※本記事は、株式会社ケア21 の有価証券報告書(2025年10月期、2024年11月1日 ~ 2025年10月31日、2026年1月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ケア21グループは、訪問介護、居宅介護支援、デイサービス、施設介護サービス(介護付き有料老人ホーム、グループホーム)などの介護事業を展開しています。また、保育施設の運営、福祉用具の販売・貸与、住宅改修も手掛けており、幅広い福祉サービスを提供しています。
単体従業員数は5,472名、連結従業員数は6,319名です。セグメントは在宅系介護事業、施設系介護事業、その他の3つです。
主な国内グループ会社は、サポート21(軽作業請負)、EE21、美味しい料理(ダイニング)、ケア21メディカル、たのしい職場(就労継続支援A型)などです。
ケア21ライフプラスは、当連結会計年度において会社分割によりケア21の一部事業(福祉用具の販売及び貸与、住宅改修事業)を譲り受けました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ケア21は、介護・福祉サービスを主軸とする事業を展開しており、人によるサービス提供を価値の源泉としています。そのため、人材の確保・育成・定着を重要な経営課題と位置づけ、従業員が安心して長く働ける環境づくりに注力している傾向が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の定着とキャリア形成を重視していることがうかがえます。平均勤続年数や平均年齢から、一定の経験を積んだ従業員が在籍している状況が示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,050,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.3年 |
| 平均年齢 | 46.6歳 |
| 単体従業員数 | 5,472人 |
| 連結従業員数 | 6,319人 |
| 単体のグループ内比率 | 86.6% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、総合福祉企業として持続的な成長と企業価値向上を目指し、人によるサービス提供を価値の源泉と捉えています。特に、安定的な人材の確保・育成・定着を最も重要な経営課題の一つとして位置づけています。
人材確保の取り組みとして、女性従業員や中途採用者の活躍を支援するため、性別・国籍等に関わらず有能な人材の管理職への登用、子育てサポート(「くるみん認定」)、定年制度の撤廃を実施しています。また、技能実習生や留学生の受け入れ、ベトナムでの日本語教育センター運営にも積極的に取り組んでいます。
社内研修体制の充実にも力を入れており、大阪本社と東京本社に研修センターを設置し、接遇を含む介護技能の指導・研修を行っています。「技能段位制度」や「チャレンジキャリア制度」を通じて、介護従事者の知識・技能向上とキャリア形成を支援し、サービス品質の向上と離職率の低減を目指しています。給与・評価体制においては、同一労働・同一賃金を基本とし、従業員の能力・資格・経験に応じた処遇を整備しています。独自の「誰伸び評価制度」により、従業員と上司のコミュニケーションを通じて目標を明確化し、成長実感とモチベーション向上を図ることで、組織全体の生産性向上に寄与することを目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理職に占める女性労働者の割合は女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき、男性労働者の育児休業取得率は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 63.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 43.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 96.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 98.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 98.5% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社の数値のみ掲載します。
▼ (株)美味しい料理
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 38.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 81.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 90.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 98.1%
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ケア21グループは、高齢化社会のニーズに応えるべく、在宅系介護サービスと施設系介護サービスを主軸に事業を展開しています。これに加え、保育施設の運営や障がい者支援など、多岐にわたるサービスを提供し、社会貢献と事業成長を両立させています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ケア21グループは、介護保険法に基づく訪問介護サービス、居宅介護支援サービス、デイサービス、小規模多機能型居宅介護、施設介護サービス(介護付き有料老人ホーム、グループホーム)、保育施設の運営、福祉用具の販売・貸与及び住宅改修を主たる業務としています。収益モデルは、主に介護保険制度に基づくサービス提供による対価と、その他事業からの収入で構成されています。
在宅系介護事業
訪問介護サービス、居宅介護支援サービス、デイサービス、小規模多機能型居宅介護を提供しています。利用者の居宅での身体介護や生活援助、ケアプラン作成、通所介護などが含まれます。収益は、介護保険制度に基づくサービス対価から得ています。運営は、ケア21が行っています。
施設系介護事業
介護付き有料老人ホームとグループホームを運営しています。入浴・排泄・食事等の介護、生活相談・助言、機能訓練など、施設での生活全般をサポートしています。収益は、介護保険制度に基づくサービス対価と入居費用から得ています。運営は、ケア21が行っています。
その他の事業セグメント
