※本記事は、岡野バルブ製造株式会社 の有価証券報告書(2025年9月期、2024年12月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
岡野バルブ製造は、バルブ事業を主たる業務とする企業です。発電所向けの原子力弁や一般弁の製造・販売、および発電所等のバルブメンテナンスを国内外で展開しています。
単体従業員数は179名、連結従業員数は324名です。同社グループの事業セグメントはバルブ事業の1つです。
岡野バルブ製造は、バルブ製造販売部門において主に発電所向け原子力弁・一般弁等を製造・販売しています。また、メンテナンス部門では発電所等のバルブの安全性・健全性を維持するため、定期検査を主体としたバルブメンテナンスを行っています。
当連結会計年度は決算期変更に伴う経過期間となり、2024年12月1日から2025年9月30日までの10ヶ月間を連結対象期間とする変則決算となっています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
岡野バルブ製造は、バルブ事業を主軸とする企業です。同社グループでは、従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整えられています。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、その実態を詳しく見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
岡野バルブ製造では、従業員の平均勤続年数が長く、安定した環境でキャリアを築いている方が多い傾向が見られます。平均年齢も比較的高い水準であり、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,230,740円 |
| 平均勤続年数 | 19.4年 |
| 平均年齢 | 43.2歳 |
| 単体従業員数 | 179人 |
| 連結従業員数 | 324人 |
| 単体のグループ内比率 | 55.2% |
同社グループは、確定給付型の制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型の制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を併用しています。同社は確定給付型の制度として確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を設けています。連結子会社は確定給付型の制度として退職一時金制度を設け、確定拠出型の制度として中小企業退職金共済制度を併用しています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
退職給付債務は12.2億円、年金資産は9.9億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、地球環境の改善を人類共通の課題と認識し、環境問題への対応方針を取締役会で策定しています。
人材育成に関する方針としては、社員の自主的なキャリア形成を推進するため、将来のキャリアや必要な業務経験などを個人が計画し、会社と意見交換を行うキャリアパス制度を実施しています。
多様な人材の受け入れや社員のモチベーション向上を目的として、有給休暇、育休、産休の取得推進に加えて、人事制度や就業に係る規程の見直しも随時行っています。経営に必要な知識・経験・能力を備えた多様な人材による適正規模かつバランスのとれた構成を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.9% |
| 男性育児休業取得率 | 22.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
岡野バルブ製造は、産業用バルブの製造販売とメンテナンスを主軸とする企業です。長年にわたり培ってきた技術力で、社会のインフラを支える重要な役割を担っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、バルブ事業を主たる業務としています。主に発電所向けの原子力弁や一般弁などの製造・販売を手がけており、国内外の顧客に製品を提供しています。また、発電所等のバルブの安全性・健全性を維持するためのメンテナンス部門も有しており、定期検査を主体としたサービスを提供しています。
収益は、バルブ製造販売とメンテナンスサービスの提供から得ています。バルブ製造部門では、東海第二発電所や柏崎刈羽原子力発電所向けの特定重大事故等対処施設用弁、上越火力発電所向けの弁のほか、ベトナムやシンガポール向けの鋳鋼弁・鋳鋼部品など、国内外での販売に注力しています。メンテナンス部門では、福島第一原子力発電所の廃炉関連工事を中心に、柏崎刈羽原子力発電所、女川原子力発電所、島根原子力発電所など、原子力向けの点検工事に注力しています。
製造工程およびメンテナンス業務の一部は子会社の岡野クラフトがアウトソーシングを受けており、部品の一部はその他の関係会社である岡野商事から仕入れています。主要な顧客としては、岡野商事や東京電力ホールディングスが挙げられます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期間において売上高と利益が変動しています。直近の第125期までは売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向にありました。
しかし、第126期は決算期変更に伴う10ヶ月間の変則決算となっており、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度(12ヶ月間)と比較して減少しています。この期間は、バルブ製造部門での採算性の高い部品販売の好調や、メンテナンス部門での廃炉関連案件増加による利益率向上が見られました。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 58.5億円 | 68.9億円 | 74.1億円 | 81.7億円 | 70.1億円 |
