※本記事は、株式会社AB&Company の有価証券報告書(2025年10月期、2024年11月1日 ~ 2025年10月31日、2026年1月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
AB&Companyは純粋持株会社であり、単体従業員数は13名、グループ連結従業員数は276名です。
同社グループは、美容室チェーンを全国展開しています。連結子会社13社を中心に、美容室運営、フランチャイズ展開、インテリアデザインを手がけています。
主な国内グループ会社は、B-first(フランチャイズ事業)、ロイネス(直営美容室運営事業)、建.LABO(インテリアデザイン事業)などです。
2025年10月期には、株式会社est、株式会社Arose、株式会社SENSEの3社を株式譲渡契約により完全子会社化しました。また、AGU NY, Inc.の解散及び清算手続きを進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社AB&Companyは、人的資本を重視し、従業員一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮できるような環境づくりに取り組んでいます。男女平等に活躍できる環境や柔軟な働き方を推進しており、従業員の働きがいを大切にする企業文化がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の定着と成長を支援する環境を整えていることが、平均勤続年数や平均年齢から読み取れます。多様な働き方を推進し、従業員が長く活躍できるような基盤づくりに注力している傾向が見られます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,552,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.0年 |
| 平均年齢 | 43.8歳 |
| 単体従業員数 | 13人 |
| 連結従業員数 | 276人 |
| 単体のグループ内比率 | 4.7% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人的資本を経営上の重要な課題と認識し、企業価値向上に繋がるサステナビリティに関する取り組みを進めています。企業理念に「スタイリストファーストを信念にお客さまに幸せと喜びを提供する」ことを掲げ、美容室業界の課題解決に日々取り組んでいます。
具体的には、スタイリストの長時間労働、低賃金、高離職率の是正を目指しています。男女平等に活躍できる環境、フレックス制度、リモートワークの導入など、柔軟に働きやすい環境を整えることで、従業員が高いパフォーマンスを発揮できるように取り組んでいます。
また、業務委託モデルを活用することで多種多様な人材を確保し、美容学校の新卒生に対しては業務委託への転換を可能とする育成プログラムを提供し、スタイリストの確保を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
人材育成・エンゲージメント
男女の有給休暇取得率、育児休暇取得率(当連結会計年度)の実績です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率(男性) | 50% |
| 有給休暇取得率(女性) | 57% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
AB&Companyグループは、純粋持株会社であるAB&Companyと13の連結子会社で構成され、全国で美容室チェーンを展開しています。スタイリストの働き方を重視する「スタイリストファースト」を企業理念に掲げ、独自のビジネスモデルを構築しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、美容室業界の課題であるスタイリストの長時間労働や低賃金、高離職率を是正するため、スタイリストのライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能な業務委託モデルを採用しています。また、Agu.グループで育ったスタイリストをフランチャイズオーナーに起用する独自のフランチャイズオーナー制度や、WEB広告による効率的な集客、地方や空中店舗での展開により、高い競争力と集客力を実現しています。
直営美容室運営事業
美容室を直営で展開し、美容サービスの提供を行っています。収益は、顧客への美容サービスから得ています。運営は、ロイネス、Puzzle、agir、BELLTREE、KESHIKI、est、Arose、SENSE、AGU NY, Inc.、J ISLAND Inc.が行っています。当期は美容室運営法人3社のM&Aと新規出店により売上収益は増加しましたが、インフレによるコスト増の影響を受け、セグメント損失となりました。
フランチャイズ事業
Agu.グループのフランチャイズ本部として、加盟法人への経営指導、事業ノウハウや教育研修の提供、プライベートブランド商品の販売、材料仕入、広告代理業務、採用・経理代行などを行っています。収益は、フランチャイズ加盟法人からのロイヤリティー収益から得ています。運営は、B-firstが行っています。当期はフランチャイズ店舗の新規出店により、売上収益、セグメント利益ともに増加しました。
インテリアデザイン事業
美容室等の内装デザイン業者として、Agu.グループの美容室の出店やグループ以外の受注案件に対して、店舗デザインや施工業者のアレンジ等のサービスを提供しています。収益は、内装デザインや施工アレンジのサービス提供から得ています。運営は、建.LABOが行っています。当期は他業種向けの売上が増加した一方で、直営店舗及びフランチャイズ店舗向けの売上が減少し、売上収益は減少、セグメント利益も減少となりました。
| セグメント | 売上収益(2024年10月期) | 売上収益(2025年10月期) | セグメント利益(2024年10月期) | セグメント利益(2025年10月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 直営美容室運営事業 | 148億円 | 157億円 | 1.4億円 | △20百万円 | △0.1% |
