※本記事は、北興化学工業株式会社 の有価証券報告書(2025年11月期、2024年12月1日 ~ 2025年11月30日、2026年2月20日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
北興化学工業は、農薬ならびにファインケミカル製品の製造・販売を主たる事業としています。同社グループは、連結子会社5社および非連結子会社1社とともに事業を展開しています。
単体従業員数は629名、連結従業員数は742名です。同社グループの事業セグメントは、農薬事業、ファインケミカル事業、繊維資材事業、その他の4つです。
主な国内グループ会社は、村田長(繊維資材の販売)、北興産業(ファインケミカル製品等の販売)、美瑛白土工業、ホクコーパツクス(石油製品等の販売)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
北興化学工業は、化学メーカーとして専門性の高い事業を展開しており、従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っている傾向が見られます。サステナビリティ経営の一環として人的資本への投資を強化しており、多様な働き方を推進する取り組みも進められています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、同社では従業員が長期にわたってキャリアを築きやすい環境が整っている傾向が見られます。安定した人材基盤の上で、専門性を深めながら働くことが期待できるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,937,985円 |
| 平均勤続年数 | 18.5年 |
| 平均年齢 | 44.8歳 |
| 単体従業員数 | 629人 |
| 連結従業員数 | 742人 |
| 単体のグループ内比率 | 84.8% |
同社は確定給付型の制度として、企業年金基金制度および退職一時金制度を設けています。また、国内連結子会社は退職一時金制度および中小企業退職金共済制度を設けています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
確定給付型の退職給付債務は63.6億円、年金資産は55.4億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、事業を支える源は社員であるとの考えのもと、「新たな分野にチャレンジする人材の育成」及び「社員が活躍できる職場づくり」を人材面における重要課題と位置付けています。持続可能な社会の実現と持続的な企業価値向上の好循環に向けて、人的資本向上への取り組みを強化しています。
中長期的な戦略に沿った人材育成が不可欠とし、新入社員から管理職までの階層別研修、リーダーシップ/マネジメントスキル育成、職能別育成研修を実施しています。自己啓発プログラムの提供や資格取得・通信教育受講の奨励・助成を通じて、従業員の能力開発を支援しています。OJT制度により、技術と経験を有する社員が若手社員の指導育成を担当し、ノウハウの伝承に努めています。
すべての従業員が個性と能力を十分に発揮できるよう、コンプライアンス基本方針および北興化学工業グループ行動規範に基づき、あらゆる人格、人権や個性を尊重し、ハラスメント防止に努めています。従業員にとって健康・安全かつ働きやすい職場環境を整え、ライフステージやライフスタイルに応じて選択できる多様な働き方を提供しています。グローバルな事業展開のため、多様な人材が活躍できる体制を整備しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.9% |
| 男性育児休業取得率 | 63.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 65.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 71.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 69.1% |
ダイバーシティ経営の推進
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 採用者に占める女性割合 | 目標20%以上 |
| 高年齢者雇用 | 60歳定年後65歳まで希望者全員をシニアパートナーとして雇用 |
| 障がい者雇用 | 安心安全に働くことができる環境づくりを推進 |
ワークライフバランス
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 正社員における年次有給休暇取得率 | 目標60%以上 |
| テレワーク | 実施できる環境を整備 |
| デジタル化対応 | 会議や就業・採用関連におけるデジタル化対応を推進 |
健康経営の推進
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康診断受診率 | 100%を毎年継続 |
| 喫煙者数 | 目標10%削減 |
| 健康経営優良法人認定 | 2023年3月に認定 |
労働安全衛生の確保
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| ISO45001認証取得 | 全工場で認証取得 |
コンプライアンス
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| コンプライアンス教育 | 毎年9月をコンプライアンス月間として全役職員に研修を実施 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
北興化学工業は、農薬事業、ファインケミカル事業、繊維資材事業を主軸に展開する化学メーカーです。多様な化学製品の製造・販売を通じて、社会の基盤を支える事業構造となっています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、農薬ならびにファインケミカル製品の製造・販売を主たる事業としています。これらの事業は、国内だけでなく海外市場にも展開されており、幅広い顧客層に製品を提供しています。
農薬事業
農薬製品や農薬原体の製造・販売を行っています。国内では水稲剤や園芸剤が、海外では中南米向けを中心に販売されており、同社グループの収益の大部分を占める主力事業です。
