※本記事は、株式会社POPER の有価証券報告書(第11期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. POPERってどんな会社?
学習塾などの教育事業者向けに、業務効率化やコミュニケーション支援を行うSaaSプロダクトを開発・提供する企業です。
■(1) 会社概要
同社は2015年に設立され、同年12月に学習塾向けプラットフォーム「Comiru」をリリースしました。その後、オンライン授業支援や人事労務管理機能を拡充し、2022年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしています。2024年には株式会社ティエラコムより学習塾経営支援システム「BIT CAMPUS」事業を承継し、事業基盤を拡大しています。
2025年10月31日現在、同社(単体)の従業員数は85名です。大株主の構成に関しては、筆頭株主は創業者であり代表取締役の栗原慎吾氏で、第2位は教育事業を展開し同社と取引関係もある学校法人駿河台学園となっています。第3位には投資事業有限責任組合が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 栗原 慎吾 | 29.45% |
| 学校法人駿河台学園 | 14.31% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.48% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名、計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役は栗原慎吾氏が務めています。なお、社外取締役の比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 栗原 慎吾 | 代表取締役 | 住友スリーエム(現スリーエムジャパン)、ソウルドアウト、ST進学教室を経て、2015年1月に同社を設立し代表取締役に就任。2015年より現職。 |
| 林 圭介 | 取締役COO | DesignUnit-a、ガクー、ウィルゲートを経て、2018年に同社へ入社。2018年9月に取締役COOに就任。2018年より現職。 |
| 繆 仁軍 | 取締役CTO | 夢テクノロジー、Wano、東木商事代表取締役などを経て、2017年に同社へ入社。2017年7月に取締役CTOに就任。2017年より現職。 |
| 姚 志鵬 | 取締役CFO | 大和証券SMBC(現大和証券)、A.T.カーニー、Welby執行役員を経て、2020年に同社へ入社。2021年2月に取締役CFOに就任。2021年より現職。 |
社外取締役は、和田圭史(ブレイクスルーパートナーマネジメント代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「教育事業者等向けSaaS型業務管理プラットフォーム事業」を展開しています。
■(1) 教育事業者等向けSaaS型業務管理プラットフォーム事業
同社は、学習塾を中心とする教育事業者向けに、バックオフィス業務の効率化や保護者とのコミュニケーションを支援するSaaS型サービスを提供しています。主力サービス「Comiru」に加え、オンライン授業支援「ComiruAir」、講師労務管理「ComiruHR」、請求・決済管理「ComiruPay」、学習塾経営支援「BIT CAMPUS」などをラインナップし、教育現場のDXを推進しています。
収益は主に、サービスを利用する教育事業者から受け取る「初期費用」および「月額費用(利用ID数や教室数に応じた従量課金)」によって構成されています。また、決済サービスにおいては決済手数料も収益源となります。本事業の運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は順調に拡大しており、直近の2025年10月期には約14億円に達しました。利益面においても、2023年10月期以降は黒字基調が定着し、2025年10月期には経常利益が前期比で倍増以上の伸びを見せ、利益率も10%を超える水準まで向上しています。事業規模の拡大とともに収益性が高まっていることが読み取れます。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4.4億円 | 6.7億円 | 8.3億円 | 10.7億円 | 13.9億円 |
| 経常利益 | -1.8億円 | -0.3億円 | 0.3億円 | 0.7億円 | 1.7億円 |
| 利益率(%) | -40.9% | -4.1% | 4.0% | 6.6% | 12.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -1.8億円 | 0.1億円 | 0.3億円 | 0.8億円 | 1.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。売上総利益率は70%台後半を維持しており、SaaSビジネス特有の高い収益性を確保しています。営業利益については、事業拡大に伴う販管費の増加を増収効果が上回り、利益率が大きく改善しました。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 10.7億円 | 13.9億円 |
| 売上総利益 | 8.0億円 | 10.4億円 |
| 売上総利益率(%) | 74.5% | 75.2% |
| 営業利益 | 0.7億円 | 1.7億円 |
