※本記事は、株式会社ティムコ の有価証券報告書(第56期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ティムコってどんな会社?
フィッシング用品の企画販売とアウトドア衣料「フォックスファイヤー」を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1969年にフィッシング用品の輸出入を目的に設立され、1970年代には米国ブランドの総発売元となりました。1982年にアウトドア衣料「フォックスファイヤー」を開始し、事業を拡大。2004年にジャスダックへ上場し、2022年の市場区分見直しに伴い東証スタンダード市場へ移行しました。
単体従業員数は71名です。筆頭株主は資産管理会社のキャピタルギャラリーで、第2位は大株主個人の大谷寛氏、第3位は代表取締役社長の酒井誠一氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| キャピタルギャラリー | 14.07% |
| 大谷寛 | 11.03% |
| 酒井誠一 | 7.16% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は酒井誠一氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 酒井誠一 | 代表取締役社長 | 1992年入社。社長室長、常務取締役を経て2011年2月より現職。 |
| 杉本安信 | 取締役アウトドア部長 | 1986年入社。アウトドア部長を経て2011年2月より現職。 |
| 瀬戸昭則 | 取締役フィッシング部長 | 1986年入社。フィッシング部長を経て2021年2月より現職。 |
| 荻原浩二 | 取締役管理部長 | 1993年入社。管理部経理担当部長を経て2022年2月より現職。 |
| 増田豊 | 取締役(監査等委員) | 1981年入社。アウトドア用品部長、取締役社長室長等を経て2022年2月より現職。 |
社外取締役は、後藤悠(ファイブテンコンサルティング代表取締役)、菊地春市朗(ブレイクスルー代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「フィッシング事業」、「アウトドア事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) フィッシング事業
ルアーやフライフィッシング用品の企画開発、輸出入および販売を行っています。自社開発製品に加え、海外の有力ブランド(フェンウィック、オービスなど)の日本総代理店として商品を供給しており、愛好家向けに専門性の高いアイテムを提供しています。
収益は、小売店や卸売業者への商品販売代金です。運営は主に同社が行っています。
■(2) アウトドア事業
オリジナルアウトドアブランド「フォックスファイヤー」を中心とした衣料品およびアクセサリー等の企画開発、販売を行っています。「True to nature」をテーマに、過酷な自然環境に対応する高機能な製品を展開しています。
収益は、直営店(フォックスファイヤー)、百貨店、専門店等での商品販売代金です。運営は主に同社が行っています。
■(3) その他事業
報告セグメントに含まれない事業として、不動産賃貸事業等を行っています。
収益は、保有不動産の賃貸料収入等です。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は30億円台前半で推移していますが、利益面では変動が見られます。2022年11月期と2023年11月期は黒字を確保しましたが、2024年11月期以降は営業損失、経常損失を計上しており、直近の2025年11月期は赤字幅が拡大しています。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 30億円 | 33億円 | 34億円 | 32億円 | 32億円 |
| 経常利益 | -0.1億円 | 1.2億円 | 1.2億円 | -0.2億円 | -0.9億円 |
| 利益率(%) | -0.5% | 3.6% | 3.5% | -0.8% | -2.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.1億円 | 1.3億円 | 1.1億円 | -1.1億円 | -1.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で横ばいですが、売上総利益率は低下し、営業損失が拡大しました。原材料価格の上昇や円安による仕入原価増、滞留在庫処分などが利益を圧迫しています。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 32億円 | 32億円 |
| 売上総利益 | 15億円 | 15億円 |
| 売上総利益率(%) | 46.3% | 45.1% |
| 営業利益 | -0.3億円 | -1.0億円 |
| 営業利益率(%) | -0.9% | -3.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当・賞与が3.3億円(構成比21%)、雑給が2.5億円(同16%)を占めています。
■(3) セグメント収益
アウトドア事業が売上の約7割を占めますが、減収となり利益も減少しました。フィッシング事業は増収となったものの、仕入コスト増などが響き営業損失となりました。その他事業は不動産賃貸等で安定的な収益を上げています。
| 区分 | 売上(2024年11月期) | 売上(2025年11月期) | 利益(2024年11月期) | 利益(2025年11月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| フィッシング事業 | 8.0億円 | 8.6億円 | 0.5億円 | -0.0億円 | -0.2% |
| アウトドア事業 | 23.9億円 | 23.4億円 | 0.9億円 | 0.8億円 | 3.3% |
| その他 | 0.2億円 | 0.2億円 | 0.1億円 | 0.1億円 | 65.2% |
| 調整額 | - | - | -1.9億円 | -1.9億円 | - |
| 連結(合計) | 32.1億円 | 32.2億円 | -0.3億円 | -1.0億円 | -3.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -1.2億円 | -2.5億円 |
| 投資CF | -0.9億円 | 2.0億円 |
| 財務CF | -0.4億円 | -0.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-2.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は79.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「Think in the field」をスローガンに掲げています。自然のフィールドから培った知恵をもとに、人々の幸福に寄与するユニークな商品やサービスを創り出す企業を目指しています。
■(2) 企業文化
自然の中での創造を基本とし、「Do small things(小さいことでも自分たちにできる確実なことだけを着々と行う)」という方針を掲げています。具体的には「無駄使いしない」「できるだけ長く商品を使っていただく」「身の回りから美化していく」という3つの取り組みを規範としています。
■(3) 経営計画・目標
具体的な数値目標としてのKPI等は開示されていませんが、利益全体に大きな影響を持つ「売上総利益率」と、本業の利益を示す「営業利益率」を重要な経営指標と位置づけ、より高い水準を目指すことに注力しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
中期的な重点課題として「BRAND(ブランド力強化)」「NET(インターネット活用)」「GLOBAL(世界展開)」の3点を掲げています。特に「コンテンツ・マーケティング」を基軸とし、自社サイトやSNSを通じて価値ある情報を提供することで、新規ユーザーの獲得とファン化を図り、購買を促進する戦略を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「働くことと同じくらい遊ぶことを大切にする」という考えのもと、社員が自然の中で過ごす時間を確保できる環境づくりを進めています。長期休暇や有給休暇の取得しやすさ、時間外勤務の抑制によりワークライフバランスを実現し、豊かな余暇体験を商品開発等の業務に還元する人材育成を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月期 | 45.7歳 | 17.8年 | 5,161,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 市況の変化の影響について
一般消費者向け商品を主力としているため、消費者の嗜好の変化、競合状況、景気動向などが業績に影響する可能性があります。特にアウトドア・アクティビティへの個人消費は、物価上昇や天候等の外的要因の影響を受けやすい環境にあります。
■(2) 季節変動と自然災害の影響について
取扱商品の多くが季節性が高く自然の中で使用されるものであるため、冷夏・暖冬などの異常気象や、地震・豪雨などの自然災害、あるいは熊被害などによる活動自粛が、商品の需要や販売に直接的な影響を与える可能性があります。
■(3) 為替変動の影響について
海外からの仕入や海外への販売を行っており、外貨建て取引については為替変動の影響を受けます。為替予約等でヘッジを行っていますが、急激な円安等は仕入コストの上昇要因となり、業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 敵対的買収による影響について
株式を上場しているため、経営権の支配を目的とした大量取得が行われる可能性があります。その際、新たな経営方針により、同社の方向性や業績に影響が及ぶ可能性があります。



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