※本記事は、株式会社アシロ の有価証券報告書(2025年10月期、2024年11月1日 ~ 2025年10月31日、2026年1月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
アシロは、デジタル技術とウェブマーケティングノウハウを活かし、インターネット上で法律情報や弁護士情報を提供するメディア事業を主軸としています。さらに、弁護士有資格者等の人材紹介を行うHR事業や、弁護士費用保険を販売する保険事業も展開し、多角的なサービスを提供しています。
単体従業員数は115名、連結従業員数は127名です。セグメントはメディア事業、HR事業、保険事業の3つです。
アシログループは2025年4月に、HR事業に含まれていた人材派遣事業を営む連結子会社ヒトタスの全株式を譲渡しました。これにより、HR事業は人材紹介サービスに注力する体制となっています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アシロは、WEBマーケティング技術を活かしたメディア事業、HR事業、保険事業を展開しており、従業員の平均年齢が比較的若く、勤続年数も短めであることから、活気のある環境がうかがえます。個人の成長と会社の発展を両立させるための多様な制度が整備されており、従業員がパフォーマンスを発揮しやすい環境づくりに注力していることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が若く、平均勤続年数も短い傾向にあります。これは、新しい人材が積極的に加わり、事業の成長とともに組織が拡大している状況を示していると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,518,000円 |
| 平均勤続年数 | 2.5年 |
| 平均年齢 | 30.1歳 |
| 単体従業員数 | 115人 |
| 連結従業員数 | 127人 |
| 単体のグループ内比率 | 90.6% |
同社および連結子会社は、退職後給付制度として選択制確定拠出年金制度を採用しています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「人材」を最も重要な資本と捉え、企業理念の実現に向けて人事部門を中心に各種施策を検討・実行しています。激化する採用環境に対応するため、リファーラル採用での紹介手当制度やアルムナイ採用の促進、新卒採用の強化に向けた奨学金返還支援制度などを設けています。
また、生産性やスキルの向上を目的とした新入社員のオンボーディング支援やマネジメント層の育成といった研修制度の拡充に取り組んでいます。社内異動制度や書籍購入費用・資格取得費用を支援する制度を通じて、主体的なキャリア形成やリスキリングを支援する方針です。女性が働きやすい環境を整えるため、女性特有の体調不良の際に取得できる休暇制度や低用量ピルの服薬支援制度、女性向けの社内備品の設置など、多様な取り組みを進めています。
さらに、ハイブリッド勤務制度やフレックスタイム制、時差出勤の活用により、子育て世代や通院が必要な従業員など、個別の事情に合わせたフレキシブルな労働環境を提供しています。従業員の挑戦と会社の成長を支援する新規事業創出制度や、コミュニケーション活性化のためのシャッフルランチ制度、弟子入りランチ制度なども導入しています。ワーク・ライフ・バランスの向上や資産形成を支援する近接住宅手当制度、確定拠出年金制度、従業員持株会の奨励金制度、借上げ社宅制度なども整備されています。
健康支援としては、産業医面談や定期健康診断に加え、置き型社食サービスや社内自販機での無糖飲料の提供、置き薬の設置などを行っています。メンタルケアやエンゲージメント向上にも力を入れており、入社半年間のメンター制度や人事開発グループによる定期面談、従業員満足度調査などを実施し、心理的安全性の確保に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については、公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 30.0% |
グループ全体(連結)
同社グループ全体の任意開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員構成比(男性) | 65% |
| 従業員構成比(女性) | 35% |
| 女性管理職比率 | 30.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アシロは、デジタル技術とウェブマーケティングノウハウを活用し、インターネット上で法律情報や弁護士情報を提供するメディア事業を主軸としています。この事業から派生したHR事業や保険事業も展開しており、多角的なサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、「アシロに関わる人を誰よりも深く幸せにすることで、よりよい社会の実現に貢献する」という企業理念のもと、日常生活の基盤やインフラとなり得るサービスの創出を目指しています。主要事業であるメディア事業を中心に、HR事業、保険事業の3つのセグメントで事業を展開しています。
メディア事業は、弁護士業界における新規顧客獲得競争の激化や、インターネットを活用した効率的な集客ニーズの高まりを背景に、市場機会が拡大しています。HR事業では、弁護士だけでなく公認会計士や税理士などの士業人材、管理部門人材へと対象を広げ、事業の幅を拡大しています。保険事業では、法人向け弁護士費用保険への戦略的シフトを進め、中長期的な収益基盤の確立を目指しています。
メディア事業
メディア事業は、弁護士へのマーケティング支援サービスを提供するリーガルメディアと、弁護士以外の広告主へのマーケティング支援サービスを提供する派生メディアに分類されます。ユーザーは原則無料でサイトを閲覧でき、弁護士や企業などの顧客から広告収入を得るビジネスモデルです。
収益は、リーガルメディアがサイト内の有料広告掲載枠数に応じた月額定額の広告収入から、派生メディアがユーザーからの問合せ数に応じた成果報酬から得ています。リーガルメディアは安定的な成長を目指せるストック型の収益構造であり、派生メディアはフロー型の収益構造となっています。
HR事業
HR事業は、法律事務所や法務人材を必要とする企業に対し、弁護士有資格者や公認会計士、税理士、管理部門人材の人材紹介サービスを提供しています。弁護士専門の転職サイト「NO-LIMIT」などを運営しています。
収益は、採用候補者の採用が決定し入社することによって採用企業から紹介手数料を得る成果報酬型であり、フロー型の収益構造となっています。
