※本記事は、株式会社エアトリ の有価証券報告書(2025年9月期、2024年10月1日 ~ 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
エアトリは、オンライン旅行事業を主軸に、ITオフショア開発事業や投資事業など多角的な事業を展開しています。同社グループは「エアトリ経済圏」の構築・強化を推進し、旅行事業以外の既存事業の成長と事業ポートフォリオの構築を進めています。
単体従業員数は174名、連結従業員数は439名です。セグメントはオンライン旅行事業、ITオフショア開発事業、投資事業の3つです。
主な国内グループ会社は、インバウンドプラットフォーム(オンライン・旅行事業)、NAYUTA(ITオフショア・開発事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
エアトリは、オンライン旅行事業を主軸に、ITオフショア開発事業や投資事業も展開する企業です。同社グループでは、従業員が成長を支える重要な存在であるという認識のもと、多様な人材が能力を発揮できる職場環境の醸成に力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
エアトリでは、従業員の平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数は4年と、比較的若く活気のある組織であることがうかがえます。単体従業員数は連結従業員数の約4割を占めており、グループ全体の中核を担う存在です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,097,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.0年 |
| 平均年齢 | 36.9歳 |
| 単体従業員数 | 174人 |
| 連結従業員数 | 439人 |
| 単体のグループ内比率 | 39.6% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、従業員が成長を支える重要な存在であるとの認識に立ち、多様な人材が仕事と生活の調和を図りながら、最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に取り組んでいます。管理職への登用等においては、年齢、性別、社歴等で区分せず、全ての従業員が平等に機会を得られるような人事評価制度とキャリアプランを整備しています。
多様性の確保に向けた人材育成と社内環境整備に努めており、特に女性活躍推進に力を入れています。政府目標である「女性管理職30%」を目指し、女性が重要な役割を担い、責任ある立場で活躍するための取り組みを進めています。また、ITオフショア開発事業では海外の外国籍社員が多数活躍しており、ダイバーシティを尊重した環境作りを整備しています。経験者採用者(中途採用者)の積極的な採用と活用にも取り組んでおり、今後も継続して活用を促進していく方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男女の賃金差異は、基準年俸が高い上位職階にある女性社員の数が男性社員よりも少ないことが背景にあります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 23.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 72.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 72.9% |
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 外国籍社員比率 | 38.0% |
女性社員
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性の管理職の比率 | 23.9% |
中途採用社員
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 経験者採用者の管理職比率 | 47.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
エアトリグループは、オンライン旅行事業を主軸に、ITオフショア開発事業、投資事業を展開しています。多様なサービスを通じて「エアトリ経済圏」の構築・強化を目指し、収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、オンラインに特化した旅行会社として、お客様へ便利なサービスを提供しています。旅行事業で培った強みを活かし、多角的な事業展開を進めています。同社グループの売上収益は、ほとんどが日本国内から得られています。
オンライン旅行事業
同社グループの主力事業であり、オンライン旅行サービス「エアトリ」の運営を中心に展開しています。国内・海外航空券やホテルなどの旅行コンテンツの比較・予約サービスをBtoC向けに提供するほか、他社媒体への旅行コンテンツOEM提供も行っています。また、訪日旅行客向けのWi-Fiレンタルサービスや多言語での新幹線チケット手配、空港送迎予約取次などの訪日旅行事業も手掛けています。
収益は、旅行コンテンツの販売や各種サービスの提供から得ています。運営は、株式会社インバウンドプラットフォーム、株式会社まぐまぐ、株式会社かんざし、株式会社エヌズ・エンタープライズ、株式会社GROWTH、株式会社ノックラーン、ミナト株式会社などが行っています。この事業は前期から売上収益が増加しています。
投資事業
成長企業への投資育成を行い、投資先企業との協業によるシナジーを追求しています。投資先の成長や上場に伴うキャピタルゲインの獲得を目指しています。
収益は、投資先の成長や上場に伴うキャピタルゲインから得ています。この事業は前期から売上収益が減少しています。
ITオフショア開発事業
ベトナムのホーチミンやハノイを拠点に、主にEコマース、Webソリューション、ゲーム、システム開発会社などを顧客としたラボ型開発サービスを提供しています。
