※本記事は、株式会社サーラコーポレーション の有価証券報告書(第24期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. サーラコーポレーションってどんな会社?
エネルギー事業を基盤に、住宅や設備工事、自動車販売など、地域の暮らしとビジネスを多角的に支える企業グループです。
■(1) 会社概要
2002年5月、ガステックサービス、中部、新協オートサービスの3社による共同株式移転により設立されました。2016年にはサーラエナジーとサーラ住宅を完全子会社化し、グループ経営体制を強化しています。2022年4月に東証プライム市場へ移行し、2024年12月には安江工務店を子会社化して住宅事業を拡大しました。
連結従業員数は4,172名、単体では65名です。筆頭株主は同社の従業員持株会で、第2位、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。安定した株主構成のもと、地域密着型の事業展開を進めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| サーラコーポレーション従業員持株会 | 7.31% |
| 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 6.17% |
| 三井住友信託銀行株式会社 | 4.42% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長 兼 グループ代表・CEOは神野吾郎氏です。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 神野 吾郎 | 代表取締役社長 兼グループ代表・CEO | 2000年ガステックサービス(現サーラエナジー)社長。2002年5月同社社長。2020年2月より現職。 |
| 渡会 隆行 | 常務取締役 | 2018年ガステックサービス(現サーラエナジー)執行役員。2022年同社取締役。2024年2月より現職。 |
| 榑林 孝尚 | 取締役 | 2017年中部専務取締役。2018年同社社長。2019年2月より現職。 |
| 鈴木 敬太郎 | 取締役 | 2012年中部瓦斯(現サーラエナジー)取締役。2023年同社社長。2023年2月より現職。 |
| 大辻 祥子 | 取締役 | 1994年中部瓦斯(現サーラエナジー)入社。2021年同社執行役員。2024年2月より現職。 |
| 武川 裕樹 | 取締役(常勤監査等委員) | 1991年ガステックサービス(現サーラエナジー)入社。2022年同社監査部長。2024年2月より現職。 |
社外取締役は、一柳良雄(一柳アソシエイツ代表取締役)、大久保和孝(大久保アソシエイツ社長)、村松奈緒美(弁護士)、安形哲夫(元ジェイテクト社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「エネルギー&ソリューションズ事業」「エンジニアリング&メンテナンス事業」「ハウジング事業」「カーライフサポート事業」「アニマルヘルスケア事業」「プロパティ事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) エネルギー&ソリューションズ事業
都市ガス、LPガス、石油製品等の販売に加え、電気・熱供給、暮らしのサービスなどを提供しています。一般家庭から業務用まで幅広い顧客に対し、エネルギー供給と関連機器の販売、リフォーム提案などを行っています。
収益は、ガス・電気等のエネルギー料金や機器販売代金、工事代金などから得ています。運営は、サーラエナジー、サーラE&L東三河、サーラE&L浜松、サーラ物流などが担っています。
■(2) エンジニアリング&メンテナンス事業
土木工事、建築工事、設備工事、設備メンテナンス、情報通信関連設備工事などを手掛けています。公共工事から民間企業の設備投資、インフラ整備まで、地域の建設需要に対応しています。
収益は、工事請負契約に基づく完成工事代金やメンテナンス料などから得ています。運営は主に、中部、神野建設、鈴木組、テクノシステムなどが行っています。
■(3) ハウジング事業
注文住宅の請負、建物のリフォーム、不動産の売買・仲介、建築資材の販売などを行っています。個人顧客向けの住宅提供から、ハウスメーカーや工務店向けの資材供給まで幅広く展開しています。
収益は、住宅販売代金、工事請負代金、仲介手数料、資材販売代金などから得ています。運営は、サーラ住宅、サーラハウスサポート、安江工務店などが行っています。
■(4) カーライフサポート事業
フォルクスワーゲンやアウディなどの輸入自動車の販売および整備を行っています。地域の個人および法人顧客に対し、新車・中古車の販売やアフターサービスを提供しています。
収益は、車両販売代金や整備・点検等のサービス料から得ています。運営は主にサーラカーズジャパンが行っています。
■(5) アニマルヘルスケア事業
動物用医薬品、畜産用機器、飼料添加物などの販売を行っています。畜産農家や動物病院などを主要な顧客とし、動物医療の専門商社として事業を展開しています。
収益は、医薬品や機器等の販売代金から得ています。運営は主にアスコが行っています。
■(6) プロパティ事業
不動産の賃貸・売買・仲介・投資、マンション分譲、ホテル運営、料飲事業などを展開しています。オフィスビルや商業施設の運営、ホテルアークリッシュ豊橋などのホスピタリティ事業を手掛けています。
収益は、賃貸料、不動産販売代金、ホテル宿泊料、飲食代金などから得ています。運営は、サーラ不動産、サーラホテル&レストランズなどが行っています。
■(7) その他
上記の報告セグメントに含まれない事業として、自動車部品の製造、割賦販売およびリース事業などを展開しています。
収益は、製品販売代金やリース料、割賦手数料などから得ています。運営は、新協技研、サーラフィナンシャルサービスなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高が概ね右肩上がりで推移しており、事業規模の拡大が続いています。利益面でも、経常利益は安定的に推移し、当期は大幅な増益を達成しました。当期利益についても堅調に推移しており、安定した収益基盤を有していることが窺えます。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,279億円 | 2,348億円 | 2,421億円 | 2,405億円 | 2,515億円 |
| 経常利益 | 83億円 | 86億円 | 79億円 | 82億円 | 99億円 |
| 利益率(%) | 3.6% | 3.7% | 3.3% | 3.4% | 3.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 53億円 | 57億円 | 61億円 | 52億円 | 59億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益も増加しました。営業利益率は2.6%から2.9%へと改善しており、本業の収益性が向上しています。経常利益の大幅な増加は、営業利益の伸びに加え、為替予約に係るデリバティブ評価益の増加などが寄与しました。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,405億円 | 2,515億円 |
