※本記事は、トルク株式会社 の有価証券報告書(第85期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年01月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. トルクってどんな会社?
鋲螺(ボルト・ナット)やコンクリート製品関連金物、機械工具を取り扱う専門卸商社です。
■(1) 会社概要
1926年に大阪市で創業し、ボルト・ナット等の販売を開始しました。1961年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、1971年には同第一部へ指定替えとなりました。その後、株式会社ナカイチ(現コバックス)や中正機械株式会社等を子会社化し事業を拡大。2023年には東証スタンダード市場へ移行しています。
連結従業員数は213名、単体では156名です。筆頭株主は有限会社濱重興産で、第2位は主要な取引先でもある岡部、第3位は日本ナットとなっています。岡部とは関連当事者の関係にあり、鋲螺商品の販売を行っています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社濱重興産 | 24.50% |
| 岡部 | 15.47% |
| 日本ナット | 5.53% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は檜垣俊行氏です。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 檜垣 俊行 | 代表取締役社長 | 2003年1月新共栄鉄工(現ボルトワン)入社。同社社長を経て2009年1月同社取締役。管理本部長などを歴任し、2014年1月より現職。 |
| 榎原 永二郎 | 常務取締役営業本部長 | 1989年6月同社入社。コバックス社長などを経て、2019年1月より同社常務取締役営業本部長。2023年1月よりオーワハガネ工業代表取締役社長を兼務。 |
| 濵中 重信 | 取締役 | 1973年4月同社入社。濱中ナット販売社長、濱中ナット社長を経て、2008年1月より現職。2021年10月より濱中ナット会長を兼務。 |
| 芝田 誠 | 取締役(監査等委員) | 1975年4月同社入社。購買部長、常勤監査役を経て、2023年1月より現職。 |
社外取締役は、岡田真季(元岡總代表取締役社長)、政元竜彦(ビジネス・ブレークスルー取締役副社長)、福田太一(T&F国際法律事務所代表)、松本康之(長野総合法律事務所弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「鋲螺部門」および「コンクリート製品関連金物部門」を展開しています。
■鋲螺部門
ボルト・ナット等の鋲螺商品や機械工具等の販売を行っています。主な顧客は建設業界や製造業界などです。中正機械、オーワハガネ工業、中島工機などの子会社とともに事業を展開しています。
収益は、顧客への商品販売代金として受け取ります。運営は主にトルク、中正機械、オーワハガネ工業、中島工機が行っており、関連当事者である濱中ナット販売からの仕入れや、主要株主である岡部への販売も行っています。
■コンクリート製品関連金物部門
コンクリート製品に関連する金物の販売を行っています。公共事業やインフラ整備、建設プロジェクトなどにおいて需要があります。
収益は、製品の販売対価として顧客から受け取ります。運営は、トルクおよび子会社であるコバックスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年10月期から2025年10月期までの5期間の推移を見ると、売上高は193億円から225億円へと着実に増加しています。利益面では、経常利益が4億円から13億円規模へと大幅に伸長し、利益率も改善傾向にあります。当期純利益も増加基調を維持しています。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 193億円 | 205億円 | 218億円 | 224億円 | 225億円 |
| 経常利益 | 4.0億円 | 7.1億円 | 12.4億円 | 12.4億円 | 12.8億円 |
| 利益率(%) | 2.1% | 3.5% | 5.7% | 5.5% | 5.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.7億円 | 2.9億円 | 5.1億円 | 5.3億円 | 5.8億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は微増し、売上総利益も増加しました。売上総利益率はほぼ横ばいで推移しています。営業利益は前期の9.1億円から10.1億円へと増加し、営業利益率も改善しました。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 224億円 | 225億円 |
| 売上総利益 | 51億円 | 52億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.6% | 22.9% |
| 営業利益 | 9.1億円 | 10.1億円 |
| 営業利益率(%) | 4.0% | 4.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び諸手当が12億円(構成比29.5%)、荷造運送費が11億円(同25.6%)を占めています。
■(3) セグメント収益
鋲螺部門、コンクリート製品関連金物部門ともに売上高は前期比で微増となりました。特にコンクリート製品関連金物部門は、港湾整備工事や高速鉄道関連案件などへの貢献により堅調に推移しました。
| 区分 | 売上(2024年10月期) | 売上(2025年10月期) |
|---|---|---|
| 鋲螺部門 | - | 189億円 |
| コンクリート製品関連金物部門 | - | 37億円 |
| 連結(合計) | 224億円 | 225億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
トルクは、健全なバランスシート維持を財務方針として掲げています。営業活動では、売上債権の減少や減価償却費の計上等により、資金を獲得しました。一方、投資活動では、投資有価証券の取得により資金を使用しました。また、財務活動では、長期借入金の返済や自己株式の取得により、資金が使用されました。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.2億円 | 21億円 |
| 投資CF | 0.8億円 | -1.9億円 |
| 財務CF | -5.1億円 | -7.8億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、鋲螺(ボルト・ナット)商品、コンクリート製品関連金物、機械工具の専門卸商社として、締結金物商品の販売を通じて社会の発展に貢献することを基本理念としています。すべての取引関係者に対し、信頼と期待に応えるよう行動基準を設け業務に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
すべての取引関係者に対して信頼と期待に応えることを重視しています。また、社員とその家族が満足でき、やりがいと誇りを持って働ける職場づくりを目指しており、社内SNSでの称賛共有や表彰制度などを通じて、社員のやりがいと誇りを醸成する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
鋲螺業界において、競争力と収益性の指標として「営業利益額」、成長性の指標として「営業利益伸び率」を重点指標として掲げており、その向上に努めています。具体的な数値目標は記載されていませんが、継続的な成長と利益拡大を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
収益向上のための本業強化と、成長のための新事業育成を掲げています。具体的には、デジタル化による取引業務効率の向上、柔軟な働き方の実現と優秀な人材の採用、輸入品ラインナップの拡大、提携やM&Aによる事業領域の拡大に取り組みます。これらを通じて、成熟企業から成長企業への変革を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
社員の成長を通じた会社の成長を目指し、人材育成に注力しています。研修制度の拡充やオンライン講習の導入、資格取得支援などを行っています。また、柔軟な働き方を実現するため、テレワークや短時間勤務制度を整備し、子育て世代や年配者が働きやすい環境作りを進めると同時に、多様な人材の採用も促進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 39.1歳 | 14.6年 | 5,324,000円 |
※平均年間給与は賞与および基準外賃金を含んでいます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は、女性活躍推進法および育児・介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員の育児休業取得率(100%)、男性社員の育児休業取得率(80%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 公共投資の減少による影響
公共事業への依存度が高いコンクリート製品関連金物部門において、公共投資が縮減された場合、販売競争の激化や価格下落を引き起こし、同社グループの売上高や利益率が低下する可能性があります。
■(2) 為替相場の変動
中国を中心とするアジア諸国から商品を調達しているため、仕入価格は為替相場の影響を受けます。円安が進行した場合、仕入価格の上昇により粗利率が低下し、営業利益が悪化するリスクがあります。
■(3) 海外事業展開に伴うリスク
輸入商品の仕入拡大に伴い、海外出張等の機会があります。感染症やテロ等のカントリーリスクが高まった場合、事業遂行に支障をきたす可能性があります。また、これらに加え、自然災害による拠点の被災や事業中断のリスクも認識しています。



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