※本記事は、株式会社くろがね工作所 の有価証券報告書(2025年11月期、2024年12月1日 ~ 2025年11月30日、2026年2月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
くろがね工作所グループは、家具関連および建築付帯設備機器の製造販売を主軸に事業を展開しています。全国の需要家への直接販売や代理店を通じた販売のほか、OEM契約による納入も行っています。物流や施工、その他の関連サービスも手掛けています。
単体従業員数は248名、連結従業員数は264名です。同社グループの事業セグメントは、家具関連と建築付帯設備機器の2つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)くろがね興産(家具関連・建築付帯・設備機器)、ケイ・エス・エム(同)、ケイ・エフ・エス(同)、(持分法適用関連会社)日本アキュライド(同)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社くろがね工作所は、家具関連事業と建築付帯設備機器事業を展開しており、従業員の定着と育成に力を入れている企業です。平均勤続年数が長く、安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって、働きがいのある職場環境が期待できます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の長期的なキャリア形成を支援する傾向が見られます。平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、経験豊富な人材が定着し、安定して働ける環境が整っていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,881,000円 |
| 平均勤続年数 | 20.3年 |
| 平均年齢 | 47.5歳 |
| 単体従業員数 | 248人 |
| 連結従業員数 | 264人 |
| 単体のグループ内比率 | 93.9% |
同社グループは、確定給付型の退職一時金制度と確定拠出型の確定拠出年金制度を採用しています。これらの制度は、同社および連結子会社に適用されます。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、当連結会計年度末における退職給付に係る負債は9.5億円、確定拠出制度への要拠出額は15百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「人と環境にやさしい空間創造」を経営理念とし、企業価値向上の源泉を人材と捉えています。安定的かつ多様な人材の確保、現場での技能習熟、高いスキル・ノウハウを持つ人材の定着化を人材基盤強化の三つの柱としています。
中期経営計画『Revive2025』では人材確保の強化、人材育成の底上げ・強化、女性活躍推進の実施を課題として掲げています。新中期経営計画『Power up 2028』では、個人別人材育成の強化や業務核人材の確保・育成に注力しています。
具体的には、「多様な人材の活躍に関するワーキンググループ」を設置し、抜擢登用人事の実現、中途入社の定着化、リターン入社の制度的運用方法の検討を進めています。また、層別研修の実施、経営核人材・各部門コア人材の中長期育成計画の策定、DX人材・施工人材の確保・育成にも取り組んでいます。個人別の能力開発を推進する「チャレンジと学び」ミーティングや、モノづくりに関する技能開発・承継を目的とした「くろがねアイディア・エンジン」も推進しています。女性活躍推進においては、女性管理職の登用実現に向けたキャリアパスの検討や生産現場の女性人材増強、外部人材開発研修の受講などを実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社及び連結子会社は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
人材活躍と多様性に関する取り組みに関する方針、戦略の指標及び目標
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職数 | 1人 |
| 有給休暇取得率 | 55% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 33% |
| プレゼンティーズムによる生産性損失割合 | 25% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
くろがね工作所グループは、家具関連事業と建築付帯設備機器事業を主軸に、製造から販売、物流、施工、その他のサービスまで幅広く事業を展開しています。オフィスや家庭向けの家具、病院や工場向けの設備機器を提供し、多様な顧客ニーズに応えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、家具関連と建築付帯設備機器の二つの報告セグメントで事業を展開しています。収益は主に製品の製造販売から得ており、全国の需要家への直接販売や代理店を通じた販売が中心です。特定の顧客への収益集中は見られず、また、海外の外部顧客への売上高は連結売上高の90%を超えないため、国内市場が主な収益源となっています。原材料価格や輸入製品価格の変動、為替円安の影響を受けながらも、販売価格への転嫁やコスト低減に取り組んでいます。
家具関連
オフィス家具や学習関連家具などの製造販売を行っています。オフィスにおける働き方の変化に対応したソリューションセールスや、在宅ワークデスク、宅配ボックスといった新製品の開発・販売にも注力しています。
収益は、オフィスや家庭向けの家具製品の販売から得ています。運営は、くろがね工作所、ケイ・エス・エム、ケイ・エフ・エス、並びに日本アキュライドが行っています。
建築付帯設備機器
建築付帯設備やクリーン機器他設備機器の製造販売を行っています。医療福祉施設向けの懸垂式引戸や医療ガスアウトレット、手術室向けクリーン機器空調機などが主力製品です。利益率の高い中小口案件や改修案件に注力し、選別受注を進めています。
収益は、ビルディング、工場、病院等に納入される設備機器の販売やOEM契約から得ています。運営は、くろがね工作所、ケイ・エス・エム、ケイ・エフ・エスが行っています。
| セグメント | 売上高(2024年11月期) | 売上高(2025年11月期) |
|---|---|---|
| 家具関連 | 52.9億円 | 47.2億円 |
