キタック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

キタック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場しており、地質調査や土木設計などの建設コンサルタント事業を主力としています。当期の業績は、売上高35億円で前期比増収となりましたが、利益面では経常利益が2億円となり減益で着地しました。官公庁の仕事が中心であり、安定した経営基盤を持っています。


※本記事は、株式会社キタック の有価証券報告書(第53期、自 2024年10月21日 至 2025年10月20日、2026年1月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. キタックってどんな会社?


新潟県内を中心に、地質調査や土木設計などの社会資本整備に関わる業務を行う総合建設コンサルタントです。

(1) 会社概要


同社は1973年、地質調査及び土木設計を主業務とする北日本技術コンサルタントとして設立されました。1989年に現在のキタックへ商号変更を行い、2004年にはジャスダック証券取引所へ上場を果たしました。新潟県内を地盤とし、2021年には広川測量社を子会社化するなど、地域に根差した事業展開を続けています。

連結従業員数は197名、単体では190名が在籍しています。筆頭株主は創業者の中山輝也氏で14.64%を保有しており、第2位は代表取締役社長の中山正子氏(8.33%)です。第3位には投資育成会社が名を連ねており、創業家が主要株主として経営に関与するオーナー系企業の特徴を持っています。

氏名 持株比率
中山 輝也 14.64%
中山 正子 8.33%
東京中小企業投資育成 4.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性2名の計14名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は中山正子氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
中山 正子 代表取締役社長 1993年クリエイティブ蒼風入社。2006年同社入社。取締役総務部長、専務取締役などを経て、2017年1月より現職。
平野 吉彦 取締役副社長 1979年同社入社。技術第一部長、専務取締役(技術管理部門統括)などを経て、2019年1月より現職。
金子 敏哉 専務取締役 1980年同社入社。技術第一部部長、常務取締役(事業管理部門統括)などを経て、2025年1月より現職。
佐藤 豊 常務取締役事業管理部門統括 1988年同社入社。技術第一部長、取締役(事業管理部門副統括)などを経て、2025年1月より現職。
大塚 秀行 常務取締役技術管理部門統括 1987年同社入社。取締役(技術管理部門副統括)などを経て、2025年1月より現職。
石川 一栄 常務取締役事業管理部門副統括 1983年北陸地方建設局採用。国土交通省北陸地方整備局河川情報管理官などを経て、2025年7月同社入社。2026年1月より現職。
外川 忠 利 取締役事業管理部門副統括 1983年新潟県採用。村上地域振興局局長、新潟県下水道公社理事長などを経て、2023年4月同社入社。2024年1月より現職。
遠藤 雄 治 取締役技術管理部門副統括水工・砂防部長 1999年同社入社。2022年水工・砂防部長。2025年1月より現職。
門口 健 吾 取締役技術管理部門副統括道路・構造部長 2000年同社入社。2024年道路・構造部長。2025年1月より現職。
小林 清 吾 取締役(監査等委員) 1983年新潟県採用。産業労働観光部副部長などを経て、2022年4月同社入社。2023年1月より現職。


社外取締役は、中村崇(弁護士)、高橋純子(DI Palette取締役)、阿部治彦(元倉敷機械開発本部長)、武石聡之(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設コンサルタント事業」、「WEBソリューション事業」、「不動産賃貸等事業」を展開しています。

(1) 建設コンサルタント事業


新潟県内を中心に、地質調査や土木設計、測量などの業務を提供しています。主な顧客は国土交通省や新潟県などの官公庁であり、社会資本整備の計画・調査・設計業務を担っています。

収益は、国や地方公共団体等からの業務委託による完成業務収入が中心です。運営は、地質調査・土木設計等を同社が、測量業務を連結子会社の広川測量社が行っています。

(2) WEBソリューション事業


新潟県内を中心に、顧客の印刷物の作成や自社印刷物の作成、およびWEB広告事業を展開しています。地域の顧客に対し、各種ソリューションを提供しています。

収益は、顧客からの制作物や広告業務の受託による対価です。運営は主に同社が行っています。

(3) 不動産賃貸等事業


主に新潟県内において、不動産賃貸業等を営んでいます。自社保有の不動産資産を活用した事業です。

収益は、テナントや入居者からの賃貸料収入です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年10月期から2025年10月期までの5期間を見ると、売上高は緩やかな増加傾向にあり、直近では35億円規模に達しています。利益面では、2024年10月期に経常利益が大きく伸長しましたが、2025年10月期はその反動等により減益となりました。全体としては黒字経営を維持しています。