| フランチャイズ事業 | 26.9億円 | 29.4億円 | 11.0億円 | 11.9億円 | 40.4% |
| インテリアデザイン事業 | 23.9億円 | 22.4億円 | 1.1億円 | 67百万円 | 3.0% |
| その他の事業セグメント | 9.8億円 | 10.4億円 | 4.3億円 | 5.0億円 | 48.1% |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上収益は継続して増加傾向にあります。しかし、直近の当期は、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益がいずれも前期から減少しています。特に親会社の所有者に帰属する当期利益の減少は、子会社の繰延税金資産の回収可能性見直しによる法人所得税費用の増加が主な要因となっています。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 109億円 | 126億円 | 168億円 | 182億円 | 194億円 |
| 税引前利益 | 14.1億円 | 12.8億円 | 16.8億円 | 15.8億円 | 14.9億円 |
| 税引前利益率 | 13.0% | 10.2% | 10.0% | 8.7% | 7.7% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 9.4億円 | 8.3億円 | 11.2億円 | 10.8億円 | 8.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 63.87 | 56.10 | 74.44 | 75.65 | 62.91 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上収益(連結)は、前期から当期にかけて減少しています。また、従業員1人あたりの営業利益(連結)も同様に減少傾向を示しています。これは、事業拡大に伴う人員の増加や、直営美容室運営事業におけるセグメント損失が影響していると考えられます。
| 指標 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 74.8百万円 | 70.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 7.2百万円 | 5.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で着実に資金を生み出しながら、事業拡大に向けた投資も進めている状況です。財務基盤の健全性と資金の流れから、現在の経営状況を把握できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が当期で33.2%となっており、非製造業のプライム市場平均と比較して高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)も当期10.2%と、プライム市場平均を上回る水準を示しています。現金及び現金同等物は当期末で22.6億円を確保しており、手元資金は増加傾向です。これらの指標は、事業活動を支える安定した財務状況を示しています。
| 指標 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 84.7億円 | 90.0億円 |
| 自己資本比率 | 34.2% | 33.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.5% | 10.2% |
| 現金及び現金同等物 | 22.4億円 | 22.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは28.8億円の増加となりましたが、前連結会計年度からは減少しています。これは主に税引前利益の減少や棚卸資産の増加、法人所得税の支払額などが影響しています。投資活動によるキャッシュフローは△12.4億円の減少となり、子会社の取得による支出が増加したことが主な要因です。財務活動によるキャッシュフローは△16.1億円の減少で、長期借入れによる収入があった一方で、長期借入金やリース負債の返済による支出が減少要因となっています。結果として、本業で資金を生み出しつつ、事業拡大のための投資も行い、フリーキャッシュフローは16.4億円のプラスを維持しています。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続しながら、成長に向けた投資も進めている状況を示しており、将来的な雇用や給与の安定性・成長性につながる可能性があります。
| 項目 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 34.1億円 | 28.8億円 |
| 投資CF | △7.0億円 | △12.4億円 |
| 財務CF | △27.9億円 | △16.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 27.1億円 | 16.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは美容室事業に特化した経営を行っており、消費者ニーズの変化により需要が変化した場合、他業態でカバーすることが困難であるリスクを認識しています。また、広告宣伝活動において、美容検索・予約サイト「HOT PEPPER Beauty」への依存度が高いこともリスクとして挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、今後の事業拡大に伴い、継続的に優秀なスタイリストの確保及び育成が必要であると考えています。必要なスタイリストの確保及び育成が計画どおり進まなかった場合、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
