※本記事は、株式会社ホテル、ニューグランド の有価証券報告書(2025年11月期、2024年12月1日 ~ 2025年11月30日、2026年2月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ホテル、ニューグランドは、ホテル及び料飲施設の運営、並びに不動産賃貸業を主な事業内容としています。これらの事業は全て同社のみで行われています。
単体従業員数は232名です。セグメントはホテル事業、不動産賃貸事業の2つです。
ホテル事業では、ホテルニューグランド内での宿泊・料飲施設運営に加え、髙島屋横浜店やそごう横浜店内でレストランを営んでいます。また、不動産賃貸事業ではオフィスビル等の賃貸管理業務を行っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ホテル、ニューグランドは、歴史あるホテル事業を主軸とする企業です。同社では、お客様へのおもてなしを追求する中で、従業員の成長と多様な働き方を重視する姿勢が見られます。安定した環境で専門性を高めながらキャリアを築きたいと考える方にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
ホテル、ニューグランドでは、比較的若い年齢層の従業員が活躍しており、一定の勤続年数を経てキャリアを形成している傾向が見られます。これは、若手から中堅層までがバランス良く在籍し、長期的な視点で専門性を磨ける環境があることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,191,000円 |
| 平均勤続年数 | 11.81年 |
| 平均年齢 | 34.22歳 |
| 単体従業員数 | 232人 |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、非積立型の確定給付制度を採用しています。これは給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度です。退職一時金制度があり、退職給付として、給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ホテル、ニューグランドは、サービス業界における人員不足に対応するため、従業員一人ひとりの成長を促し、最大限の能力を発揮できる環境整備に注力しています。年齢、性別、国籍を問わず多様な人材が活躍できるよう、キャリア形成とスキルアップを支援する方針です。
具体的には、管理職研修やグループホテル研修、料理コンテスト参加など多岐にわたるキャリア・スキルアップ研修を実施しています。また、横浜を代表する高級グランドホテルとしての地位確立を目指す「100周年プロジェクトチーム」や、歴史と伝統を受け継ぐ「ニューグランドマイスター制度」を通じて、専門性とホスピタリティの向上を図っています。他社視察制度や資格取得補助金制度も設け、従業員の自律的な成長を後押しする体制を整えています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異は、人事制度上の男女間格差はないものの、年齢構成や管理職比率、短時間勤務者数などを要因として差異が生じています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 12.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 72.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 78.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 65.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ホテル、ニューグランドは、ホテル運営と不動産賃貸を主な事業内容とする企業です。同社は、宿泊や料飲サービス、オフィスビル等の賃貸管理を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、ホテル運営と不動産賃貸の二つの事業を展開しており、これらの事業はすべて同社のみで行われています。
ホテル事業
ホテルニューグランド内での宿泊、婚礼・宴会を含む料飲施設、および髙島屋横浜店やそごう横浜店内のレストラン運営を行っています。収益は、これらの施設におけるサービス提供から得ています。
不動産賃貸事業
オフィスビル等の賃貸管理業務を営んでいます。収益は、賃貸物件からの賃料収入から得ています。
| セグメント | 売上高(2024年11月期) | 売上高(2025年11月期) |
|---|---|---|
| ホテル事業 | 58.1億円 | 64.8億円 |
| 不動産賃貸事業 | 48百万円 | 48百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
直近の業績は、売上高と営業利益、経常利益が増加傾向にあります。一方で、当期純利益は減少となりました。これは、同社が稼働率上昇と売上の伸長により底堅く推移した結果を示しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社ホテル、ニューグランドは、本業で安定した資金を生み出し、将来に向けた投資も行っている状況です。財務基盤は堅実であり、手元資金も確保されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあります。自己資本比率は前期から横ばいで推移しており、安定した財務体質を維持していることがうかがえます。
手元資金である現金及び現金同等物は、前期と比較して減少しています。しかし、一定の資金を確保しており、不測の事態への耐性も備えていると考えられます。これらの状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも関わる重要な要素です。
| 指標 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 35.4億円 | 37.2億円 |
| 自己資本比率 | 41.7% | 42.0% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 24.8億円 | 23.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の当期のキャッシュフローは、営業活動による資金が増加しています。これは主に、税引前当期純利益や減価償却費によるものです。本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。
投資活動による資金は減少しており、主に有形固定資産の取得による支出や無形固定資産の取得による支出が要因となっています。これは、事業の維持・拡大に向けた投資が行われていることを示しています。財務活動による資金は減少しており、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な要因です。
フリーキャッシュフローは当期にプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回っている状況です。この資金の流れは、同社が事業活動を通じて安定的に資金を創出し、将来に向けた投資も行いつつ、資金の余力を確保していることを示しています。これにより、雇用や給与の安定性、そして今後の成長性にも期待が持てる状況と言えるでしょう。