保育施設の運営、障がい者(児)通所支援事業、就労継続支援A型事業、訪問看護サービス、ダイニング事業(給食・配食)、福祉用具の販売・貸与、住宅改修、介護人財の教育・紹介・派遣事業、軽作業請負など多岐にわたります。収益は、各事業のサービス提供対価から得ています。運営は、株式会社サポート21、株式会社EE21、株式会社美味しい料理、株式会社ケア21メディカル、株式会社たのしい職場、株式会社ケア21ライフプラスなどが行っています。
同社グループの主要な顧客としては、大阪府国民健康保険団体連合会と東京都国民健康保険団体連合会が挙げられます。
| セグメント | 売上高(2024年10月期) | 売上高(2025年10月期) |
|---|---|---|
| 施設系介護事業 | 236億円 | 256億円 |
| 在宅系介護事業 | 149億円 | 150億円 |
| その他の事業セグメント | 68.7億円 | 75.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5年間で着実に増加傾向にあります。直近の連結会計年度では、売上高が前期から増加しました。経常利益は、過去5年間で変動が見られますが、直近の連結会計年度では前期の損失から利益に転換しました。親会社株主に帰属する当期純利益も同様に、前期から増加しています。直近の連結会計年度では、営業利益が前期の損失から利益に転換し、本業の収益性が改善している状況です。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 364億円 | 384億円 | 411億円 | 454億円 | 482億円 |
| 経常利益 | 16.8億円 | 11.6億円 | 2.0億円 | △2.4億円 | 5.4億円 |
| 経常利益率 | 4.6% | 3.0% | 0.5% | △0.5% | 1.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 9.4億円 | 6.3億円 | 6百万円 | 2.8億円 | 3.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 69.63 | 46.83 | 0.46 | 20.64 | 28.45 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から増加しています。これは、従業員一人ひとりの生産性が向上している傾向を示しています。従業員1人あたり営業利益(連結)も、前期の損失から利益に転換しました。これは、事業運営の効率化が進み、本業で稼ぐ力が改善していることを示唆しています。
| 指標 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 7.4百万円 | 7.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △0.1百万円 | 0.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ケア21の財務状況は、自己資本の厚みや手元資金の状況、そしてキャッシュフローの動きから確認できます。これらの情報は、同社グループの安定性や将来に向けた投資姿勢を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
ケア21の財務基盤は、自己資本比率とROE、そして手元資金の状況から確認できます。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して低い水準にあります。
ROEはプライム市場平均に近づいており、収益性の改善が見られます。手元資金は増加傾向にあり、事業運営の安定性を示しています。
これらの財務状況は、今後の事業展開や雇用・給与の安定性にも影響を与える要素となります。
| 指標 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 47.3億円 | 44.9億円 |
| 自己資本比率 | 14.9% | 14.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.4% | 8.4% |
| 現金及び預金 | 30.8億円 | 41.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
ケア21のキャッシュフローは、本業でどれだけ資金を生み出し、それをどのように投資や財務活動に充てているかを示しています。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは増加し、本業で安定的に資金を生み出している状況です。
これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費の増加によるものです。投資活動によるキャッシュフローはプラスに転じており、関係会社株式や投資有価証券の売却による収入が主な要因となっています。
その結果、営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは大幅に増加し、自由に使える資金が潤沢にある状態です。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済やリース債務の返済、配当金の支払いにより減少しています。
これらのキャッシュフローの状況は、ケア21が本業で着実に資金を稼ぎ、財務的な健全性を保ちながら事業を運営していることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素と言えます。
| 項目 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.1億円 | 21.7億円 |
| 投資CF | △10.2億円 | 1.4億円 |
| 財務CF | 7.8億円 | △12.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △3.1億円 | 23.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主力事業である介護事業は、介護保険制度の規制を受けており、3年ごとの介護報酬改定が財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
