北恵 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

北恵 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。新建材や住宅設備機器の販売および施工付販売を行う住宅資材の専門商社です。直近決算(2025年11月期)の業績は、新設住宅着工戸数の減少や資材価格高騰の影響を受け、売上高590億円(前期比3.8%減)、経常利益9億円(同17.4%減)の減収減益となりました。


※本記事は、北恵株式会社 の有価証券報告書(第67期、自 2024年11月21日 至 2025年11月20日、2026年02月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 北恵ってどんな会社?


住宅資材の専門商社として、新建材や住宅設備機器の販売、施工付販売、オリジナル商品の開発を行っています。

(1) 会社概要


1959年に北村恵商事として設立され、ベニヤ板等の販売を開始しました。1978年にプライベートブランド商品(現KITAKEI商品)の開発・販売を開始し、1983年に北恵へ商号変更しました。1990年に大証二部へ上場し、2018年には東証一部銘柄に指定されました。その後、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。

同社は連結財務諸表を作成しておらず、従業員数は単体で383名です。大株主構成については、筆頭株主は代表取締役会長の北村良一氏で、第2位は資産管理業務を行う有限会社、第3位は代表取締役社長の北村誠氏となっており、創業家出身者およびその関連会社が上位を占めています。

氏名 持株比率
北村良一 15.40%
有限会社ケイアンドエム 14.00%
北村誠 6.73%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は北村誠氏です。社外取締役比率は16.7%です。

氏名 役職 主な経歴
北村誠 代表取締役社長 1983年入社。総務部長、管理本部長、経営統括本部長、営業本部長などを歴任。2016年専務取締役、2023年2月より現職。
北村良一 代表取締役会長 1980年入社。営業本部営業部長を経て1987年代表取締役専務。1988年代表取締役社長に就任し、2023年2月より現職。
北村裕三 常務取締役執行役員管理本部長 1987年入社。営業企画部長を経て2015年取締役管理本部長。2023年常務取締役に就任し、2024年11月より現職。
山内昭彦 取締役執行役員営業本部長 1986年入社。東日本営業部長、営業推進部長を経て2022年取締役営業本部長。2024年11月より現職。
岸本規正 取締役執行役員西日本営業部長 1984年入社。近畿営業部長、住宅資材部長、関西営業部長、中部営業部長を経て2024年11月より現職。
中村均 取締役執行役員中部営業部長 1999年入社。近畿営業部長、大阪営業部長などを歴任。2024年11月より現職。
齋田征人 取締役執行役員経理部長 2000年入社。経理部副部長を経て2013年経理部長。2020年取締役就任。2024年11月より現職。


社外取締役は、森信静治(弁護士)、杉野正博(元LIXIL代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社は、「建材販売事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 建材販売事業(商品販売)


木材店、建材店、工務店、住宅会社等に対し、新建材や住宅設備機器等の商品を販売しています。取扱商品は多岐にわたり、室内ドアやフローリングなどの木質建材、石膏ボードや断熱材などの非木質建材、合板、構造材等の木材製品、システムキッチンやユニットバス等の住宅設備機器が含まれます。

収益は、これらの商品を顧客へ販売することによる対価として得ています。また、同社はオリジナル商品(KITAKEI商品)の開発・販売も行っており、独自ブランドによる付加価値提供も行っています。運営は北恵が主体となって行っています。

(2) 建材販売事業(施工付販売)


商品販売に加え、外壁工事、住設工事、屋根工事、内装工事、太陽光発電システム設置等の施工付販売を行っています。単なる資材供給にとどまらず、施工機能を付加することで取引先のニーズに対応しています。特にリフォーム・リノベーション市場や非住宅市場などへの展開において、この施工機能が活用されています。

収益は、施工を含む販売対価および工事代金として顧客から受け取ります。メーカー責任施工によるものと、同社が手配する協力会社による工事があります。運営は北恵が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は約570億円から620億円の範囲で推移しています。2023年11月期に売上高624億円、経常利益12億円のピークを記録した後、直近2期は減収減益傾向にあります。利益率は1.5%〜1.9%程度で安定しており、当期純利益も黒字を維持していますが、直近では新設住宅着工戸数の減少等の影響を受けています。

項目 2021年11月期 2022年11月期 2023年11月期 2024年11月期 2025年11月期
売上高 572億円 609億円 624億円 613億円 590億円
経常利益 9億円 10億円 12億円 11億円 9億円
利益率 1.6% 1.7% 1.9% 1.8% 1.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 6億円 8億円 7億円 6億円

