ラバブルマーケティンググループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ラバブルマーケティンググループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場のマーケティング企業です。SNSマーケティング事業を主軸に、運用支援やツール提供、教育講座、DX支援を展開しています。当期の業績は、売上高26億円(前期比21.7%増)、経常利益1.7億円(同12.8%増)、当期純利益2.6億円(前期は赤字)と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ラバブルマーケティンググループ の有価証券報告書(第12期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ラバブルマーケティンググループってどんな会社?


「愛されるマーケティング」をコンセプトに、企業のSNS運用支援や効率化ツール、教育講座などを提供するマーケティンググループです。

(1) 会社概要


2008年にSNSマーケティング支援を行う株式会社コムニコとして設立され、2014年に持株会社体制へ移行しました。2021年に東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たしています。近年はM&Aを加速させており、2024年に株式会社ユニオンネットを子会社化、2025年にはAIフュージョンキャピタルグループと資本業務提携を行い同社の子会社となりました。

連結従業員数は237名、単体従業員数は18名です。筆頭株主は資本業務提携先のAIフュージョンキャピタルグループ株式会社で、第2位は代表取締役の資産管理会社である合同会社みやびマネージメントです。

氏名 持株比率
AIフュージョンキャピタルグループ 30.18%
合同会社みやびマネージメント 14.85%
楽天証券共有口 5.82%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は林 雅之氏です。なお、社外取締役は1名ですが、親会社の異動に伴い要件を満たさなくなった取締役が含まれています。

氏名 役職 主な経歴
林 雅之 代表取締役社長 1995年株式会社三和銀行入行。ローム株式会社を経て、2008年株式会社コムニコを設立し代表取締役社長に就任。2014年より同社代表取締役社長。
長谷川 直紀 取締役 2013年株式会社コムニコ入社。2018年同社執行役員事業統括管掌を経て、2022年より取締役。株式会社コムニコ代表取締役を兼務。
鵜川 太郎 取締役 2008年株式会社コムニコ取締役。株式会社オルトプラス取締役などを経て2014年より現職。株式会社リルーデンス代表取締役を兼務。
松本 高一 取締役 2003年株式会社AGSコンサルティング入社。SMBC日興証券株式会社などを経て2017年より現職。AIフュージョンキャピタルグループ株式会社取締役副社長を兼務。


社外取締役は、鵜川 太郎(株式会社リルーデンス代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「SNSマーケティング事業」および「DX支援サービス」を展開しています。

SNSマーケティング事業


企業のSNSアカウントにおける戦略策定から運用代行、コンテンツ制作、キャンペーン企画、効果検証までをワンストップで提供します。また、運用効率化のためのSaaS型ツールや、SNS運用のノウハウを体系化した検定講座による人材教育も手掛けています。

収益は、顧客企業からの運用代行手数料、ツールの月額利用料、検定講座の受講料などから構成されます。運営は主に株式会社コムニコ、一般社団法人SNSエキスパート協会、DTK AD Co.,Ltd.、株式会社ジソウ、株式会社インバウンド・バズなどが行っています。

DX支援サービス


Webサイトの企画、デザイン、構築、運用までを一貫して提供するほか、クラウドサービスを用いたDX支援を行っています。コーポレートサイトやブランドサイトの構築に強みを持ち、デジタル施策との相乗効果を創出します。

収益は、Webサイト制作やシステム構築の対価としての受託制作費、コンサルティング料、保守・運用費などが主な柱です。運営は主に株式会社ユニオンネットや株式会社コムニコが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実に拡大傾向にあり、利益面でも経常利益は黒字基調を維持しています。当期は売上高が大きく伸長し、当期純利益も前期の赤字から黒字へと転換しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年10月期 2025年10月期
売上高 10億円 14億円 17億円 22億円 26億円
経常利益 -0.2億円 1.9億円 0.8億円 1.5億円 1.7億円
利益率(%) -2.5% 13.5% 4.8% 6.8% 6.3%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.3億円 0.9億円 0.4億円 0.7億円 1.3億円


※2023年10月期は決算期変更に伴う経過期間(7ヶ月)のため除外しています。

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も拡大していますが、利益率はやや低下しました。営業利益は増益を確保しています。

