※本記事は、株式会社不二越 の有価証券報告書(2025年11月期、2024年12月1日 ~ 2025年11月30日、2026年2月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
不二越は、機械工具、部品、特殊鋼、工業炉などの製造販売を主な事業とする総合機械メーカーです。同社グループは、工具、工作機械、ロボットからベアリング、油圧機器まで多岐にわたる製品を提供しています。
単体従業員数は2,965名、連結従業員数は6,532名です。同社グループの事業セグメントは、機械工具、部品、その他の3つです。
主な国内グループ会社は、ナチツールエンジニアリング(機械工具)、ナチ関東(部品)、ナチロジスティクス(その他)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
不二越は、ものづくりの大きな変革期において、果敢に挑戦する人材を重視しています。グローバルな視点での人材確保と育成、そして働きがいのある企業風土づくりを通じて、社員一人ひとりが価値を生み出す源泉であると考えている会社です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
不二越では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い傾向にあります。これは、社員が長期的にキャリアを築き、安定して働き続けられる環境が整っていることを示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,828,908円 |
| 平均勤続年数 | 15.8年 |
| 平均年齢 | 40.3歳 |
| 単体従業員数 | 2,965人 |
| 連結従業員数 | 6,532人 |
| 単体のグループ内比率 | 45.4% |
不二越および一部の連結子会社では、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型と確定拠出型の退職給付制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は251億円、年金資産は310億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
不二越グループは「人材 企業は人なり」という企業理念のもと、企業と人は一体であり、人材が価値を生み出す源泉であると考えています。長期ビジョンの実現に向けて、社員一人ひとりが意欲を持ち、役割を発揮して人材価値を向上させることが重要であると認識しています。
ものづくりの変革に対応するため、経営戦略の実現に必要な多様な人材をグローバルで確保すること、会社の成長を牽引する人材(ジェネラルマネージャー、GM)を育成すること、そして持続的に人が育つ働きがいのある企業風土をつくることを基本方針としています。
具体的には、事業の構造改革や新商品開発のため、日本国内外から多様な新卒人材を安定的・継続的に採用しています。また、様々なキャリアや専門性を持つ人材を通年で採用し、必要な分野や職種へ投入しています。女性社員の活躍推進も重要課題の一つとして捉え、計画的な採用とグローバルな活躍を見据えた育成に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
不二越単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.2% |
| 男性育児休業取得率 | 65.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 77.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 82.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 58.0% |
多様性
基準日は2025年11月実績(2025年4月入社)です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性採用比率 | 13.1% |
人材育成
基準日は2025年11月期実績です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 社員一人あたりの研修費用 | 40,071円/年 |
| 海外留学実施率 | 100% |
職場環境整備
基準日は2025年11月実績です。休業度数は、休業1日以上の労働災害発生件数を延べ労働時間で除し、1,000,000を乗じたものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率 | 65.7% |
| 休業度数 | 0.7 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
不二越グループは、機械工具、部品、そして特殊鋼や工業炉などを扱うその他事業を展開する総合機械メーカーです。国内外に多数の子会社・関連会社を持ち、グローバルな事業活動を通じてものづくりを支えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
不二越グループは、主に3つの事業セグメントを通じて収益を上げています。自動車分野をはじめとする産業界の需要変動や、中国経済の動向、為替変動などが同社グループの業績に影響を与える傾向があります。また、特定の顧客への売上集中も見られます。
機械工具事業
工具、工作機械、ロボットの製造販売を行っています。北米での工具需要が増加する一方で、中国におけるロボット需要の減少が売上高に影響を与えました。収益は、これらの製品の製造販売から得ています。
部品事業
ベアリングや油圧機器の製造販売を手掛けています。建設機械分野での国内需要が減少したものの、自動車分野における一部メーカーの生産回復により、カーハイドロリクスの需要が増加しました。収益は、ベアリングや油圧機器の製造販売から得ています。
その他事業
特殊鋼や工業炉の製造販売、運送・情報処理関連サービスなどを提供しています。国内を中心に特殊鋼の需要が減少した影響を受けました。収益は、特殊鋼や工業炉の製造販売、各種サービス提供から得ています。
| セグメント | 売上高(2024年11月期) | 売上高(2025年11月期) |
|---|---|---|
| 部品 | 1,464億円 | 1,473億円 |
| 機械工具 | 775億円 | 734億円 |
