※本記事は、SCAT株式会社 の有価証券報告書(2025年10月期、2024年11月1日 ~ 2025年10月31日、2026年1月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
SCATは、美容ICT事業、ビジネスサービス事業、介護サービス事業の3つの事業を展開する企業です。美容業界向けICTソリューションから中小企業への経営支援、介護付き有料老人ホームの運営まで多角的なサービスを提供しています。
単体従業員数は110名、連結従業員数は190名です。セグメントは美容ICT事業、ビジネスサービス事業、介護サービス事業の3つです。
主な国内グループ会社は、TBCシルバーサービス(介護サービス事業)などです。
SCATは、2025年6月1日付で連結子会社であったVIDを吸収合併し、連結の範囲から除外しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
SCATは、美容ICT、ビジネスサービス、介護サービスといった多様な事業を展開しています。従業員の平均年齢や勤続年数を見ると、比較的長く働く方が多い傾向が見られます。同社グループは、社員のエンゲージメントを高めるための働きやすい環境づくりにも注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
SCATでは、従業員の平均年齢が40代半ばであり、平均勤続年数も比較的長い傾向にあります。これは、同社でキャリアを継続する従業員が多いことを示唆しており、安定した環境で長期的に働くことを志向する方にとって参考となるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,139,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.9年 |
| 平均年齢 | 44.4歳 |
| 単体従業員数 | 110人 |
| 連結従業員数 | 190人 |
| 単体のグループ内比率 | 57.9% |
同社グループは、確定給付型の退職給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。これは退職金規程に基づく退職一時金制度であり、同社グループ全体に適用されます。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
SCATグループは、「ICTの提供による中小企業支援を通じた社会貢献」をパーパスに掲げ、持続可能な社会の実現に向けた責任を果たすため、ESGの重要課題に取り組んでいます。特に「活き活きと活躍できる社会の実現」をマテリアリティの一つとし、働きやすい環境づくりを推進しています。
中期経営計画では「個と組織の成長」を掲げ、優秀な人材の確保と社員のエンゲージメント向上を重視しています。具体的には、「人財活用」をテーマに、教育訓練や目標管理・行動評価を通じたパフォーマンス向上に応じた報酬体系の改善を実施しています。
また、「働き方環境の改善」にも力を入れており、在宅勤務の拡充や勤務間インターバル制度の導入、メンタルヘルス対策、公益通報制度の拡充といった施策を進めています。性別や国籍にとらわれず、能力や適性に基づいた人材育成と管理職への登用を行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づく公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 9.8% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ TBCシルバーサービス㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 25.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
SCATグループは、美容ICT事業、ビジネスサービス事業、そして介護サービス事業の3つの柱で構成されています。これらの多角的な事業を通じて、顧客の経営課題解決や生活支援に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、美容業界向けのICTソリューション、中小企業向けの経営支援サービス、そして介護施設の運営という、多岐にわたる事業を展開しています。これらの事業を通じて、顧客の課題解決や生活支援に貢献しています。美容ICT事業が最も大きな収益を上げており、介護サービス事業、ビジネスサービス事業がこれに続きます。
美容ICT事業
美容ICT事業では、美容サロンや美容ディーラーを主な顧客とし、ICTを活用した経営サポートやソリューションを提供しています。自社開発のソフトウェア販売からサロン集客支援、システム保守までをワンストップで行っています。
収益は、システム販売に加え、保守やコンテンツ、課金型サービスといったストック型収益の積み上げから得ています。運営は、SCATが行っています。
ビジネスサービス事業
ビジネスサービス事業は、中小企業を対象に、経理処理などの業務請負(BPO)サービスや、DX推進、経営課題解決のためのコンサルティングサービスを提供しています。税理士などの専門家と連携し、幅広い経営支援を行っています。
収益は、月次業務売上を基盤とし、安定した収益を確保しています。運営は、SCATが行っています。
介護サービス事業
介護サービス事業では、介護付き有料老人ホームの運営を主軸に、入居者への介護サービスや日常生活支援を提供しています。また、短期入所生活介護や通所介護といった在宅介護サービスも展開しています。
収益は、介護付き有料老人ホームの運営や在宅介護サービスの提供から得ています。運営は、TBCシルバーサービスが行っています。
その他の事業セグメント
その他の事業セグメントでは、不動産賃貸事業などを展開しています。
| セグメント | 売上高(2024年10月期) | 売上高(2025年10月期) |
|---|---|---|
| 美容ICT事業 | 15.2億円 | 15.5億円 |
| 介護サービス事業 | 7.4億円 | 7.2億円 |
| ビジネスサービス事業 | 3.2億円 | 3.2億円 |
