等の増収効果が大きく寄与し、大幅な増益を達成しました。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 1,923億円 1,944億円 2,070億円 2,225億円 2,338億円
経常利益 50億円 46億円 68億円 49億円 74億円
利益率(%) 2.6% 2.4% 3.3% 2.2% 3.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 12億円 30億円 45億円 32億円

(2) 損益計算書


当期は売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに前期を上回る結果となりました。利益率も改善しており、原材料費上昇などのコスト増を増収効果等で吸収し、収益性の向上が見られます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 2,225億円 2,338億円
売上総利益 385億円 440億円
売上総利益率(%) 17.3% 18.8%
営業利益 45億円 74億円
営業利益率(%) 2.0% 3.2%


販売費及び一般管理費のうち、運搬費が157億円(構成比43.0%)、給料手当及び賞与が76億円(同20.9%)を占めています。売上原価は1,899億円で、売上高に対する構成比は81.2%となっています。

(3) セグメント収益


主力の食品関連事業は、商品規格の見直しや増収効果により大幅な増益を達成しました。物流関連事業も運賃改定の効果で増収基調を維持していますが、食材関連事業は取扱高の減少により減収となっています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
食品関連事業 1,984億円 2,100億円
食材関連事業 114億円 112億円
物流関連事業 127億円 127億円
連結(合計) 2,225億円 2,338億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.2%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.1%で、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


私たちは「安全・安心」と「価値ある商品・サービス」の提供を通じて、お客様の健康で豊かな食生活に貢献するというグループ理念を掲げています。また、お客様のニーズを追求した変革の推進、コンプライアンスの実践による透明性の高い経営、人を育て環境にやさしい企業を目指すことを経営理念として定めています。

(2) 企業文化


グループ企業間の連携を強化しつつ、それぞれの企業が得意分野の機能を強化し、消費者や取引先、株主、従業員などの利害関係者の信頼に応えることを重視しています。また、「衛生管理の徹底は他のいかなる業務よりも優先する」を合言葉に、全社を挙げて食品安全と品質管理に真摯に取り組む文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


資本効率の向上を重要な経営課題と位置づけ、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として設定しています。既存事業の収益力向上や海外事業の拡大などを通じて、中長期的に持続的な成長を目指しています。

* 2028年2月期を最終年度とする中期経営計画において、連結ROE10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


国内コンビニエンスストア向け事業では、消費者ニーズを的確に捉えた商品開発や省力化機械の導入等による収益力強化を図ります。さらに、国内事業で培った商品開発力や生産技術力、品質・衛生管理力を活用し、海外事業を成長分野と位置づけてグローバルな事業基盤の構築を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


経営理念の一つに「人を育て、働きがいのある、環境にやさしい企業を目指します。」を掲げており、人材こそが持続的な成長を支える原動力であると位置づけています。多様な人材の活用を通じて競争力を高めるため、従業員の処遇改善や働きやすい職場環境の提供、人材育成プログラムの充実などに継続して取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 43.2歳 10.9年 7,418,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 63.8%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 61.2%
男女賃金差異(非正規雇用労働者) 95.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) セブン-イレブンへの高い販売依存度


同社グループの主な販売先はセブン-イレブンの加盟店および直営店であり、連結売上高の7割以上を占めています。同店舗の出店戦略や販売方針、価格政策などの経営戦略が変更された場合や、他社との競合が発生した場合には、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 中食事業における競合激化とコスト増


中食業界では、食品スーパーやドラッグストア、惣菜専門店などとの間で価格や品質などを巡る競争が激化しています。さらに、原材料価格や人件費、物流費の上昇に伴う製造コストの増加が同社グループの想定を超えた場合、収益性に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 食の安全性と品質管理リスク


食品メーカーとして食の安全・安心への対応は最重要課題です。HACCPに沿った規格適合や国際認証を取得し、徹底した衛生管理体制を構築していますが、想定を超えた食品事故や品質問題が発生した場合には、社会的信用の失墜や業績への悪影響が生じる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

わらべや日洋ホールディングスの転職研究 2026年2月期決算に見るキャリア機会

わらべや日洋ホールディングスの2026年2月期決算は、売上高・全利益で過去最高を更新。国内事業の地域別分社化や北米での冷凍食品展開など、攻めの構造改革が加速しています。「なぜ今わらべや日洋ホールディングスなのか?」「地域分社化で転職者の役割はどう変わるのか」を整理します。


わらべや日洋ホールディングスの転職研究 2026年2月期3Q決算に見るキャリア機会

わらべや日洋ホールディングスの2026年2月期3Q決算は、営業利益前年比+41.6%と過去最高益を更新する勢い。商品規格の見直しや工場再編といった実利重視の戦略が奏功しています。「食品インフラの進化」に挑む同社で、転職希望者が商品開発や生産管理のプロとしてどう活躍できるのかを整理します。