| 項目 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.9億円 | 6.8億円 |
| 投資CF | △6.6億円 | △5.1億円 |
| 財務CF | 3.2億円 | △3.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △2.7億円 | 1.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
大規模地震や台風などの自然災害、新型インフルエンザなどの感染症の発生や蔓延は、同社の建物や設備に損害を及ぼし、一時的な営業停止による売上減や修復費用が発生する可能性があります。また、食の安全に関わる問題が発生した場合、同社の業績に影響する可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
慢性的な人手不足により人財獲得競争が激化する中で、離職率減少と長期定着化を図るための施策が展開されています。これは、優秀な人材の獲得・維持に関するリスクへの対応を示しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ホテル、ニューグランドは、歴史的建造物の維持・保存と持続的成長を通じて、国際都市横浜の発展に貢献することを目指しています。培ったおもてなしの心と最高のサービス・商品提供により、顧客満足と幸福、国際社会の発展と文化の向上に貢献する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ホテル、ニューグランドの企業理念は「培ったおもてなしの心と、最高のサービスと商品の提供により、国際社会の発展と文化の向上、お客様の満足と幸福に貢献」と掲げられています。同社は、歴史的建造物を維持・保存しながら持続的成長を実現し、国際都市横浜の一翼を担うことを社会的役割と認識しています。SDGsへの取り組みは、社会課題解決への貢献であり、企業理念の実践、事業拡大と持続的な企業価値向上への道筋と考えています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、優れた人財を企業成長の源泉と捉え、人手不足が常態化する中でも、専門スキルや高度な技術を有する人財の安定的確保を重視しています。賃上げや人事制度の改善を通じて、労働意欲と生産性を高める魅力的な職場環境の整備に努めています。また、高度な技術や知見を有する人財を公正に評価し処遇できる体系を整備し、エンゲージメント向上を図る方針です。女性活躍の場を積極的に後押しし、仕事と育児の両立支援を強化しています。開業以来、地域に根差した企業として、クラシックホテルならではの競争優位性と差別化によりブランド価値向上に努める文化があります。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、事業継続上の課題やリスクに対し、人事戦略、ブランド戦略、成長戦略の3つの基本戦略をもって解決にあたり、収益性向上と持続的成長による経営基盤の確立を目指しています。人事戦略では、業務のデジタル化による作業効率化・省力化を進め、人的タスクの補完を図る方針です。ブランド戦略では、伝統や歴史に敬意を払いながらも探求を怠らず、付加価値の高い“驚きと感動を与える商品・サービス”の提供によりブランド確立と普及を進め、顧客拡大を図るとしています。また、2027年の開業100周年を見据えた足場固めの取組みを着実に進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ホテル、ニューグランドは監査等委員会設置会社であり、取締役会および監査等委員会はそれぞれ過半数を社外取締役で構成しています。これにより、経営の透明性と監督機能の強化を図るガバナンス体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ホテル、ニューグランドの株主構成を見ると、筆頭株主は原地所です。同社の代表取締役会長兼社長である原信造氏も上位株主の一人として名を連ねています。このことから、創業家や関連会社が同社の資本構成において重要な位置を占めていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 原地所 | 16.22% |
| 穐 田 誉 輝 | 4.88% |
| 横浜銀行(常任代理人 日本カストディ銀行) | 4.67% |
なお、所有株式数は百株未満を切り捨てて表示されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は13名(男性13名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は原信造氏が務めています。社外取締役比率は69.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 原 信 造 | 代表取締役会長兼社長(取締役会議長) | 1981年4月大蔵省(現 財務省)入省。関東信越国税局長、岡山県警察本部長を経て、2014年7月原地所代表取締役社長に就任。2019年2月より同社代表取締役会長兼社長より現職。 |
| 岸 晴 記 | 常務取締役財務兼管理本部長 | 1989年10月同社入社。経理部長、取締役財務本部長を経て、2025年5月より同社常務取締役財務兼管理本部長、内部統制室長、コンプライアンス推進室長、サステナビリティ推進室長より現職。 |
| 関 口 真 司 | 取締役総料理長 | 1985年10月同社入社。調理部長を経て、2022年2月より同社取締役総料理長より現職。 |
| 木 曽 博 文 | 取締役営業本部長総支配人 | 1993年4月同社入社。マーケティング部長、宴会部長を経て、2024年2月より同社取締役営業本部長総支配人より現職。 |
社外取締役は、上野孝氏(横浜商工会議所会頭・上野トランステック会長CEO・指名委員会及び報酬委員会委員長)、岡崎真雄氏(あいおいニッセイ同和損害保険顧問)、川本守彦氏(川本工業代表取締役社長・横浜商工会議所副会頭)、勝治雄氏(横浜エレベータ取締役社長)、山﨑明氏(清水建設常任顧問)、奥津勉氏(公認会計士・税理士・監査等委員長)、佐々木寛志氏(横浜市元副市長・社会福祉法人横浜市社会事業協会理事長・監査等委員)、川村健一氏(横浜銀行顧問・横浜国立大学理事・監査等委員)、矢野精一氏(東日本旅客鉄道執行役員横浜支社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会および監査等委員会はそれぞれ過半数を社外取締役で構成されています。これにより、取締役会の監督機能の強化と公正かつ透明性の高い経営の実現を目指しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ホテル、ニューグランドの役員報酬は、取締役(監査等委員および社外取締役を除く)に対しては、基本報酬と中長期的インセンティブとしての株式報酬で構成されています。一方、社外取締役および非常勤取締役の報酬は、経営の監督機能を重視し、基本報酬のみで構成されています。報酬額は報酬委員会の審議を経て取締役会で決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 70百万円 | 14.1百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 1百万円 | 0.5百万円 |
| 社外取締役 | 10名 | 11百万円 | 1.1百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。