※本記事は、鈴茂器工株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
鈴茂器工は、寿司ロボットや盛付けロボットなどの米飯加工機械の製造・販売を主軸に事業を展開しています。アルコール系洗浄剤や除菌剤といった衛生資材の製造・販売、飲食店向けPOSシステムやセルフオーダーシステムなどの店舗システム関連の開発・販売も手掛けています。
単体従業員数は491名、連結従業員数は526名です。事業セグメントは米飯加工機械関連、衛生資材関連、店舗システム関連の3つです。
主な国内グループ会社は、セハージャパン(衛生資材関連)などです。
なお、2025年9月1日付で株式会社日本システムプロジェクトを吸収合併により消滅させており、連結の範囲から除外されています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
鈴茂器工は、食の「おいしい」や「温かい」を世界に届けるというビジョンを掲げ、人的資本を企業価値向上の重要な源泉と位置付けています。従業員の成長と活躍を支援し、多様な働き方を推進することで、持続的な企業価値向上を目指す姿勢が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員一人ひとりが主体的に学び、成長しながら能力を発揮できる組織づくりを推進しています。平均勤続年数や平均年齢からは、一定の経験を積んだ従業員が長く活躍している傾向がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,892,794円 |
| 平均勤続年数 | 10.95年 |
| 平均年齢 | 41.56歳 |
| 単体従業員数 | 491人 |
| 連結従業員数 | 526人 |
| 単体のグループ内比率 | 93.3% |
同社グループは、確定給付型と確定拠出型の退職給付制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
これらの制度は、同社および一部の連結子会社に適用されています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、確定給付制度における退職給付債務の期末残高は11.3億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、「食の『おいしい』や『温かい』を世界の人々へ」というビジョンの実現に向け、人的資本を企業価値向上の重要な経営資本と位置付けています。国内外市場の変化や技術革新の進展、人材獲得競争の激化といった事業環境の変化に対応するため、多様な価値観や専門性を有し、自ら考え行動できる人材の確保・育成が重要であると認識しています。
人材戦略の重点課題として、グローバルな事業展開を支える人材の育成、各分野における専門性の向上、将来の組織運営を担う人材の育成を掲げています。また、職務・役割および能力に応じた処遇を基本とした報酬制度を運用しており、一般職には職能等級制度、管理職には役割等級制度を採用しています。昇給および賞与は人事評価結果を基礎として決定され、従業員の成果や行動を適切に処遇へ反映することで、挑戦と成長を促進し、エンゲージメント向上に資する報酬制度の運用に努めています。
人材育成方針としては、人事制度改革の推進、タレントマネジメントシステムの活用、教育・研修体系の整備に取り組んでいます。具体的には、等級・評価・報酬制度の継続的な改善、人材情報の一元管理による人材マネジメントの高度化、階層別教育やテーマ別教育、専門教育を組み合わせた教育体系の整備を進めています。社内環境整備方針では、多様な働き方の促進としてフレックスタイム制度の適用部署拡大、健康経営の推進、上司と部下の対話を通じたコミュニケーションの促進などを推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男性育児休業取得率は育児介護休業法に基づき、女性管理職比率および男女賃金差異は女性活躍推進法に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 1.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 53.3% |
| 労働者の男女の賃金の格差(全労働者) | 68.6% |
| 労働者の男女の賃金の格差(正規雇用労働者) | 73.5% |
| 労働者の男女の賃金の格差(パート・有期労働者) | 53.0% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康診断受診率 | 98.5% |
| ストレスチェック回収率 | 100% |
人材育成・エンゲージメント
資格取得率は、人材育成施策及び評価指標の見直しに伴い、2025年度より管理を終了しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 研修の受講者割合 | 98.4% |
| 資格取得率 | - |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
鈴茂器工は、米飯加工機械の製造・販売を主軸に、衛生資材や店舗システム関連事業も展開しています。食の「おいしい」や「温かい」を世界に届けることを長期ビジョンに掲げ、国内外の顧客に製品やサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、寿司ロボットや盛付けロボットといった米飯加工機械の製造・販売を主要な事業としています。これらの機械は、スーパーマーケットや外食産業、ホテルチェーンなど幅広い顧客に導入されています。また、アルコール系洗浄剤や除菌剤などの衛生資材の製造・販売、飲食店向けのPOSシステムやセルフオーダーシステムといった店舗システム関連の開発・販売も行っています。
収益は、主に米飯加工機械の販売から得ており、製品の引き渡し時点で収益を認識しています。販売は、ユーザーへの直接販売のほか、包装材商社、厨房機器商社、専売販売代理店を通じて行われています。海外市場では、北米やASEAN地域を中心に子会社を通じて販売し、その他の地域へは国内外の商社等を通じて展開しています。特定の顧客に売上高が集中することはありません。
