わらべや日洋ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

わらべや日洋ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プライム市場に上場し、コンビニエンスストア向けの弁当・おにぎり・惣菜等を製造する中食事業を主力としています。当期は国内外の新工場稼働やM&A効果で売上高は過去最高を更新しましたが、新工場の初期費用や工場再編費用等が響き、増収減益(売上高7.5%増、経常利益28.2%減)となりました。


※本記事は、わらべや日洋ホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第61期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. わらべや日洋ホールディングスってどんな会社?


中食業界のリーディングカンパニーとして、セブン-イレブン向けの米飯・調理パン・惣菜等を製造販売する食品関連事業を中核に展開しています。

(1) 会社概要


1964年に日東石油として設立され、その後日洋産業へ商号変更しました。1978年にセブン-イレブンとの取引を開始し、中食事業を拡大させました。2016年には持株会社体制へ移行し、現商号に変更しています。2022年の市場再編でプライム市場へ移行し、2024年にはヒガシヤデリカより事業譲受を行うなど、業容拡大を続けています。

連結従業員数は2,024名、単体では87名体制です。大株主構成については、筆頭株主は事業会社のセブン-イレブン・ジャパンで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は資産管理会社となっています。

氏名 持株比率
セブン-イレブン・ジャパン 12.46%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.73%
大友アセットマネジメント 7.66%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.0%です。代表取締役社長は辻 英男氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
辻 英男 代表取締役社長 ニチヨーキャリー(現ベストランス)入社。わらべや日洋インターナショナル社長等を経て、2022年より現職。
大友 啓行 取締役会長 ホーメル入社。日洋、同社を経て、社長、わらべや日洋社長等を歴任。2025年より現職。
浅野 直 取締役専務執行役員 日立精工、ぴあを経て同社入社。管理本部経理部長、財務企画部長等を歴任。2022年より現職。
森 浩司 取締役常務執行役員 同社入社。WARABEYA U.S.A.社長、海外事業統括等を歴任。2025年より現職。
繪畑 将英 取締役執行役員 アイフルを経て同社入社。北京旺洋食品総経理、経営企画部長等を歴任。2022年より現職。
井上 敦嗣 取締役執行役員 富士銀行(現みずほ銀行)入行。同社財務企画部長を経て、2024年より現職。
長濱 康之 取締役(常勤監査等委員) 富士銀行(現みずほ銀行)入行。ソシアリンク社長、同社人事部長等を歴任。2023年より現職。


社外取締役は、吉峯英虎(元味の素冷凍食品社長)、原田史緒(弁護士)、入江千香子(公認会計士)、鋤柄卓夫(元内閣府食品安全委員会事務局長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「食品関連事業」「食材関連事業」「物流関連事業」の3つの報告セグメントを展開しています。

**食品関連事業**
米飯(おにぎり・弁当)、調理パン、調理麺、焼きたてパン、惣菜、和菓子などの調理済食品を製造・販売しています。主な顧客はセブン-イレブン・ジャパンです。
収益は、コンビニエンスストア店舗への製品販売による対価が中心です。運営は、国内ではわらべや日洋食品、わらべやデリカ等が、海外ではWARABEYA U.S.A.、WARABEYA NORTH AMERICA、北京旺洋食品等が行っています。

