システム ディ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

システム ディ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、学園や自治体、ウェルネス施設などに特化したパッケージソフトの開発・販売を行うソフトウェア事業を展開しています。直近の業績は、主力製品の好調やストック収益の積み上げにより、売上高は8.7%増、経常利益は13.7%増の増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社システム ディ の有価証券報告書(第44期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. システム ディってどんな会社?


特定業種・業務に特化したパッケージソフトを自社開発し、学園や自治体等の業務効率化を支援する企業です。

(1) 会社概要


1982年に株式会社現代工房舎として設立され、1984年に現商号へ変更しました。1992年に主力となる学園トータルシステム『キャンパスプラン』シリーズを統合し、2006年に大阪証券取引所ヘラクレス(現・スタンダード市場)へ上場を果たしました。2010年には株式会社シンクを子会社化して薬局向け事業を開始するなど、M&Aや事業譲受を通じて事業領域を拡大し、2022年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行しています。

連結従業員数は290名、単体では281名です。筆頭株主は外国法人の信託口と思われるUSBK NA JP I&W TS、第2位は京都市の株式会社トライ、第3位は外国法人のLICHFIELD LPとなっており、信託銀行等の決済口座や国内法人、外国法人が上位を占めています。

氏名 持株比率
USBK NA JP I&W TS 18.54%
トライ 14.03%
LICHFIELD LP 6.16%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は堂山 遼氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
堂山 遼 社長(代表取締役) 2008年エヌ・ティ・ティ・データ関西入社。2013年同社入社。公会計ソリューション事業等の要職や管理本部長を経て、2024年1月より現職。
江本 成秀 常務取締役 1989年ランドコンピュータ入社。1997年同社入社。学園ソリューション事業部長、公教育ソリューション事業部長などを歴任し、2022年1月より現職。


社外取締役は、奥野 卓司(関西学院大学名誉教授)、井上 幸雄(元社団法人日本鉄鋼連盟大阪事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソフトウェア事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) ソフトウェア事業


学園、公教育、自治体、ウェルネス施設、民間企業などに向け、業種・業務に特化したパッケージソフトを自社開発・提供しています。主力製品には学園向け『キャンパスプラン』、校務支援『School Engine』、公会計『PPP』、フィットネス向け『Hello』シリーズなどがあり、導入支援やカスタマイズも行います。

収益は、ライセンス料や導入一時金などのフロー収益と、保守サポートやクラウドサービス利用料などのストック収益から構成されています。運営は主にシステム ディが行っており、薬局向けシステムについては子会社のシンクが担当しています。

(2) その他事業


ソフトウェア開発以外の多角的なサービスを展開しており、AIを活用した受託開発やコンサルティング、テナント賃貸、各種広報宣伝の企画・制作業務などを含みます。

収益は、コンサルティング料、賃貸料、制作費などから得ています。運営はシステム ディのほか、子会社の中村牧場がAI関連業務等を担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで推移しています。経常利益も安定して高水準を維持しており、利益率は18%から21%台で推移するなど高い収益性を誇っています。当期純利益も安定的に確保しており、堅実な成長トレンドにあります。

項目 2021年10月期 2022年10月期 2023年10月期 2024年10月期 2025年10月期
売上高 38億円 42億円 47億円 46億円 50億円
経常利益 8億円 9億円 9億円 8億円 9億円
利益率(%) 21.1% 21.3% 19.3% 17.9% 18.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 6億円 6億円 5億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、50億円台に乗せました。売上総利益率も43%台を維持しており、付加価値の高いビジネスモデルであることがわかります。営業利益率も18%台と高く、販管費のコントロールを含め効率的な経営が行われています。

項目 2024年10月期 2025年10月期
売上高 46億円 50億円
売上総利益 20億円 22億円
売上総利益率(%) 43.3% 43.3%
営業利益 8億円 9億円
営業利益率(%) 17.9% 18.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が5億円(構成比41%)と最も大きな割合を占めています。知識集約型企業として人的資源への投資が重い構造です。売上原価においては、ソフトウェア償却費等の固定費的要素が含まれています。