当連結会計年度の売上高は、国内が減少した一方で、海外売上高は増加しました。特に北米ではおにぎり成形機の導入が寄与し、東アジアでも大手回転寿司チェーンの進出により製品需要が伸長しています。海外売上高は同社グループ全体の売上高の約36.8%を占めており、グローバル展開を積極的に進めていることがうかがえます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績は、売上高は概ね増加傾向にありましたが、当連結会計年度においては利益が減少しました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比較して大きく減少する結果となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 116億円 | 135億円 | 145億円 | 156億円 | 159億円 |
| 経常利益 | 15.4億円 | 11.4億円 | 15.0億円 | 19.5億円 | 10.4億円 |
| 経常利益率 | 13.3% | 8.5% | 10.3% | 12.5% | 6.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 10.7億円 | 8.3億円 | 11.4億円 | 14.6億円 | 6.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 82.96 | 63.93 | 88.23 | 113.09 | 50.91 |
当連結会計年度の利益減少は、新工場の稼働に向けた人員増強に伴う製造労務費の増加や、新工場の減価償却開始による固定費の増加が影響しています。さらに、事業拡大に伴う人件費の増加、事業基盤構築のための外部委託費、販売促進の強化に向けた展示会費の増加も要因として挙げられます。また、資本業務提携解消に伴う弁護士費用や自己株式取得手数料、移転価格税制に基づく追徴税額の計上も、利益に影響を与えました。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から減少しており、従業員1人あたりの営業利益も前期から減少しています。これは、売上高の増加率を上回る人員増強や固定費の増加が影響していると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 31.5百万円 | 30.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.8百万円 | 1.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
鈴茂器工は、本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況です。これにより、事業の成長を追求するフェーズにあることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回る水準にあります。これは、安定した経営基盤を示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっています。手元資金として現金及び預金を確保しており、事業運営に必要な流動性を維持している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 160億円 | 130億円 |
| 自己資本比率 | 81.8% | 67.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.6% | 4.2% |
| 現金及び預金 | 56.0億円 | 29.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費などにより資金が増加しました。一方で、売上債権や棚卸資産の増加、法人税等の支払により資金が減少した結果、プラスとなっています。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出が主な要因となり、マイナスとなりました。これは、事業拡大に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があったものの、自己株式の取得や長期借入金の返済、配当金の支払によりマイナスとなっています。本業で得た資金を成長投資に充てている状況であり、将来の事業拡大を目指す姿勢がうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 13.7億円 | 4.3億円 |
| 投資CF | △13.7億円 | △19.9億円 |
| 財務CF | △5.4億円 | △10.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △9百万円 | △15.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、回転寿司や丼チェーン店などの外食業態、スーパーマーケットなどの中食業態を主力ユーザーとしています。顧客の新規出店や改装などの設備投資計画の変更・中止が、同社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
また、米飯加工機械市場においては、他社との市場競争が激化した場合、同社グループ製品の市場シェアが低下し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
鈴茂器工は、食の「おいしい」や「温かい」を世界に届けることを目指し、革新的な技術で食文化の向上に貢献してきた企業です。同社グループは、持続可能な社会の実現と企業価値の最大化を追求する経営を行っています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