| 建築付帯設備機器 | 19.2億円 | 16.2億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で変動が見られますが、当連結会計年度は前期と比較して減少しました。経常利益は過去数期にわたり損失が続いていましたが、当連結会計年度は損失幅が縮小しています。親会社株主に帰属する当期純利益は、直近2期連続で黒字を確保しており、特に当連結会計年度は保有有価証券の売却益を計上したことにより、大幅な増加となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度に増加に転じています。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 83.7億円 | 69.2億円 | 71.8億円 | 72.0億円 | 63.4億円 |
| 経常利益 | △70百万円 | △2.7億円 | △1.8億円 | 20百万円 | △8百万円 |
| 経常利益率 | △0.8% | △3.8% | △2.5% | 0.3% | △0.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △5百万円 | △5.7億円 | 12.1億円 | 2.1億円 | 4.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △3.15 | △332.28 | 713.11 | 122.92 | 237.75 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から当期にかけて減少しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は、前期と比較して損失幅が縮小する傾向にあります。これらの数値は、売上高の減少と営業損失の継続という状況の中で、生産性向上に向けた取り組みが課題となっていることを示唆しています。
| 指標 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 28.4百万円 | 24.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △0.1百万円 | △0.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
くろがね工作所の経営の安定性について、財務基盤や資金の流れ、事業を取り巻くリスクの観点から見ていきます。入社後の働き方を考える上で、会社の現状と将来に向けた取り組みを把握することは重要です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
くろがね工作所の財務基盤を見ると、自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較して高い水準にあります。これは、財務の安定性を示す一つの指標となります。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均と比較してやや低い水準ですが、前期からは改善しています。手元資金である現金及び預金は前期から増加しており、事業運営に必要な流動性を確保している状況です。
| 指標 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 45.8億円 | 48.5億円 |
| 自己資本比率 | 56.8% | 56.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.7% | 8.6% |
| 現金及び預金 | 9.1億円 | 15.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
くろがね工作所のキャッシュフローを見ると、当期は営業活動によるキャッシュフローが前期の減少から増加に転じ、76百万円の資金増加となりました。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費、売上債権の減少などが主な要因です。投資活動によるキャッシュフローも前期の減少から増加に転じ、2億8百万円の資金増加となりました。これは定期預金の払戻や投資有価証券の売却による収入が、定期預金の預入による支出を上回ったためです。その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは2億84百万円のプラスとなり、前期のマイナスから改善しています。財務活動によるキャッシュフローは借入金の返済や自己株式の取得、配当金の支払いにより減少しています。
本業の資金創出力が改善し、投資活動でも資金を確保している状況は、今後の事業展開や雇用・給与の安定性につながる可能性があります。
| 項目 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △2.5億円 | 76百万円 |
| 投資CF | △0.8億円 | 2.1億円 |
| 財務CF | △0.6億円 | △0.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △3.3億円 | 2.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、当連結会計年度まで8期連続で営業損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。しかし、同社グループは中期経営計画『Revive2025』に基づき、収益基盤の整備・拡大や製造部門の収益力強化、運転資金の確保に努めています。その結果、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しており、継続企業の前提に関する注記は記載されていません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業構造・収益性に関するリスクとして、経済状況の変化が挙げられます。オフィスビルや店舗、病院などの着工・完工件数、あるいは個人消費における耐久消費財需要の変化が、同社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、主要原材料である鋼板の価格変動や、商品仕入価格の上昇も、同社グループの収益性に影響を与えるリスクとして認識されています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクとして、新中期経営計画『Power Up 2028』において、収益基盤の更なる拡充を目指す上で、課題に取り組むための人材の育成が柱の一つとされています。これは、事業の成長を支える人材の確保と育成が重要な経営課題であることを示しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