**食材関連事業**
食品用材料の仕入・加工・販売を行っています。顧客はわらべや日洋食品や他の食品メーカーです。
収益は、食品メーカー等への食材販売代金です。運営は主に日洋が行っており、日洋フレッシュからは加工食材を仕入れています。

**物流関連事業**
食品関係の配送や仕分け業務を行っています。
収益は、食品メーカー等からの配送業務委託料です。運営は、ベストランスがコンビニエンスストア等への商品仕分・配送を行い、トラスト・K・ポーターがネットスーパー等の軽貨物配送を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は着実に増加傾向にあり、特に直近2期で大きく伸長しています。経常利益と当期純利益については、増減の波があり、直近の2025年2月期は前期比で減益となりましたが、売上規模の拡大は続いています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 1,943億円 1,923億円 1,944億円 2,070億円 2,225億円
経常利益 37億円 50億円 46億円 68億円 49億円
利益率(%) 1.9% 2.6% 2.4% 3.3% 2.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 1億円 12億円 30億円 27億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価の増加率が売上高の伸びを上回り、売上総利益率は低下しました。営業利益は減益となり、利益率も低下しています。これは新工場の立ち上げ費用や工場再編コストの影響を含んでいます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 2,070億円 2,225億円
売上総利益 369億円 385億円
売上総利益率(%) 17.8% 17.3%
営業利益 64億円 45億円
営業利益率(%) 3.1% 2.0%


販売費及び一般管理費のうち、運搬費が138億円(構成比40%)、その他が105億円(同31%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の食品関連事業は国内外の新工場稼働により増収となりましたが、初期赤字や再編費用で減益となりました。食材関連事業はおにぎり具材等の取扱増で増益を確保しました。物流関連事業は取扱高減少とコスト増により減収減益となりました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
食品関連事業 1,806億円 1,984億円 59億円 42億円 2.1%
食材関連事業 114億円 114億円 3億円 5億円 4.5%
物流関連事業 129億円 127億円 7億円 7億円 5.4%
連結(合計) 2,070億円 2,225億円 64億円 45億円 2.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の儲けを示す営業CFはプラスを維持し、借入金による調達も行いながら、設備投資等の投資活動を積極的に行う「積極型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 94億円 125億円
投資CF -135億円 -207億円
財務CF 8億円 83億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は46.9%で市場平均(プライム製造業平均46.8%)とほぼ同水準となっています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「安全・安心」と「価値ある商品・サービス」の提供を通じて、お客様の健康で豊かな食生活に貢献することをグループ理念としています。また、お客様のニーズを追求し、変革を推進することや、社会から信頼される企業を目指すことを経営理念に掲げています。

(2) 企業文化


「衛生管理の徹底は他のいかなる業務よりも優先する」を合言葉に、食の安全・安心を最優先する文化があります。また、「人を育て、働きがいのある、環境にやさしい企業を目指します」という経営理念のもと、コンプライアンスを実践し、透明性の高い経営を行うことを重視しています。

(3) 経営計画・目標


2028年2月期を最終年度とする中期経営計画において、以下の数値目標を掲げています。

* 連結ROE:10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「いかなる環境にも対応できる経営基盤」の構築を目指し、国内コンビニ向け事業の拡充と収益力強化、および海外事業の成長によるグローバル基盤の構築を重点施策としています。具体的には、商品開発力の強化、原価管理の徹底、省力化機械導入による生産性向上、生産体制の見直し等を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を競争力の源泉と捉え、多様な人材の確保・育成と働きやすい職場づくりを推進しています。処遇改善、女性・外国人従業員の活躍推進、多様化推進委員会の設置などを通じ、中長期的な人材基盤の強化に取り組んでいます。特に女性管理職比率の向上や育児休業取得促進に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 42.9歳 10.4年 7,013,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.5%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 62.5%
男女賃金差異(正規) 60.3%
男女賃金差異(非正規) 76.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(87.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定の取引先への依存


同社グループの売上の約75%は、株式会社セブン-イレブン・ジャパンの加盟店および直営店向けが占めています。同社の店舗展開や販売方針、価格政策などの経営戦略が変更された場合、同業他社との競合発生などにより、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格・コストの上昇


食品スーパーやドラッグストア等との競合が激化する中、原材料価格や人件費の上昇に伴う製造コストの増加がリスク要因となっています。価格転嫁が十分に進まない場合や、コスト増が想定を上回る場合、収益性が低下する可能性があります。

(3) 食の安全性確保


食品メーカーとして衛生管理を最優先していますが、万が一、食中毒や異物混入等の事故が発生した場合、社会的信用の失墜や製品回収コストの発生などにより、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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