#記事タイトル:「トップカルチャー転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」
※本記事は、株式会社トップカルチャー の有価証券報告書(第41期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. トップカルチャーってどんな会社?
蔦屋書店事業を中心に、書籍、文具、雑貨、音楽・映像ソフト等を扱う大型複合店舗を運営する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1986年に設立され、翌1987年に大型複合店舗「蔦屋書店」の1号店を開店しました。2001年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2005年には同市場第一部へ上場を果たしました。2011年からは売場面積1,000坪を超える超大型複合書店の出店を開始し、2023年には飲食事業を行うメソッドカイザーを連結子会社化しています。
同社グループの従業員数は連結で192名、単体で137名です。筆頭株主は書籍取次大手のトーハンで22.55%を保有し、第2位は創業家の資産管理会社と思われるヒーズ(16.78%)、第3位はフランチャイズ契約先であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(15.49%)となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| トーハン | 22.55% |
| ヒーズ | 16.78% |
| カルチュア・コンビニエンス・クラブ | 15.49% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名、計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長CEO兼営業本部長は清水大輔氏です。社外取締役の比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 清水 大 輔 | 代表取締役社長CEO兼営業本部長 | 2009年楽天入社。2018年メディアドゥ入社。2019年同社入社。2021年代表取締役社長COO兼営業本部長を経て、2023年1月より現職。 |
| 清水 秀 雄 | 取締役会長 | 1986年同社設立、代表取締役社長。2021年代表取締役会長CEOを経て、2023年1月より現職。メソッドカイザー代表取締役社長を兼務。 |
| 吉 田 勝 一 | 取締役経営企画室長兼管理本部長 | 2009年同社入社。2013年取締役管理部経理担当、2021年取締役財務部長CFO兼管理部長などを経て、2025年1月より現職。 |
| 笹 川 菜 央 | 取締役人事部長 | 2000年同社入社。2011年内部監査室長、2015年人事部長、2020年執行役員人事部長などを経て、2021年1月より現職。 |
社外取締役は、中村崇(弁護士法人中村・大城国際法律事務所代表弁護士)、平田竹男(早稲田大学大学院スポーツ科学研究科教授)、渡部弘之(トーハン取締役上席執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「蔦屋書店事業」「ゲーム・トレーディングカード事業」「スポーツ関連事業」「訪問看護事業」「飲食事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 蔦屋書店事業
書籍、文具、雑貨等の販売と音楽・映像ソフトの販売・レンタル、その他関連サービスを提供しています。主な顧客は一般消費者であり、日常生活に密着したエンターテイメントを提供する大型複合店舗「蔦屋書店」を展開しています。
収益は、一般顧客への商品販売代金やレンタル料等から得ています。運営は主にトップカルチャーが行っています。
■(2) ゲーム・トレーディングカード事業
古本、ゲーム、トレーディングカード、音楽・映像ソフト等の販売や買取を行っています。主な顧客は一般消費者であり、「古本市場トップブックス」および「ふるいちトップブックス」の店舗を展開しています。
収益は、一般顧客への商品販売代金等から得ています。運営はトップブックスが行っています。
■(3) スポーツ関連事業
サッカークラブおよびサッカースクールの運営、スポーツ施設の企画・経営等を行っています。アマチュアリーグ所属の「グランセナ新潟フットボールクラブ」やサッカースクール、スタジアム、保育園の運営が含まれます。
収益は、スクール受講料や施設利用料等から得ています。運営はグランセナフットボールクラブが行っています。
■(4) 訪問看護事業
精神疾患・認知症を中心とした訪問看護事業を行っています。「脳とこころの訪問看護ステーション」を運営し、利用者に対して訪問看護サービスを提供しています。
収益は、介護保険や医療保険に基づくサービス料等から得ています。運営はワーグルスタッフサービスが行っています。
■(5) 飲食事業
タリーズコーヒーのフランチャイズ運営を行っています。「タリーズコーヒー」および「タリーズコーヒー&TEA」の店舗を展開し、飲食サービスを提供しています。
収益は、一般顧客への飲食代金販売から得ています。運営はメソッドカイザーが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。利益面では、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失が続いており、4期連続で損失を計上しています。これは不採算店舗の撤退や事業構造改革に伴うコスト等が影響していると考えられます。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 264億円 | 209億円 | 190億円 | 184億円 | 173億円 |
| 経常利益 | 3億円 | -1.9億円 | -8.9億円 | -5.8億円 | -4.8億円 |
| 利益率(%) | 1.0% | -0.9% | -4.7% | -3.1% | -2.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -20億円 | -2.8億円 | -14億円 | -7.4億円 | -8.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しています。売上総利益率は概ね横ばいですが、営業損失を計上しています。販売費及び一般管理費の負担が重く、利益を圧迫している状況が見て取れます。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 184億円 | 173億円 |
