※本記事は、鈴茂器工株式会社の有価証券報告書(第66期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 鈴茂器工ってどんな会社?
寿司ロボットをはじめとする米飯加工機械の開発・製造を手掛けるメーカーです。
■(1) 会社概要
同社は1961年に製菓機械メーカーとして創業し、1981年に世界初の量産型小型寿司ロボットを開発しました。2004年にジャスダック(現スタンダード市場)へ上場を果たしています。2007年にセハージャパンを子会社化して衛生資材関連へ参入したほか、2025年には日本システムプロジェクトを吸収合併し、店舗システム領域へも事業を広げています。
現在の従業員数は連結で526名、単体で491名体制となっています。筆頭株主は同社創業家の鈴木美奈子氏および鈴木映子氏で、第3位には資産管理を行うアン・コーポレーションが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 鈴木美奈子 | 14.28% |
| 鈴木映子 | 14.28% |
| アン・コーポレーション | 10.87% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性2名の計6名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長執行役員は谷口徹氏です。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鈴木美奈子 | 代表取締役会長 | 1987年メイツ入社。2003年同社入社。管理本部長等を経て2017年代表取締役社長に就任。2025年より現職。 |
| 谷口徹 | 代表取締役社長執行役員 | 1993年大和証券入社。パルコ等を経て2015年同社入社。経営企画部長等を歴任し、2026年より現職。 |
| 河野淳 | 取締役監査等委員 | 2010年同社入社。東京工場技術部長、商品部長、監査室長、常勤監査役等を歴任し、2026年より現職。 |
社外取締役は、髙橋昭夫(元大和インベストメント・マネジメント社長)、村井淳也(村井法律会計事務所代表)、山本ひとみ(元ANA総合研究所副社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、米飯加工機械関連などの事業を展開しています。
■(1) 米飯加工機械関連
寿司ロボットやご飯の盛付けロボットなどの米飯加工機械を製造・販売しています。回転寿司や丼チェーン店などの外食業態や、スーパーマーケットなどの中食業態の事業者が主な顧客です。
収益源はこれらの機械製品の販売代金です。国内では同社が直接または代理店を通じて販売を行い、海外では米国子会社のSuzumo International Corporationやシンガポール子会社のSuzumo Singapore Corporationを通じて展開しています。
■(2) 衛生資材関連
アルコール系洗浄剤や除菌剤などの衛生資材を製造・販売しています。食品を取り扱う店舗や事業者の衛生管理ニーズに応え、食の安全をサポートする製品を提供しています。
収益源はこれら衛生資材の販売代金です。運営は主に子会社のセハージャパンが行っており、同社においても一部商品の仕入・販売を実施しています。
■(3) 店舗システム関連
飲食店向けのPOSシステムやセルフオーダーシステムなどの店舗システムの開発・販売を行っています。店舗の省人化や業務効率化の課題に対応しています。
収益源はシステム機器の販売や関連サービスの提供による対価です。運営は同社が行っており、厨房機器との連携を含めたトータルソリューションを顧客に提案しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は国内外での需要拡大を背景に、第62期から第66期にかけて右肩上がりで成長を続けています。一方、利益面では第65期まで増加基調でしたが、第66期は新工場の稼働に向けた費用等の影響で減益となり、利益率は低下しています。
| 項目 | 第62期 | 第63期 | 第64期 | 第65期 | 第66期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 115.7億円 | 134.6億円 | 145.1億円 | 155.7億円 | 158.6億円 |
| 経常利益 | 15.4億円 | 11.4億円 | 15.0億円 | 19.5億円 | 10.4億円 |
| 利益率(%) | 13.3% | 8.5% | 10.3% | 12.5% | 6.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9.6億円 | 5.9億円 | 10.2億円 | 11.7億円 | 8.6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加したものの、新工場稼働に伴う固定費の増や人件費等の増加が利益を圧迫し、売上総利益と営業利益はともに前年を下回る結果となりました。
| 項目 | 第65期 | 第66期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 155.7億円 | 158.6億円 |
| 売上総利益 | 78.6億円 | 75.9億円 |
| 売上総利益率(%) | 50.5% | 47.8% |
| 営業利益 | 18.9億円 | 10.1億円 |