また、介護サービス利用者の増加に伴い新規参入や同業他社の事業拡大が進み、競争激化による収益性への影響もリスクとして挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、介護サービス提供に必要な有資格者を中心とした人材の確保と育成を重視しています。しかし、介護業界では要介護認定者数の増加や競合激化により、有資格者や優秀な人材の需要が高まっており、その確保が難しい状況がリスクとして認識されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ケア21グループは、「100年続くいい会社」を目指し、福祉、医療、教育、文化の4分野で事業を展開しています。ご利用者本位の最高のサービス提供と、人を大切にする企業風土を重視している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ケア21グループは、「100年続くいい会社」となることを目指し、9つの経営理念を掲げています。同社グループは福祉、医療、教育、文化の4分野で事業を展開しており、ご利用者から最も支持され、信頼される企業となることを目標としています。具体的には、「最大ではなく最高のサービスの提供」と「人間の尊厳を尊重し、ご利用者本位の真心と優しさのこもったサービスの提供」を掲げています。これらの実現に向け、「福祉理念と市場原理の融合」を図り、総合福祉企業としての地位確立と継続的な企業価値の拡大を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ケア21グループは、9つの経営理念を根幹とし、「現場第一主義」を重視する企業風土です。従業員の声を経営に活かし、「徹底討論・徹底和解」を通じてより良い仕組みや体制を構築しています。また、「人を大事にし、人を育てる」ことを掲げ、「常に考え、変わり続ける」企業であり続けることを目指しています。性別や国籍に関わらず有能な人財の登用を進め、子育てサポートや定年制度の撤廃など、多様な人財が活躍できる環境整備に取り組んでいます。従業員の成長とモチベーション向上を図るため、独自の「誰伸び評価制度」を導入しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ケア21グループは、介護事業市場の変化と競争激化に対応するため、複数の重要課題に取り組んでいます。人財の確保と育成においては、優秀な人財の確保、適切な配置、教育研修、雇用条件の向上を進めています。また、技能実習生や外国人留学生の受け入れを通じて、人財確保手段の多様化を図っています。社内管理体制の強化として、内部統制システムの強化、情報セキュリティー体制の構築、コンプライアンス体制の確立を推進しています。さらに、介護保険制度の変動リスク軽減と体質強化のため、新規事業開発やM&Aにも積極的に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ケア21の取締役会は、監査役による監査・監督と独立社外取締役の選任を通じて、経営監督機能の強化と意思決定の妥当性・適正性を確保する体制をとっています。また、執行役員制度を導入し、経営監督機能と業務執行機能の分離を図ることで、業務執行の迅速化に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ケア21の株主構成を見ると、筆頭株主は株式会社浅科依田であり、代表取締役会長の依田平氏が代表を務めています。また、代表取締役社長の依田雅氏も上位株主の一人であり、同社グループは創業家とその関連会社が経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 浅科依田 | 22.32% |
| 吉田 嘉明 | 15.25% |
| スターツコーポレーション | 10.96% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は依田平氏、代表取締役社長は依田雅氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 依田 平 | 代表取締役 会長 | 1976年4月 株式会社ぎょうせい入社。1993年11月 株式会社ヨダゼミイースト(現同社)代表取締役社長。2020年6月 同社代表取締役会長より現職。 |
| 依田 雅 | 代表取締役 社長 | 2003年4月 学校法人未来学園入職。2012年4月 同社入社。2014年1月 同社取締役。2020年6月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 端山勝博 | 取締役 福祉事業本部長 | 2002年4月 同社入社。2020年11月 同社執行役員 西日本福祉事業本部長。2025年5月 同社取締役 福祉事業本部長より現職。 |
| 山田耕嗣 | 取締役 業務統括本部長 | 2014年10月 同社入社。2023年11月 同社財務経理部長。2025年1月 同社取締役 業務統括本部長兼財務経理部長兼経営企画部長兼人財採用部長兼人事企画部長より現職。 |
社外取締役は、深貝亨氏(P・R・O行政書士法人代表社員)、手代木啓氏(弁理士法人大江橋法律事務所弁護士)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会による経営の意思決定と監督に加え、監査役会が取締役の職務執行を監査・監督する体制をとっています。社外取締役は経営監督機能の強化と意思決定の妥当性・適正性確保に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ケア21の役員報酬は、経営理念の実現と長期的な成長を動機づけることを基本方針としています。各取締役の基本報酬は、報酬審議委員会が客観的な視点から決定しており、透明性と公正性を確保しています。また、非金銭的報酬として、社外取締役を除く取締役に対して譲渡制限付株式を付与する制度も導入されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 1.3億円 | 21.6百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 5百万円 | 5.4百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 22百万円 | 5.5百万円 |
なお、取締役の報酬等の額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれておりません。また、譲渡制限付株式報酬の額は、当事業年度に会計上計上した費用の額を記載しています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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