(3) セグメント収益


主力のソフトウェア事業は、既存顧客へのサポートやクラウドサービスによるストック収益が堅調に推移し、フロー収益も新規案件の獲得により増加したことで増収増益となりました。その他事業は減収減益となりましたが、全体への影響は限定的です。

区分 売上(2024年10月期) 売上(2025年10月期) 利益(2024年10月期) 利益(2025年10月期) 利益率
ソフトウェア事業 44億円 48億円 12億円 14億円 28.6%
その他 2億円 2億円 0.2億円 0.2億円 8.4%
調整額 -0.2億円 -0.2億円 -4億円 -5億円 -
連結(合計) 46億円 50億円 8億円 9億円 18.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

システムディは、営業活動により潤沢な資金を生み出しています。投資活動では、将来の成長に向けたソフトウエアや有価証券への投資を行いました。財務活動では、借入金の返済や株主への配当を実施しました。

項目 2024年10月期 2025年10月期
営業CF 15億円 11億円
投資CF -4億円 -7億円
財務CF -3億円 -3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


急激に変化する情報社会において、真に付加価値の高い情報とそのソリューションを提供し、豊かで創造的な情報社会を実現することを経営方針としています。「ユーザ志向、顧客優先」「パッケージソフトによる最適なソリューション」「業界No.1特定業種・業務ソフトウェア」の3点を事業展開の立脚点としています。

(2) 企業文化


知識集約企業として付加価値の高い製品とサービスを提供することを重視しています。また、特定の業種や業務に特化することで、その分野におけるデファクトスタンダード(事実上の標準)を目指す姿勢を持っています。与えられた条件下で最高のものを組み立て提供するプロフェッショナルな文化が根底にあります。

(3) 経営計画・目標


継続的な成長と経営基盤の安定を目指しており、高収益ビジネスの推進や営業・開発効率の改善、外注費の削減などを通じて、具体的な数値目標として以下の指標を掲げています。

* 売上高営業利益率:20%

(4) 成長戦略と重点施策


持続的な成長を実現するため、サポートおよびクラウドサービス提供による安定的なストック収入の拡大と、新規および追加システム提案によるフロービジネスの強化を両輪としています。次世代ソフトウェアの新規開発や既存製品のバージョンアップを継続し、市場シェアの拡大と顧客満足度の向上を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


将来の事業成長を支える専門性の高い人材の確保に注力しています。育成面では、入社年数や属性に関わらず優秀な従業員を評価し、研修制度の拡充を図っています。また、代表取締役を最高責任者とする健康経営を推進し、2025年には「健康経営優良法人」の認定を取得するなど、従業員が能力を発揮できる環境整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年10月期 36.5歳 9.3年 5,932,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業績の季節変動


同社グループの製品・サービスは顧客(学園や自治体等)の事業年度に合わせて納入される傾向があり、毎年3月および9月に売上が偏重する特性があります。ストック売上の増加による平準化を図っていますが、季節変動のリスクが存在します。

(2) 競合について


学園、自治体、ウェルネス施設等の特定業種に特化したパッケージソフトを提供していますが、各分野には競合会社が存在します。競合による優れたシステムやサービスの提供がなされた場合、同社グループの経営成績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 技術革新について


事業はコンピュータ技術やネットワーク技術に密接に関連しており、技術革新のスピードが速い分野です。短期間に予想を上回る速度で技術革新が進んだ場合、競争力の低下を招く恐れがあり、経営成績に影響を与える可能性があります。

(4) システム等の不具合について


納品前の入念な確認を行っていますが、万が一製品等に不具合が発生した場合、修正費用の発生や損害賠償負担、信用の低下などを招く可能性があります。これにより、同社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。