※本記事は、GLOE株式会社 の有価証券報告書(第10期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. GLOEってどんな会社?
eスポーツ黎明期から大会運営や配信技術を磨き、ゲームと社会をつなぐイベントやソリューションを提供しています。
■(1) 会社概要
同社は2015年にeスポーツイベントの企画・運営を目的としてウェルプレイド株式会社として設立されました。2017年にカヤックと資本業務提携を行い同社の子会社となります。2021年には株式会社ライゼストと合併し、ウェルプレイド・ライゼスト株式会社へ商号変更しました。2022年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たし、2024年には現在のGLOE株式会社へと商号変更を行っています。
連結従業員数は96名、単体では71名です。筆頭株主は親会社であり、面白法人として知られるコンテンツ企業のカヤックで、発行済株式の51.41%を保有しています。第2位は同社代表取締役の谷田優也氏、第3位はインターネット証券会社のGMOクリック証券です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| カヤック | 51.41% |
| 谷田 優也 | 6.25% |
| GMOクリック証券 | 2.01% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役は谷田優也氏と古澤明仁氏の2名体制です。社外取締役比率は14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 谷田 優也 | 代表取締役 | マリノ、ファーストビット等を経て、2015年同社設立・代表取締役。子会社en-zin取締役等を兼任し、2025年より28取締役も務める。 |
| 古澤 明仁 | 代表取締役 | ロジクール、サンディスク等を経て、2016年ライゼスト設立・代表取締役。2021年同社代表取締役。配信技術研究所取締役等を兼任。 |
| 村田 光至朗 | 取締役管理本部長 | 三菱UFJニコスを経て、2019年同社入社。管理部長を経て2021年より現職。子会社監査役等も兼任。 |
社外取締役は、田村征也(千葉ジェッツふなばし代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「eスポーツ・イベントサービス」、「エージェンシーサービス」および「その他」事業を展開しています。
■(1) eスポーツ・イベントサービス
ゲームメーカー等をクライアントとし、eスポーツやゲームイベントの企画・運営を行っています。各ゲームタイトルへの深い理解に基づき、メーカー、選手、視聴者の三者が喜ぶイベント作りを得意としています。特に、ユーザーコミュニティの特性を理解したストーリー作りや、独自のイベント実績を強みとし、海外ゲームメーカーの国内プロモーション支援なども手掛けています。
収益は、クライアントや広告代理店から受託するイベント制作費や、eスポーツ施設の運営・設計費等から得ています。運営は主に同社および子会社の株式会社en-zinが行っています。
■(2) エージェンシーサービス
クライアントに対し、ゲームに関連する多様なマーケティングソリューションを提供しています。具体的には、イベントにおける実況者・インフルエンサーのキャスティング、スポンサー仲介、新作ゲームのインフルエンサーマーケティング、公式コミュニティの運営、SNSマーケティングなど多岐にわたります。
収益は、eスポーツイベントに対するスポンサー料や、インフルエンサーマーケティング、キャスティング、SNSマーケティング等の業務委託料から得ています。運営は主に同社および子会社の配信技術研究所株式会社、株式会社28が行っています。
■(3) その他
報告セグメントに含まれない事業として、その他のサービスを展開しています。
収益源や具体的なビジネスモデルに関する詳細な記載はありませんが、上記セグメントに含まれない周辺領域での事業活動を行っています。運営は同社グループが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2023年10月期から2025年10月期までの推移を見ると、売上高は23億円前後で推移した後、直近で28億円台へと拡大しています。利益面では、経常利益が低い水準から徐々に増加傾向にあります。当期利益については、赤字の状態から直近の期で黒字転換を果たしており、収益性の改善が見られます。
| 項目 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 23億円 | 23億円 | 28億円 |
| 経常利益 | 0.0億円 | 0.1億円 | 0.2億円 |
| 利益率(%) | 0.1% | 0.6% | 0.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.1億円 | -0.3億円 | 0.2億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は23億円から28億円へと約26%増加しました。売上総利益も6億円から8億円へと増加し、売上総利益率も改善しています。一方、営業利益は微増にとどまり、営業利益率は0.7%で横ばいとなっています。事業拡大に伴い販売費及び一般管理費が増加したことが影響しています。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 23億円 | 28億円 |
| 売上総利益 | 6億円 | 8億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.8% | 28.6% |
| 営業利益 | 0.2億円 | 0.2億円 |