| 営業利益率(%) | 12.1% | 6.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が21.3億円(構成比32.3%)、賞与引当金繰入額が2.4億円(同3.6%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は米飯加工機械関連の単一セグメントであるため、地域別の売上構成を比較します。国内市場は設備投資の延期等の影響で軟調でしたが、北米やアジアを中心に海外市場が伸長し、全体の増収に寄与しました。
| 区分 | 売上(第65期) | 売上(第66期) |
|---|---|---|
| 日本 | 106.1億円 | 100.3億円 |
| アジア | 15.7億円 | 20.6億円 |
| 北米 | 22.1億円 | 24.8億円 |
| 欧州 | 8.3億円 | 8.6億円 |
| オセアニア | 2.8億円 | 3.1億円 |
| その他の地域 | 0.7億円 | 1.2億円 |
| 連結(合計) | 155.7億円 | 158.6億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の傾向を示しています。
| 項目 | 第65期 | 第66期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 13.7億円 | 4.3億円 |
| 投資CF | -13.7億円 | -19.9億円 |
| 財務CF | -5.4億円 | -10.9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
『食の「おいしい」や「温かい」を世界の人々へ』を長期ビジョンとして掲げています。食の分野で「おいしい」や「温かい」という価値を追求する製品やサービス、情報を国内外の事業者に提供し、食文化の向上を通じて社会に貢献できる企業へと成長することを使命としています。
■(2) 企業文化
誠実、情熱、創造を社是に掲げ、行動規範として定めています。代表取締役がその精神を全従業員に継続的に伝達し、法令遵守と社会倫理の尊重を企業活動の原点としています。従業員一人ひとりが自らの問題として倫理を捉え、自律的に業務を推進する文化が育まれています。
■(3) 経営計画・目標
2026年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「Next 2028」を策定し、事業成長と社会的価値向上による企業価値の最大化を図っています。最終年度となる2028年3月期の目標として以下を掲げています。
* 売上高:220億円
* 営業利益:30億円
* ROE:12.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
「真のグローバル企業体制の構築」「付加価値創造型企業への進化」「サステナブルな成長を実現する企業基盤の構築」を基本方針としています。海外では北米を中心に日系企業の進出サポートや拡販を進め、国内ではご飯盛付けロボットの市場拡大や、ハードとソフトを融合させたトータルソリューションの提供に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人的資本を企業価値向上の源泉と位置付け、多様な人材が能力を最大限に発揮できる組織づくりを推進しています。人事制度の改革やタレントマネジメントシステムの導入により従業員の自律的な成長を促すとともに、フレックスタイム制度の拡大など柔軟な働き方を促進し、エンゲージメント向上に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 第66期 | 41.6歳 | 11.0年 | 6,892,794円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.1% |
| 男性育児休業取得率 | 53.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 73.5% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 53.0% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、研修の受講者割合(98.4%)、健康診断受診率(98.5%)、ストレスチェック回収率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 顧客の出店計画・設備投資への依存
回転寿司や丼チェーン店などの外食業態、スーパーマーケットなどの中食業態を主力顧客としているため、これらのチェーンストアにおける新規出店や改装などの設備投資計画の変更・中止が同社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 米飯加工機械市場の競争激化
寿司ロボットをはじめとする業務用米飯加工機械市場において一定のシェアを有していますが、他社との競争がさらに激化した際、顧客ニーズを先取りした新製品開発が遅れるなどしてシェアが低下した場合、経営成績に影響を与える可能性があります。
■(3) 海外事業の拡大に伴うカントリーリスク
北米をはじめとする海外市場での事業展開において、各国の税制や法規制の変更、急激な為替レートの変動、政情不安などのカントリーリスクが存在します。これらが顕在化した場合、安定的な製品販売が困難となり、事業成長を阻害するリスクがあります。
■(4) 原材料・部品の調達と価格高騰
製品製造に必要な原材料や部品の多くを外部業者から調達しています。市況の変動による価格の急激な高騰が長期化した場合や、需給のひっ迫等により調達に支障をきたした場合は、製造や販売が困難となり、収益性が低下する可能性があります。



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