(2) 損益計算書


前期と比較すると、売上高は減少しましたが、売上原価も同様に減少しています。売上総利益率はほぼ横ばいか微増傾向にありますが、販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業利益および経常利益は減少しました。厳しい市場環境の中で利益確保に努めていますが、コスト増の影響を受けた形となっています。

項目 2024年11月期 2025年11月期
売上高 613億円 590億円
売上総利益 66億円 65億円
売上総利益率(%) 10.8% 11.0%
営業利益 9億円 7億円
営業利益率(%) 1.5% 1.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が25億円(構成比44%)、運賃が9億円(同16%)を占めています。売上原価については、商品売上原価が302億円(構成比57%)、完成工事原価が224億円(同43%)となっています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、品目別の売上状況を見ると、主力の住宅設備機器は前期並みを維持しましたが、木質建材、非木質建材、木材製品等は軒並み減収となりました。特にオリジナル商品の取扱減少が影響しています。一方で、完成工事高は前期並みを確保しており、施工付販売の底堅さがうかがえます。

区分 売上(2024年11月期) 売上(2025年11月期)
住宅設備機器 141億円 141億円
木質建材 70億円 66億円
非木質建材 46億円 37億円
木材製品 27億円 25億円
合板 16億円 14億円
施工付販売 16億円 16億円
完成工事高 249億円 250億円
その他 48億円 42億円
連結(合計) 613億円 590億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

北恵のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少や売上債権及び契約資産の減少が主な要因となり、資金は減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形・無形固定資産や投資有価証券の取得による支出があったものの、有価証券の償還による収入がそれを上回り、資金は減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払いにより、資金は減少しました。

項目 2024年11月期 2025年11月期
営業CF 6億円 -5億円
投資CF -1億円 -0億円
財務CF -3億円 -3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「人ある限り住まいに対するニーズは永遠である」と捉え、多様化する住まいのニーズを満たすため、取引先と住まいのユーザーに満足される資材・サービスの提供を第一義としています。常に存在価値のある住宅資材提供会社を目指し経営を行っています。

(2) 企業文化


個々の力を結集して「選ばれる企業」、そして「社会に認められる企業」を目指す文化を持っています。住まいのトータルサプライヤーとして、環境への配慮を基本方針とし、より良い住環境の創造に貢献することを目指しています。

(3) 経営計画・目標


収益性を重視するため「売上高総利益率」及び「売上高営業利益率」を、企業価値を高めるためにオリジナル商品・施工付販売等の「売上高構成比率」を主な目標数値としています。なお、先行き不透明な環境のため、現状において中長期計画の数値目標は開示していません。

(4) 成長戦略と重点施策


新築住宅市場に加え、リフォーム・リノベーション市場や非住宅市場に対し、施工付販売や物流機能を活かして新規開拓を進めます。また、工事機能の充実、太陽光発電システム等の環境配慮型商品やオリジナル商品の拡販に注力し、業務効率化を図ることで業績向上を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財に選ばれる企業」を目指し、従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいます。評価・報酬制度の一新や研修・教育制度の充実を図るとともに、多様な働き方に対応した休日・休暇制度の拡充や育児支援制度の導入を進めています。また、高齢者の活躍推進や多様な人材活用により組織力の向上を図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年11月期 41.6歳 13.0年 6,287,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.8%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 57.9%
男女賃金差異(正規) 57.9%
男女賃金差異(非正規) 36.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新設住宅着工戸数の増減


住宅関連業界の業績は新設住宅着工戸数の増減に大きく影響されます。特に持家や分譲一戸建住宅の動向が重要であり、住宅ローン金利や税制、資材価格高騰などによる消費者マインドの変化が、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 災害・事故・感染症等


自然災害や大規模事故、感染症などが発生した場合、従業員や設備、工事物件への被害が生じたり、取引先等の拠点が被災することで、事業活動に支障をきたし業績に影響を与える可能性があります。

(3) 信用リスク


商取引に伴う信用リスクが存在します。取引先ごとにリスクを評価し取引継続を検討するなど軽減に努めていますが、取引先の信用状態が悪化した場合には業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報システムに関するリスク


販売、会計、人事等のシステムにおいて、機器やソフトの欠陥、ウイルス感染等によるシステム停止や情報漏洩が発生した場合、事業の中断や損害賠償請求により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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