| 営業利益率(%) | 0.7% | 0.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が2.1億円(構成比26%)、役員報酬が1.0億円(同12%)、地代家賃が1.0億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各セグメントの売上高を見ると、eスポーツ・イベントサービスが増加し、エージェンシーサービスも伸長しています。インフルエンサー主催イベントや海外案件の増加、新規マーケティング領域での受注拡大が全体の成長を牽引しました。なお、同社は単一セグメントであるため、セグメント利益の情報はありません。
| 区分 | 売上(2024年10月期) | 売上(2025年10月期) |
|---|---|---|
| eスポーツ・イベントサービス | 16億円 | 16億円 |
| エージェンシーサービス | 10億円 | 12億円 |
| その他 | - | 0.6億円 |
| 連結(合計) | 23億円 | 28億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
GLOEは、eスポーツ・イベントサービスを中心に事業を展開しており、当連結会計年度は営業活動によりキャッシュ・フローを生み出しました。投資活動では、事業拡大に向けた設備投資や敷金・保証金の支出がありました。財務活動では、借入れにより資金調達を行い、事業運営に必要な資金を確保しています。これらの活動の結果、現金及び現金同等物は増加しました。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.4億円 | 1.3億円 |
| 投資CF | -0.1億円 | -1.9億円 |
| 財務CF | -0.4億円 | 1.9億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「ゲームをきっかけに人と社会をHAPPYにする。」をミッションに掲げ事業活動を行っています。年齢や性別を超えて人々を繋ぐゲームの普遍的な魅力や、ゲームが持つ課題解決力とその社会貢献性を引き出すことで付加価値を生み出し、eスポーツ市場をはじめとしたゲーム周辺領域での事業展開を通じて、人と社会を幸せにすることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、各ゲームタイトルを愛を持ってやりこみ深く理解することや、新規ゲームタイトルのプレイ時間を確保することを重視する文化があります。社内でゲーム大会を開催するなどして新規ゲームに精通する機会を作り、ユーザーコミュニティの特性を理解し共感するストーリー作りを心がけています。このように、ゲームへの深い理解と愛着をベースにした組織運営を行っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、新興市場であるeスポーツ業界において、当面の間は売上高の拡大を企業成長の指標と考えています。また、持続的な成長のためには全社的な利益創出が重要であるとし、売上高営業利益率も意識した経営を行っています。
* 2026年10月期計画:売上高33.5億円、営業利益0.5億円、経常利益0.4億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、既存のeスポーツ・イベントサービスのクオリティ強化と営業組織の高度化により、国内収益基盤の維持と海外市場からの収益獲得を目指しています。また、エージェンシーサービスではマーケティングソリューションを拡充し、国内外のクライアントとの関係構築を進めます。さらに、新規事業開発や技術革新への対応、M&Aなども活用し、事業領域の拡大と企業価値向上に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「人」を最も重要な資産と位置づけ、優秀な人材の獲得と育成を経営課題としています。企業理念の浸透や教育制度の整備を強化し、生産性の向上を図っています。また、新規ゲームタイトルのプレイ時間を確保する文化の醸成や、社内ゲーム大会等を通じて業務に必要な知識を深める機会を提供しています。多様な人材が活躍できるよう、リモートワークや副業の許可など柔軟な働き方も推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 32.8歳 | 2.9年 | 5,242,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 業界動向について
eスポーツ市場は拡大傾向にありますが、収益構造はクライアント企業の広告予算等に依存しており、景気後退によるプロモーション支出抑制が業績に影響する可能性があります。また、市場成熟に伴う競争激化や顧客要望の高度化もリスク要因です。同社は自社プロダクトの展開強化等により、受託型ビジネスへの依存度を下げ、収益源の多角化を進めています。
■(2) 競合他社について
国内eスポーツ市場には複数の競合が存在し、市場拡大に伴う新規参入も予想されます。ユーザー嗜好と乖離したイベントの実施や、競合に対する優位性の低下は業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社はゲームメーカー、選手、視聴者の三者の視点に立ったサービス提供により、ステークホルダーとの信頼関係構築とファン拡大に努めています。
■(3) 海外の動向について
海外ゲームメーカーからの受注拡大に伴い、相手国の情勢変化や為替変動、商習慣の違い等のリスクがあります。また、海外メーカーの日本市場戦略の変更が業績に影響する可能性もあります。同社はクライアントの分散や契約管理体制の強化により、リスクをコントロールしつつ海外売上の拡大を目指しています。
■(4) ゲームメーカーとの関係について
同社の事業はゲームメーカーからの許諾を得てコンテンツを制作しているため、メーカーとの関係悪化やeスポーツ方針の変更があった場合、事業に影響を及ぼす可能性があります。同社はゲームおよびコミュニティへの深い理解を強みとし、メーカーとの強固な信頼関係維持に努めています。



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