| その他の事業セグメント | 18百万円 | 14百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は増減を繰り返しながらも、当期は前期からわずかに増加しました。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に減少しましたが、当期は大きく回復し、増加傾向を示しています。特に当期は、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれもが前期から大きく伸びています。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 24.8億円 | 25.9億円 | 27.4億円 | 25.9億円 | 26.1億円 |
| 経常利益 | 1.8億円 | 2.2億円 | 2.3億円 | 1.6億円 | 2.0億円 |
| 経常利益率 | 7.3% | 8.6% | 8.4% | 6.0% | 7.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.2億円 | 1.0億円 | 1.6億円 | 1.0億円 | 1.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 27.56 | 24.30 | 52.79 | 35.87 | 43.76 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加しており、従業員1人あたり営業利益(連結)も同様に増加しました。これは、同社グループ全体の生産性が向上している傾向を示しています。効率的な事業運営が進んでいることがうかがえます。
| 指標 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 13.2百万円 | 13.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.8百万円 | 1.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
SCATグループは、本業で安定した資金を生み出し、将来に向けた投資も継続している状況です。財務基盤は堅固であり、手元資金も厚く保たれています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
SCATグループの財務基盤は、自己資本比率が高水準で推移しており、安定した経営状態を示しています。手元資金も潤沢に確保されており、不測の事態にも対応できる体制が整っています。
| 指標 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 19.5億円 | 20.4億円 |
| 自己資本比率 | 66.2% | 67.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.3% | 6.3% |
| 現金及び預金 | 12.6億円 | 12.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
SCATグループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは2.8億円の資金獲得となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益や減価償却費によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは△1.9億円の資金使用となり、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出が主な要因となっています。
財務活動によるキャッシュ・フローは△1.1億円の資金使用となりました。長期借入金の返済や配当金の支払いが主な要因です。結果として、フリーキャッシュ・フローは88百万円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況を示しています。これは、同社グループが安定した事業運営を継続しながら、将来に向けた投資も着実に実行していることを示しています。
| 項目 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.3億円 | 2.8億円 |
| 投資CF | △1.1億円 | △1.9億円 |
| 財務CF | △68百万円 | △1.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1.2億円 | 88百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの美容ICT事業では、競合の激化による影響がリスクとして挙げられています。スマートフォン向けアプリやクラウド等の新技術を活用した新規参入業者も見られ、優位性が失われた場合や価格が下落した場合に業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、美容ICT事業は主に美容サロン業界に特化しているため、美容サロン業界の業績動向や設備投資の動向に影響を受ける可能性があります。新たな市場や事業の創出に努めていますが、業界の低迷が続いた場合には業績に影響が生じる可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
介護サービス事業において、介護保険法で定められた有資格者の配置等の人員基準を満たすための人材確保がリスクとして挙げられています。事業運営に必要な人員の確保が困難になった場合や既存人員の流出が生じた場合、サービス品質の低下や介護報酬の減算、サービスの継続提供が困難となる可能性があります。
人員確保のための待遇見直しや求人コスト増加も、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
SCATは、ICTの提供を通じて中小企業の経営を支援し、社会貢献を目指す企業です。持続的な企業価値向上と社会課題解決のため、サステナビリティ経営を推進しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「ICTの提供による中小企業への経営支援を通じた社会貢献」を経営の基本方針としています。常に新しい商品やサービスの開発に挑戦し、顧客の創造を事業目的としています。
また、持続的な企業価値向上のため、サステナビリティ経営を推進し、ESG(環境・社会・ガバナンス)を実践することでステークホルダーに還元していく方針です。DX(デジタルトランスフォーメーション)により人々の生活を豊かにし、「Plus1」の付加価値を提供することで、中小企業への経営支援を通じた企業価値向上に努めています。中期経営計画では「既存事業の構造改革」と「新しいサービスと事業の創出」を実践し、事業の成長と安定した収益確保を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「ICTの提供による中小企業支援を通じた社会貢献」をパーパス(存在意義)としています。株主、顧客、取引先、社員、地域社会が互いにWin-Win-Winの関係になるよう、事業成長と社会貢献に努めています。