AB&Companyは、「スタイリストファースト」を企業理念に掲げ、美容室業界の変革を目指す企業です。お客さまへの幸せと喜びの提供を追求し、全国に感動を与える美容室の展開を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
AB&Companyグループは、「スタイリストファーストを信念にお客さまに幸せと喜びを提供する」ことを企業理念としています。美容室業界が抱える長時間労働、低賃金、高離職率といった課題を是正し、スタイリストの新たなキャリアデザインを創造することを目指しています。
これによりスタイリスト自身の喜びを追求し、それがお客さまのさらなる幸せに繋がると考えています。また、「お客さまに感動を与える美容室という劇場を全国に展開する」ことをブランドビジョンに掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
AB&Companyグループでは、「Challenge Yourself(自分に挑戦する)」「Never Give Up(決して諦めない)」「Stay Innovative(革新的であり続ける)」を行動指針としています。これらの指針に基づき、日々の経営に取り組んでいます。
同社グループは人的資本を重要視しており、従業員一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮できるよう、柔軟な働きやすい環境を整えています。具体的には、男女平等に活躍できる環境の整備や、フレックス制度、リモートワークの導入を進めています。
また、サステナビリティに関する課題を経営上の重要課題と認識し、組織横断的なリスクマネジメント体制を構築しています。リスク・コンプライアンス委員会を設置し、グループ全体のリスク管理を総括的に行っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
AB&Companyグループは、収益拡大のための取り組みとして、スタイリストの採用及び育成を重要課題と認識しています。人材を最重要視し、美容室業界の変革を目指す中で、優秀な人材の確保と育成が不可欠であると考えています。
具体的には、フランチャイズオーナー制度や完全歩合制の導入、新卒生向けの育成プログラムを通じて、多様なキャリアプランに対応できる環境を構築しています。また、リファラル(スタイリストからの紹介)による中途スタイリスト採用の強化にも取り組んでいます。
さらに、フランチャイズオーナーの育成推進とそれに伴う地方展開の加速も重点テーマです。Agu.グループで育ったスタイリストをフランチャイズオーナーに起用する独自のモデルにより、帰属意識の高いオーナーを輩出し、地方での店舗展開を加速させています。
効率的な店舗オペレーションも重要な課題であり、オーナー会議やエリアマネージャーミーティングを通じて運営ノウハウを共有し、フランチャイズオーナー及びエリアマネージャーの育成に注力しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
AB&Companyは、社内取締役と専門知識を持つ社外取締役で構成される取締役会と、社外監査役を含む監査役による経営監視体制を持つ監査役会設置会社です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
筆頭株主は代表取締役社長市瀬一浩氏の資産管理会社であるSunFlowerです。上位株主には同氏の資産管理会社が複数名を連ねており、創業家が経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| SunFlower | 7.20% |
| Logotype | 7.20% |
| 丹内悠佑 | 7.10% |
| 市瀬一浩 | 3.40% |
| MCC | 3.40% |
なお、前事業年度末現在主要株主であった丹内悠佑氏は、当事業年度末では主要株主ではなくなりました。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は28.5%です。代表取締役社長は市瀬一浩氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 市瀬 一浩 | 代表取締役社長 | 2003年hair salon asia AOYAMA入社、2009年美容室 Alice hair salon設立、2011年株式会社ロイネス代表取締役社長、2011年B-first株式会社代表取締役社長を経て、2018年より同社代表取締役社長。 |
| 駒田 道洋 | 取締役CFO | 2013年三井物産株式会社入社、2017年デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社入社、2018年ユナイテッド&コレクティブ株式会社入社、2020年同社入社、2024年より同社取締役CFO。 |
社外取締役は、岩田真吾氏(三星毛糸代表取締役)、井上直也氏(マガシーク代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社です。社外取締役は専門的な見識を持つ外部者として、取締役会を通じて重要な業務執行の決定と取締役の職務監督を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、役員の報酬について、会社の業績や経営環境を考慮し、外部専門会社の調査データに基づき同業他社や同規模他社の報酬水準を参考に設定しています。役位や職務価値、責任の重みを勘案し、妥当な水準を決定する方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 57百万円 | 28.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 14.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 21百万円 | 3.5百万円 |
個人別報酬が開示されている役員はいません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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