※本記事は、株式会社トーシンホールディングス の有価証券報告書(第38期、自 2023年5月1日 至 2024年4月30日、2024年7月31日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. トーシンホールディングスってどんな会社?
移動体通信機器の販売代理店運営を主力とし、不動産賃貸やゴルフ場運営も手掛ける多角化企業です。
■(1) 会社概要
1988年に設立され、1994年に携帯電話ショップを開設し移動体通信関連事業へ本格参入しました。2000年に株式上場を果たし、その後、ゴルフ場運営を行うリゾート事業や不動産事業へと領域を拡大しました。2018年には会社分割を用いて持株会社体制へ移行し、現在の商号となりました。
現在、連結従業員数は132名、単体では22名です。筆頭株主は資産管理業務を行う株式会社ジェットで、第2位は創業者の石田信文氏、第3位はその親族である石田ゆかり氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ジェット | 33.60% |
| 石田信文 | 6.02% |
| 石田ゆかり | 4.71% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名、計11名で構成され、女性役員比率は18.0%です。代表取締役会長兼社長は石田信文氏です。社外取締役比率は約18%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石田信文 | 代表取締役会長兼社長 | 1980年石田工業創業。有限会社石田興業取締役を経て、1988年同社設立とともに代表取締役社長就任。2024年7月より現職。 |
| 旭萌々子 | 取締役副社長兼管理部長(総務人事担当) | 2005年同社入社。社長室部長、取締役社長室長兼総務部長、取締役管理部長(総務人事担当)などを経て、2024年7月より現職。 |
| 石田ゆかり | 取締役管理部長(財務担当) | 1986年有限会社石田興業取締役。同社設立時に取締役就任。総務部GM、財務部長、常務取締役などを経て、2018年7月より現職。 |
| 由比藤一真 | 取締役管理部長(経理担当) | 2013年同社入社。管理本部経理財務課次長を経て、2019年7月より現職。 |
| 石田雅文 | 取締役営業企画部営業統括部長 | 2007年トーシンリゾート入社。中京クライスラー入社、同社取締役営業企画部長(リゾート事業担当)などを経て、2024年7月より現職。 |
社外取締役は、阿曽克彦(元名古屋ステーション開発代表取締役社長)、深谷隆雄(元深谷隆雄税理士事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「移動体通信関連事業」「不動産事業」「リゾート事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 移動体通信関連事業
ソフトバンクショップ、auショップなどのキャリアショップを運営し、一般消費者や法人向けに携帯電話等の販売を行っています。また、各種サービス変更手続きや加入取次業務も受託しています。
収益は、主に通信事業者からの販売手数料や契約取次手数料、および端末機器の販売代金から得ています。運営は主に連結子会社の株式会社トーシンモバイルが行っています。
■(2) 不動産事業
貸しビルや賃貸マンションの保有・運営を行うほか、不動産の販売事業も展開しています。入居機会を捉えた不動産業者との関係強化や効率的な運営に注力しています。
収益は、入居者からの賃料収入や不動産販売による代金から得ています。運営は同社および連結子会社のトーシンコーポレーション株式会社が行っています。
■(3) リゾート事業
「TOSHIN Golf Club Central Course」などのゴルフ場およびゴルフ練習場の運営管理を行っています。コースコンディションの向上や施設設備の更新を通じて集客を図っています。
収益は、利用者からのプレーフィ、レストラン利用料、年会費などから得ています。運営は連結子会社のトーシンリゾート株式会社、株式会社伊良湖シーサイドゴルフ倶楽部が行っています。
■(4) その他
上記セグメントに含まれない事業として、飲料水の販売、太陽光発電事業、ゴルフレッスン施設の運営などを行っています。
収益は、飲料水等の販売代金や売電収入などから得ています。運営はグループ各社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は160億円から210億円の間で推移しています。2024年4月期は売上高171億円となり、回復傾向が見られます。利益面では、2021年4月期と2023年4月期に赤字を計上しましたが、直近の2024年4月期は黒字転換を果たし、経常利益率は1.7%となっています。
| 項目 | 2020年4月期 | 2021年4月期 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 214億円 | 210億円 | 181億円 | 164億円 | 171億円 |
| 経常利益 | 3.4億円 | 6.2億円 | 5.4億円 | -1.5億円 | 2.8億円 |
| 利益率(%) | 1.6% | 2.9% | 3.0% | -0.9% | 1.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.3億円 | -8.5億円 | 2.6億円 | -3.1億円 | 0.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益率も21.8%から23.5%へと改善しました。これにより営業利益は前期の赤字から3億円の黒字へと転換しています。コストコントロールと売上総利益の増加が利益改善に寄与しています。