保険事業
保険事業は、少額短期保険業を営む株式会社アシロ少額短期保険が、弁護士費用保険の販売を行っています。当連結会計年度より、個人向け弁護士費用保険から、法人・個人事業主向け弁護士費用保険「bonobo(ボノボ)」への戦略的シフトを加速させています。
収益は、IFRS第17号に基づく保険料収入から得ています。運営は、アシロ少額短期保険が行っています。
同社グループの売上収益はメディア事業が大部分を占めており、HR事業と保険事業がこれに続いています。メディア事業は前期から大きく売上収益を伸ばし、HR事業も大幅な増加となりました。一方、保険事業は前期から売上収益が減少しています。
| セグメント | 売上収益(2024年10月期) | 売上収益(2025年10月期) | セグメント利益(2024年10月期) | セグメント利益(2025年10月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| メディア事業 | 44.3億円 | 62.4億円 | 10.9億円 | 20.3億円 | 32.6% |
| HR事業 | 1.9億円 | 3.4億円 | △1.2億円 | 71百万円 | 21.0% |
| 保険事業 | 76百万円 | 69百万円 | △1.3億円 | △1.6億円 | - |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上収益は継続的に増加傾向にあり、特に直近の連結会計年度では大幅な伸びを示しています。親会社の所有者に帰属する当期利益も大きく増加し、収益性が大きく改善しました。過去には一時的な損失を計上した期もありましたが、その後は回復し、堅調な成長を続けています。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 15.5億円 | 22.0億円 | 32.0億円 | 46.9億円 | 66.5億円 |
| 税引前利益 | 3.5億円 | 4.8億円 | 43百万円 | 3.8億円 | 14.2億円 |
| 税引前利益率 | 22.8% | 21.7% | 1.4% | 8.1% | 21.3% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 2.3億円 | 3.4億円 | △12百万円 | 1.4億円 | 10.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 36.67 | 50.03 | △1.69 | 19.62 | 140.51 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益は、前期から大きく増加し、生産性の向上が見られます。また、従業員1人あたり営業利益も前期から大幅に伸びており、組織全体の収益を創出する力が強化されている傾向を示しています。
| 指標 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 30.7百万円 | 52.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.6百万円 | 11.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、安定した基盤と成長への投資余力があることを示しています。本業で着実に資金を生み出し、手元資金も厚い状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は当期で64.8%となり、前期の56.1%から増加しています。これはプライム市場の平均と比較しても高い水準を示しており、強固な財務基盤が構築されていることを示しています。ROE(自己資本利益率)も当期は37.8%と、前期の6.3%から大きく向上しており、効率的な経営がうかがえます。また、現金及び現金同等物は当期末で24.7億円と、前期末の16.0億円から増加しており、手元資金の厚みが増しています。これらの財務指標は、同社グループが安定した経営状況にあり、将来的な事業展開や雇用・給与の安定性にもつながる基盤があることを示しています。
| 指標 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 22.8億円 | 31.3億円 |
| 自己資本比率 | 56.1% | 64.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.3% | 37.8% |
| 現金及び現金同等物 | 16.0億円 | 24.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、成長投資も行いつつ、余剰資金を確保している状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは当期に13.4億円の資金流入となり、前期の7.3億円から増加しました。これは主に税引前利益の計上や減価償却費及び償却費の計上によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは、当期に△50百万円の資金流出となり、前期の△11百万円から流出額が増加しました。これは主に貸付けによる支出や無形資産の取得による支出があった一方で、子会社の売却による収入も影響しています。財務活動によるキャッシュフローは、当期に△4.2億円の資金流出となり、前期の△3.5億円から流出額が増加しました。これは主に配当金の支払い、リース負債の返済、長期借入金の返済、社債の償還によるものです。
営業活動で得た資金が投資活動の支出を上回るフリーキャッシュフローは当期に12.9億円のプラスとなり、前期の7.2億円から増加しました。このキャッシュフローの状況は、同社グループが本業で安定した収益力を持ち、将来に向けた投資も行いながら、資金繰りに余裕があることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性、そして会社の成長性への期待につながるものと言えます。
| 項目 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.3億円 | 13.4億円 |
| 投資CF | △11百万円 | △50百万円 |