収益は、ラボ型開発サービスやBPOサービスの提供から得ています。この事業は前期から売上収益が大きく減少しています。
| セグメント | 売上収益(2024年9月期) | 売上収益(2025年9月期) | セグメント利益(2024年9月期) | セグメント利益(2025年9月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| オンライン旅行事業 | 246億円 | 277億円 | 41.5億円 | 44.8億円 | 16.1% |
| 投資事業 | 17.9億円 | 3.5億円 | △36百万円 | 1.0億円 | 30.1% |
| ITオフショア開発事業 | 1.6億円 | 18百万円 | △2.3億円 | △1.1億円 | - |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上収益は、過去5期間で変動しながらも直近では増加傾向にあります。税引前利益も変動が見られますが、直近の期間では増加となりました。一方で、当期利益は直近の期間で減少する結果となっています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 175億円 | 136億円 | 234億円 | 266億円 | 281億円 |
| 税引前利益 | 30.4億円 | 20.3億円 | 19.7億円 | 19.1億円 | 30.3億円 |
| 税引前利益率 | 17.4% | 14.9% | 8.4% | 7.2% | 10.8% |
| 当期利益 | 23.7億円 | 17.1億円 | 12.7億円 | 20.1億円 | 17.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 112.15 | 77.38 | 57.32 | 89.97 | 79.47 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
エアトリの従業員1人あたり売上収益(連結)は64.0百万円となっています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)は7.1百万円です。これらの数値は、同社グループの連結従業員数に基づいた当期の生産性を示しています。
| 指標 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | - | 64.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | - | 7.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を稼ぎ出し、将来に向けた投資も継続しています。財務基盤は堅固であり、事業活動に必要な資金を十分に確保している状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)から安定していることがうかがえます。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあり、ROEもプライム市場平均を上回っています。手元資金も増加傾向にあり、不測の事態への耐性も高い状況です。
| 指標 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 137億円 | 152億円 |
| 自己資本比率 | 47.7% | 47.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 15.5% | 12.3% |
| 現金及び現金同等物 | 96.5億円 | 121億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を獲得し、成長のための投資も継続している状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは増加しており、本業の稼ぎが順調に推移しています。投資活動によるキャッシュフローは支出が減少しており、フリーキャッシュフローは前期のマイナスからプラスに転換しました。
これは、本業で得た資金を元手に、将来の成長に向けた投資を継続しつつ、資金の余力も確保できている状態です。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を続けながら、将来の成長機会を追求していく姿勢を示しており、雇用や給与の安定性にもつながる傾向があると言えます。
| 項目 | 2024年9月期(前期) | 2025年9月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 22.7億円 | 45.5億円 |
| 投資CF | △36.3億円 | △13.5億円 |
| 財務CF | △14.0億円 | △7.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △13.6億円 | 31.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
オンライン旅行事業では競合環境が激化しており、売上の低下やコスト増加が業績に影響を与える可能性があります。同社グループは航空会社との関係強化やサイト知名度向上、他社との提携により競争力維持を図っています。
ITオフショア開発事業においても価格競争やエンジニアの引き抜きによる競争がもたらされています。同社グループはスケールメリットを活かし、人材獲得力や運営ノウハウ、強固なネットワークといった強みを継続・強化していくことで対応しています。
③ 人材・組織に関するリスク
取締役である大石崇徳氏への依存に関するリスクが挙げられています。同氏は設立以来、経営方針や戦略決定に重要な役割を果たしており、不測の事態が生じた場合に業績や事業展開に影響を与える可能性があります。
同社では、代表取締役社長である柴田裕亮氏をはじめ、取締役や執行役員各々が参加する会議を開催し、権限移譲も行い、大石氏に依存しない経営体質の構築を進めています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