| 売上総利益 | 572億円 | 613億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.8% | 24.4% |
| 営業利益 | 63億円 | 74億円 |
| 営業利益率(%) | 2.6% | 2.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が196億円(構成比36%)、減価償却費が53億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
エネルギー事業は価格改定や販売量増加により増収となりました。ハウジング事業は安江工務店の子会社化や注文住宅の伸長により大幅な増収となっています。エンジニアリング事業も工事受注が好調で増収となりました。一方、アニマルヘルスケア事業やプロパティ事業は減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年11月期) | 売上(2025年11月期) |
|---|---|---|
| エネルギー&ソリューションズ事業 | 1,195億円 | 1,209億円 |
| エンジニアリング&メンテナンス事業 | 327億円 | 353億円 |
| ハウジング事業 | 356億円 | 449億円 |
| カーライフサポート事業 | 171億円 | 180億円 |
| アニマルヘルスケア事業 | 255億円 | 234億円 |
| プロパティ事業 | 81億円 | 73億円 |
| その他 | 17億円 | 16億円 |
| 調整額 | 2億円 | 2億円 |
| 連結(合計) | 2,405億円 | 2,515億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動で得た資金を元に、将来の成長に向けた投資を積極的に行っている「積極型」のキャッシュ・フロー状態にあります。また、財務活動によるキャッシュ・フローがプラスであり、投資資金を借入等でも調達していることがわかります。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 142億円 | 162億円 |
| 投資CF | -103億円 | -124億円 |
| 財務CF | -4億円 | 18億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「美しく快適な人間空間づくりを通し、地域社会から信頼される企業グループとして、豊かな社会の実現をめざします。」という基本理念を掲げています。この理念のもと、地域社会とともに発展し続けることを目指しています。
■(2) 企業文化
2030年ビジョンの実現に向けた組織・社員の姿を「自ら考え行動する人」と定義しています。グループ共通の期待人材像として「6つのAction」を設定し、多様な社員の活躍とチャレンジを促進する文化の醸成を図っています。主体的な行動と変革への挑戦を重視する風土づくりを進めています。
■(3) 経営計画・目標
2030年ビジョンとして「私のまちにSALA、暮らしとともにSALA」を掲げ、2030年11月期に向けた長期的な目標を設定しています。
* 連結営業利益:120億円
* 売上高営業利益率:4.0%
* ROE:10.0%
* ROIC:6.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
第6次中期経営計画(2026年11月期~2030年11月期)では、基本方針を「X(Cross)“120”」と定め、交差・連携・共創と変革による新たな価値創造を目指します。
具体的には、「暮らしのSALA」「ビジネスのSALA」のビジネスモデル確立、新たな価値創造による事業の創出、既存事業の収益力向上、人材戦略、DX推進の5つを重点戦略として掲げています。特に、ストック住宅ビジネスやスマートエネルギー事業の構築、食・農事業などの新規領域への挑戦、デジタル技術を活用した生産性向上に取り組む方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人口減少や人手不足に対応するため、変革を牽引する人材や専門性の高い人材の確保・育成を強化しています。「戦略的人材配置による事業成長の加速」「次世代リーダーと専門人材の計画的育成」「エッセンシャルワーカーの確保」「多様な人材の確保と活躍推進」を重点施策とし、新たな価値を創出する組織への変革を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月期 | 42.0歳 | 16.0年 | 6,671,741円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 77.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 74.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※男女賃金差異(非正規雇用)は該当者がいない等の理由により記載が省略されています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒女性採用比率(36.4%)、女性管理職比率(リーダー級含む)(2.3%)、年次有給休暇取得率(63.2%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) マクロ環境の変化
国内の人口減少や世帯数減少、省エネ機器の普及によるガス販売量の減少、住宅需要の減退、自動車販売市場の縮小などが経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、グループの総合力を活かした提案や、ストックビジネスの強化、M&Aによる事業領域の拡大などで対応しています。
■(2) 原燃料価格・為替の変動
都市ガスやLPガス、バイオマス燃料等の仕入は輸入に依存しており、原油価格や為替相場の変動が経営成績に影響を与える可能性があります。原料費調整制度による価格転嫁に加え、調達先の多様化や為替予約取引の活用などによりリスクの低減を図っています。
■(3) 競合の激化
各事業領域における同業他社や異業種からの新規参入、市場縮小による競争激化がリスク要因です。これに対し、グループ各社の連携による複合取引の推進や、カーボンニュートラル対応などのソリューション提案を通じて、顧客との関係強化と同業他社との差別化を進めています。
■(4) DX対応の遅れ
DXへの対応が遅れた場合、競争力の低下や業務効率化の停滞を招く可能性があります。次期基幹システムの構築やデジタル技術の活用によるサービス向上、業務プロセスの改革を推進し、新たな価値創造と生産性向上に取り組んでいます。



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