協和コンサルタンツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

協和コンサルタンツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する、建設コンサルタント事業を主力とする企業です。連結売上高は84億円(前期比4.7%増)、経常利益は9.3億円(同22.0%増)となり、防災・減災や防衛施設整備関連の堅調な需要を背景に増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社協和コンサルタンツ の有価証券報告書(第65期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 協和コンサルタンツってどんな会社?


建設コンサルタント事業を主力とし、都市・港湾・空港等の社会インフラ整備に関する調査・設計を行う専門技術者集団です。

(1) 会社概要


同社は1961年に東京都練馬区で設立され、土木・建築に関する測量・設計を開始しました。1966年に建設コンサルタント登録を行い、1993年に株式を店頭登録(現スタンダード市場)しました。その後、1995年に株式会社ケー・デー・シーを設立して情報処理事業へ展開し、2022年には東証の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。

同グループは連結206名、単体169名の従業員を擁しています。筆頭株主はフリージア・マクロスで47.49%を保有しており、同社はその他の関係会社に該当します。第2位株主は個人株主の舌間久芳氏(2.91%)、第3位は吉野正一氏(2.62%)となっており、事業会社が大株主となっている点が特徴です。

氏名 持株比率
フリージア・マクロス 47.49%
舌間 久芳 2.91%
吉野 正一 2.62%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性0名の計13名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼統括本部長は山本満氏です。なお、取締役10名のうち4名が社外取締役であり、社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
山本 満 代表取締役社長兼統括本部長 1976年同社入社。生産技術本部長、東京支社長等を歴任し、2015年より社長。2022年より現職。
中村 裕一 取締役常務執行役員東京支社長 1984年同社入社。企画開発室長、九州支社長、西日本支社長等を経て2015年より現職。
森田 義也 取締役常務執行役員東北支社長 1987年同社入社。執行役員東京第一支社営業統括部長、東日本支社副支社長等を経て2020年より現職。
野村 澄人 取締役執行役員営業企画室長兼新規事業推進室長兼施工管理支援室長 1991年同社入社。執行役員経営企画室長等を歴任。2022年より現職。
齋藤 直人 取締役執行役員九州支社長兼九州支社管理部長 1990年同社入社。執行役員東京第二支社副支社長等を経て2024年より現職。
佐々木ベジ 取締役相談役 1991年フリージア・マクロス代表取締役社長。フリージアホールディングス代表取締役等を兼任。2024年より現職。


社外取締役は、大島秀二(大島公認会計士事務所所長)、河村穣介(フリージア・マクロス取締役)、神成泰孝(ピコイ執行役員)、河野茂樹(技研興業執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設コンサルタント事業」、「情報処理事業」および「不動産賃貸・管理事業」を展開しています。

(1) 建設コンサルタント事業


国内および海外において、都市、港湾、空港等の建設事業全般における事業計画、企画、設計、測量、調査、施工計画、管理などのサービスを提供しています。主要顧客は国土交通省や防衛省などの官公庁であり、社会インフラ整備に深く関わる事業です。

収益は、顧客からの業務委託に対する対価として受け取る測量・設計・施工管理等の業務報酬が主な柱です。運営は主に協和コンサルタンツが行っていますが、海外事業の一部などを含め、同社グループが連携して事業を展開しています。

(2) 情報処理事業


情報処理サービス業務、人材派遣業務、情報処理機器の販売およびソフトウエアの開発・販売等を行っています。官公庁を主要顧客とし、システム開発やデータ処理業務などを提供しています。

収益は、システムの開発・保守運用に伴う受託料、人材派遣による派遣料、機器販売による販売代金などから構成されています。運営は主に連結子会社の株式会社ケー・デー・シーが行っています。

(3) 不動産賃貸・管理事業


保有する不動産の賃貸および管理業務を行っています。自社グループ内での利用に加え、外部への賃貸も行い、資産の有効活用を図っています。

収益は、賃貸先からの不動産賃料および管理料です。運営は主に連結子会社の株式会社ケーイーシー商事が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実に増加傾向にあり、直近では84億円規模に達しています。利益面でも、経常利益率が10%を超える水準で推移しており、収益性が向上しています。当期純利益も増益基調を維持しており、安定した成長を見せています。