エアトリグループは、ユーザーファーストと終わりなき成長を追求し、多様な人材が活躍できる企業風土を大切にしています。同社グループがどのような価値観のもとで事業を展開しているかを紹介します。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
エアトリグループは、和製OTA No.1を目指し、エアトリが国民的サービスとなることを目標に掲げています。常にユーザーファーストを重視し、「毎日がファン作り」を標榜しています。
東証プライム上場企業として、役職員が誇りを持てる「エアトリ」ブランド作りをミッションとしています。オンライン旅行事業、ITオフショア開発事業、投資事業を柱に、ITの力を活用して「エアトリ経済圏」を強化し、終わりなき成長を目指すことを基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
エアトリグループは、常にユーザーファーストを重視し、「毎日がファン作り」を標榜する企業風土を持っています。同社グループは、従業員が成長を支える重要な存在であると認識しており、多様な人材が仕事と生活の調和を図りながら能力を発揮できる職場環境と企業風土の醸成に取り組んでいます。
管理職への登用においては、年齢、性別、社歴等で区分せず、全ての従業員に平等な機会が与えられる人事評価制度とキャリアプランを整備しています。ダイバーシティを尊重し、様々なバックグラウンドを持つ役職員が活躍できる環境作りを整備していることも特徴です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
エアトリグループは、中長期成長戦略「エアトリ5000」のもと、複数の課題に取り組んでいます。その一つとして、グループ主要子会社・関連会社の上場準備を進めており、グループ全体の企業価値向上を目指しています。
また、人手が介在せずにオペレーションが可能な業務のシステム自動化を図り、顧客サービス利便性を向上させながら管理コストの削減にも取り組んでいます。外部環境の変化に対応し、新たなビジネスモデルやサービス開発も目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
エアトリは、社外取締役や社外監査役を選任することで、社外の視点を取り入れた実効性のあるコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。取締役会は代表取締役社長を含む6名で構成され、監査役会は常勤監査役1名と社外監査役2名で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
エアトリの筆頭株主は大石キャピタルであり、発行済株式の総数に対する所有株式数の割合は28.10%です。上位株主には、日本マスタートラスト信託銀行や吉村ホールディングスといった機関投資家や事業会社が名を連ねています。複数の関連会社が上位に並ぶ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大石キャピタル | 28.10% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.10% |
| 吉村ホールディングス | 5.00% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は柴田裕亮氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 柴田 裕亮 | 代表取締役社長 | 2005年3月監査法人トーマツ入社、2015年5月同社取締役CFO、2020年1月同社代表取締役社長兼CFOより現職。 |
| 大石 崇徳 | 取締役 | 1995年11月株式会社アイ・ブイ・ティ設立、代表取締役社長、2007年5月同社設立、2009年10月同社取締役会長より現職。 |
| 田村 諭史 | 取締役 | 1995年4月株式会社IACEトラベル入社、2006年10月スカイゲート株式会社(現:エアトリ)入社、2020年1月同社取締役、2024年10月同社取締役より現職。 |
| 増田 武 | 取締役 | 2004年2月株式会社アイ・ブイ・ティ入社、2013年10月同社執行役員、2019年1月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、大森泰人氏(元金融庁証券取引等監視委員会事務局長)、石原一樹氏(株式会社石原総合研究所代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、監査役会は常勤監査役1名と社外監査役2名で構成されています。社外取締役2名を選任することで、経営の監督機能強化と社外の視点を取り入れたガバナンス体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
エアトリの役員報酬は、各職責を踏まえた適正な水準を基本方針としています。取締役の基本報酬は原則として月額固定報酬であり、役位や職責等に応じて決定されます。業績連動報酬は導入されておらず、固定報酬とストックオプションによる報酬体系となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 86百万円 | 21.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 10.0百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 6百万円 | 3.0百万円 |
| 社外監査役 | 2名 | 4百万円 | 2.0百万円 |
役員報酬の限度額は、取締役が年額3億円以内、監査役が年額50百万円と定められています。
1億円以上の報酬を受け取っている役員はいないため、個人別の報酬開示はありません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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