※本記事は、株式会社笑美面 の有価証券報告書(第16期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 笑美面ってどんな会社?
シニアホーム紹介サービスを主軸に、高齢者とその家族の「心の介護」を支援する事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
2010年にトータルプロデュースとして設立され、2012年に笑美面へ社名変更しシニアライフサポート事業を開始しました。2023年3月にシニアホーム向け「ケアプライムコミュニティサイト」をリリースし、同年10月に東証グロース市場へ上場しました。2024年には子会社ケアサンクを設立し、コンサルティング事業を強化しています。
2025年10月末時点の連結従業員数は188名(単体179名)です。筆頭株主は創業者の榎並将志氏で、第2位は証券会社、第3位は個人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 榎並 将志 | 39.93% |
| 楽天証券 | 3.74% |
| 金田 喜人 | 2.88% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名、計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は榎並将志氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 榎並 将志 | 代表取締役社長 | 2006年南栄商事入社。2010年トータルプロデュース(現笑美面)を設立。2011年6月より現職。 |
| 木下 裕司 | 常務取締役 | 信州ミサワホーム、リクルート等を経て2017年同社入社。COO等を歴任し2025年11月より現職。 |
| 鎌田 将晴 | 取締役CFO(管理部門管掌) | 公認会計士。監査法人トーマツ、グッピーズ等を経て2024年同社入社。2026年1月より現職。 |
| 百々 なお子 | 取締役(常勤監査等委員) | 公認会計士。あずさ監査法人、Antway、mederi監査役等を経て2026年1月より現職。 |
社外取締役は、宝田めぐみ(元日本CFA協会会長)、岩﨑良亮(公認会計士)、牧野誠司(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「シニアライフサポートサービス」および「シニアホームコンサルティングサービス」事業を展開しています。
■(1) シニアライフサポートサービス
シニアホームへの入居を検討する高齢者や家族に対し、対面等で最適な施設を紹介するマッチングサービスを提供しています。また、シニアホーム運営事業者向けの情報連携プラットフォーム「ケアプライムコミュニティサイト」の運営も行っています。
シニアホーム運営事業者から、入居成約時に紹介手数料を受領することで収益を得ています。また、「ケアプライムコミュニティサイト」における広告掲載料も収益源となります。運営は主に笑美面が行っています。
■(2) シニアホームコンサルティングサービス
良質なシニアホームを増やすことを目的に、土地オーナーと運営事業者をマッチングする開設支援や、土地建物を一括借り上げして運営事業者に転貸する「ケアサンク パートナーリース」事業を展開しています。
シニアホーム運営事業者等から紹介料やコンサルティング料を受領するほか、パートナーリース事業においては転貸による収益を得ています。運営は子会社のケアサンクが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
第16期より連結財務諸表を作成しているため、当期の実績のみを表示します。連結初年度の売上収益は19億円、経常利益は1.2億円となりました。単体ベースでは前期比で増収となっていますが、事業拡大に伴う投資等により利益面では変化が見られます。
| 項目 | 2025年10月期 |
|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 19億円 |
| 経常利益 | 1.2億円 |
| 利益率(%) | 6.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.9億円 |
■(2) 損益計算書
連結初年度のため、当期の構成のみを表示します。売上高に対して一定の利益率を確保していますが、人件費等の営業費用が重荷となっています。
| 項目 | 2025年10月期 |
|---|---|
| 売上高 | 19億円 |
| 売上総利益 | -億円 |
| 売上総利益率(%) | -% |
| 営業利益 | 1.1億円 |
| 営業利益率(%) | 6.1% |
販売費及び一般管理費(営業費用)のうち、給料及び手当が7.6億円(構成比43%)、支払手数料が2.5億円(同14%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のシニアライフサポートサービスが売上の大半を占めていますが、利益面では先行投資等の影響で損失を計上しています。一方、新設されたシニアホームコンサルティングサービスは高い利益率を確保しており、全体の利益を牽引しています。
| 区分 | 売上(2025年10月期) | 利益(2025年10月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| シニアライフサポートサービス | 15.5億円 | -0.2億円 | -1.3% |
| シニアホームコンサルティングサービス | 3.2億円 | 1.3億円 | 41.5% |
| 連結(合計) | 19億円 | 1.1億円 | 5.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、投資活動によるキャッシュ・フローがマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローがプラスであることから、営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」と言えます。
| 項目 | 2025年10月期 |
|---|---|
| 営業CF | 0.8億円 |
| 投資CF | -2.0億円 |
| 財務CF | 0.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は59.0%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「高齢者が笑顔で居る未来を堅守する」をビジョンに掲げています。事業を通じて、介護家族が高齢者の「心の介護」に専念できるようサポートし、「家族が心の介護に向き合い、高齢者が笑顔で居る社会」の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
「世の中にあってはならない社会課題の解決」を起点に、人間力を高め、誇りが生まれる場であることを基本方針としています。自ら考え未来を定める「私らしくプロフェッショナル」な姿勢や、協働・協創を通じて社会に新しい価値を届けることを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、社会課題解決と事業成長の両立を目指し、以下の重要業績評価指標(KPI)と2028年10月期の数値目標を設定しています。
* 家族会議実施数:25,710件
* スマイル数(成約数):12,741人
* 新規開設居室数:2,000室
■(4) 成長戦略と重点施策
シニアライフサポートサービスでは、チーム制や「Sales Enablement」の導入によりコーディネーターの育成とサービス均質化を図るとともに、全国の拠点網を活かして紹介パートナー(MSW等)へのアプローチを強化します。
シニアホームコンサルティングサービスでは、「ケアサンク パートナーリース」を活用して運営事業者の与信力を補完し、優良なシニアホームの新規開設支援を強化することで、事業拡大と社会課題解決を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「世の中にあってはならない社会課題の解決」をミッションに、多様なバックグラウンドを持つ人材を採用・育成する方針です。「Sales Enablement」による育成体制の強化や、ウェルビーイングサーベイを活用した環境整備を通じて、従業員が誇りを持って働き続けられる組織づくりを推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 34.7歳 | 2.1年 | 4,881,000円 |
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 22.2% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 7.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 7.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | -% |
※男女賃金差異(非正規雇用)は該当者がいない等の理由により記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 感染症拡大による施設立入制限
新たな変異ウイルス等の発生により、シニアホームへの立入り制限や受入制限が行われた場合、同社の紹介業務に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材の育成と定着
同社のサービス品質はコーディネーターの能力に依存するため、人材の確保と育成が重要課題です。育成の遅れや人材の流出が生じた場合、事業計画の達成や業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 介護業界の規制変更
同社事業は介護業界と密接に関連しているため、介護保険法などの法的規制や業界団体の指針変更等がなされた場合、同社の事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。



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