| 営業利益率(%) | 6.8% | 12.6% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が4.3億円(構成比49%)、業務委託費が1.6億円(同19%)を占めています。売上原価においては、業務委託費が1.6億円(構成比46%)、労務費が0.9億円(同27%)となっており、開発や運営にかかる人件費および外注費が主なコスト要因です。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、主力サービス「Comiru」のID数増加や大手事業者向け案件の検収完了により、売上高は前期比で約30%増加しました。増収効果に加え、開発部門の生産性向上などにより利益率も大幅に改善し、利益額は前期の2倍以上に拡大しています。
| 区分 | 売上(2024年10月期) | 売上(2025年10月期) | 利益(2024年10月期) | 利益(2025年10月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 教育事業者等向けSaaS型業務管理プラットフォーム事業 | 10.7億円 | 13.9億円 | 0.7億円 | 1.7億円 | 12.6% |
| 連結(合計) | 10.7億円 | 13.9億円 | 0.7億円 | 1.7億円 | 12.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
POPER社は、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保を基本方針としています。営業活動によるキャッシュ・フローは、SaaS型業務管理プラットフォーム事業における月額利用料の積み上がりにより安定的な創出が見込まれます。投資活動によるキャッシュ・フローは、事業成長に向けた投資が行われていると考えられます。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金による資金調達と返済の状況を示しています。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.6億円 | 2.1億円 |
| 投資CF | -0.9億円 | -0.2億円 |
| 財務CF | 0.7億円 | -0.5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「『教える』をなめらかに~みんなの“かわる”に寄り添う~」をミッションに掲げています。教育現場における本質的な価値創出を阻害する構造的課題の解決を目指し、講師がバックオフィス業務に追われることなく、本来の価値である「教える時間」に専念できる環境の創出に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
同社は、従業員と企業が共に成長する環境とカルチャーづくりに注力しており、全社の共通価値観として「子供たちが憧れるカッコいい大人になろう」と定めています。これを社員研修や人事制度に組み込むことで、企業カルチャーに即した教育と育成を図っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、より多くの教育事業者の業務効率化と企業価値向上に貢献するため、以下の指標を重要な経営指標(KPI)として設定し、企業規模の拡大を目指しています。
* 有料契約企業数
* 課金生徒ID数
* ARPU(1顧客当たり平均売上高)
* ARR(年間経常収益)
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は中核サービス「Comiru」を中心に、教育業界全体のDXを推進しています。学習塾市場での強固な基盤に加え、英会話やスポーツスクールなどの習い事市場や学校法人向けへの展開を進めています。また、決済・請求業務を効率化する「ComiruPay」などの機能拡充や、業務提携・M&Aを通じた周辺領域への拡大により、教育業界における不可欠なインフラとしての地位確立を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、専門性の高い人材の採用と育成を重要課題と認識しています。性別や国籍を問わず高度なスキルを持つ人材を積極的に採用するとともに、人物主義に基づいた人事評価制度を導入しています。また、リモート勤務やフレックスタイム制、各種休暇制度など、多様な人材がライフスタイルに合わせて能力を発揮できる職場環境の整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 35.7歳 | 3.7年 | 5,539,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) EdTech市場の変動
IT技術の発展により教育業界でのEdTechニーズは高まっていますが、市場の成長が鈍化または縮小した場合、同社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。同社はサービス強化や新規事業開発により市場変化の影響緩和に努めています。
■(2) インターネット関連の環境変化
同社事業はインターネット環境に依存しており、新たな規制の導入や技術革新、その他の要因でインターネット利用拡大に大きな変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は法改正情報の収集や市場動向のモニタリングを行っています。
■(3) 少子化の進行
長期的な少子化による学齢人口の減少や、教育費増加に伴う競争激化が予想されます。少子化が急速に進行し教育市場全体が著しく縮小した場合、業績に影響を与える可能性があります。同社は顧客を学習塾以外にも広げ、講師と生徒という構造を持つ市場をターゲットとすることで影響緩和を図っています。
■(4) 競合他社との競争
同業他社や新規参入企業との競争激化により、顧客流出やコスト増加が生じる可能性があります。同社はアジャイル手法による迅速な開発体制を維持し、顧客ニーズに対応することで競争力の向上を図っています。



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