| その他事業 | 160億円 | 152億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は2023年11月期をピークに減少傾向にありましたが、直近の2025年11月期では前期からわずかに減少となりました。一方で、利益面では2024年11月期に一時的に落ち込んだ後、2025年11月期には営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに大きく増加しています。これは、構造改革による固定費の削減や原材料価格上昇分の販売価格への転嫁、生産ラインの自動化・合理化、調達コストダウンなどの取り組みが寄与した結果となっています。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,291億円 | 2,581億円 | 2,655億円 | 2,399億円 | 2,359億円 |
| 経常利益 | 145億円 | 171億円 | 110億円 | 42.4億円 | 83.7億円 |
| 経常利益率 | 6.3% | 6.6% | 4.2% | 1.8% | 3.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 99.9億円 | 122億円 | 64.7億円 | 33.5億円 | 52.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 418.09 | 513.17 | 276.92 | 144.10 | 233.48 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加する結果となりました。これらの指標の改善は、同社グループが推進する構造改革や生産ラインの自動化・合理化、調達コストダウンといった取り組みが、組織全体の生産性向上に貢献していることを示しています。
| 指標 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 34.6百万円 | 36.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.0百万円 | 1.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務基盤は、事業活動で安定的に資金を生み出し、投資活動を賄った上で余剰資金を確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は51.5%であり、前期の47.4%から増加しています。これはプライム市場の製造業平均と比較して高い水準を示しています。
ROE(自己資本利益率)は3.2%で、前期の2.1%から改善していますが、プライム市場の製造業平均を下回っています。
手元資金として現金及び預金が322億円あり、前期の343億円から減少しました。これらの財務状況は、同社グループが安定した経営基盤を維持しつつ、事業活動に必要な資金を確保していることを示しています。
| 指標 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,647億円 | 1,742億円 |
| 自己資本比率 | 47.4% | 51.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.1% | 3.2% |
| 現金及び預金 | 343億円 | 322億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは179.4億円のプラスとなり、前期から減少しました。これは主に、税金等調整前当期純利益や減価償却費、売上債権および棚卸資産の減少により資金が増加した一方で、仕入債務の減少や法人税等の支払額により資金が減少したことによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは△52.9億円となり、前期から支出が減少しました。これは主に、投資有価証券の売却による資金増加があった一方で、海外でのベアリング生産体制再編や、日本での工具・ベアリング生産能力増強、合理化投資に伴う有形固定資産の取得により資金が減少したためです。
この結果、フリーキャッシュフローは126.5億円のプラスとなり、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。財務活動によるキャッシュフローは△159.2億円で、借入金の純減額や配当金の支払額、自己株式の取得により資金が減少しました。
これらのキャッシュフローの状況は、同社グループが事業活動で安定的に資金を創出し、戦略的な投資を行いつつ、財務体質の強化を進めていることを示しています。
| 項目 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 314.6億円 | 179.4億円 |
| 投資CF | △76.3億円 | △52.9億円 |
| 財務CF | △243.6億円 | △159.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 238.3億円 | 126.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、自動車・自動車関連産業向けの売上高が約5割を占めており、その需要動向やEV化の進展が業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、連結売上高に占める海外売上高の割合が約5割であり、各国および地域の経済環境の動向や通商・外交政策、法規制等の予期せぬ変化が業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、国内外の優秀で多様な人材を継続的に確保・採用し、育成に努めています。しかし、少子高齢化を背景とした有能な人材確保に向けた競争の高まりは、中長期的な業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
構造改革費用として31.2億円を特別損失に計上しています。この費用は事業再編・拠点統廃合・人員削減等に伴うものであり、転職先を検討する際に留意すべき情報です。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
