※本記事は、フィットイージー株式会社 の有価証券報告書(第8期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フィットイージーってどんな会社?
24時間営業のアミューズメントフィットネスクラブ「フィットイージー」を直営およびフランチャイズで全国展開する企業です。
■(1) 会社概要
2018年に設立され、同年9月に「フィットイージー」の1号店から4号店を同時オープンするとともにAI顔認証システムを導入しました。その後、高濃度酸素ルームやシミュレーションゴルフなどのアミューズメント要素を拡充しつつ店舗網を拡大し、2024年7月に東証スタンダードおよび名証メイン市場へ上場しました。さらに翌2025年10月には、東証プライムおよび名証プレミア市場へ区分変更を果たしています。
2025年10月末時点の従業員数は65名(単体)です。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるオリーブで、第2位は創業者で代表取締役社長の國江仙嗣氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。創業家およびその管理会社が高い持株比率を有しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| オリーブ | 45.39% |
| 國江仙嗣 | 8.63% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 2.44% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は17.0%です。代表取締役社長は國江仙嗣氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 國江 仙嗣 | 代表取締役社長 | インテリア会社や建設会社の経営を経て、2018年7月に同社を設立し代表取締役社長に就任。現在に至る。 |
| 中森 勇樹 | 取締役副社長 | フランチャイズ事業会社やアミューズメント関連企業の役員・執行役員を経て、2021年に同社入社。2021年12月より現職。 |
| 藤原 祐次 | 常務取締役経営管理本部長 | 大手電機メーカー、シンクタンクを経て経営コンサルタントとして独立。他社の取締役管理部長などを歴任し、2024年1月より現職。 |
| 守田 拓記 | 常務取締役営業統括本部長 | 印刷会社を経て2018年に同社入社。取締役営業統括副本部長などを経て、2021年12月より現職。 |
| 國江 紀久 | 取締役経営企画本部長 | インテリア関連会社の役員を経て、2018年7月の同社設立時より現職。 |
社外取締役は、新谷永(大洋ハウス社長)、星野秀人(入川スタイル&ホールディングス代表取締役)、松浦陽司(元電算システムホールディングス副社長)、森口祐子(元日本女子プロゴルフ協会会員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「フィットネスクラブ運営事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) フィットネスクラブ運営事業
24時間営業の「アミューズメントフィットネスクラブ」を展開しています。単なるトレーニングジムにとどまらず、シミュレーションゴルフ、サウナ、コワーキングスペース、セルフエステなどの設備を導入し、利用者が楽しみながら健康になれる環境を提供しています。また、AI顔認証システムによる入館管理を導入し、全店舗の相互利用を可能にしています。
収益は主に3つの柱で構成されています。「直営売上」は同社が運営する直営店の会員から会費等を受け取ります。「運営売上」はフランチャイズ(FC)加盟店からロイヤリティやシステム利用料等を受け取ります。「開発売上」はFC加盟店から加盟金や店舗設備・機器の代金、店舗売却の対価等を受け取ります。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年10月期から2025年10月期までの5期間において、売上高は24億円から97億円へと約4倍に急成長しています。経常利益も1億円弱から23億円へと順調に拡大しており、利益率も20%台を維持するなど高い収益性を確保しています。店舗数の拡大に伴い、業績は右肩上がりのトレンドで推移しています。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 24.4億円 | 31.5億円 | 44.8億円 | 66.7億円 | 97.3億円 |
| 経常利益 | 0.9億円 | 4.4億円 | 10.9億円 | 16.0億円 | 23.2億円 |
| 利益率(%) | 3.8% | 14.1% | 24.4% | 24.0% | 23.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.5億円 | 0.4億円 | 7.2億円 | 10.8億円 | 15.3億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間において売上高は約1.5倍に増加し、売上総利益率も35.0%から35.5%へと微増しています。営業利益率は24.5%から23.8%へとわずかに低下しましたが、高水準を維持しています。事業規模の拡大に伴い、売上総利益および営業利益の絶対額は大きく伸長しています。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 66.7億円 | 97.3億円 |
| 売上総利益 | 23.3億円 | 34.5億円 |
| 売上総利益率(%) | 35.0% | 35.5% |
| 営業利益 | 16.3億円 | 23.1億円 |
| 営業利益率(%) | 24.5% | 23.8% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が2.5億円(構成比22%)、給与及び手当が2.2億円(同19%)、役員報酬が1.4億円(同12%)を占めています。売上原価に関しては、商品原価が48.4億円(売上原価に対する構成比77%)、経費が9.0億円(同14%)となっています。