項目 2021年11月期 2022年11月期 2023年11月期 2024年11月期 2025年11月期
売上高 73億円 77億円 77億円 81億円 84億円
経常利益 5億円 5億円 7億円 8億円 9億円
利益率(%) 6.3% 7.1% 8.5% 9.4% 11.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 3億円 4億円 5億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率、営業利益率ともに前期から改善しており、コストコントロールが進んでいることが窺えます。営業利益率は10%を超え、高い収益性を確保しています。

項目 2024年11月期 2025年11月期
売上高 81億円 84億円
売上総利益 21億円 22億円
売上総利益率(%) 25.7% 26.0%
営業利益 8億円 9億円
営業利益率(%) 9.5% 10.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.4億円(構成比42%)、その他経費が4.6億円(同36%)を占めています。売上原価においては、人件費や業務委託費が主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


主力の建設コンサルタント事業が増収増益となり、全社の業績を牽引しました。一方、情報処理事業は減収減益となり、不動産賃貸・管理事業は小規模ながら増収増益を確保しました。

区分 売上(2024年11月期) 売上(2025年11月期) 利益(2024年11月期) 利益(2025年11月期) 利益率
建設コンサルタント事業 65億円 70億円 9億円 10億円 14.9%
情報処理事業 15億円 14億円 0.1億円 -0.2億円 -1.1%
不動産賃貸・管理事業 0.0億円 0.0億円 0.3億円 0.4億円 972.3%
調整額 -1億円 -1億円 -2億円 -1億円 -
連結(合計) 81億円 84億円 8億円 9億円 10.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動でキャッシュを獲得し、投資活動によるキャッシュ・フローがプラス、財務活動によるキャッシュ・フローで借入返済等を進めていることから「改善型」と判定されます。投資CFのプラスは主に保険積立金の払戻によるものです。

項目 2024年11月期 2025年11月期
営業CF 4億円 8億円
投資CF -0.6億円 0.1億円
財務CF -6億円 -0.5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「企業をつくるのは"人"」、「経営を支えるのは"和"」、「技術を高めるのは"心"」という経営理念を掲げています。新たな価値の創造の実現に向け、人・社会・自然との調和を科学する先進的な技術者集団へと発展・飛躍し、社会に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


専門技術者集団として、社会的使命を果たすべく、「顧客満足と社員満足の両立」、「公明正大な企業活動」、「その他全てのステークホルダーへの責任」を重視しています。地球の明日を見つめながら、人の心の優しさと豊かさを育み、安全で安心・快適な生活空間を創造するために果敢に挑戦し続ける姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、中期においても一定量の需要が持続するものと予想しており、2028年11月期における連結業績目標を設定しています。

* 連結売上高:88億円
* 連結営業利益:11.5億円
* 連結経常利益:11.4億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:7.4億円

(4) 成長戦略と重点施策


中期的な業績目標の達成に向けて、「受注量の確保」「収益力の向上」「技術力向上と品質管理」「体制強化と人材育成」の4点を対処すべき課題として掲げています。技術提案営業の推進による受注確保、生成AI等の活用による生産性向上、新たな技術領域への挑戦、そして若手技術者の積極採用と人材開発に注力する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


良好な受注環境を活かして確実に受注に結びつけられるよう、経験豊富な技術者に加えて若手技術者もあらゆる採用手段により積極採用する方針です。これにより、受注・生産キャパシティの強化を図るとともに、次世代を担う人材開発を強力に推進し、組織全体の体制強化を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年11月期 43.3歳 12.9年 6,535,788円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.4%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規) -


※同社は女性活躍推進法における公表項目として選択していないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 受注環境の変化


同グループの受注は国や地方自治体への依存度が高く、公的予算の変動が業績に影響を与える可能性があります。このため、建設コンサルタントとしての技術ノウハウを活かし、新たな社会ニーズに対応した新規周辺事業分野へ参入することでリスク分散を図り、環境変化に対応する方針をとっています。

(2) 生産環境への制約


主力事業では顧客や関係機関との協議・調整が不可欠であり、新種のウイルス感染症等により対面での業務に制約が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、リモートワークやWEBミーティング環境を整備することで、感染予防と生産性の両立を図る対策を講じています。

(3) 品質管理と契約不適合責任


成果品には一定期間の契約不適合責任があり、万一不適合が発生した場合には補修費用等により業績に負の影響を与える可能性があります。同グループはISO9001に基づく品質管理を徹底してリスクを軽減するとともに、賠償責任保険への継続加入によりリスクの一部を外部へ移転する対策を行っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。