不二越は、「世界に誇れるものづくりの技術」を経営理念に掲げ、持続的な成長と企業価値の向上を目指す総合機械メーカーです。人材を価値創造の源泉と捉え、多様な人材が活躍できる企業風土を重視しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「世界に誇れるものづくりの技術」という経営理念のもと、企業価値の向上を最重要課題としています。持続的な成長と企業価値の向上を実現するため、ロボットを会社の中核として育て上げることを中長期的な事業運営方針としています。この方針に基づき、経営基盤の強化に取り組んでいます。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「人材 企業は人なり」という企業理念を掲げ、「企業と人は一体、人材は価値を生み出す源泉」であると考えています。経営戦略の実現に必要な多様な人材をグローバルで確保すること、会社の成長を牽引する人材を育成すること、そして持続的に人が育つ働きがいのある企業風土をつくることを人材に対する基本的な考え方としています。多様な従業員の考え方や専門性を持ち寄り、活発な議論やコミュニケーションを通じて新しい価値を創出し、会社と個人が成長することを目指しています。女性社員の活躍推進も重要な課題の一つです。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、自動車のEV化の進展やDX・AIによる商品開発、生産性向上など、産業構造の大変革に対応することを経営課題としています。ロボットを事業成長の中核に据え、高付加価値のものづくりとソリューションを提供していく方針です。また、環境・社会・ガバナンスなどの課題に取り組むため、2023年11月に「サステナビリティ委員会」を発足させ、持続的な企業成長を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
不二越は、取締役会の監督機能強化と経営の意思決定迅速化を目指し、監査等委員会設置会社へ移行しています。執行役員制度を導入し、機動的な業務執行と経営監視機能の強化に取り組んでいます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
不二越の株主構成を見ると、従業員持株会が上位に複数名を占めている点が特徴です。筆頭株主は那智わねい持株会であり、第3位にはナチ不二越従業員持株会が名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 那智わねい持株会 | 12.73% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.68% |
| ナチ不二越従業員持株会 | 6.05% |
| ナチ取引店持株会 | 4.54% |
| 日本生命保険相互会社 | 3.60% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性11名・女性1名)で構成され、女性役員比率は8.0%です。代表取締役社長執行役員は黒澤勉氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 黒澤 勉 | (代表取締役) 取締役 社長執行役員 | 1989年1月同社入社、2014年1月軸受事業部長、2021年2月取締役軸受構造改革担当、調達本部長を経て、2023年2月より現職。 |
| 原 英明 | (代表取締役) 取締役 専務執行役員 営業統括、国内営業担当、中国事業担当 | 1983年4月同社入社、2018年2月取締役不二越(中国)有限公司ロボットビジネスセンター長、2019年2月常務取締役不二越(中国)有限公司中国総代表を経て、2024年2月より現職。 |
| 古澤 哲 | 取締役 常務執行役員 経営企画担当、海外営業担当、人事担当 コンプライアンス本部長 | 1982年4月同社入社、2014年2月取締役営業戦略本部副本部長、2017年2月取締役コンプライアンス本部副本部長、2019年2月取締役経営企画部長を経て、2023年2月より現職。 |
| 澤﨑 裕一 | 取締役 常務執行役員 財務担当、財務部長、総務担当、リスク管理総括 | 1986年4月同社入社、2015年2月財務部長、2021年2月取締役財務担当を経て、2023年2月より現職。 |
| 佐々木 法嗣 | 取締役 執行役員 アジア(韓国・台湾・アセアン・インド・ドバイ)営業担当、二輪営業担当 | 1986年4月同社入社、2017年2月取締役営業戦略本部長、アセアン地区担当、2024年2月執行役員韓国営業担当、軸受事業部軸受二輪拡販促進部長を経て、2025年2月より現職。 |
| 国崎 晃 | 取締役 執行役員 技術開発本部長、調達担当 | 1990年4月同社入社、2016年2月取締役ロボット事業部長、2023年2月執行役員DX推進担当を経て、2025年2月より現職。 |
| 本間 博夫 | 取締役 会長執行役員 | 1970年4月同社入社、2001年2月取締役、2009年2月取締役社長、2017年2月取締役会長を経て、2023年2月より現職。 |
社外取締役は、岡部洋氏(元クボタ理事)、山崎昌一氏(元北陸銀行執行役員・監査等委員)、澤近泰昭氏(元理研製鋼代表取締役社長・監査等委員)、後藤恵実氏(深代税理士法人税理士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会で議決権を持つことで、経営へのガバナンス強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
不二越の役員報酬は、固定の月額報酬、業績連動報酬である役員賞与、そして株式報酬で構成されています。社外取締役には月額報酬のみを支給しています。業績連動報酬は、営業利益や株主への配当などを総合的に勘案して決定されます。また、中長期的な企業価値向上への貢献意識を高めるため、株式報酬制度を導入しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 9名 | 4.4億円 | 48.9百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 25百万円 | 25.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 46百万円 | 11.5百万円 |
個人別報酬が開示されている役員は、本間博夫氏(2.17億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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