■(3) セグメント収益
全売上区分において大幅な増収となりました。「直営売上」は会員数の増加により堅調に推移しています。「運営売上」は店舗数および会員数の増加に伴いロイヤリティ収入等が伸長しました。「開発売上」は新規出店の加速や店舗売却、既存店への機器導入等により最も大きな伸びを示しています。
| 区分 | 売上(2024年10月期) | 売上(2025年10月期) |
|---|---|---|
| 直営売上 | 13.3億円 | 15.3億円 |
| 運営売上 | 13.4億円 | 21.0億円 |
| 开发売上 | 39.9億円 | 60.9億円 |
| その他 | 0.2億円 | 0.2億円 |
| 連結(合計) | 66.7億円 | 97.3億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、投資活動によるキャッシュ・フローがマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローがプラスであることから、積極型(営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態)と言えます。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 17.6億円 | 13.5億円 |
| 投資CF | -5.5億円 | -16.7億円 |
| 財務CF | -0.5億円 | 10.9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は34.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、MISSIONとして「新たなフィットネス文化の創造で世界を変えていく」を掲げています。また、VISIONとして「FIT YOUR STYLE、フィットイージーでは安心安全で楽しくご利用いただけるトレーニング環境を提供し、皆様の生活の一部となれる、世界一のアミューズメントフィットネスクラブを目指します」を掲げ、運動の継続と新たな生活スタイルの提案を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「楽しみながら健康になれる」「楽しみながら目標達成できる」環境の実現を重視しています。会員にとっての「サードプレイス(自宅でもない職場でもない第3の場所)」となるよう、店舗環境やサービスの質にこだわり、変化を恐れずアップデートし続ける姿勢を持っています。また、独自開発のデジタル意見箱「オピニオン・ボックス」を通じて会員の声を迅速に把握し、店舗運営の改善に活かす体制を整えています。
■(3) 経営計画・目標
同社は事業規模拡大のために、会員数の増加数および新規出店数を重要な指標と位置付けています。2025年10月期の実績として、店舗数は238店舗、会員数は224,740人に達しています。今後も継続的な出店と会員基盤の拡大を目指し、これらの数値を客観的な経営目標として重視していく方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「アミューズメントフィットネスクラブ」を主軸に、新規出店の全国展開とエリア拡大による事業規模の拡大を最重要課題としています。直営店は30店舗を目途とし、FC展開を中心に成長を図る方針です。また、既存店の会員数増加に向けて顧客満足度の向上やサービスの充実を図るとともに、AIを活用した「AIヘルスケアオートメーション」や海外進出を新たな成長戦略として掲げています。本部機能の強化やFC管理体制の構築にも注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「優れた人材を採用し、育成する」ことを経営の重要課題の一つとしています。アミューズメントフィットネスクラブというブランドを維持・管理するために必要な人材を採用プロセスを透明かつ公正に行い確保するとともに、キャリア開発やスキルアップのための教育プログラムを提供しています。また、多様な人材が活躍できるよう、育児・介護休業規定や働きやすい環境整備を進め、やりがいを持って働ける組織づくりを推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 34.7歳 | 2.3年 | 5,680,326円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.5% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | -% |
| 男女賃金差異(正規) | 74.1% |
| 男女賃金差異(非正規) | -% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途社員の採用(27人)、eラーニングの受講(100.0%)、当社の有給休暇取得比率(50.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 個人情報の保護について
顧客の入会手続き等を通じて多くの個人情報を保有しています。Pマークの取得や社内規程の整備等により管理を徹底していますが、万一の漏洩や不正利用が発生した場合、損害賠償請求やブランドイメージの低下により、業績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 情報システムセキュリティについて
全店舗の会員情報管理や顔認証による相互利用のために共通のシステムを利用しています。サイバー攻撃や不正行為によりシステム障害や情報漏洩が発生した場合、入館トラブルやデータ消失などを招き、業績や社会的信用に影響を与える可能性があります。
■(3) 従業員による不適切な行為等について
従業員がインターネット等で不適切な情報を発信するなどして炎上した場合、店舗の休業やブランドイメージの毀損につながるリスクがあります。教育やルール策定で防止に努めていますが、発生時には業績や信用に悪影響を及ぼす可能性があります。



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