収益は、農薬製品の販売から得ています。運営は、北興化学工業が製造・販売を主として行い、美瑛白土工業が農薬原料の一部製造やバルーン・銅基剤等の販売を、北興産業が一部農薬の販売を、HOKKO CHEMICAL AMERICA CORPORATIONが北中南米での市場調査・普及活動を行っています。
ファインケミカル事業
電子材料原料をはじめとするファインケミカル製品、樹脂添加剤、医農薬中間体などを製造・販売しています。医農薬分野や電子材料分野での受注が増加しており、同社グループの収益を支える重要な事業です。
収益は、ファインケミカル製品の販売から得ています。運営は、北興化学工業が製造を主として行い、張家港北興化工有限公司が製造の一部と中国国内等での販売を、北興産業が一部国内での販売を行っています。
繊維資材事業
繊維資材の販売を行っており、主に産業用繊維素材の販売が増加しています。
収益は、繊維資材の販売から得ています。運営は、村田長が行っています。
同社グループの売上高は、特定の顧客に集中する傾向が見られます。当連結会計年度では、全国農業協同組合連合会が農薬事業において、信越化学工業がファインケミカル事業において、それぞれ大きな割合を占めています。また、地域別売上高を見ると、日本国内が最も大きい割合を占めていますが、アジアや中南米、米国、欧州など海外での売上も全体の約19.0%を占めており、グローバルに事業を展開しています。
| セグメント | 売上高(2024年11月期) | 売上高(2025年11月期) |
|---|---|---|
| 農薬事業 | 267億円 | 294億円 |
| ファインケミカル事業 | 176億円 | 178億円 |
| 繊維資材事業 | 19.2億円 | 19.4億円 |
| その他の事業セグメント | 12百万円 | 6百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は継続的に伸長しています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、一時的な変動はあったものの、全体としては増加傾向を示しています。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 403億円 | 449億円 | 452億円 | 462億円 | 491億円 |
| 経常利益 | 38.4億円 | 59.0億円 | 54.7億円 | 56.9億円 | 60.8億円 |
| 経常利益率 | 9.5% | 13.2% | 12.1% | 12.3% | 12.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 29.3億円 | 42.1億円 | 37.2億円 | 40.1億円 | 44.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 108.06 | 155.60 | 137.50 | 148.15 | 169.90 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しており、同社グループ全体の生産性が向上している傾向が見られます。
| 指標 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 61.8百万円 | 66.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.1百万円 | 6.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、安定した財務基盤を構築しています。本業で得た資金を元手に、将来に向けた投資も行いながら、健全な資金の流れを維持している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が高く、安定した状態を示しています。ROEも堅調に推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金も十分に確保されており、事業環境の変化にも対応できる体制が整っていると言えるでしょう。これらの状況は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素となります。
| 指標 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 462億円 | 529億円 |
| 自己資本比率 | 70.7% | 68.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.6% | 9.0% |
| 現金及び預金 | 62.1億円 | 72.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定して資金を創出している状況です。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは76.1億円の増加となり、主に税金等調整前当期純利益の計上や仕入債務の増加が要因となっています。これは、事業活動が順調に進んでいることを示しています。
投資活動によるキャッシュフローは24.1億円の減少となり、主に有形固定資産の取得による支出が影響しています。これは、将来の成長に向けた設備投資を積極的に行っていることを示しています。財務活動によるキャッシュフローは17.9億円の減少となり、自己株式取得目的の金銭の信託の設定による支出や配当金の支払いが主な要因です。
これらの結果、フリーキャッシュフローは52.1億円のプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回る健全な状態を維持しています。この安定した資金の流れは、同社グループが持続的な成長を追求しつつ、雇用や給与の安定性にも配慮できる財務基盤を持っていることを示しています。
| 項目 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 60.7億円 | 76.1億円 |
| 投資CF | △13.1億円 | △24.1億円 |