| 売上総利益 | 63億円 | 60億円 |
| 売上総利益率(%) | 34.3% | 34.9% |
| 営業利益 | -5.0億円 | -3.9億円 |
| 営業利益率(%) | -2.7% | -2.3% |
販売費及び一般管理費のうち、不動産賃借料が17億円(構成比26.5%)、給料及び手当が18億円(同28.0%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の蔦屋書店事業は減収となりました。一方、ゲーム・トレーディングカード事業、スポーツ関連事業、訪問看護事業、飲食事業はいずれも増収となっています。特にゲーム・トレーディングカード事業の売上高の伸びが顕著です。
| 区分 | 売上(2024年10月期) | 売上(2025年10月期) |
|---|---|---|
| 蔦屋書店事業 | 165億円 | 152億円 |
| ゲーム・トレーディングカード事業 | 3.8億円 | 5.1億円 |
| スポーツ関連事業 | 2.2億円 | 2.3億円 |
| 訪問看護事業 | 1.8億円 | 2.1億円 |
| 飲食事業 | 11億円 | 12億円 |
| 連結(合計) | 184億円 | 173億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動によるキャッシュ・フローの増加を中心としつつ、設備投資資金は増資や長期借入金で調達する方針です。
営業活動によるキャッシュ・フローは増加し、事業活動から潤沢な資金を獲得しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは増加し、事業に必要な投資を行いました。
財務活動によるキャッシュ・フローは増加し、資金調達や返済を行いました。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8.0億円 | 9.0億円 |
| 投資CF | 1.2億円 | 0.9億円 |
| 財務CF | -15億円 | -7.7億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「商業を通じて、地域社会に信頼される誠実な企業でありたい。」という社是を掲げています。また、「日常的エンターテイメントの提供」を事業コンセプトとし、地域社会に密着した、家族みんなで楽しめる「コミュニティのための場」を提供することを目指しています。
■(2) 企業文化
日常生活に欠かせない、身近で文化的な商品・情報を一店舗に集約し、子供から年配の方まで家族みんなで楽しめる「空間と時間」を提供することを重視しています。情報技術を活用した徹底したローコストオペレーションに取り組み、顧客に愛顧される店舗創りを目指す姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画の最終年度である2026年10月期の目標として、以下の指標を設定しています。
* 売上高:181億円
* 営業利益:4.5億円
* 営業利益率:2.5%
* EBITDA:9.1億円
■(4) 成長戦略と重点施策
「“持続可能な書店創り”へのチャレンジ」を経営方針に掲げ、書店事業に軸足を置きつつ、新業態との組み合わせによる収益性の高い書店創りを推進しています。具体的には、読書体験価値の提案による顧客満足度向上、オリジナル企画やEC販売の強化、新規商品・企画の導入加速、グループ子会社4社との連携強化による相乗効果の最大化、売場改装と店舗運営効率化による早期黒字化を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
職員が働きやすい環境を作ることで、全ての職員が能力を十分に発揮できるよう社内環境の整備と人材育成に努めています。年齢、性別、国籍、社歴等に関係なく、年功序列ではなく能力実績重視の評価制度により採用や登用を行っています。また、中途採用者の登用や優秀な人材の獲得など、多様性の確保を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 43.5歳 | 17.8年 | 4,988,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含め、ストック・オプションによる株式報酬費用は除いています。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.6% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 47.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 73.1% |
| 男女賃金差異(非正規) | 138.3% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員採用者に占める女性比率(50%以上とする目標)、一般社員の残業時間(月平均10時間以内とする目標)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) フランチャイズ契約について
同社はカルチュア・エクスペリエンス株式会社とフランチャイズ契約を締結しており、同契約には競業禁止条項や出店制約等が含まれています。競業禁止条項については覚書により解除されていますが、今後変更となる可能性があります。同社との関係が機能しなくなった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 店舗開発について
東日本エリアへの多店舗展開を目指していますが、出店は貸主や地権者との交渉、大規模小売店舗立地法の手続き、他社FC加盟店との競合等の影響を受けます。計画通りに出店できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 大型店への投資について
売場面積1,000坪から3,000坪の大型複合書店を出店モデルとしていますが、1店舗当たりの投資額が大きく、資材価格や建設コストの上昇が負担となる可能性があります。また、投資回収期間が長いため、利益計画の遅れが生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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