SCAT 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SCAT 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場、名証メイン市場に上場しており、美容ICT、ビジネスサービス、介護サービスの3事業を展開しています。2025年10月期の連結業績は、売上高が前期比0.4%増、営業利益が同30.6%増となり、増収増益を達成しました。主力製品の機能強化や入れ替え需要の取り込みが利益を牽引しています。


※本記事は、SCAT株式会社 の有価証券報告書(第58期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年01月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SCATってどんな会社?


美容サロン向けのICTサービスを主力とし、中小企業の事務代行や介護施設運営も手がける多角的な事業展開が特徴です。

(1) 会社概要


1969年12月に栃木県小山市で設立され、現在のビジネスサービス事業を開始しました。1981年3月には美容ICT事業の前身となるスキヤツトを設立。2006年11月にTBCシルバーサービスを子会社化し、介護ビジネスに参入しました。2016年12月に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ上場。2023年5月に現在のSCATへ商号変更し、2025年7月には名古屋証券取引所メイン市場にも上場を果たしています。

2025年10月31日現在、連結従業員数は190名、単体では110名体制です。筆頭株主は事業会社のEPARKで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は生命保険会社となっています。

氏名 持株比率
EPARK 7.68%
日本カストディ銀行(信託口) 6.75%
富国生命保険相互会社 6.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は長島秀夫氏が務めています。社外取締役比率は12.5%です。

氏名 役職 主な経歴
長島 秀夫 代表取締役社長執行役員 小山物産入社を経て1988年同社入社。営業副本部長、専務取締役、副社長、美容ICT事業事業部長などを歴任し、2021年1月より現職。
高橋 栄 取締役執行役員経営管理本部本部長 1993年同社入社。経営管理本部経営企画室長、執行役員、経営管理本部副本部長などを経て、2024年2月より現職。
福田 博行 取締役執行役員美容ICT事業事業部長 2005年同社入社。美容ICT事業営業本部企画推進部部長、執行役員美容ICT事業営業管理本部本部長などを経て、2021年11月より現職。
西尾 忍 取締役執行役員 監査法人トーマツ入社、公認会計士事務所所長を経て2016年同社監査役就任。2021年1月取締役執行役員経営管理本部副本部長に就任。同年11月より経理財務本部本部長。


社外取締役は、富岡和治(ディスクロージャー代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「美容ICT事業」「ビジネスサービス事業」「介護サービス事業」および「その他」事業を展開しています。

美容ICT事業


美容サロン、サロン顧客、美容ディーラー向けに、ICTを活用した経営サポートやソリューションを提供しています。ソフトウエアの自社開発から販売、集客支援、保守までをワンストップで行い、POSレジ顧客管理システム「Sacla」「VID」シリーズや、サロンアプリ、予約システムなどの集客支援ツールを取り扱っています。

収益は、美容サロンやディーラーからのシステム販売代金、リース料、月額課金(サブスクリプション)、保守料などが主な源泉です。運営は主にSCATが行っており、2025年6月には連結子会社であったVIDを吸収合併し、体制を集約しました。

ビジネスサービス事業


栃木県を中心に中小企業への経営支援を行うため、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスおよびコンサルティングサービスを提供しています。経理代行、給与計算、事務代行などの業務請負に加え、経営分析や事業計画作成などのソリューションサービスも展開しています。

収益は、顧客企業からの業務委託料、顧問料、手数料などが源泉となります。運営はSCATが行っており、税理士や社会保険労務士などの専門家と連携したサービス提供体制を構築しています。

介護サービス事業


栃木県、群馬県、長野県において、介護付き有料老人ホームの運営や、デイサービス、ショートステイ、居宅介護支援事業などを展開しています。入居者に対する入浴・排せつ・食事等の介護、日常生活支援、機能訓練、ターミナルケアなどを提供しています。

収益は、利用者からの介護サービス利用料、入居一時金、月額利用料などが主な源泉です。運営は連結子会社のTBCシルバーサービスが行っています。

その他


報告セグメントに含まれない事業として、不動産賃貸事業などを行っています。収益は、保有する不動産の賃貸料などです。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は25億円前後で安定して推移しています。利益面では変動が見られますが、第58期は売上高が微増ながらも、経常利益および当期純利益は前期比で増加し、収益性が向上しました。