項目 2021年10月期 2022年10月期 2023年10月期 2024年10月期 2025年10月期
売上高 26億円 28億円 29億円 33億円 35億円
経常利益 0.4億円 1億円 2億円 4億円 2億円
利益率(%) 1.4% 4.9% 6.4% 11.8% 4.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.2億円 1億円 1億円 3億円 2億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高は増加していますが、売上総利益および営業利益は減少しています。売上原価の増加が利益を圧迫しており、営業利益率は前期の10.8%から4.2%へと低下しました。

項目 2024年10月期 2025年10月期
売上高 33億円 35億円
売上総利益 11億円 10億円
売上総利益率(%) 33.1% 29.5%
営業利益 4億円 1億円
営業利益率(%) 10.8% 4.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3億円(構成比31%)、支払手数料が1億円(同12%)を占めています。売上原価においては、完成業務原価が21億円(構成比88%)と大半を占めています。

(3) セグメント収益


建設コンサルタント事業は売上高が増加しましたが、利益は減少しており、コスト増の影響が見られます。WEBソリューション事業は大幅な増収増益となり、好調に推移しました。不動産賃貸等事業は売上、利益ともに減少し、やや低調な結果となりました。

区分 売上(2024年10月期) 売上(2025年10月期) 利益(2024年10月期) 利益(2025年10月期) 利益率
建設コンサルタント事業 30億円 31億円 10億円 10億円 31.0%
WEBソリューション事業 1億円 2億円 0.1億円 0.2億円 9.4%
不動産賃貸等事業 2億円 2億円 1億円 0.5億円 24.7%
連結(合計) 33億円 35億円 11億円 10億円 29.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

キタックは、建設コンサルタント事業やWEBソリューション事業などを展開しており、営業活動では税金等調整前当期純利益の増加があったものの、売上債権の増加などにより資金が増加しました。投資活動では、国庫補助金の収入があった一方で、有形固定資産の取得などにより資金が減少しました。財務活動では、短期借入金や長期借入金の増加があったものの、借入金の返済や社債の償還などにより資金が減少しました。

項目 2024年10月期 2025年10月期
営業CF 3億円 1億円
投資CF -0.2億円 -1億円
財務CF -2億円 -0.2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「優れた技術を社会に提供し、社会の発展に寄与することを使命とする」を基本理念として掲げています。社会資本整備の計画・調査や設計業務を通じて培われた技術とノウハウを活かし、コスト競争力と高品質を両立させることで、顧客の信頼に応えることを目指しています。

(2) 企業文化


基本理念に基づき、「誠実な業務執行」を信条としています。顧客からの信頼を重視し、営業、技術、品質、財務などあらゆる面において常に高い水準を目指す姿勢を持っています。また、人材育成と技術者教育を強化し、時代のニーズに対応した就業環境の整備にも努めています。

(3) 経営計画・目標


同社は、安定した経営を維持するため、株主資本比率、売上高経常利益率、1株当たり当期純利益などの経営指標の向上を目標としています。具体的な数値目標としては、「稼ぐ力の強化」「働く環境の改善」「多様な人材の活用」を経営目標の3本柱に据えています。

(4) 成長戦略と重点施策


主力である地質・地盤調査、土木設計の技術力に加え、高度・先端技術の導入による差別化を図っています。国土強靭化施策や公共インフラの維持・補修業務などの需要を取り込むとともに、コスト競争力と高品質を武器に業績向上を目指しています。また、SDGsへの対応や人材育成の強化も推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「稼ぐ力」「働く環境の改善」「人材の活用」の方針のもと、技術力向上と企業価値増大に努めています。特に技術職の社員には、学会や研修への参加、資格取得を支援し、「技術士取得強化委員会」等を設置しています。また、多様性を重視し、次代の担い手である女性や若手技術者の積極的な配置・育成を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年10月期 45.5歳 13.1年 5,493,569円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社は女性活躍推進法の規定による公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育児休業取得率(100%)、採用する社員に占める女性の割合(30%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 国及び地方自治体への高い受注依存


同グループは、国や新潟県などの地方自治体を主要顧客としており、これら官公庁への受注依存度が80%以上と高くなっています。そのため、政府の構造改革や公共事業費の削減などが実施された場合、同グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 激化する価格競争


公共事業費の抑制傾向が継続し、これまで以上に価格競争が厳しくなった場合、受注単価の下落などにより、同グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 受注業務の損失発生リスク


受注業務の損失に備えて業務損失引当金を計上していますが、未成業務において将来の損失発生が見込まれる場合、その損失見込額を引当金として計上する必要があります。これにより、同グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。