持続可能な社会の実現に向け、ESGのテーマごとにマテリアリティ(重要課題)を定めています。具体的には、資源リサイクル・ペーパーレスの促進、DX推進、介護サービスの提供、働きやすい環境づくり、ガバナンス体制の維持・強化に取り組んでいます。人財活用をテーマに教育訓練や人財評価に伴う報酬体系改善を実施し、働き方環境の改善として在宅勤務の拡充や勤務間インターバル制度の導入を進めています。性別・国籍等によらず能力や適性を総合的に判断し、人財育成と管理職への登用を行っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、「DXを推進し、社内外に新たな価値創造」を重要な課題としています。社内業務プロセスのデジタル化推進や合理化による全体最適化、経営の機動性を高める仕組みづくりに取り組んでいます。顧客の集客や業務効率、コスト削減を支援する「DXパートナー」への変革も目指しています。
また、「人財採用と育成環境の拡充」も重点テーマです。「人財はお客様へ提供する付加価値の源泉」と位置付け、事業戦略に沿った継続的な採用活動を推進しています。社員一人ひとりが能力を発揮できるよう、人財育成プログラムの実践と次世代人財の育成に注力しています。さらに、「経営管理体制の強化(コーポレート・ガバナンス、サステナビリティ経営)」も課題の一つです。社会発展のための義務や役割を理解し、事業や地域貢献を通じて企業価値向上と社会課題解決を実現するサステナビリティ経営を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
SCATは、株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人を設置する監査役会設置会社です。執行役員制度を導入し、経営と業務執行の分離を進めることで、意思決定の迅速化と責任体制の明確化を図っています。
また、任意の仕組みとして指名報酬委員会制度を導入し、独立役員の要件を満たす社外取締役および社外監査役の選任、報酬決定への意見表明、取締役会の実効性評価を通じて、経営の監視・監督機能の強化に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
SCATの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるEPARKです。その他、日本カストディ銀行(信託口)や富国生命保険相互会社といった機関投資家も上位株主として名を連ねています。SCAT従業員持株会も上位に位置しており、従業員による株式保有も進んでいることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| EPARK | 7.68% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.75% |
| 富国生命保険相互会社(常任代理人 日本カストディ銀行) | 6.68% |
| RRK | 5.24% |
| エム・エイチ・グループ | 4.83% |
なお、EPARKは2025年12月22日付で大量保有報告書の変更報告書を提出しており、その内容によると所有株式数は395千株、発行済株式の総数に対する所有株式数の割合は7.55%となっています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は長島秀夫氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 長島 秀夫 | 代表取締役社長執行役員 | 1984年小山物産㈱入社、1988年同社入社。営業副本部長、取締役、専務取締役、副社長を経て、2021年より同社代表取締役社長執行役員。 |
| 高橋 栄 | 取締役執行役員経営管理本部本部長 | 1993年同社入社。経営管理本部経営企画室室長、執行役員、経営管理本部副本部長を経て、2024年より同社取締役執行役員経営管理本部本部長。 |
| 福田 博行 | 取締役執行役員 美容ICT事業 事業部長 | 2005年同社入社。美容ICT事業営業本部企画推進部部長、執行役員、美容ICT事業事業部長を経て、2022年より同社取締役執行役員。 |
| 西尾 忍 | 取締役執行役員 | 2007年監査法人トーマツ入社。西尾公認会計士事務所所長、㈱フジヤパートナーズ代表取締役を経て、2021年より同社取締役執行役員。 |
社外取締役は、富岡和治氏(㈱ディスクロージャー代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、経営の効率性と透明性を高めるため、独立役員である社外取締役および社外監査役を選任し、経営の監視・監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は役員報酬規程を定めており、代表取締役社長、取締役、監査役それぞれに上限と下限を設定し、前年度の業績評価を加算した報酬額を支給する仕組みです。取締役の基本報酬は、会社の業績や経営内容、経済情勢、個人の業績評価・貢献度等を勘案して決定され、毎月支給されています。
また、企業価値の持続的な向上と株主との価値共有を目的として、譲渡制限付株式報酬制度を導入しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 53百万円 | 13.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 9.8百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 11百万円 | 2.7百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、非金銭報酬等はすべて譲渡制限付株式報酬であり、当事業年度に費用計上した額です。
報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の開示は行われていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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