項目 2021年10月期 2022年10月期 2023年10月期 2024年10月期 2025年10月期
売上高 25億円 26億円 27億円 26億円 26億円
経常利益 1.8億円 2.2億円 2.3億円 1.6億円 2.0億円
利益率(%) 7.3% 8.6% 8.4% 6.0% 7.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.9億円 0.6億円 1.3億円 0.7億円 1.2億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高はほぼ横ばいですが、売上原価の減少により売上総利益が増加しています。営業利益率は前期の5.7%から7.4%へと改善しており、本業の収益力が向上していることがわかります。

項目 2024年10月期 2025年10月期
売上高 26億円 26億円
売上総利益 10億円 10億円
売上総利益率(%) 38.4% 39.7%
営業利益 1.5億円 1.9億円
営業利益率(%) 5.7% 7.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が2.7億円(構成比31.5%)、役員報酬が1.0億円(同11.3%)を占めています。

(3) セグメント収益


美容ICT事業はシステム入れ替え需要の取り込み等により増収増益となり、全社の利益成長を牽引しました。ビジネスサービス事業も安定的に推移しています。一方、介護サービス事業は、入居者の退去等の影響により減収減益となりました。

区分 売上(2024年10月期) 売上(2025年10月期) 利益(2024年10月期) 利益(2025年10月期) 利益率
美容ICT事業 15億円 16億円 0.6億円 1.3億円 8.4%
ビジネスサービス事業 3億円 3億円 0.3億円 0.3億円 9.5%
介護サービス事業 7億円 7億円 0.4億円 0.2億円 3.1%
その他 0.2億円 0.1億円 0.1億円 0.1億円 76.6%
調整額 - - - - -
連結(合計) 26億円 26億円 1.5億円 1.9億円 7.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

SCATは、事業活動を通じて資金を生み出し、将来の成長に向けた投資を行っています。

営業活動では、本業で得られた利益や減価償却費などが資金の獲得に貢献しました。投資活動では、有形・無形固定資産の取得に資金を使用しており、事業基盤の強化を図っています。財務活動では、借入金の返済や配当金の支払いにより資金が使用されました。

項目 2024年10月期 2025年10月期
営業CF 2.3億円 2.8億円
投資CF -1.1億円 -1.9億円
財務CF -0.7億円 -1.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「ICTの提供による中小企業への経営支援を通じた社会貢献」を掲げ、常に新しい商品・サービスの開発に挑戦し、顧客の創造を事業目的としています。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)を通じて人々の生活を豊かにし、顧客企業への経営支援を通じて企業価値向上に努める方針です。

(2) 企業文化


サステナビリティ経営を推進し、環境・社会・ガバナンス(ESG)の実践を通じてステークホルダーへの還元を重視しています。また、デジタル革命や新技術による変化に対応し、「Plus 1」の付加価値を提供することを重視する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画を策定し、中長期的な成長戦略による「既存事業の構造改革」と「新しいサービスと事業の創出」を目指しています。具体的な経営指標としては以下を掲げています。

* 自己資本利益率(ROE)10%

(4) 成長戦略と重点施策


「成長と深化」をテーマに、既存事業の構造改革と新規事業の創出を推進します。美容ICT事業ではサブスクリプション売上の拡大や新サービス開発、大規模バージョンアップによる顧客満足度向上を図ります。また、全社的なDX推進により業務効率化と新たな価値創造を目指すと同時に、人材の採用と育成環境の拡充にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財はお客様へ提供する付加価値の源泉」と位置づけ、競争優位性を決定づける重要な経営資源と考えています。事業戦略に沿った継続的な採用活動を推進するとともに、社員一人ひとりが能力を発揮できるよう、人財育成プログラムの実践と次世代人財の育成に注力しています。また、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年10月期 44.4歳 16.9年 5,139,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.8%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -


※同社は公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、グループ男女雇用比(55:45)、管理職男女比(8:2)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 技術革新への対応について


美容ICT事業において、新技術の開発や新サービスの導入が相次ぐ激しい変化に対応する必要があります。対応が遅れた場合、競争力の低下やシステム・人材への投資額増大により、事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合の激化による影響について


美容ICT事業では、競合するソフトウエア販売業者や新規参入業者が存在します。競合激化により優位性が失われた場合や価格競争が激化した場合、経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) システムトラブル・ネットワークインフラの障害について


美容ICT事業はコンピュータシステムやネットワークに依存しています。自然災害やサイバー攻撃等によりシステム障害が発生した場合、サービス停止や品質低下を招き、事業運営や業績に重大な影響を与える可能性があります。

(4) 特定業種への依存について


美容ICT事業は美容サロン業界に特化したサービスを提供しており、同業界の業績や設備投資動向の影響を受けやすい構造です。業界の低迷や投資停滞が継続した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。