| 財務CF | △17.7億円 | △17.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 47.6億円 | 52.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主力事業である農薬事業は、農業政策や天候、病害虫の発生状況などによって販売が影響を受ける可能性があります。また、ファインケミカル事業では、新規企業の参入や廉価製品の台頭による価格競争のリスクが挙げられています。
海外での生産や取引があるため、為替レートの変動も事業に影響を与える可能性があります。中国現地法人の法規制変更や社会情勢の変化もリスク要因として認識されています。
③ 人材・組織に関するリスク
新製品の開発には多大な人的・経済的資源と長期にわたる時間が必要であり、開発期間中の市場環境の変化や技術の進歩により、開発可否判断や収益計画が影響を受ける可能性があります。これは、研究開発を担う人材の確保や育成が重要であることを示唆しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
北興化学工業は、「社会貢献」「環境」「技術」を経営のキーワードに掲げ、食糧の安定供給と産業活動を支える製品提供を通じて、持続的な成長と豊かな社会づくりを目指しています。社会に信頼される企業であり続けることを重視し、企業価値の向上に取り組む姿勢がうかがえます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
北興化学工業グループは、「社会貢献」「環境」「技術」を経営のキーワードとしています。全ての人々の幸せのため、安全で安心な農薬製品とファインケミカル製品を社会に提供することを企業理念としています。
この理念のもと、持続的かつ安定的な成長を実現し、国内外の産業の発展と豊かな社会づくりに貢献することを目指しています。また、取締役会を中心とした経営の自己規律により、企業価値の向上と社会に信頼される企業であり続けることを追求しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
北興化学工業グループでは、「コンプライアンス基本方針」および「北興化学工業グループ行動規範」に基づき、あらゆる人格、人権、個性を尊重する企業風土を大切にしています。職場におけるハラスメントなど不当な扱いの防止に努め、健康・安全で働きやすい職場環境の整備を不可欠と考えています。
経営計画では「収益構造改革」「造り方改革」「働き方改革」の3つの改革を柱としています。特に「働き方改革」では、業務効率化と人材育成を重点課題とし、全ての従業員が個性と能力を十分に発揮できる環境を整備することを目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
北興化学工業グループは、業務のさらなる効率化と省人化を目指し、「スマート化の推進」を重点テーマとしています。基幹システムの刷新と業務プロセス改善、DX化を推進する方針です。
また、「サステナビリティの向上」にも取り組んでいます。「持続可能な社会の実現」と「持続的な企業価値向上」の好循環を目指し、気候変動対策や人的資本に関する取り組みを強化しています。人的資本においては、「新たな分野にチャレンジする人材の育成」と「社員が活躍できる職場づくり」を重要課題としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
北興化学工業は監査役設置会社であり、取締役会が取締役の職務執行を監督し、監査役が監査を行う体制を採用しています。社外取締役および社外監査役の選任により、経営への監督・監視機能の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
北興化学工業の株主構成を見ると、複数の機関投資家や事業会社が上位に名を連ねています。特定の創業家や事業会社が過半数を占めるような状況ではなく、多様な株主によって支えられていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.88% |
| 野村殖産 | 8.16% |
| 住友化学 | 7.63% |
| MSIP CLIENT SECURITIES | 6.82% |
| りそな銀行 | 5.10% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は佐野健一氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐野 健一 | 代表取締役社長 | 1981年4月同社入社、2019年12月同社代表取締役社長農薬事業グループ担当、2021年2月同社代表取締役社長内部監査チーム担当より現職。 |
| 早川 伸一 | 取締役 専務執行役員 農薬事業グループ担当 | 1985年4月同社入社、2025年2月同社取締役専務執行役員農薬事業グループ担当より現職。 |
| 濱田 尚之 | 取締役 常務執行役員 ファインケミカル事業グループ担当 | 1988年4月同社入社、2025年7月同社取締役常務執行役員ファインケミカル事業グループ担当より現職。 |
社外取締役は、垂水裕之氏(Huckleberry Mines Ltd.社長)、田口芳樹氏(野村殖産代表取締役社長)、石尾勝氏(専修大学兼任講師)、中川登紀子氏(ハリウッド大学院大学教授)、佐伯円香氏(慶應義塾大学特任准教授)です。
同社は監査役設置会社であり、取締役の職務執行について取締役会が監督を行い、監査役が監査を行う体制です。社外取締役5名を含む8名で取締役会を構成し、独立社外取締役および独立社外監査役により経営への監督・監視機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は、月毎に支給される定額の金銭報酬(固定報酬)のみで構成されています。今後は、業績連動型株式報酬制度の導入も検討されており、株主総会に議案を付議する予定です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.0億円 | 26.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 18百万円 | 18.0百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 48百万円 | 6.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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