くろがね工作所は、「人と環境にやさしい空間創造」を経営理念に掲げ、社会貢献と顧客満足度向上を目指しています。持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けることを重視し、事業活動を行っています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
くろがね工作所の経営基本理念は「人と環境にやさしい空間創造」です。これは、人々が生活し働く空間を健康的、快適、機能的、効率的な環境にすることを目指しています。
同社グループは、この理念に基づき、顧客満足度業界No.1を目指し、地球環境に配慮した製品と関連サービスの提供を通じて社会に貢献することを掲げています。また、コンプライアンスを最重要課題の一つとし、ステークホルダーからの信頼が得られる経営を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
くろがね工作所は、「くろがねCSRポリシー」として「ステークホルダーからの信頼を得て、経済価値を創造しつつ社会ニーズに積極的に応えることで、持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続ける」ことを掲げています。
同社グループでは、顧客満足度の向上、地球環境維持への取り組み、エンゲージメント向上に繋がる労働環境の実現を重視しています。また、企業価値向上の源泉を人材と捉え、安定的かつ多様な人材の確保、技能習熟のための育成、人材の定着化を人材基盤強化の柱としています。
「従業員の働きがいの向上」を重要テーマの一つとし、風通しが良く、部署の垣根を超えた自由闊達な意見交換ができる環境を整えています。個人の尊重とウェルビーイング向上による自己実現を目指すカルチャーを大切にしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
くろがね工作所は、新中期経営計画『Power up 2028』において、収益基盤の安定的な拡大を目指し、人材の育成、外部事業者との協業・提携等の構築を柱としています。
特に「サーキュラーエコノミーへの対応」を課題の一つとして掲げ、持続可能な社会への貢献を目指しています。
また、収益基盤の拡大に加え、人材基盤、ブランド基盤、グループ経営基盤の拡充と強化を重点テーマとしています。全社および各事業部門で活動項目を設定し、PDCAによる進捗管理を通じて、業容の拡大と安定的な業績黒字維持を図っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社であり、執行役員制度を導入することで経営の意思決定と業務執行の分離を図っています。これにより、より透明性の高い経営体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
くろがね工作所の株主構成を見ると、筆頭株主はワイ・ケイ、次いでエイ・シイ工業が上位に位置しています。これらは事業会社であり、同社の経営を支える主要な存在となっています。また、くろがね取引先持株会も大株主として名を連ねており、取引先との関係性も資本面からうかがえる構成です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ワイ・ケイ | 8.87% |
| エイ・シイ工業 | 8.35% |
| くろがね取引先持株会 | 6.66% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は田中成典氏が務めています。社外取締役比率は0.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田 中 成 典 | 代表取締役社長 | 1980年4月、三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、支店長や与信企画部長などを歴任。その後、株式会社ジャルカード取締役、エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社専務取締役を経て、2019年8月に同社に入社。副社長執行役員、取締役副社長などを経て、2023年8月より代表取締役社長に現職。 |
| 森 吉 武 | 取締役 | 2006年11月、同社に入社。経理本部経理部長、理事、執行役員などを経て、2019年3月より取締役に現職。2020年2月より常務執行役員、経営管理本部長、2024年2月より専務執行役員を務めています。 |
社外取締役は、岩嵜理致氏(岩嵜理致税理士事務所代表・監査等委員)、太田克実氏(太田克実税理士事務所代表・監査等委員)、中礒亜由美氏(中礒公認会計士事務所代表・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が業務執行の適法性および妥当性の監査・監督を担うことで、経営の透明性向上を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
くろがね工作所の役員報酬は、株主総会で承認された総額の範囲内で、取締役会の決議により代表取締役社長に一任されています。各取締役の職位、貢献度、会社の業績を勘案して支給され、役位別の固定報酬に加算を行う仕組みとなっています。社外取締役の報酬は、その役割と独立性の観点から定額報酬としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 26百万円 | 12.9百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 8百万円 | 7.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 3百万円 | 2.5百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 9百万円 | 2.9百万円 |
なお、取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれておりません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。