| 経常利益 | 4.5億円 | 5.6億円 | 9.1億円 | 12.8億円 | 9.8億円 |
| 経常利益率 | 7.6% | 8.2% | 12.3% | 15.7% | 14.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.0億円 | 4.8億円 | 7.0億円 | 11.0億円 | 8.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 177.61 | 290.83 | 433.84 | 688.62 | 514.99 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高と営業利益は、直近の連結会計年度で前期と比較して減少しています。これは、当連結会計年度が決算期変更に伴う10ヶ月間の変則決算であるため、単純な比較はできませんが、期間の短縮が影響していると考えられます。
従業員1人あたりの売上高は、前期の24.4百万円から当期は21.6百万円となりました。また、従業員1人あたりの営業利益も、前期の3.5百万円から当期は2.7百万円となっています。これらの数値は、組織全体の効率性や収益創出能力を示す指標として注目されます。
| 指標 | 2024年11月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 24.4百万円 | 21.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.5百万円 | 2.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
岡野バルブ製造は、堅実な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しています。本業で得た資金を適切に運用し、財務的な健全性を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって特徴づけられています。自己資本比率はプライム市場の製造業平均を大きく上回る水準で推移しており、強固な財務体質を示しています。手元資金も増加傾向にあり、事業運営の安定性を支える要素となっています。このような財務状況は、事業の継続性や従業員の雇用安定性につながるものと考えられます。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 112億円 | 120億円 |
| 自己資本比率 | 78.7% | 82.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.4% | 7.1% |
| 現金及び預金 | 44.0億円 | 49.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、その資金を適切に運用している状況を示しています。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは7.0億円のプラスとなりました。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費、賞与引当金の増加などが主な要因です。
投資活動によるキャッシュフローは2.0億円のプラスとなり、投資有価証券の売却による収入が主な増加要因となっています。財務活動によるキャッシュフローは△3.9億円のマイナスで、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な減少要因です。結果として、フリーキャッシュフローは8.9億円のプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回る健全な状態を示しています。この状況は、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた基盤を維持していることを示しています。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 22.7億円 | 7.0億円 |
| 投資CF | △10.3億円 | 2.0億円 |
| 財務CF | △3.7億円 | △3.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 12.4億円 | 8.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、原子力発電所向けの事業割合が高い状況にあり、国内外の原子力利用政策の動向が事業に影響を及ぼす可能性があります。また、関連当事者である岡野商事への販売実績が同社グループ売上高の39.7%を占めており、同社との関係変化が事業戦略や経営成績に影響を与えるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、製造部門やメンテナンス部門における現場作業において、労災事故が発生する可能性をリスクとして認識しています。万一重大な労災事故が発生した場合、社会的な責任やその後の受注に影響を受ける可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
岡野バルブ製造は、コア事業であるバルブ製造・保守と新規事業を両軸とし、社会的な価値創出と地域社会との共生を重視する経営を行っています。ものづくりの強みを活かし、持続的な成長と企業価値向上を目指す企業風土がうかがえます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
岡野バルブ製造グループは、バルブの製造・保守をコア事業とし、ものづくりの強みを活かした新規事業を二軸としています。事業規模の拡大と企業価値の向上を図るとともに、社会的な価値の創出を経営方針としています。