鈴茂器工は、1961年の創業以来、食の分野で技術革新を続けてきた企業です。1981年には世界初の量産型小型寿司ロボットを開発し、世界の90ヵ国以上に販売する世界シェアNo.1企業へと成長しました。
同社グループは、『食の「おいしい」や「温かい」を世界の人々へ』という長期ビジョンを掲げています。このビジョンのもと、食の価値を追求する製品・商品・サービス・情報を国内外の事業者に提供し、食文化の向上を通じて社会に貢献できる企業へと成長することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
鈴茂器工グループは、事業成長と社会的価値向上による企業価値の最大化を図るために、「真のグローバル企業体制の構築」「付加価値創造型企業への進化」「サステナブルな成長を実現する企業基盤の構築」の3点を基本方針としています。
同社グループは、ビジョンとミッションに基づき、食を通じた持続的で豊かな社会・地球環境づくりを目指しています。人的資本を企業価値向上の源泉となる重要な経営資本と位置付け、多様な人材が能力を最大限発揮し、新たな価値創造に挑戦し続ける組織づくりが不可欠であると認識しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
鈴茂器工グループは、持続可能な社会の実現に向けて、ステークホルダーに対する社会的責任を果たすことを経営上の重要な課題の一つとしています。適切なガバナンス体制を構築し、サステナビリティに関する戦略検討やリスク管理に取り組んでいます。
特に気候変動や人権問題への対応を重要な経営リスクと認識し、さらなるリスク管理体制の構築を進めています。また、人的資本を重視し、人材育成方針として人事制度改革の推進、タレントマネジメントの活用、教育・研修体系の整備を進めています。社内環境整備方針では、多様な働き方の促進、健康経営の推進、コミュニケーションの促進に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
鈴茂器工は、2026年6月27日に監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。これにより、取締役会の監査・監督機能の強化を図り、コーポレート・ガバナンス体制の充実を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
鈴茂器工の株主構成を見ると、創業家と見られる個人株主が上位を占めていることが特徴です。筆頭株主である鈴木美奈子氏と鈴木映子氏が同率で上位に並び、合同会社アン・コーポレーションも主要な株主となっています。これらの株主グループが同社の資本構成において重要な位置を占めていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 鈴木美奈子 | 14.28% |
| 鈴木映子 | 14.28% |
| 合同会社アン・コーポレーション | 10.87% |
| 鈴茂器工取引先持株会 | 5.72% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 3.49% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性4名・女性2名)で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長執行役員は谷口徹氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鈴木 美奈子 | 代表取締役会長 | 1987年10月に株式会社メイツに入社後、2003年9月に同社に入社し社長室長に就任しました。2004年6月には取締役管理本部長兼システム統括部長、2017年6月には代表取締役社長を務め、2025年4月より現職。 |
| 谷 口 徹 | 代表取締役社長執行役員 | 1993年4月に大和証券株式会社に入社後、ゴールドマン・サックス証券などを経て、2015年4月に同社に入社し経営企画部長に就任しました。2019年6月には専務取締役、2025年4月より現職。 |
社外取締役は、髙橋昭夫氏(元大和証券グループ本社取締役兼執行役副社長)、村井淳也氏(村井法律会計事務所代表・公認会計士)、山本ひとみ氏(元全日本空輸取締役常務執行役員)です。
鈴茂器工は、2026年6月27日開催の定時株主総会で承認され、同日付で監査等委員会設置会社へ移行しました。取締役6名のうち半数にあたる3名が社外取締役であり、公正かつ効率的な経営体制を維持しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
鈴茂器工の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして、株主利益と連動した報酬体系を基本方針としています。業務執行取締役の報酬は、固定報酬としての基本報酬、業績連動報酬(金銭報酬)、および業績連動報酬(株式報酬)で構成されています。業績連動報酬には、営業利益やROE、国内売上高における自社製品以外の売上高比率の増加幅、連結売上高における海外売上高比率の増加幅が業績指標として用いられています。なお、業務執行から独立した立場である社外取締役および監査等委員である取締役の報酬は、基本報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 1.3億円 | 19.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 3名 | 10百万円 | 3.3百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 28百万円 | 4.7百万円 |
なお、取締役(社外取締役を除く。)に対する業績連動報酬(株式報酬)の総額の内訳は、譲渡制限付株式報酬2百万円です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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