項目 2024年10月期 2025年10月期
売上高 22億円 26億円
売上総利益 11億円 13億円
売上総利益率(%) 52.2% 48.3%
営業利益 1.4億円 1.6億円
営業利益率(%) 6.3% 6.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.5億円(構成比31.8%)、役員報酬が1.4億円(同12.9%)を占めています。

(3) セグメント収益


SNSアカウント運用支援が順調に伸びたほか、DX支援がM&A効果等により大幅に増加しました。

区分 売上(2024年10月期) 売上(2025年10月期)
SNSアカウント運用支援 16.3億円 17.2億円
SaaS型SNS運用支援ツール 4.1億円 4.5億円
人材教育 0.1億円 0.1億円
DX支援 1.0億円 4.4億円
連結(合計) 21.6億円 26.3億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ラバブルマーケティンググループは、事業活動を通じて資金を生み出す一方、投資や財務活動で資金を投じています。

営業活動では、主に税金等調整前当期純利益やのれん償却額が資金の増加要因となったものの、未払金の減少や法人税等の支払いにより、前年度の資金収入から使用へと転じました。投資活動では、事業譲受による支出が主な要因となり、資金の使用が増加しました。財務活動では、短期借入金の増加があったものの、長期借入金の返済により、資金の使用となりました。

項目 2024年10月期 2025年10月期
営業CF 2.6億円 -0.0億円
投資CF -0.1億円 -1.1億円
財務CF 0.7億円 -0.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人に地球に共感を」をパーパスとし、「最も愛されるマーケティンググループを創る」をグループミッションに掲げています。現代の生活者の情報消費行動に寄り添い、共感を重視したマーケティング活動を推進しています。

(2) 企業文化


短期的な成果のために生活者を欺いたり、邪魔をしたりする広告活動を行わず、生活者にとって価値のある情報を適切な形で届ける「愛されるマーケティング(Lovable Marketing)」を重視しています。このコンセプトを推進し、日本のマーケティング業界を変えていくことを目指しています。

(3) 経営計画・目標


事業規模の成長と収益性の向上を両立させることを基本方針とし、「売上高」および「営業利益率」を重要な経営指標としています。また、M&Aによるのれん償却費の影響を除いた「調整後EBITDA」も補完的な指標としています。

* 中期的な目標:時価総額100億円

(4) 成長戦略と重点施策


「MOS(Marketing Operating Service)」モデルを軸に、既存事業の成長に加え、M&Aや新規事業開発による非連続的な成長を目指しています。具体的には、インバウンド市場や海外展開の強化、Web制作機能の取り込みによるシナジー創出、生成AIの活用による生産性向上に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的成長には優秀な人材の確保と育成が不可欠とし、採用力の強化と教育体制の整備・拡充を進めています。また、AI・DX推進室を中心に生成AIを活用した業務支援や人材育成の高度化に取り組み、人的資本の質的向上と業務生産性の最大化を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年10月期 40.7歳 3.9年 7,990,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含めております。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 25.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 47.6%
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※男性の育児休職取得率については、取得対象となる従業員がいなかったため数値はありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット事業環境の変化


インターネットの普及や技術革新、新たな規制導入などが事業に影響を及ぼす可能性があります。特に生成AIやSNSプラットフォームの機能変更はマーケティング手法に直結するため、これらへの対応遅れは競争力低下を招く恐れがあります。

(2) 技術革新と生成AIへの対応


技術革新のスピードが速い業界において、生成AI等の新技術への対応が遅れた場合、サービスの陳腐化や競争力の低下につながる可能性があります。同社は技術者の確保や開発投資を行っていますが、市場の変化に適応できないリスクがあります。

(3) システム障害とセキュリティ


サービス提供におけるシステム障害や、サイバー攻撃、個人情報漏洩が発生した場合、損害賠償や信用失墜により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。安定稼働とセキュリティ対策に努めていますが、予期せぬトラブルのリスクは存在します。

(4) プラットフォーム依存


InstagramやFacebook、X(旧Twitter)等の主要SNSプラットフォーム上でのサービス展開が中心であるため、これらプラットフォームの規約変更、仕様変更、またはユーザー動向の変化が事業活動に直接的な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。