同社グループは、コア事業の深化と新たな成長分野の開拓を積極的に進め、安定した収益基盤の確立を目指しています。ロボティクスなどの新技術への挑戦を通じて、企業価値および株主価値のさらなる向上に努めています。また、地域社会との共生にも積極的に取り組み、地域創生への貢献を通じて企業価値を高めることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
岡野バルブ製造グループは、ものづくりの強みを活かし、新規事業や新技術への挑戦を重視するカルチャーを持っています。また、地域社会との共生を積極的に推進し、地域創生への貢献を通じて企業価値を高めることを大切にしています。
人材育成においては、社員の自主的なキャリア形成を推進するキャリアパス制度を実施しています。多様な人材の受け入れや社員のモチベーション向上を目的として、有給休暇、育休、産休の取得推進や人事制度・就業規程の見直しも随時行っています。地球環境の改善を共通課題と認識し、環境負荷の低減にも積極的に取り組む姿勢を示しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
岡野バルブ製造グループは、コア事業であるバルブの製造・保守分野において、品質要求の高度化や競争環境の変化に対応し、技術力および生産効率の向上を重要な課題としています。新規事業においては、ドローンやロボット技術、IoTを活用した設備点検・診断ソリューションの事業化を進める上で、技術開発の迅速化、市場開拓の加速、事業モデルの確立といった課題に取り組んでいます。
また、産業・地域の再生や次世代育成に向けた取り組みを継続し、企業価値向上に結びつけるための体制整備も課題としています。これらの課題を通じて、中長期的な技術基盤および人材力の強化を図る方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
岡野バルブ製造は、監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能強化を通じて経営の健全性と透明性を高める体制をとっています。経営上の重要事項は取締役会で決定され、業務執行の監査・監督が行われています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
岡野バルブ製造の筆頭株主は岡野商事であり、創業家に関連する企業が主要な株主として名を連ねています。また、個人株主である岡野正敏氏も上位に位置しており、創業家が同社グループの資本構成に強い影響力を持っていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 岡野商事 | 24.43% |
| 岡野正敏 | 8.37% |
| 清原達郎 | 5.52% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 4.99% |
| 岡野バルブ取引先持株会 | 4.44% |
(注)所有株式数は、千株未満を切り捨てております。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性-名)で構成され、女性役員比率は-%です。代表取締役社長は岡野武治氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡野 武治 | 代表取締役社長 | 2006年4月同社入社、2010年5月岡野商事取締役、2020年2月同社代表取締役社長より現職。 |
| 丹野 信康 | 取締役副社長 コア事業統括兼 メンテナンス事業部長 | 2013年4月同社入社、2022年12月岡野クラフト代表取締役社長、2025年2月同社取締役副社長コア事業統括兼メンテナンス事業部長より現職。 |
| 木村 浩一 | 取締役 最高財務責任者 | 1996年12月同社入社、2021年2月同社取締役最高財務責任者より現職。 |
| 石田 仁 | 取締役 人事・ものづくり統括 | 1996年4月同社入社、2016年12月岡野クラフト常務取締役、2022年2月同社取締役人事・ものづくり統括より現職。 |
| 菊池 勇太 | 取締役 経営企画室長兼 新規事業統括 | 2011年4月株式会社筑紫環境保全センター入社、2018年5月合同会社アソウト業務執行役員、2018年7月合同会社ポルト代表、2024年6月同社取締役兼経営企画室長兼新規事業統括より現職。 |
| 常盤木 龍治 | 取締役 DX推進本部長 | 2001年6月株式会社テンダ入社、2018年6月株式会社EBILAB取締役、2018年11月株式会社うむさんラボ執行役員、2022年2月同社取締役DX推進本部長より現職。 |
社外取締役は、相浦圭太氏(税理士法人TAパートナーズ代表社員・books-project代表取締役・監査等委員)と、渕上耕司氏(株式会社大手町会計事務所代表取締役・渕上税理士事務所代表・監査等委員)です。
同社は2016年2月26日開催の定時株主総会において、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。これにより、取締役会の監督機能を強化し、経営の健全性と透明性の向上を図る体制となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
岡野バルブ製造の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして機能するよう設計されています。個々の取締役の職責を踏まえた適正な水準とすることを基本方針としています。報酬体系は、月例の固定報酬である基本報酬、事業年度ごとの営業利益の達成度合いに応じた業績連動報酬、そして譲渡制限付株式による非金銭報酬で構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 6百万円 | 6.0百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 2百万円 | 1.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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