| 項目 | 2023年4月期 | 2024年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 164億円 | 171億円 |
| 売上総利益 | 36億円 | 40億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.8% | 23.5% |
| 営業利益 | -1.0億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | -0.6% | 1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、その他経費が12億円(構成比33%)、給料及び手当が7億円(同20%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の移動体通信関連事業は増収となり、セグメント利益も確保しました。不動産事業は売上・利益ともに伸長し、安定的な収益源となっています。リゾート事業は売上が微減となりましたが、黒字を維持しています。
| 区分 | 売上(2023年4月期) | 売上(2024年4月期) | 利益(2023年4月期) | 利益(2024年4月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 移動体通信関連事業 | 140億円 | 146億円 | -3.9億円 | 0.1億円 | 0.1% |
| 不動産事業 | 8億円 | 9億円 | 4億円 | 5億円 | 55.7% |
| リゾート事業 | 16億円 | 16億円 | 0.6億円 | 2億円 | 11.9% |
| その他 | 0.1億円 | 0.1億円 | -0.5億円 | -0.6億円 | -514.6% |
| 連結(合計) | 164億円 | 171億円 | -1.5億円 | 3億円 | 1.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
トーシンホールディングスは、飲料水やゴルフ用品販売、太陽光発電事業、ゴルフレッスン施設運営などを手掛けています。
営業活動では、事業活動を通じて資金を得ており、これは主に利益や固定資産売却損益によるものです。投資活動では、有形固定資産の売却による収入が、取得による支出を上回り、資金を得る結果となりました。財務活動では、借入金の増減や返済、社債償還などにより資金を使用しました。これらの活動の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は増加しました。
| 項目 | 2023年4月期 | 2024年4月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3億円 | 2億円 |
| 投資CF | 3億円 | -19億円 |
| 財務CF | -4億円 | 14億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お客様第一主義」を掲げ、顧客、取引先、従業員の安全を最優先に考えながら、企業価値および業績のさらなる向上を目指しています。関係機関と連携し、事業環境の変化に柔軟に対応していくことを方針としています。
■(2) 企業文化
従業員一人ひとりが向上心を持って持続的に成長することを重視しています。様々な事業や業務にチャレンジできる環境や、多様な働き手を支援する環境の整備を進めており、優秀かつ即戦力となる人材の確保と育成に注力する風土があります。
■(3) 経営計画・目標
具体的な数値目標としての経営計画は記載されていませんが、中長期的な検討課題として、サステナビリティ項目に係る指標や目標について取締役会で議論を行い定めていく方針を示しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
各事業において収益性と効率性の向上を目指しています。移動体通信関連事業では既存店の収益性向上や好立地への移転改装、不動産事業では入居機会の捕捉と効率運営による安定収益確保、リゾート事業では運営の効率化と施設整備による集客力向上を重点施策としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を価値創造と競争優位の源泉と位置づけ、「人材が育ち、人材で勝つ会社」を目指しています。新卒・中途ともに優秀な人材の確保に向けた採用活動を行うとともに、従業員の成長を促すため、多様な働き方を支援し、挑戦できる環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2024年4月期 | 34.7歳 | 6.4年 | 4,922,534円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定取引先への依存
主力の移動体通信関連事業における手数料収入等は、ソフトバンク株式会社およびKDDI株式会社の2社に依存しています。各通信事業者の経営施策や事業方針の変更があった場合、同社グループの収益に影響を与える可能性があります。
■(2) 通信事業者からの受取手数料
同社グループは通信事業者から契約取次の対価として手数料を受け取っていますが、その金額や条件は契約に基づいています。今後、通信事業者の事業方針変更等により取引条件が大幅に変更された場合、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 出店計画への影響
携帯ショップの出店場所や規模、運営形態は、通信事業者(ソフトバンク株式会社およびKDDI株式会社)の戦略に基づいて協議の上決定されます。そのため、各通信事業者の戦略方針によっては、同社グループの出店計画や業績が影響を受ける可能性があります。



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