| 財務CF | △3.5億円 | △4.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 7.2億円 | 12.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、特定の取引先への依存に関するリスクを認識しています。当連結会計年度の売上収益のうち、上位3社に対する割合が46.5%を占めており、取引関係の変化が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、主要事業であるリーガルメディアにおいて、ユーザーが競合他社サイトへ利用を切り替えることで、弁護士等の掲載枠数が確保できなくなるリスクも挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大に伴う優秀な人材の確保、定着、及び育成が重要であると認識しています。これらの施策が計画通りに進まない場合、事業拡大の制約要因となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があるとされています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アシロは、関わる人々を深く幸せにすることで、より良い社会の実現に貢献するという企業理念を掲げています。この理念に基づき、日常生活の基盤となるサービスの創出を目指し、事業を展開しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「関わる人を誰よりも深く幸せにすることで、よりよい社会の実現に貢献する」という企業理念を掲げています。世界最深地点で生存が確認された深海魚の名前(ヨミノアシロ)を社名に拝借し、表層的なサービスではなく、日常生活の基盤やインフラと成り得るサービスの創出を目指しています。
「メディア事業」を中心に事業を展開しており、主に弁護士を顧客とするリーガルメディアや、弁護士以外を顧客とする派生メディアを運営しています。引き続き当該事業の拡大を図るとともに、「HR事業」「保険事業」等の経営資源を活かした新規事業の積極的な展開を通じて、更なる成長を図る方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、創業者が大切にしている「関わる人を誰よりも深く幸せにすることで、よりよい社会の実現に貢献する」という企業理念を基盤としています。費用をいただく顧客への「効果」や「満足度」を重視した「誠実なサービスを提供」することを大切に、事業運営を行っています。
「人材」を最も重要な資本と捉え、サステナビリティの実現や人的資本の向上に積極的に取り組んでいます。能力や実績に応じた採用・登用を進めるスタンスであり、性別を問わず活躍できる環境整備を通じて、女性管理職比率の向上にも取り組む方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、今後の成長のため、人員確保と組織体制の整備を重要課題と認識しています。多様な人材採用を進め、業務標準化や内部統制システムの整備を通じて、強固な経営基盤の構築に取り組みます。
運営サイトの安定稼働と情報システムセキュリティの維持にも努め、情報漏洩リスクの最小化を図ります。また、各種法令の遵守を事業継続の大前提とし、法務部門の強化や社内研修を通じて、コンプライアンス意識の徹底とリスク未然防止を図ります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アシロは、取締役会の監督機能を強化するため、監査等委員会設置会社へ移行しています。また、執行役員制度を導入することで、監督機能と執行機能の分離を図り、機動的な意思決定を実現する体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アシロの株主構成を見ると、代表取締役社長である中山博登氏が筆頭株主となっています。同社グループの経営を主導する人物が、大株主として会社を支えている資本構成です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 中山 博登 | 25.69% |
| 松田 健太郎 | 3.11% |
| 大東特殊電線 | 2.64% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC | 2.37% |
| 西川 晶 | 2.21% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は4名(男性4名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼執行役員は中山博登氏が務めています。社外取締役比率は75.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中山 博登 | 代表取締役社長 兼執行役員 | 2006年4月ワークポート入社、2007年4月幕末(現イシン)入社、2009年11月旧アシロ代表取締役社長就任、2016年5月同社代表取締役社長就任、2022年1月同社代表取締役社長兼執行役員就任より現職。 |
社外取締役は、高橋重雄氏(元本田技研工業株式会社財務副部長・常勤監査等委員)、麻生要一氏(株式会社アルファドライブ代表取締役・監査等委員)、東目拓也氏(弁護士法人北浜法律事務所パートナー・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員を取締役会における議決権を有する構成員とすることで、取締役会の監督機能を強化しています。取締役4名のうち3名が独立社外取締役であり、経営の客観性・透明性の確保に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アシロの役員報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして株主価値と連動した報酬体系を基本方針としています。業務執行取締役の報酬は基本報酬と株式報酬で構成され、監督機能を担う社外取締役の報酬は基本報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 60百万円 | 30.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 16百万円 | 4.1百万円 |
なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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