※本記事は、株式会社ビーアンドピー の有価証券報告書(第40期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ビーアンドピーってどんな会社?
同社は、インクジェットプリント技術を核に、セールスプロモーション広告や内装インテリア製品の制作を行う総合販促支援企業です。
■(1) 会社概要
1985年に大阪市で設立され、1996年にインクジェットプリント事業へ参入しました。2016年にニコールを買収して生産体制を強化し、2019年に東証マザーズへ上場を果たしました。その後、市場区分見直しを経てスタンダード市場へ移行しています。2024年には広告代理店のイデイを完全子会社化し、グループ経営体制へと移行しました。
同社グループの従業員数は連結で207名、単体で188名です。筆頭株主は資産管理会社と見られる英知興産で、第2位は個人株主です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 英知興産 | 54.75% |
| 吉岡 裕之 | 4.87% |
| 小島 洲雄 | 2.60% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長執行役員は和田山朋弥氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 和田山 朋弥 | 代表取締役社長執行役員 | 2005年兵庫三菱自動車販売入社。2008年同社入社。取締役常務、取締役専務を経て、2016年代表取締役社長に就任。2022年より現職。 |
| 和田山 英一 | 取締役会長執行役員 | 1975年日本オリベッティ入社。1985年和田山コピーセンター(現同社)設立、代表取締役社長。2016年代表取締役会長を経て、2022年より現職。 |
| 小林 恒文 | 取締役専務執行役員事業部門統括 | 1981年広研入社。2000年同社入社、営業部長。取締役常務、取締役専務、ニコールの取締役社長などを歴任し、2022年より現職。 |
| 髙橋 正幸 | 取締役常勤監査等委員 | 1991年日広入社。1995年同社入社。江東事業所長、経営管理部次長、社長室室長、監査役を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、伊藤寛治(元飛島建設代表取締役会長)、野村祥子(弁護士)、鳥山昌久(公認会計士・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「セールスプロモーション事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
インクジェットプリントを主力とし、広告代理店や印刷会社等から受注する販売促進用広告物、プリントシール機の外装カーテン、内装壁紙等を制作しています。また、デジタルサイネージやAR技術を活用した広告制作、オーダーグッズ制作なども手掛けています。さらに、2024年にグループ化したイデイが広告代理店として企画・デザイン・制作を行っています。
収益は、顧客である広告代理店、デザイン会社、エンドユーザー等から受け取る製品制作費やサービス提供料から成ります。運営は主に同社が行っていますが、広告企画・制作等の一部事業については、子会社のイデイが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2025年10月期より連結決算へ移行したため、当期の数値のみを表示しています。同社グループはインクジェットプリント事業に加え、イデイ社の連結化や新規事業の成長により、売上規模を拡大させています。単体ベースでの比較においても増収増益を達成しており、過去最高の売上高と営業利益を記録するなど、堅調な成長トレンドにあります。
| 項目 | 2025年10月期 |
|---|---|
| 売上高 | 45.0億円 |
| 経常利益 | 7.1億円 |
| 利益率(%) | 15.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4.9億円 |
■(2) 損益計算書
当期は連結決算初年度のため、単年度の構成を分析します。売上総利益率は42.7%、営業利益率は15.6%と高い収益性を確保しています。イデイ社の連結化や外注費の増加等の影響はあるものの、高収益体質の生産体制構築が進んでいます。
| 項目 | 2025年10月期 |
|---|---|
| 売上高 | 45.0億円 |
| 売上総利益 | 19.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 42.7% |
| 営業利益 | 7.0億円 |
| 営業利益率(%) | 15.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.8億円(構成比47%)、役員報酬が1.3億円(同10%)を占めています。売上原価においては、材料費が7.7億円(売上原価に対し30%)、労務費が7.0億円(同27%)を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ビーアンドピーは、イデイ社のグループ化や事業再編を経て、セールスプロモーション事業を単一セグメントとして展開しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益により増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、長期・短期貸付金の増減や有形固定資産の取得により減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いにより減少しました。
| 項目 | 2025年10月期 |
|---|---|
| 営業CF | 7.4億円 |
| 投資CF | -2.7億円 |
| 財務CF | -1.1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「より良い働きを通じて 全従業員の物心両面の幸せを創造し 社会へ貢献する。」という経営理念を掲げています。また、存在意義(Purpose)として「お客さまのブランドサービスを形にし、人々の生活をより楽しく、記憶に残るものにする」ことを目指し、顧客の販促・マーケティング活動を支え、社会の発展に貢献し続けることを使命としています。
■(2) 企業文化
同社は、組織の共通の価値観(Value)として「誠実をきわめた信頼性と本質をきわめた独創性でまわりの人々に感動を与え、幸せにする」を掲げています。挑戦と創造の心を大切にし、働きがいあふれる会社になることをビジョンとしており、従業員に対しては自己研鑽を重ねて高い専門性を身につけ、自律的に行動することを求めています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、継続的な事業拡大と利益成長を目指し、重要な経営指標として「売上高」「売上高成長率」「売上高経常利益率」を位置づけています。また、2026年10月期を最終年度とする中期経営計画において、以下の数値目標を掲げています。
* 売上高:50億円
* 営業利益:7億5千万円
* 売上高成長率:10%
* 自己資本利益率(ROE):10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「シェア拡大」「機能拡大」「領域拡大」の3つを基本戦略としています。主力であるインクジェットプリントの拡大に加え、デジタルサイネージやAR等のデジタル領域との融合、パッケージソリューション等の新規事業展開を進めています。また、M&Aによる事業拡大や、生産体制のスマートファクトリー化による効率化も重点施策として推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人材を重要な経営資源と位置づけ、従業員のプロフェッショナル化を推進しています。インクジェットやデジタル分野の専門知識習得に加え、自律的な行動を求め、個々の能力向上を図っています。そのために教育研修への投資を継続し、多様な働き方ができる環境整備や業務効率化を通じて、働きがいの向上と組織の活性化を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 38.4歳 | 9.7年 | 5,794,319円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員の比率(営業部門33%、生産部門26.1%、管理部門36.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定取引先への依存
同社の売上高の約28%を上位10社の取引先が占めています。特定の取引先に依存しない経営方針をとっていますが、これら主要顧客の経営方針の変更などにより販売状況が変化した場合、同社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
■(2) インクジェット事業の競合
主力のインクジェットプリント事業は参入障壁が比較的低く、多数の競合会社が存在します。同社は長年のノウハウ蓄積により競争力維持に努めていますが、競争激化により優位性が確保できなくなった場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 人材の確保
労働力人口の減少が進む中、人材確保が十分に行えない場合、生産力の低下による納期遅延や品質低下が生じる恐れがあります。これにより顧客からの信用が低下し、経営成績に悪影響を与える可能性があります。
■(4) 原材料価格の上昇
製造に使用するインクや用紙の価格が、気候変動や原油価格高騰により上昇するリスクがあります。価格転嫁が不十分な場合や代替品の調達による採算改善が困難な場合、経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。



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